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2020/08/07

  • 110回目「大人は判ってくれない」(フランソワ・トリュフォー監督)

    ヌーヴェル・ヴァーグの旗手、フランソワ・トリュフォーの長編第一作。といっても「ヌーヴェル・ヴァーグ」がどういうものなのか、実はよく分かっていない。漠然とは分かる。「即興演出とか大胆な省略とかを用いて撮った当時としては革新的な映画の総称」くらいに認識している(間違っていたらスミマセン)。ただ、個々の映画を一括りに纏めて総称するのはナンセンスな気もするのである。ゴダールだろうがトリュフォーだろうが、良いものは良いし悪いものは悪い、と言える方が健全な気がする。 ゴダールの『勝手にしやがれ』も、監督の長編第一作で、フランス映画で、「ヌーヴェル・ヴァーグ」とされているが、当然内容は全然違う。『勝手にしや…

  • 109回目「パラレル・マザーズ」(ペドロ・アルモドバル監督)

    ペドロ・アルモドバル監督の映画は、話の設定を作るのが巧い。その設定さえあれば、どう転んでも面白くなるような設定を作る。中には「さすがにそれはないだろう」と思うような設定もある。しかし、そんな強引な設定でも不思議と作り手の都合を感じさせない。普通は「偶然が多すぎる」とか「展開が強引過ぎる」と思いそうな設定でも、なぜか納得してしまうのである。また、設定から派生したストーリーも練られており、複雑な話なのにストレスを感じることなく、映画の世界に引き込まれる。 そんなアルモドバル監督の新作『パラレル・マザーズ』を映画館で観た。 他のアルモドバル映画と同様、『パラレル・マザーズ』も最初の設定がもうすでに面…

  • 108回目「欲望」(ミケランジェロ・アントニオーニ監督)

    なんとなくダラダラと見始めて、ちょっと退屈だなと思いつつも途中で鑑賞を止める事もなく、というか、切り上げるタイミングを見失い、結局ラストまで観た。ダラダラと見続けて気が付けば終わっていた。全体的に印象が薄い映画だった。ラストもモヤモヤとしまま終わった。そのモヤモヤの正体を突き止めてみようという積極的な意思も働かない。全体的に見ても部分的に見てもよく分からない映画で、「難解」というのとも少し違う、そういう意味では不思議な映画なのだけれども、その不思議さが魅力的に感じるかというと、それはそれでそうでもない、なんて、感想までも抽象的になってしまう。 自分の場合、こういう映画は通常最後まで観ずに途中で…

  • 107回目「最後の将軍~徳川慶喜~」(司馬遼太郎:文春文庫)

    坂本龍馬とか新選組が好きな人はけっこういるが、「徳川慶喜が好き」という人には出会ったことがない。よく耳にする「好きな歴史上の人物は?」といった質問に徳川慶喜を一番目に挙げる人は稀な気がする。日本を近代化に導いた立役者の一人であることは間違いないのに、なぜこうも不人気なのだろう?(自分の周りだけかもしれませんが…)やはり、戊辰戦争で幕府のために戦っている仲間を裏切って自分だけ逃げた将軍のイメージが強いからだろうか。しかし、それには慶喜なりの理由があって、…というのは、本書『最後の将軍』を読めばよく分かる。だから、ここでは説明しない。弱腰とか口だけとか無責任とか敵前逃亡とか色々言われているが、実は…

  • 106回目「草薙の剣」(橋本治:新潮文庫)

    10代から60代の6人の男が主人公。それぞれ年齢が高い順に「昭生」「豊生」「常生」「夢生」「凪生」「凡生」という名前が付けられている。彼ら6人のそれぞれの人生を、昭和から平成の終わりまでの歴史と同時に描かれる。令和は入っていない。 橋本治の『草薙の剣』を読んだ人は、恐らく皆、ある事に気づくと思う。それは、この6人の主人公以外は、全て固有名がないこと。「昭生の父」とか「豊男の養母」という扱いである。故に、6人の主人公から遠い関係性にあるもの程、助詞「の」が多くなる。「夢生の父方の祖父」なんて具合である。そして、主要6人以外の、固有名を持たない人間たちのドラマが、主要6人以上に緻密に書き込まれてい…

  • 105回目「ニック・オブ・タイム」(ジョン・バダム監督)

    ジョニー・デップが主演の映画。面白いけど突っ込みどころは沢山ある。映画内で流れる時間と実際の時間が同じ、というのがこの映画のセールス・ポイントらしい。その点に関しては「言われてみれば確かにそうだなぁ」くらいの感慨しかない。イニャリトゥ監督『バードマン~あるいは無知と言う名の偏見~』(←これは、監督名も正式タイトルも合っているか自信がない)とか、サム・メンデス監督の『19○○~命を懸けた伝令~』(←これも正式タイトルを忘れたので○○で誤魔化す。ご了承を。)のように最初から終わりまでワンカットで撮っている、なんてのはインパクトがあるけれど、『ニック・オブ・タイム』は、そんな手法は使っていない。話は…

  • 104回目「ボヴァリー夫人」(フローベール:新潮文庫)

    この小説の主人公はエマという名前の女性である。エマの物語である。しかし、タイトルは『エマ』ではなく『ボヴァリー夫人』である。小説内では、エマの行動と心理が最も多く描かれているのにも関わらず、この著しく主体性を欠いたタイトルが興味深い。しかも、作中ではエマ以外にも「ボヴァリー夫人」と称される人物が二人いる(ボヴァリーの母親とボヴァリーの先妻)。タイトルと内容のバランスが些か悪い気がする。『ハムレット』を『クローディアスの息子』とか『オフィーリアの恋人』と呼ぶような感じの不当さである。 それで、粗筋を簡単に記すと、もともと空想好きでロマンティストであったエマが、医師シャルル・ボヴァリーの元へ嫁ぐ。…

  • 103回目「浮雲」(林芙美子:角川文庫)

    言ってしまえば、「不倫の果て」のような小説である。芸能人の不倫がゴシップになる度、「他人の事などどうでもいい」とか「興味がない」とか嘯いているが、そのくせ、つい関連するネット記事などを漁ってしまうのは、やはり、不倫に興味があるからだ。不倫そのものの興味というよりは、当事者たちが不幸になっていく様子に興味があるのだ。不倫という倫理に反した人間を、まず許せないと思い、次いで羨ましいと思い、そしてそれが世間に批判され落ちぶれていく様子を見て、「ざまあみろ」と思い、さらに、不倫できない自分を「真面目な一市民」という正しい位置に置いて優越感に浸る。この一連の流れを体感したいが為に、何の関係もない他人のゴ…

  • 102回目「ノスタルジア」(アンドレイ・タルコフスキー監督)

    タルコフスキーの『ノスタルジア』を頑張って観た。「頑張って」というのは「途中で眠らずに」という意味である。タルコフスキーの映画は、他に何本か観ている。どれも途中で力尽きた。最短は『惑星ソラリス』で、恐らく、開始15分くらいで寝たと思う。 途中で寝てしまったからといって、「退屈な映画」というわけではない。タルコフスキーの映画は、「面白い」とか「面白くない」とかの規格では測れない。何かを感じ取れるかどうかだろう。事実、途中で何度も睡魔に襲われながらも、自分は『ノスタルジア』から「何か」を感じ取った…気がする。「何か」とは何か。それは分からない。映像美、と言ってしまえば簡単だが、そんな陳腐な言葉で片…

  • 101回目「岩松了戯曲集」(little more)

    劇作家岩松了の初期の戯曲集。 読書の醍醐味の一つに「行間を読む」というのがある。行間とは文章と文章の間にある空白の事である。要するに、何も書かれていない白紙の部分である。それを読むというのは、書かれていないものを勝手に想像して読むという事であり、読者の想像力に委ねられる。小説と戯曲を比べた場合、「行間を読む」ことの比重は圧倒的に戯曲の方が多いのではないだろうか。戯曲は作者による地の文がない。台詞とト書きの連なりによって構成されているため、まさしく行間を読み解くことが重要になる。乱暴に言ってしまえば、戯曲を理解するということは、行間を読み解くことと同義である。そして、これは中々難しい。古今東西の…

  • 100回目「キリング・ミー・ソフトリー」(チェン・カイコー監督)

    取り敢えず、ヘザー・グラハム演じるヒロインの行動がアホ過ぎて…。ムカつく。 ムカつきたい時に観るといいかもしれない。 キリングミーソフトリー、タイトルの語呂は良くて、つい口ずさんでみたくなる。 それくらいしか書くことないなぁ。 キリング・ミー・ソフトリー (字幕版) ヘザー・グラハム Amazon

  • 99回目「音楽」(三島由紀夫:新潮文庫)

    解説で澁澤龍彦が書いているように、『音楽』は三島由紀夫の作品群の中では主流ではない。マイナーな作品である。しかし、個人的には『仮面の告白』や『金閣寺』のような代表作より、この『音楽』の方が好きなのだ。理由は、他の三島作品を読んだ時に感じるゴリゴリのマッチョな感じが無く、都会的に洗練されていて、文章が抵抗無く入ってくるからだ。近親相姦というショッキングなテーマを扱っているけれど、ドロドロした感じはない。心療内科の分析室という清潔で雑音の少ない場所で、殆どの話が進行するのが理由かもしれない。ブライアン・イーノの音楽でも流れていそうな…。 精神分析医の男性が、不感症の女性を治療する話。自由連想法に始…

  • 98回目「ロフト」(エリク・ヴァン・ローイ監督)

    ググってみたら、日韓合作の同名の映画があった。シンプルな題名なので被る事もあるだろう。今回は日韓の方ではなく、ベルギー映画である。思えば、ベルギーの映画を観るのは初めてかもしれない。 ロフトとは日本語で「中二階」という意味である(厳密には違うらしいが、一般的に中二階のある物件を「ロフト付き」と言いませんかね?)。内容的には「中二階」というより「事故物件」の方がしっくりくる。そんなことはさておき。 男友達5人(全員、いい年齢のおっさん&既婚者。内一人は初老)が高層マンションの一室を共用で借りており、その部屋で浮気相手、愛人、娼婦などと密会している。要は「ヤリ部屋」として利用している。ある日、5人…

  • 97回目「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ:ハヤカワepi文庫)

    『ちびまる子ちゃん』のクラスに藤木という男子がいる。藤木は他のクラスメート達から卑怯者のレッテルを貼られている。なぜ藤木は卑怯者になったのか。詳細は覚えていないが、最初の方のエピソードで藤木が卑怯者になるきっかけがあったように思う。それ以降、まる子のクラスで何か事件があれば最初に藤木が疑われる。全くの冤罪で疑われる場合も多々あり、その度に弁明するのであるが、弁明すること自体が自己保身的と見なされ、「やっぱり藤木は卑怯者」と言われる始末である。気の毒な奴ではあるが、彼はクラスの中での自分の立場をよく弁えている。彼の言動は常に「自分は卑怯者」という原理に則っている。「卑怯者」というキャラに自ら進ん…

  • 96回目「バーバー」(コーエン兄弟監督)

    ビリー・ボブ・ソーントン演ずるエドは、義兄の経営する床屋で雇われ理容師として働いている。寡黙に淡々と客の髪を刈る毎日。妻のドリスが会社の上司デイヴと不倫しているのもエドは黙認している。ある日、一人の男がドライクリーニング事業への投資話をエドに持ち込んで来た。エドは、怪しいと思いながらも、理容師として淡々と過ぎる刺激のない日常に虚しさを感じていた為、投資の話に乗っかる。しかし、事業を始めるには資金が必要。エドは、匿名でデイヴに「ドリスとの不倫を世間にバラされたくなければ金を用意しろ」と脅迫状を送る。困ったデイヴは、脅迫状を送った本人であるエドに相談する。脅迫した犯人がエドであることを知る由もない…

  • 95回目「虞美人草」(夏目漱石:岩波文庫)

    恋愛小説の書き方を学びたいなら、まず、この『虞美人草』を読む事をお勧めする。明治時代の小説だと思って侮ってはいけない。恋愛小説を成立させる全ての要素が、余すところなく詰め込まれている。複雑な人間関係、キャラクターの類型、ドラマの展開のさせ方、などなど。読者を楽しませる工夫が散りばめられている。我が強く他人を見下す癖があるヒロインと、腹黒く本音を見せない母親が破滅していく様はカタルシスがある。真っすぐな男が恋敵であるはずの優柔不断な男を更生させる経緯は痛快である。「人間らしく正直に生きよう」という単純明快なメッセージも、これだけ正面切って言われると気持ちが良い。正直、昼ドラと変わらない通俗的な内…

  • 94回目「オール・アバウト・マイ・マザー」(ペドロ・アルモドバル監督)

    数年前に初めて観た時は、途中で10分ほど寝てしまった。当時は少し睡眠不足で疲れていたのである。そのため、ストーリーを見失った。ストーリーは見失ったが、断片的ないくつかのシーンは、強烈に記憶に残っていた。アルモドバルの映画は色気がある。耽美的である。しかし、日本の耽美的な文学作品のように、ジメジメした感じはない。太陽のように明るく、カラッと乾いている。濡れながら乾いているような感じがするのである。かなり際どい題材を扱っており、ともすれば露悪的になりかねないのに、気品を感じるから不思議である。 この度、数年前に途中で寝てしまった「オール・アバウト・マイ・マザー」に再チャレンジした。今回は、体調も万…

  • 93回目「イエスタデイ」(ダニー・ボイル監督)

    ビートルズについては、一応、代表曲とメンバーの名前くらいは知っている。東洋思想とかヨガに嵌ってインドのリシュケシュという街に滞在していた、という噂も聞いたことがある。でも、自分がビートルズについて知っていることは、それくらいだ。なぜか、ビートルズに関しては、あまり彼らの作った音楽を聴きたいと思わないのである。興味が湧かない。子供の頃、音楽の授業で「イマジン」を聴いたが、良いとは思わなかった。ありがちで偽善的な歌だなぁ、という感想しか持たなかった。それはビートルズの責任ではなく、捻くれた自分の性格のせいである。 そういう自分だから、この映画を真っ当に評価する資質はないように思う。ビートルズは世界…

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