日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
和式の生活様式は身体の健康維持にも効果的な面がある 昭和、平成、令和へと時代が移り変わるにつれ、この数十年で日本人の生活様式は大きく変わってきました。 昔は家に畳があるのが当たり前で、家族みんなで茶の間に座ってテレビを観たり、食事をしたり、夜は布団を敷いて川の字になって寝たりしていました。 それが生活の利便性や生活スタイルの好みなどを理由に、次第に洋式の生活様式を取り入れる人が多くなってきました。 確かに昔ながらの和式の生活様式では、日常的に床に長時間座ったり、床からの立ち座り動作を頻繁に行わなければならず、洋式の生活様式に比べると身体への負担が大きいかもしれません。 布団で寝ている場合には、…
前回は、通所サービスのメリットをまとめてみましたが、認知症治療において患者さんには生活の中で改めていってほしい課題があることが多く、それらの課題は患者さんによってもちろん違うけれども、内容は大体決まっており、いずれも通所サービスの導入によって解決を目指せるものが多いというお話をしました。 今回はその続きになります。 認知症を一番進行させてしまうのは「座敷牢」のような生活 皆さんは「座敷牢」というものをご存じでしょうか? 昔は家族に精神疾患や認知症の人が出たりすると、「恥ずかしい」と言って世間体を慮り、家族が本人を外に出さないようにすることがありました。 しかし本人の足腰が丈夫で自分で外に出てい…
前回は、認知症患者さんに通所サービスを導入できるかどうかが、その後の病状経過や人生において大きな分岐点になると言えるほど、認知症治療においては、通所サービスの導入によって得られる効果は大きいが、初めから喜んで通ってくれるような方はほとんどいないので、当院では本人の意思に関わらず、無理やりにでも通所サービスに通わせた方が良いと家族に勧めているというお話をしました。 また、本人の拒否が強い場合でも、通所サービスのスタッフたちはそのような方への対応には慣れているので、すべてお任せしてしまっても良いということや、楽しんで通所サービスに通っている患者さんは、認知症があまり進行していかない印象があること、…
前回は、認知症の治療を進めていくうえでは、家族の協力が不可欠であり、家族が健康でいることが認知症治療の「土台」になるとも言えるため、もし介護ストレスなどで家族が心身のバランスを崩しているようなら、患者さんと一緒に治療介入することもありますが、いずれにしても医療従事者は家族に寄り添ったり励ましたりしながら、時間をかけてお互いの信頼関係を構築していくことで、少しでも家族が患者さんに対して適切なケアが行えるようにバックアップしていくというお話をしました。 ただ、どうしても適切なケアを行うのが難しい家族の場合には、介護保険サービスの利用を積極的に促していきますが、中でも当院で一番利用をお勧めしているの…
前回は、治療に難渋する家族に共通する傾向として、診察では悪いことばかり強調して良いことは話さなかったり、また医療従事者が熱心に応対してもなかなか話が通じなかったり急に来院しなくなることもあるということをお話ししました。 そのためあらかじめそのことを心に留めておかないと、薬を出し過ぎてしまって患者さんの症状をさらに悪化させてしまったり、医療従事者がいわば振り回されて疲弊しかねないというお話もしました。 今回はその続きになります。 認知症の治療には家族の健康が不可欠 認知症患者さんの治療には家族の協力が欠かせません。 以前にもお話しした通り、認知症治療においては「薬とケアは両輪」になります。 患者…
前回は、治療に難渋する患者さん家族には一定のパターンや傾向があり、大まかに「話が主観的でまとまりがない」タイプと「熱心で細かく要求が高い」タイプの2つに分けられことをお話ししました。 そして、それぞれのタイプの特徴や傾向についてご紹介し、そのような家族の場合には、主治医が処方した薬を自己判断で勝手にいじってしまう傾向があることを踏まえて対応していくというお話をしました。 今回はその続きになります。 治療に難渋する家族に共通する傾向 前回は治療に難渋する患者さん家族の2つのタイプについてご紹介しましたが、さらに両者には共通する特徴や傾向があります。 ①悪いことばかり強調して良いことは話さない そ…
前回は、認知症患者さんに新たに薬を始めたり投薬量を調節した場合には、様々な要因による日々の小さな変動を差し引いたうえで、全体的に症状が良くなったのか悪くなったのかを判断するために、最低でも1~2週間はそのままで様子をみたいということ、治療の過程においては時折必ず困った症状が「爆発」するものであり、段々とその大きさや頻度が減っていくことと併せて家族に伝えておけば、「爆発」にもあたふたせず適切に対応できるようになり、家族に何があっても動じない心構えができてくれば、患者さんの症状は自然に好転していくるということをお話ししました。 一方で、薬を勝手にいじってしまうような家族の場合は、どうしても目の前の…
前回は、認知症治療においては投薬以外のケアによる効果も非常に大きいため、治療がうまくいくかどうかは、家族と医療従事者が同じ土俵に立って協力し合えるどうかが大きな分岐点になるというお話をしました。 そのため認知症治療においては家族の協力が不可欠になるけれども、安全で適切な投薬治療にはどうしても時間がかかってしまうことを理解し、治療に協力してくれる家族がいる一方で、それができずに逆に治療の足を引っ張ってしまうような対応を続けてしまう家族もいること、そしてその最たるものが「勝手に薬をいじってしまう」家族であり、実はそのような家族には似たような特徴や傾向があるということをお話ししました。 今回はその続…
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