塩麴や醤油麹は、麹菌が発酵しているわけではありません。「ぷくぷく泡立つじゃないか?」と思われるかもしれませんが、麹菌は塩水や醤油に浸された時点で死滅してしまいますので、仕込んだ後に麹菌による発酵が続くことはありません。 塩麴や醤油麹は、麹菌により産生された酵素により熟成します。そのため、米麹の出来(酵素の産生量)が塩麴や醤油麹の出来に影響します。ぷくぷくと泡立つのは、仕込んだ後に侵入し...
ぬか漬けは、旬の野菜を新鮮なうちに漬けるものです。これは個人的な意見ではあるのですが、ぬか漬けは暖かい季節に旬を迎える野菜を食べるための漬物だと思っています。だからこそ、寒い季節には和紙と塩で蓋をして冬眠させます。 しかし、塩漬けのフキのぬか漬けが意外にも美味しかったのです。 私は常温で長期間保存できる食品に興味があります。たとえば、野菜であれば塩漬けや醤油漬けなど、魚介類...
古いぬか床は、重宝されることがあります。もちろん、「古いほどに美味しい」「古いほどに価値がある」というわけではありませんが、若いぬか床と古いぬか床には「生育する微生物に違いがある」ことは明白です。 微生物は、種類により生育スピードが異なります。短期間のうちに急激に増殖する微生物もいれば、時間をかけてゆっくり増殖していく微生物もいます。古いぬか床が重宝されるのは、増えるのに時間のかかる微...
ぬか床は、臭くなることがあります。もちろん、単純に腐敗してしまったことによる悪臭もありますが、ぬか床は腐敗していなくても悪臭を発することがあります。ポイントとなるのは、嫌気的発酵とタンパク質(特に動物性タンパク質)の分解です。 発酵とは、「微生物が有機物を分解してエネルギーを得る反応」です。その際、好気的発酵と嫌気的発酵では発酵効率が異なります。好気的発酵であれば化学反応は完全燃焼にな...
ぬか床が膨らむのには二通りの理由があります。それが、「①ヘテロ型乳酸菌」によるものと「②酵母」によるものです。①は立ち上げてから日の浅いぬか床に起こりやすく、②は熟成の進んだぬか床に起こりやすい傾向にあります。 この違いは、微生物の特徴に関係しています。一般的にアルコールと炭酸ガスを生成する微生物と言えば酵母(S・セレビシエ)です。しかし、乳酸菌にはホモ型とヘテロ型があり、ヘテロ型は乳酸に...
旬の食材は、おいしい上に経済的です。当たり前だと思われるかもしれませんが、当たり前のことを当たり前に行うのは想像以上に難しいことだと思います。私自身、「知っているつもり」で長年過ごしてきました。 旬は、食材がベストな状態になる季節です。多くの野菜は、季節を選ばずに購入することができます。しかし、旬の食材には「栄養価が高い」「おいしい」「安い」などのメリットがありますので、献立は旬の食材...
塩サバなどには、少し酸っぱいぬか漬けなどがあるとさっぱり食べられます。どちらもご飯やみそ汁との相性の良い食べ物ですので、心からおすすめできます。もちろん、秋刀魚やイワシなどでも同じです。 ぬか漬けは、青魚の魚臭さを和らげます。これは、魚臭さの原因が塩基性(アルカリ性)の成分であるためであり、少し酸味の強いぬか漬けが添えられていると、塩基性が中和されるために魚臭さが和らぐことになります。...
基本的に、一汁二菜をつくれば十分だと考えています。一汁三菜は(はじめから作るには)ハードルが高すぎますし、一汁一菜では味気ないと感じるためです。もちろん、目的があっての一汁一菜を否定するわけではありません。 一汁三菜は、ご飯、みそ汁、主菜、副菜、副々菜で構成されます。主菜とはおかずのことで、大きな順から主菜、副菜、副々菜となります。具体的に、主菜はメインのおかず、副菜は煮物など、副々菜...
米麹は、ヨーグルトメーカーで増やせます。一般家庭で使われる米麹の多くは、スーパーなどで販売されている乾燥麹です。しかし、味噌や三升漬けを仕込みたいときなどには意外と大きな出費になりますので、可能であれば増やしたいところです。 個人的には、ヨーグルトメーカーをおすすめします。分量によっては発酵器などの方が便利ではありますが、2~3合ほどのお米で増やすのであればヨーグルトメーカーの方が手軽で...
熟成したぬか床を持っているのであれば、古漬けを試して欲しいと思っています。古漬けの定義は、曖昧です。古漬けと聞いて、数ヵ月漬けた塩漬け野菜をイメージする人もいれば、ぬか床に1週間~10日ほど漬けたものをイメージする人もいるはずです。 ここでは、長く漬けたぬか漬けだとして話を進めていきます。 ぬか漬けは、どちらかと言えば浅漬けに近いとされます。漬かりやすいもの(胡瓜など)であれば...
乳酸菌や納豆菌には注意が必要です。 発酵食品とは「微生物に醸された食品」ですが、どの微生物によって醸されたのかによって異なる味わいになります。乳酸菌と納豆菌は、家庭内での発酵食品づくりにおいては厄介な存在になることがあります。 乳酸菌と納豆菌は、問題を引き起こしやすい微生物です。これは、乳酸菌には「どこにでもいて生育スピードが速い」という特徴があり、納豆菌には「しぶとく生き...
ぬか床には、数多くの微生物が生育しています。全てを把握することは不可能です。しかし、大きく分類するとすれば乳酸菌と酵母に分類することができます。ぬか床の手入れというのは、乳酸菌と酵母のバランスをコントロールすることにほかなりません。※乳酸菌は乳酸(酸味)を生成する微生物、酵母はアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)を生成する微生物です。 乳酸菌と酵母の関係性を理解することがポイントです。た...
今回もぬか漬けの話題ではありません。 米麹は、乾燥麹から増やすことができます。米麹には生麹と乾燥麹がありますが、多くの家庭では入手性や保存性の良い乾燥麹が好まれます。しかし、生麹を使った方がおいしいですし、自分で作れればお財布にも優しくなりますよね? 麹菌は、カビです。麹を起こすということはカビを培養するということであり、温度と湿度を管理することにより増やすことができます。...
今回もぬか漬け以外の話題です。 麹甘酒は、家庭料理をワンランクアップさせます。もちろん、個人的な意見ではあるのですが、生姜焼きの甘味、味噌漬けの甘味などに麹甘酒を使うと、驚くほどに奥深い味になります。心からおすすめできます。 麹甘酒の甘味は、米の澱粉が分解されて糖になることにより生じます。澱粉を分解しているのは麹に含まれているアミラーゼであり、麹菌自体ではありません。そもそ...
熟成不足のぬか床は、ぬか漬けが塩辛く感じられます。ぬか床を始めたばかりの方の多くは「塩辛くておいしくない」という経験をするはずです。これは、ぬか床が塩慣れしていないために起こる現象です。 熟成の進んだぬか床は、塩辛くありません。塩慣れするためです。塩慣れとは、発酵(熟成)により生じる酸味やうま味が「刺々しい塩味を和らげる」ことであり、ぬか床の他には味噌や醤油などにも起こる現象です。 ...
今回もぬか漬けの話題ではありません。 パンは発酵食品なのか? 個人的には、どちらでも良いと思います。狭義では発酵には含まれませんが、広義では発酵に含めても問題はないと考えているためです。学術的な意味と、一般的な意味には大きな隔たりがありますので仕方ありません。 学塾的な意味での発酵とは、微生物が有機物から嫌気的にエネルギーを得ることです。乳酸発酵やアルコール発酵がこれに当た...
今回は、ぬか漬け以外の話題です。 多くの料理において、麹甘酒は砂糖の代わりになると思います。最近、料理にテーマ(課題)を設けるようにしています。たとえば、「普段使っていた調味料を使わずにおいしく調理する」「塩分摂取量を6g未満にしてみる」などです。 テーマはその日やその期間によって変えています。 現在行っているのが「砂糖を使わない料理」です。そこで役立っているのが...
大根は、定番のぬか漬け野菜です。夏と冬に旬を迎える野菜ですが、5月というのはどちらにも当てはまることのない「旬を外した季節」だということになります。それでも、普通においしいのでよく買っています。 大根のぬか漬けは、根の部分は(夏であれば)12時間くらいで漬かるとされていますが、実際に自分のぬか床に漬けてみなければ分からない部分があります。たとえば、今回の場合だと24時間漬けておいたも...
今年のぬか床は、少しだけ酸味を強くしています。4月の後半に思い立ち、それから酸味が強くなるように手入れをしてきました。今のところ、イメージ通りの酸味にできているように感じます。 ぬか床の酸味を強くするには、水分量を増やします。酸味は乳酸によるものであり、乳酸を生成する乳酸菌は嫌気性(通性嫌気性)であるため、ぬか床の水分量を増やして空気を遮断してあげることで増えやすくなります。 ...
きゅうりのぬか漬けは、下ごしらえとして両端を切り落とします。切り落とさなくても盛り付ける時に落とせば問題ありませんが、基本的には下ごしらえとして落としておくのがセオリーとされています。 両端を落とすのは、先端には残留農薬が多く、後端にはアク(えぐみ)が多いためです。きゅうりは農薬の残りやすい野菜です。きゅうりの先端は柔らかくアクも少ないので食べることはできますが、農薬がたまりやすいとい...
足しぬかは、ぬか床にとっての大切な手入れです。定期的に足しぬかをしなければおいしいぬか床にはなりませんし、足しぬかをしないまま管理を続けてしまうと「次第に粘りが出るようになって」ぬか床が駄目になってしまいます。 ぬか床の主役は微生物です。微生物(乳酸菌や産膜酵母など)がバランスよく生育しているからこそおいしいぬか床になります。ぬか床(ぬか味噌)とは、いわば微生物の培地なのです。ぬか床に...
カボチャのぬか漬けは、不思議です。特に不味いという訳ではないのですが、南瓜の甘味とぬか床の酸味の組み合わせには好みが分かれるかと思います。個人的には、判断に悩む味です。普通に食べれますが、特別おいしいとも思いません。 書籍を参考にして作りました。作る前からおおよその想像はできたのですが「書籍化されているのだからすごく美味しいのでは?」という期待感から試してみました。 作り方...
ぬか漬けが酸っぱくなってきたら、足しぬかをします。ぬか漬けには爽やかな酸味がありますが、ぬか床の状態によっては「酸っぱくなりすぎる」ことも珍しくはなく、酸味を和らげる手入れをしなければいけなくなっていきます。 酸味の原因は乳酸菌です。ぬか床には多様な乳酸菌が生育しており、初期のぬか床には比較的酸に弱い乳酸球菌、熟成したぬか床には酸に強い乳酸桿菌が生育しています。ぬか床が酸っぱいというの...
ぬか漬けを作っていると、不満に思うことの多いのが「作り置きしておくことはできないのか?」という問題です。ぬか漬けは(野菜にもよりますが)6~24時間で漬かります。そのまま漬けておいても悪くなることはありませんが、塩辛くなってしまいます。 また、ぬか漬けは、ぬか床からの「出したてを食べるお漬物」ですので、ぬか床から出したばかりのぬか漬けでなければおいしくありません。そのため、食べるタイミング...
ぬか漬け野菜の定番と言えば、きゅうりです。一年を通して購入することのできる野菜ですが、5~8月に旬を迎える野菜であるために、やっとお財布を気にせずに購入できる価格帯に落ち着いてきた印象があります。 最近、よく買います。 きゅうりのぬか漬けは、両端を切り落としてから漬けます。後端を切り落とすのは「アク(えぐみ)が強いため」であり、先端を切り落とすのは「残留農薬が残りやすい部位で...
アスパラガスのぬか漬けです。アスパラガスの旬は5~6月ですので、今まさに旬を迎えている野菜でもあります。もともと栄養価の高い野菜ではありますが、旬を迎える今の時期、積極的に食べておきたいところです。 作り方は簡単です。細く柔らかいものであればそのまま漬けることができますし、太いものであれば軽く下茹でをしてから漬けます。下茹では、米のとぎ汁であればなお良いです。12時間ほどで漬かりますので、...
ぬで卵のぬか漬けの記事を読みました。はじめは「なんか怖いな」と思ったのですが、物は試しだと思い作ってみました。結論としては、「すごく美味しくて誰にでもおすすめできる」とは思いませんが、意外と悪くない味でした。 ちなみに、私の作り方を紹介します。沸騰したお湯に冷蔵庫から出したばかりの卵を静かに入れ、10分間加熱します。すぐさま冷水に取り、粗熱が取れてから殻を剥きます。水けを拭き取りぬか床に...
ぬか漬けの味が好きで、ぬか床を管理しています。体調は二の次です。しかし、定期的にぬか漬けを食べない期間と食べる期間を繰り返していると、ぬか漬けは少なからず体調に影響を与えていることが分かります。特に感じるのが、食欲やメンタル面への影響です。食欲:暴走しにくくなるメンタル面:冷静な判断力?腸は、「第二の脳」とも呼ばれます。これは腸内環境の良し悪しが判断力や感情にも影響を与えているということであり、単...
ぬか床は、シンプルに作ります。米ぬか:好きなだけ粗塩:米ぬかの13~15%水:米ぬかの100~110%唐辛子:適宜熟成しているぬか床(もしくは捨て漬け野菜):できるだけ多く基本的に、うま味食材はいりません。ぬか床には米ぬかのタンパク質が分解されることによるうま味が生じますので、うま味食材を加える必要はありません。もちろん、好みに応じて入れることもあります。しかし、はじめはシンプルに作ることをおすすめします。色...
今日からぬか漬け日記をはじめます。15年ほど、ぬか漬けをつけています。はじめたばかりの頃は、酸敗、無精香、強烈なシンナー臭、カビ、腐敗など、考えられる失敗は一通りしました。失敗を楽しめたからこそ続けてこれた部分があります。多くの書籍も読みました。そこで気がついたのが、「ぬか床の手入れは微生物のバランスをとること」「ぬか床の管理は園芸の土づくりに似ていること」などです。これらを意識するようになってから...
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