佐藤賢一『黒い悪魔』
佐藤賢一 著『黒い悪魔』読了 この作品は『モンテクリスト伯』の作者アレクサンドル・デュマの父親-デュマ将軍の生涯を描いたものだが、佐藤さんはフィクションをいくつか使い物語に厚みを出していた。 内容的には、ナポレオンと同時期に軍人となったデュマ将軍が、出世レースでナポレオンに負け、ナポレオンから冷遇され不遇な晩年を送るといった流れは史実と同じだが、デュマ将軍の性格を、気短かで怒りっぽい一面があるよう描いているのが愉快だった。 『ナポレオンに背いた黒い将軍』は史実を調べて書かれていて、息子の大デュマが書いた「父親の自叙伝」も参考文献になっているので、デュマ将軍を英雄視している部分が大きい。 だがこ…
2025/02/28 20:00