海についての断章
* かなしみの歌を唄えり群衆の声あらずまた顔あらず 疾走する貨物列車の嘶きが馬のようだね/蜆を洗う 口腔にうずく虫歯か いつの日のメモ帖やぶる焦燥の果て むしろまだ生きてゐたのか青虫の最期のひとつ弾く指先 わるぢえの働くままに石を積む やさしき鬼の現るるまで 映像詩人暗殺されし窓ふかく霧にまぎれし光りがひとつ 意味をもてバーボンわりぬ叢雨の降りおり窓に遠のきながら ぶたくさが背中にゆれる またゆれる 踊り方など知らないおれら ずぶずぶと泥の道ゆく男すら神の化身に見える真夜中 屋根を飛ぶ春の残滓を追いかける鳥もおらずやきょうは晴天 秋を待つ処女のあなたが交差するセンター街の人混みなか 鮭色のグロ…
2024/04/30 14:47