様々なテーマを重ねた重厚な内容で、大人の女性向けの小説です。 恋愛、妊娠、結婚生活、出産、ジェンダー問題など、リアリティな話題が盛り沢山です。多くの女性に夢をお届けしたいです。
中谷産婦人科No.3 十七章「産後四日目」生と死②ヤムさんが死神?まさか・・
その日は九時から沐浴指導があった。 インターホンで倉場看護師から呼び出しがかかる。 ちょうどマモルさんも来ていたので、一緒に同行してもらった。 私は初…
翌朝の検診に橘医師はいなかった。 代わりにいたのは副院長だった。 無意識のうちに橘医師に会うことを待ち望んでいた私は、ひどく物足りない気持ちで思わずが…
中谷産婦人科No.3 十六章「産後三日目」普遍の芸術⑥ママ友になった私たち
二十時になると、私とミーチャはマモルさんとリンさんと別れ、授乳室に向かった。 いつものように二人で並んで腰かけておっぱいを含ませていたが、私はミーチャ…
中谷産婦人科No.3 十六章「産後三日目」普遍の芸術⑤楽しい団らんの時間
「あれっ?ここユマちゃんの場所でいいんだよな?」 ほんの数分ばかりまどろんだところで人声がして目を覚ました。 手元の明かりをつけると、翼さんとミツキさ…
中谷産婦人科No.3 十六章「産後三日目」普遍の芸術④リカバリールーム?
やがて職員のテキパキとした声が部屋の中に入って来た。 その声は近づき、右隣のカーテンが揺れた。 分娩したばかりの女が台車で運ばれてきたようだった。 職員…
午後から始まった授乳を終えて、私は部屋に戻るなりぐったりと横たわる。 時計をのぞくと十五時半だった。 夕食の時間までまだ一時間半もある。 もう幾度とな…
中谷産婦人科No.3 十六章「産後三日目」普遍の芸術②それぞれの話す施設との相性
昼食後の授乳が終わった後に、私は福島さんに誘われて談話室の方へ向かった。 ミーチャはお見舞いに来てくれた親類の人達を部屋に残しているからと言いながらバタ…
中谷産婦人科No.3 十六章「産後三日目」普遍の芸術①橘医師の意味深なセリフ
産後三日目の朝を迎えた。 いよいよ入院生活も残り二日である。 私はいつものように一階に降りていくと、福島さんが駆け寄ってきた。 「あ、不知火さ~ん、知…
中谷産婦人科No.3 十五章「産後二日目」広がりゆく産院の風景⑤男の顔
「ふぅ、助かったよ。」 私は肩で呼吸をしながら思わず言った。 「旦那さん、いい人っぽいね。」 ミーチャは私を楽しそうに横から見上げた。 「そう?」 「う…
中谷産婦人科No.3 十五章「産後二日目」広がりゆく産院の風景④気まずい隔たり・・
今日で三回目の授乳を終え、シャワーを浴びて部屋の前まで戻ってくると、ちょうどマモルさんがロビーの方からこちらにめがけて歩いてくるところだった。 私が小…
中谷産婦人科No.3 十五章「産後二日目」広がりゆく産院の風景③この二階は、最も尊い「実践」を行
講演会は特別会議室というところで行われた。 先ほどと同じような殺風景な教室のような部屋で、黒板の前では院長が堂々と構えていた。 集まったのは同じ日に出…
中谷産婦人科No.3 十五章「産後二日目」広がりゆく産院の風景②同じ日に出産した女性たちとの交流
この日は、産後二日目の産婦達のために、院長が講演会を開く予定になっている。 私は集合場所の二階のロビーのあたりをフラフラしていたが、開始時間までまだ間…
中谷産婦人科No.3 十五章「産後二日目」広がりゆく産院の風景①二日目の朝
翌朝、私が一階のロビーに降りて行くと、早めに出てきたせいもあり、診察室の前には人がまばらにしかいなかった。 ミーチャはもう到着していて、清掃員のヤムさん…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑫現代版娘宿のしんみりとした趣の夜
ホッと一息ついてフラフラと自室へ引き上げると、私はそのままパターンと横倒れになってしまった。 思っていた以上に緊張してしまい、他の母親たちのように赤ん…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑪初めての授乳
昼食後には母乳マッサージがあり、またもや二階のロビーに呼び出された。 ロビー左手側の「マッサージ室」には新米産婦達の姿があったが、ミーチャは来ていなかっ…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑩なぜか怪訝そうなマモルさん
ミーチャの部屋から戻ってくると、今度はもう昼食のワゴンが来ていた。 お昼のメニューは、ごはん、メンチカツ、ポテトサラダ、天ぷらうどん、お吸い物、漬物…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑨施設との相性?
おやつは自家製のポテトパイと牛乳だった。 机の上には、ずっしりと厚みのあるポテトパイの載った白のケーキ皿と、牛乳瓶の他に、ピンクの小さな紙が置かれてあっ…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑧三人の不思議な結びつき・・
ふと気が付くと私達の座っているソファからやや離れて、新生児室の前に七、八人の産婦達が集合していた。 キョロキョロとしている倉場看護師の姿も一緒である。 …
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑦彼女の名前はミーチャ
「え、この人のこの声・・。」 そうだ、この鈴の音色のような美しい声はあの、三年生の先輩だ! 彼女が、彼女があの私の学校の先輩だったというのだろうか! 「…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑥可憐な少女との再会
配膳が下げられた後、私は点滴を打たされたりしていた。 早朝の検診の時、血圧が低かったので、別の看護師が、もう一度測定をやりに入って来たリ、ただ事ではない…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち⑤産後の趣き・・娘宿のような暮らし
部屋に戻ってくると、再び真っ暗な起き抜けに感じたままの澱んだ空間がそこに残されてあった。 私はその、女性達が躰から発散させている強烈なにおいのこもった深…
中谷産婦人科No.3 十四章「産後一日目」聖なる青い花たち④せっかく口をきいてもらえたのに・・
この後、別の部屋で産後用のコルセットを身に付け、ユカタを新しいものに取り換え、正式な入院患者になるべく洗礼が行われた。 私が歩いていくと、一階のロビー…
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