様々なテーマを重ねた重厚な内容で、大人の女性向けの小説です。 恋愛、妊娠、結婚生活、出産、ジェンダー問題など、リアリティな話題が盛り沢山です。多くの女性に夢をお届けしたいです。
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち③橘医師との診察室での再会
「四十三番の不知火ユマさん3番診察室にお入りください。」 私はおっかなびっくり、ドギマギしながら診察室に入って行くと、いきなり橘医師の後姿に出くわした。…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち②産後の女達・・まるで聖母像みたい
洗面用具を置いていくために自分の寝台に戻った時は、部屋の中はもぬけの殻といった感じで、いくつかのカーテンが開きっぱなしになっていて、しどけなくも一様に…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち①充満する性の霊力
『ピンポンパンポン』ーご入院の皆様に申し上げます。検温の時間になりました。まもなく検診が始まります。院長先生が待っているので、外来診察までお越しください…
中谷産婦人科No.2表紙・目次はこちら↓https://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=…
中谷産婦人科No.2 十三章 究極のマゾヒズム⑦これから始まる五日間の入院生活が不安
面会時間を過ぎた頃、隣でゆっくりとしていた男性がやっといなくなった。 夜の闇が私達の入院部屋を更に包みこむ。 真冬の冷たい風が窓ガラスを叩き、しーんと寂…
お義父さんと美憂さんは一足先に帰り、マモルさんが私を部屋まで送っていくような形でついてきた。 ロビーを抜け、天井の低い細い通路をずっと歩いて部屋の前まで…
中谷産婦人科No.2 十三章 究極のマゾヒズム⑤あの屈辱が・・ものすごく奇妙な感情の芽生え
すると、二階の踊り場にマモルさんが姿を現した。 マモルさんは素早く私達の姿を見つけると、半ばびっくりしたような表情で小走りに近づいてきた。 「お久しぶり…
中谷産婦人科No.2 十三章 究極のマゾヒズム④久しぶりの再会
二十時近くになり、看護師が私の寝台のカーテンを引いて顔をのぞかせた。 「不知火さん、ご面会ですよ。」 その後ろから現れたこげ茶色のロングコートを着た女性…
中谷産婦人科No.2 十三章 究極のマゾヒズム③産婦達との共同生活
泥の様に眠りこけて、今度目が覚めた時はもう夕方だった。 「不知火さん~。」 分厚いカーテンの開く音と、聞き馴染みのある倉場看護師の声に起こされた。 起き…
中谷産婦人科No.2 十三章 究極のマゾヒズム②大自然との一体化体験
二人がいなくなってしまうと、また鳥肌の立つような心細さが押し寄せてくる。 陣痛室に冷たく放置されていたあの拷問の様な長い時間が今にも蘇ってきそうだ。 部…
中谷産婦人科No.2 十三章 究極のマゾヒズム①産後の入院部屋
分娩室から、新しい部屋に移った瞬間はあっという間だった。 台車に乗せられた状況の私の視界に飛び込んできたのは、天井の煌々とした明るい蛍光灯と、一つ一つ寝…
私は、自分の体内で起こった凄まじい自然現象に、未だかつて味わったこともないほどの衝撃を受け、生まれて初めての「肉体の苦痛体験」を知った驚きでいっぱいだ…
どうやって分娩室までたどり着いたかは、ほとんど覚えていない。 私は車椅子に乗せられて、頭を項垂れていた。 何やら学校の廊下のようなところを渡っている感じ…
中谷産婦人科No.2 十二章 陣痛室⑨運命の変わり目に現れた看護師
仕方なくうつらうつらしていると、あのチャイムとアナウンスが聞こえてきた。 辺りはまだ真っ暗である。 私は、院長はまた内診に来てくれるだろうかと心配にな…
中谷産婦人科No.2 十二章 陣痛室⑧大自然を前にすると人間は無力である
時計の針はまるで動かないかのようだ。 できれば眠って気を紛らわしたい。 薬の作用も手伝って、本当は眠くて眠くて仕方がないのだ。 ところが、睡魔に誘われる…
中谷産婦人科No.2 十二章 陣痛室⑦ユカタにまで染みついた孤独の夜
気が付くとすっかり夕方になっていたらしく辺りがもう暗かった。 私は手元のスタンドの明かりをつけた。 カーテンの向こうでも電気がついた。 私はその明るい…
中谷産婦人科No.2 十二章 陣痛室⑥薄気味悪いグリーンの靄
やがて、人のガヤガヤとした声や紙袋のガサゴソする音が聞こえてきた。 どうやら私の向かいの寝台に誰かが入ってきたらしい。 私は孤独から救われた様でホッと…
再びカーテンが開いたかと思うと、昨夜の看護師が現れた。 「院長先生がこれから診察に来ます。」 そう告げると、布団をはいで、ユカタをたくし上げられた状態…
中谷産婦人科No.2 十二章 陣痛室④中谷産婦人科で迎えた初めての朝・・
私は何とか眠りに落ちることができた。 眠っている最中に幾度となく陣痛に襲われたが、二日前から無心に身に付けた呼吸法で、無意識に痛みを逃した。 夢うつつ…
中谷産婦人科No.2 十二章 陣痛室③恐ろしいものの正体とは・・
「・・・痛いっ!」 ほんの少しまどろみかけた時、ぎゅーっと体内から底に刺激するような痛みを感じて目が覚めた。 同時に、トントントントンと、心拍数の激しい…
看護師がいなくなると、私は巨大な闇の中に一人残された。 恐怖と濃密な空気がムーンと部屋中を支配している。 私は仰向けの姿勢のままで、冷たくて硬い寝台に…
通されたその部屋は、まるで牢獄のようだった。 寒々とした暗闇の中にガラーンとした空間が広がり、触るのも憚られるような冷たそうな古っぽい病人専用のベッド…
中谷産婦人科No.2 十一章 産前期⑤最後の妊婦生活の夜・・さようなら二人だけの我が家!
その日の深夜から、今までと違いお腹が張って、痛みが底からズーンと響いてくるものへと変わった。 これはもう、誰が何を言おうと陣痛以外のなにものでもなかった…
翌朝引き続き緊迫感を背負いながら起き上がったが、朝のひんやりとした外気と、朝らしい清々しさの中に紛れていった。 お腹の痛みもずいぶんと和らいでしまったよ…
二月も中旬に入った。 いよいよ臨月を迎え、予定日が一刻一刻と近づいてくるのが感じられるようになった。 私の体を気遣い、日中に美憂さんやミツキさんからたび…
中谷産婦人科No.2 十一章 産前期②マモルさんの弟の木之助?
「え?木之助?」 私が驚いていると、マモルさんは立ち上がり、例の木のコブの人形を持ちあげ、柔らかく抱きしめながら戻って来た。 私はその木のコブの人形の隣…
中谷産婦人科No.2 十一章 産前期①妖怪と精霊・・マモルさんは信じる?
「ねぇ、マモルさんは妖怪とか妖精を信じてる?」 ある日、いつものように夜が更けていくのをゆったりと楽しんでいる時に、私はマモルさんのマグカップに紅茶を注…
中谷産婦人科No.2 十章 闘いの母性⑦十人十色・・さまざまな女の生き方
「とにかく・・通常の主婦と違い、何かとても自由な生活を楽しんでいらっしゃることが分かりましたわ。」 これまで黙っていたミツキさんがすっかり業を煮やして…
「では緑川さん、お聞かせくださいな。あなたはどのような上流な楽しいお暮しをされていますの?」 阿部さんのその声は思いのほか穏やかで、表情にも敵意はなく…
しばらく沈黙が続いたのち、阿部さんがまた新たに何か思いついたような調子で口を開いた。 「ところで、皆さんは全員、主婦の方たちなのかしら?」 その言葉は…
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