chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
認知症診療あれこれ見聞録 https://kotobukireha.hatenablog.com/

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

きた みちを
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2019/06/25

arrow_drop_down
  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(3)

    前回は、「失語」があるといわゆる「都合耳」になりやすいということと、電話が苦手になりやすいということをお話ししました。 今回はその続きになります。 言葉の意味が分からなくても、本人はそれを隠すことが多い おそらく皆さんも誰かを話してる時に、相手の言っている言葉の意味がよく分からないということがあると思います。 そんな時、皆さんはどうするでしょうか。 相手に改めてその言葉の意味を尋ねることもあるでしょうが、そのまま流してしまうことも多いのではないでしょうか。 それはおそらく「失語」症状のある患者さんも同じで、本当は意味の分からない言葉があったり、話の内容をしっかり理解できなくても、相手の話に相槌…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(2)

    前回は、「意味性認知症」についてご紹介し、その主要な症状である「失語」症状が「難聴」と間違われやすいことと、「失語」症状は少しずつ進行していくために「意味性認知症」はある程度進行するまで、周りの人たちには気付かれにくいということをお話ししました。 今回はその続きになります。 いわゆる「都合耳」じゃないですか? まず、前回の話の補足から始めようと思います。 前回お話ししたように、話が相手に伝わらない原因が「難聴」だけであれば、こちらが話す声の大きさを変えない限り、相手にはすべての話の内容が伝わらないはずです。 しかし、あえて同じ声の大きさで問診やテストを行った時に、質問によって「伝わるもの」と「…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(1)

    「意味性認知症」をご存じですか? 最近、当院ではなぜか「意味性認知症(Semantic Dementia:SD)」と診断される患者さんが多いのですが、皆さんは「意味性認知症」という病名を聞いたことがあるでしょうか? 「意味性認知症」は、我が国では指定難病とされている「前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration:FTLD)」の1つであり、左右差のある側頭葉前方部の限定された萎縮に伴い、意味記憶が選択的かつ進行性に損なわれる疾患だとされています。 また、もちろん「意味性認知症」は認知症疾患なのですが、高齢での発症が少なく、主に65歳以下で発症する疾患だとさ…

  • 便秘が認知症を悪化させる(8)

    前回は、「便秘」が認知症の症状を悪化させたり、大きく波立たせてしまうということを私たちに教えてくれた印象的な症例についてご紹介しました。 今回も引き続き、そのような症例をご紹介します。 【症例3:認知症を伴うパーキンソン病の80歳代女性】 この患者さんは、当院を受診される3年前から手が震える「振戦」の症状が出現し、その1年後にふらつきや転倒も見られるようになったため、大学病院を受診し「パーキンソン病(PD)」と診断されました。 しかし、投薬治療を開始してから数ヶ月後に「幻視」「幻聴」「幻臭」などの「幻覚」が顕著に出現するようなり、それらの「幻覚」をベースにした「妄想」や「不安感」から、様々な問…

  • 便秘が認知症を悪化させる(7)

    前回は、「便秘」によって認知症の症状が大きく悪化しているような場合には、すっきり排便できただけで劇的に症状が改善する患者さんを何人も経験しているということをお話しし、そのような症例を1つご紹介しました。 引き続き、今回も実際の症例についてご紹介します。 【症例2:レビー小体型認知症の80歳代男性】 この患者さんは、当院を受診される2~3年前から、もの忘れのほかに幻視で子供や女の人、動物などが見えたり、夜寝ている時に急に起き出して外に出ようしてしまうといった「レム睡眠行動異常」の症状が出現するようになりました。 また、パーキンソン症状も徐々に進行して転倒を繰り返すようになり、身体が斜めに傾く「斜…

  • 便秘が認知症を悪化させる(6)

    前回は、便秘がちの人は「リーキーガット」が生じやすく、「リーキーガット」ががあると未消化の食べ物や有害物質、細菌などの「異物」が体内に侵入して炎症を起こしやすくなるというお話をしました。 さらに、それらの「異物」は、本来であれば「血液脳関門」を通り抜けることができないけれども、「リーキガット」を引き起こす物質が「血液脳関門」も緩めてしまって「リーキーブレイン」を生じさせ、そうなると「異物」が脳内に侵入して炎症も起こりやすくなってしまうことから、認知症患者さんが「便秘」になって腸内の「有害物質」が増えてくると、途端にそれらが脳にも影響を及ぼして認知症が悪化してしまうのだろうというお話をしました。…

  • 便秘が認知症を悪化させる(5)

    前回は、「腸内環境」の悪化によって「腸内細菌」が生成する「ドーパミン」量が不足してくると、覚醒度の低下や「意識の変容」も起こりやすくなるため、それらをベースにした妄想や幻覚、易怒性といった症状はもちろん、心身ともに認知症症状が全体的に悪化しやすくなるというお話をしました。 また研究報告を引用しながら、「腸内環境」は脳の働きと非常に深く関連しており、「腸内細菌」は脳を育て、感情を整え、性格まで左右すると言っても過言ではないというお話もしました。 今回はその続きになります。 「便秘」がちな人は「リーキーガット」が生じやすい 前回までにお話ししてきたように、「便秘」になって「腸内細菌」がうまく調和し…

  • 便秘が認知症を悪化させる(4)

    前回は、「腸内細菌」は人間の心身活動に不可欠な「セロトニン」「ドーパミン」といったホルモン(神経伝達物質)のほとんどを生成しているけれども、「便秘」になって「腸内細菌」がうまく働けていないと、それらが不足してしまって身体的にも精神的にも働きが鈍くなってしまうというお話をしました。 さらに「便秘」を改善させるためには「腸内環境」を整える必要がありますが、「腸内環境」とは「様々な腸内細菌によって形成される腸内の生態系」であるため、これらの菌のバランスや調和がとれた状態すなわち「腸和」を目指す必要があるというお話もしました。 今回はその続きになります。 「ドーパミン」が不足すると、覚醒度の低下や「意…

  • 便秘が認知症を悪化させる(3)

    前回は、「便秘」によって悪化しやすい症状についてご紹介しました。 特に、覚醒度が低下しやすくなったり、覚醒度が波を打つ「意識の変容」が顕著化しやすくなることや「パーキンソン症状」が増悪しやすくなることについてお話ししました。 今回はその続きになります。 「便秘」とは「腸内細菌」がうまく働けていない状態 腸は「第二の脳」ともいわれるほど、腸は脳と非常に深く関連していることが分かっています。 「腸内環境」が脳の働きに大きく影響するということです。 そして、この「腸内環境」の状態を決めているのが、大腸に生息する非常に多くの多種多様な「腸内細菌」になります。 個人差はありますが、大腸に生息する「腸内細…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、きた みちをさんをフォローしませんか?

ハンドル名
きた みちをさん
ブログタイトル
認知症診療あれこれ見聞録
フォロー
認知症診療あれこれ見聞録

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用