まず、検察官の公訴権の行使について、一罪の一部起訴と公訴権の濫用を検討します。次に、公訴提起の手続・効果にかかわる問題として、訴因の特定、起訴状一本主義について検討します。 一罪の一部起訴 訴因外の事実 公訴権の濫用 嫌疑なき起訴 不起訴相当の起訴 違法捜査に基づく起訴 訴因の特定 概括的記載 「共謀の上」 検察官の釈明 起訴状一本主義 一罪の一部起訴 【論証:一罪の一部起訴】 公訴は罪の全部に及び、分割は許されないこと(公訴不可分の原則)、一部起訴を認めると、裁判所の審判の範囲もそれに限定されてしまうため、実体的真実発見の要請に反する結果になることから一罪の一部起訴は許されないとする見解もあ…
令和元年司法試験の再現答案を掲載します。点数と順位も上げるので参考にしていただければと思います。再現答案は、受験直後に作成したので再現度は比較的高いと思います。 成績 再現答案 公法系 憲法 行政法 民事系 民法 商法 民訴 刑事系 刑法 刑訴 労働法 成績 短答 150点 123位 公法系 125.49点 231~258位(憲法B 行政法A) 民事系 220.37点 25位(民法A 商法A 民訴A) 刑事系 136.36点 113~131位(刑法A 刑訴A) 労働法 59.48点 126~142位 論文合計 541.71点 49位 総合 1097.99点 42位 後々、出題趣旨や採点実感を読…
労働法はもっと良かったと思っていましたが、あまり評価が伸びませんでした。勉強時間が足りなかったかもしれません。 59.48 126~142位 第1問 第1 設問1 1 Xは、Y社に対し、本件解雇は無効であるとして、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求、②解雇期間中の未払い賃金請求(民法536条2項)、③不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることが考えられる。 2⑴ まず、本件解雇は、解雇予告手当(労働基準法(以下、労基法)20条1項本文、Y社就業規則(以下、規則)33条)の支払なく行われた即日解雇である。かかる解雇予告手当なき即日解雇のためには、「労働者の責めに帰すべ…
別件逮捕はヤマを張っていましたが、結論の分かれる二つの構成で書け、というのは予想外でした。別件基準説はあまり詳しく知らなかったので論述もそれなり、という感じです。 評価A 刑事系 136.36 113~131位 第1 設問1 1 小問1 ⑴ 法が逮捕、勾留について被疑事実を単位としている(刑事訴訟法(以下、法名省略)200条、60条等)こと、裁判官が「正当な理由」(憲法34条)の有無を審査して初めて身柄拘束が認められるという令状主義の趣旨に照らし、逮捕、勾留は事件単位に行われるべきである。 そうだとすると、Rらは①の逮捕、勾留及びそれに引き続く甲の身柄拘束期間中、逮捕の原因となった被疑事実たる…
途中答案です。設問3で、緊急避難説と誤想防衛説がある、というところまでしか正確な知識がなく、焦りました。難点についてはほとんど書けていません。 評価A 刑事系 136.36 113~131位 第1 設問1 1 電話口で、Aに対し、金融庁職員であると偽って、Aの住所及びA名義の預金口座の開設先を聞き出した行為は、住所や預金口座の開設先が財産上の利益といえないため、詐欺罪(刑法(以下、法名省略)246条2項)に該当せず、不可罰である。 2 Aに対し、金融庁職員であるように装って本件キャッシュカード等を手渡させた行為につき、詐欺罪(246条1項)が成立しないか。 ⑴ 「欺」く行為とは、処分行為に向け…
評価A 民事系 220.37 25位 第1 設問1 1 課題1 ⑴ Yは、本件定めが専属管轄の合意(民事訴訟法(以下、法名省略)11条1項)であり、B地方裁判所以外の裁判所を本件契約に関する紛争の管轄裁判所から排除することを内容とするものであると解釈している。 契約において管轄の合意がなされた場合、専属管轄の合意であるか、当該裁判所も管轄裁判所として付け加える付属管轄の合意であるかが問題となるが、あえて管轄の合意が定められた以上、当該定めは専属管轄の合意であると解釈すべきであるのが原則である。 本件契約においても、あえて管轄の合意である本件定めが置かれたのであるから、専属管轄の合意であると解釈…
ブルドッグソース事件にはっていたので設問2の出来は結構よかったと思います。 評価A 民事系 220.37 25位 第1 設問1 1 臨時株主総会を自ら招集する場合 ⑴ まず、乙社は、甲社の株主総会招集権者である取締役B(定款14条1項。同条2項に定める場合には他の取締役)に対し、会社法(以下、法名省略)297条1項に基づき、臨時株主総会の招集を請求する。 乙社は平成29年5月の時点で後者の総株主の議決権の4%を保有しているから、平成30年1月時点で「総株主の議決権の100分の3…以上の議決権を6箇月…前から引き続き有する株主」である。 したがって、乙社は目的である事項及び招集の理由を示して、か…
評価A 民事系 220.37 25位 第1 設問1 1 前段について ⑴ 本件事故が発生した、平成30年6月7日時点での甲建物の所有者は請負人Bと注文者Aのいずれか。請負人が完成させた仕事の目的物の所有権の帰属が問題となる。 ア ここで、請負は注文者のための契約であるから、請負人が完成させた仕事の目的物の所有権は常に原始的に注文者に帰属するとする見解がある。しかし、かく解しては、請負人は報酬を目的物の引渡しと引換えでなければ受け取れない(民法(以下、法名省略)633条)ところ、請負人の報酬請求権保護に著しく欠ける。 そこで、原則として材料の提供者に原始的に所有権が帰属すると解すべきである。判例…
憲法が悪かった割に公法系の順位はそこそこなので、行政法はまあまあ良かったのかもしれません。 評価A 公法系 125.49 231~258位 第1 設問1 1 B県は、本件事業認定は、取消訴訟の対象たる「処分」(行政事件訴訟法(以下、行訴法)3条2項)であるから、取消訴訟の排他的管轄に服するため、本件事業認定の違法性は本件取消訴訟で争うことはできない、また、後行処分の取消訴訟の中での先行処分の違法性主張を認めることは行政の早期安定の要請から妥当でないと主張し、本件訴訟の中で本件事業認定の違法性を争う、いわゆる違法性の承継は認められないと主張する。 2⑴ たしかに、取消訴訟の排他的管轄及び行政の早…
憲法はBだったので、あまり参考にならないかもしれませんが…。 評価B 公法系 125.49 231~258位 第1 立法措置①について 1 法案2条1号は、「虚偽表現」を「虚偽の事実を、真実であるものとして適示する表現」と定義し、法案6条は虚偽であることを知りながら、虚偽表現を「流布」することを禁止している。かかる表現の規制は、「虚偽表現」や「流布」といった文言の意味が不明確であることから、表現に対する萎縮効果が生じてしまうため、憲法(以下法名省略)21条1項に反しないかが問題となる。また、法案25条は法案6条違反に対して罰則を定めているところ、法案6条は構成要件といえ、これが不明確である場合…
ここでは、新株予約権に関連する問題として、敵対的買収に対する防衛策の許否(新株発行において問題となることもあり得ますが、論証は同様です)及び、やや応用的論点となりますが(といっても百選掲載判例であり、十分出題可能性はあります)、非公開会社における新株予約権の行使条件決定の委任の可否について検討します。 敵対的買収に対する防衛策 株主総会の承認を得て発動した防衛策(差別的行使条件付新株予約権無償割当て) 取締役会による防衛策(新株予約権の第三者割当て) 非公開会社における新株予約権の行使条件決定の委任 敵対的買収に対する防衛策 敵対的買収に対する防衛策としては、ブルドッグソース事件とニッポン放送…
会社法は第2編第2章第8節(199条以下)において「募集株式の発行等」について規律しています。「募集株式の発行等」には、新株発行及び自己株式の処分が含まれます。 ここでは、論文でよく問われる新株発行及びそれを争う方法について検討します。 新株発行 他人名義による株式の引受け 出資の履行の仮装と新株発行 有利発行 デット・エクイティ・スワップ 新株発行差止請求 「株主が不利益を受けるおそれ」(210条柱書) 「法令又は定款に違反する場合」(210条1項1号) 「著しく不公正な方法により行われる場合」(210条1項2号) 仮処分 新株発行無効の訴え 無効原因 不公正発行 総会決議欠缺 公示欠缺 仮…
ここでは、株式の譲渡及び自己株式の取得にかかわる論点について検討します。 株式の譲渡 株式の譲渡自由の原則 定款による譲渡制限 契約による譲渡制限 自己株式の取得 手続規制違反の自己株式取得の効力 財源規制違反の分配の効力 株式の譲渡 株式は、原則として自由に譲渡することができます(株式の譲渡自由の原則、127条)が、定款、契約、法律による譲渡制限があります。論文において重要なのは、譲渡自由の原則及び前二者による譲渡制限です。 株式の譲渡自由の原則 【論証:株式の譲渡自由の原則】 株式会社において株主は、持分会社における社員(606条1項)と異なり、原則として出資の返還を求める権利を有しない。…
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