オーシャン堂店主・青井渚が探索する日本帝国陸海軍軍人のけんか人物伝。その軍人の宿命を探って逆光の中を彷徨する。 <br>
735.野村吉三郎海軍大将(35)中国の一〇〇万大軍もできないことを朝鮮の一青年がやり遂げた。感激した
その水筒が、野村吉三郎海軍中将と重光公使の間に来た時、閃光に続いて轟音が響き、ごうっ!と不気味な音ともに第三艦隊司令長官・野村吉三郎海軍中将は熱湯を全身に浴びせかけられたようなショックを受けた。強烈な火薬(手榴弾)の爆発だった。会場は騒然となり、第三艦隊司令長官・野村吉三郎海軍中将の身を気遣う参謀たちが壇上に駆け上がって来た。犯人を捜そうとする警備の警官、壇上の被害者を心配する関係者、会場から逃げ出そうとする者……会場は一瞬にして騒乱の巷と化した。上海派遣軍司令官・白川義則陸軍大将は重傷だったが、血潮をかぶったまま、一人で壇上から下りようとした。第三艦隊司令長官・野村吉三郎海軍中将と在上海公使・重光葵駐華公使は舞台の上に倒れた。在上海総領事・村井倉松、第九師団長・植田謙吉陸軍中将、上海居留民団行政委員会会長・河...735.野村吉三郎海軍大将(35)中国の一〇〇万大軍もできないことを朝鮮の一青年がやり遂げた。感激した
734.野村吉三郎海軍大将(34)中立の立場にいた野村吉三郎中将は練習艦隊司令官に追いやられてしまった
大正十五年七月二十六日、野村吉三郎少将は軍令部次長に補され、十二月一日、海軍中将に進級した。大正十五年十二月二十五日、大正天皇が崩御され、年号は昭和に改まった。時の内閣は若槻礼次郎内閣で、海軍大臣は財部彪大将、軍令部長は鈴木貫太郎大将、海軍次官は大角岑生中将、軍務局長は野村吉三郎中将と同期の小林躋三中将だった。連合艦隊司令長官は、かつて、ワシントン会議で大加藤と激論した加藤寛治中将だった。昭和二年四月二十日、陸軍大将・田中義一内閣が発足すると、加藤寛治大将が軍令部長に就任した。軍令部次長・野村吉三郎中将は、ワシントン会議以来の知己である軍令部長・加藤寛治大将の下で特に政争などに巻き込まれることはなかった。だが、昭和五年のロンドン軍縮会議が近づいてくると、海軍部内では、条約(軍縮)派と艦隊派の対立が際立ってきた。...734.野村吉三郎海軍大将(34)中立の立場にいた野村吉三郎中将は練習艦隊司令官に追いやられてしまった
733.野村吉三郎海軍大将(33)隠居扱いにするつもりでいたら、大変だぞ。君にはまだ元帥の偉さが分かっていない
後に、加藤友三郎大将の系統を引く海軍士官は「条約派(軍縮派)」、加藤寛治中将の系統は「艦隊派(艦隊拡張派)」と呼ばれるようになった。野村吉三郎大佐は後に、ワシントン会議の思い出を次のように回想している。十一月十一日の初会議で、ヒューズ氏はいわゆる爆弾的といわれる軍縮案を提案して、場内から盛んな喝采を博していた。その初会議からの帰途、加藤(友三郎)さんは、井出謙治海軍次官(十六期、後、大将、佐世保鎮守府長官)宛ての電報を示されたが、要領は『アメリカ案を基礎として交渉する決意である。もちろんこのことは日本海軍としては造艦対策上、人事行政上大問題であるが、これは国内問題として善処すべきである』という意味であった。井出次官はスマート、かつ俊敏な人であったが、帰朝した時。私に『あの電報で大臣の決意のほどを知り善処するを得...733.野村吉三郎海軍大将(33)隠居扱いにするつもりでいたら、大変だぞ。君にはまだ元帥の偉さが分かっていない
732.野村吉三郎海軍大将(32)海軍中将にもなって、どうしてそんなことが分からないのか……
一方、出来るだけ努力し、ねばるが、最終的には世界恒久平和のために、五・五・三(米・英・日)の比率を呑まなければならないだろうというのが、ワシントン会議全権、海軍大臣・加藤友三郎大将だった。ワシントン会議の始まる前、野村吉三郎大佐は、全権・加藤友三郎大将と首席随員・加藤寛治中将の間で論争・対立が起きることを予想していた。その場合、全権・加藤友三郎大将の方には、自分、野村吉三郎大佐がつき、首席随員・加藤寛治中将には末次信正大佐がつくだろうと思った。大正十年十一月十二日、アメリカのワシントンD.C.で軍縮会議(ワシントン会議)が始まった。会議は討論を重ね、全権・加藤友三郎大将も懸命の努力を続けたが、米英は妥協せず、結局、主力艦保有率を五・五・三(米・英・日)以外には、妥協か決裂の二つに一つしかない、という状況に追い込...732.野村吉三郎海軍大将(32)海軍中将にもなって、どうしてそんなことが分からないのか……
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