日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
前回は、今世界で大流行している新型コロナウイルス感染症は、ウイルスが変異しやすく現在進行形で新たな変異株が生まれている可能性が高いというお話をしました。 今回はその続きになります。 ウイルスの病原性が高まった変異株が発見されている 4月19日に中国の浙江大学による「患者を経由した変異はSARS-CoV-2の病原性に影響を与える」という研究が発表されました。(Patient-derived mutations impact pathogenicity of SARS-CoV-2) この報告によると、浙江大学附属病院の新型コロナ入院患者からランダムに11人を選び、SARS-CoV-2ウイルス(=新…
今回からは、認知症診療のお話からは一旦離れて、今世界で歴史的な大流行と大混乱を巻き起こしている新型コロナウイルスについて、最近の知見を踏まえて個人的な見解をお話ししていこうと思います。 はじめに 今回の新型コロナウイルス感染症への対応は、おそらく長期戦を覚悟しないといけませんが、この世界的な危機に瀕することで、多くの人が「生きていくうえで本当は何が大切なのか?」「真実は何なのか?」といった人生の根源的な宿題を、再度目の前に引っ張り出してきているのではないかと思うのです。 そして個人的には幸か不幸か、今回の騒動によって世の中の価値観が大きく変わるような、そんなまさに時代の転換期を今生きている感じ…
「てんかん」から「認知症」を診る(9)~「認知症」と「てんかん」~
前回は、「ケトン食」を通じて身体のエネルギー源を「ブドウ糖」から「ケトン体」に切り替えることによって、脳神経細胞の「てんかん性異常放電」そして「てんかん発作」の抑制効果が期待できるというお話をしました。 今回はその続きになります。 「ケトン食」の効果が出るまでの期間と効果の持続性について 前回ご紹介した通り、「ケトン食」によって「てんかん性異常放電」や「てんかん発作」の抑制が期待できることが分かっています。 では実際に「ケトン食」を始めたら、どれくらいで効果が出てくるものなのでしょうか? また「ケトン食」での治療がうまくいったとしても、「ケトン食」をやめてしまったら、また「てんかん発作」が再発…
「てんかん」から「認知症」を診る(8)~「認知症」と「てんかん」~
前回は難治性てんかんに適応されている「ケトン食」についてご紹介するとともに、「ケトン体」が認知症の方の脳神経細胞に好ましい影響をもたらすということをお話ししました。 好ましい影響として、前回はまず「ケトン体」がアルツハイマー型認知症の方の脳細胞を活性化させることについてご紹介しましたが、今回は「ケトン体」が「てんかん性異常放電」を抑制することについてお話しします。 「てんかん発作」が起こる仕組み そもそも「てんかん発作」はどのようにして起こると考えられているのでしょうか。 神経細胞が集まった軸索とその周囲を取り囲むミエリンで構成されている神経線維は、電線のように電気信号を伝えていきますが、次に…
「てんかん」から「認知症」を診る(7)~「認知症」と「てんかん」~
前回まで、認知症を伴う神経変性疾患の方は「便秘」や「体温上昇」、「低気圧」によって症状が悪化しやすく、それは「てんかん性異常放電」が誘発されやすくなるからではないかと考えられ、また「てんかん性異常放電」は神経線維の「脱髄」が生じている部位で起こりやすく、それを放置することで様々な病態を発症・進行させることになるので、「てんかん性異常放電」が疑われる場合には、いかに早期から治療介入できるかがカギになるということをお話ししました。 今回は「てんかん」の治療に有効だとされる食事療法についてお話しします。 「てんかん食」はいわゆる「糖質制限食」 「てんかん」の治療に用いられる食事療法に「てんかん食」が…
「てんかん」から「認知症」を診る(6)~「認知症」と「てんかん」~
前回は、認知症を伴う神経変性疾患の方は「便秘」や「体温上昇」によって症状が悪化しやすく、それは「てんかん性異常放電」が誘発されやすくなるからではないかというお話をしました。 今回はその続きになります。 低気圧も「てんかん」を誘発する!? 認知症の方は低気圧によって症状が変動することが多くあります。 雨が降る前や台風が近づいている時などに不隠になって怒りっぽくなったり、多動になって家族が困るというのは日常茶飯事です。 実は「てんかん発作」も低気圧や台風が近づいている時に誘発されやすいことが知られています。 ではなぜ低気圧が認知症症状を変動させたり、「てんかん発作」を誘発したりするのでしょうか? …
「てんかん」から「認知症」を診る(5)~「認知症」と「てんかん」~
今回からまた「『てんかん』から『認知症』を診る」のお話に戻ります。 前回は「認知症」と「発達障害」の治療においては、高率に合併するとともに治療が最優先されるべき「睡眠障害」の中には、「てんかん性」のものが少なからず存在しており、その場合は抗てんかん薬が非常に有効であるというお話をしました。 今回はその続きになります。 「認知症」に合併しやすい「便秘」も「てんかん」を誘発する!? 認知症を伴う神経変性疾患で合併しやすい症状としては、前回お話しした「睡眠障害」と並んで「便秘」があります。 「睡眠障害」も「便秘」も認知症の症状を悪化させたり、新たな症状を引き出しかねないものなので、いずれも認知症の治…
前回まで「『てんかん』から『認知症』を診る」と題して、認知症とてんかん、そして、発達障害との関連についてお話ししてきました。 今回は、一旦このテーマからは離れて、今世界中を騒がせている新型コロナウイルスに対する感染予防について、当院で実践していることなども含めてお話ししたいと思います。 感染予防が最重要 メディアでは新型コロナウイルスの感染者が増え続けていることが連日大きく報じられています。 確かに1日当たりの感染者数も増えてきているので心配になります。 ただ日本で行われている様々な対策や医療の力が一定の効果をあげているのも事実です。 先進7か国における人口100万人当たりの新型コロナウイルス…
「てんかん」から「認知症」を診る(4)~「認知症」と「てんかん」~
前回は「てんかん」がある方の性格的特徴と「認知症」に移行しやすい「発達障害」傾向の方の類似性から、両者の合併率の高さや病態の同一性についてお話ししました。 今回は「認知症」はもちろん「発達障害」に合併しやすい「睡眠障害」と「てんかん」の関連性についてお話しします。 「睡眠障害」の中には「てんかん」が原因のものもある 認知症を伴う神経変性疾患の多くにおいて、レム睡眠行動障害やムズムズ脚症候群、睡眠時無呼吸症候群、夢見・寝言・イビキなどに伴う睡眠効率の低下といった「睡眠障害」が合併しやすく、そのような「睡眠障害」が発症の前駆症状であったり、病状を進行させる要因になっているので、認知症の治療において…
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