自分には最後の最後まで犯人がわからなかったんですけどね。『浜尾四郎/殺人鬼』
創元推理文庫から「日本探偵小説全集/全12巻」が刊行されたのは1984年の事だったか?これって1984年の辺りで発売されたにもかかわらず、今でも現役版なんですよね。あれから何年が経過しているのか?つまるところ創元推理文庫としてもこのシリ-ズはかなり重要視しているのでありましょう。「ミステリ」とか「推理小説」ではなく「探偵小説」と銘打っている事からもわかる通り、日本ミステリ史に欠かせないような「大昔の作品」からセレクトされたシリ-ズ。装丁や造りも非常に丁寧で、全巻揃えて順に棚に並べると背表紙が1つの絵画のようになる。凝った装丁だ。ちなみに創元推理文庫の乱歩シリ-ズでも「揃えると背表紙で1つの絵画」という同じ試みが為されている事は周知の通り。何も個人的に出費して全巻揃えなくても、全巻を揃えている本屋に行って棚を見れ...自分には最後の最後まで犯人がわからなかったんですけどね。『浜尾四郎/殺人鬼』
苦手なはずの捕物帳で一気読み!久生十蘭『顎十郎捕物帳』『平賀源内捕物帳』
捕物帳というジャンル、どうも自分とは相性が悪い。江戸時代辺りが舞台とはなるが、ミステリであることは変わりないのだから、楽しめてもいいはずなのだが‥‥。例えば『野村胡堂/銭形平次』も『横溝正史/人形佐七』も『岡本綺堂/半七捕物帳』も、自分にはどうも駄目だった。読んでて退屈する。聞くところによれば『半七』なんかは文学的にも高く評価されているそうなんですけどね。ただ、1つだけ、自分的にはとてつもなく面白かった捕物帳が過去にあった。今「1つだけ」と書いたが、正確には2つ。ただ、同じ作者によるものなので「1つ」という書き方をしましたけど。それは久生十蘭による『顎十郎捕物帳』『平賀源内捕物帳』という2作品。1990年代半ばの頃だったと思うのだが、暇潰しに読む本が無かったので、図書館からハ-ドカバ-版の実に立派な装丁の『久生...苦手なはずの捕物帳で一気読み!久生十蘭『顎十郎捕物帳』『平賀源内捕物帳』
クリスティー、クイーン、カーの全盛時代ともいえる1930年代をミステリ黄金期と呼ぶとすれば、この三人より僅かに先にデビューしたのがヴァン・ダイン。ミステリ・ガイドの類いでは必ずと言っていいほど「大巨匠」扱いである。自分が知らないだけで実は短編もあるのかもしれないが、基本的には「12作の長編のみ」ということで、クリスティやクイーンやカーよりも作品数は遥かに少ない。かつてはこの12作の長編全てが創元推理文庫から出ており、いつでも全ての作品が簡単に読める状態であったが、ここ15年くらいは一部の代表的な作品を除けば絶版だらけ。このように「かつては創元推理文庫から全作品が出ていたけれど、今では‥‥」となってくると、往年の大巨匠ヴァン・ダインも読まれなくなりつつあるのだな‥‥と栄枯盛衰を感じてしまう。ていうか、これまでも自...究極の様式美。『ヴァン・ダイン/グリ-ン家殺人事件』
自分がこの超話題作をオススメしない理由。『乾くるみ/イニシエ-ション・ラブ』
10年位前だったか?「どんでん返しが凄い!」「絶対驚く!」とかなり話題になっていたので、文庫版で読んだ。神田淡路町の某居酒屋のカウンター席で飲酒しながら一気読みしたような記憶がある。この作品については自分は過去ブログで取り上げたりオススメしたことは無いと思う。理由は2点。(1)自分は真ん中あたりで「仕掛け」が見抜けてしまったため全然驚かなかった。(2)恐ろしく後味が悪い。まず(1)に関して。これは何も「自分の推理力が鋭いのだ」という事が言いたいのではない。というのは、自分と同世代の人間であれば、おそらく読んでいるうちに「あれ?変だな‥‥。なんかおかしいぞ‥‥」という点に気づくはず。自分なんかもその違和感から推理を進めて「あ‥‥てことは、つまりこういう『仕掛け』か‥‥」と、もう「すぱぱ~ん!」と一気に全容が見抜け...自分がこの超話題作をオススメしない理由。『乾くるみ/イニシエ-ション・ラブ』
自分ならこれを島田荘司の裏ベストワンに推す。『島田荘司/異邦の騎士』
以前もこのブログで主張したことがあるが、この『異邦の騎士』は御手洗シリ-ズを幾つか読み終えた上で読まないと感動はゼロになる。1988年初出だったかな?記憶を失った男。自分が何者かもわからないまま工場で働き始める。周囲となかなか上手く関係を作れずに頑張っていく中、ある女性と出会い、アパ-トの一室で共に暮らし始める。デ-トコ-スは横浜だ。ささやかな臨時ボ-ナスでステレオを購入。「ステレオがあるだけでは音楽は聴けず、レコ-ドも買わなければならないのよ」という、ごくごく当たり前の彼女の助言。そして彼女のリクエストで買った初めてのレコ-ドは『ドビュッシ-/アラベスク』だった。ふと見つかった免許証から、男は自分が都内在住の「益子秀司」であることを知る。しかし自分が過去にどんな生活をしていたのかは依然として不明なまま。やがて...自分ならこれを島田荘司の裏ベストワンに推す。『島田荘司/異邦の騎士』
忘れかけられている大物二人。『鮎川哲也/りら荘事件』『高木彬光/人形はなぜ殺される』
1980年代ってつくづく良き時代だったな‥‥と思う。例えばミステリに限定しても乱歩や横溝のほぼ全ての作品が簡単に文庫で読めた。それが1980年代の後半あたりになってくると横溝は危なくなってきた。勿論、ミステリ・マニアでなくても知っているような超有名作品『八つ墓村』や『犬神家の一族』は「無傷」だったが、ちょいとマニアックな『真珠郎』とか『呪いの塔』とか『仮面劇場』あたりはあっと言う間に絶版へ。昨年6月にTVで『由利麟太郎』が放送された関係で、角川文庫から「由利先生」絡みの幾つかの作品は復刊されたのだけど、復刊されたこれらの作品はたぶん30年ほどの長きに渡って絶版になっていたものだと記憶している。勿体ない話だ。もし「金田一もの」ばかり読んでいた方々がいらしたとしたら、是非とも『真珠郎』は読んで欲しいところ。勿論「横...忘れかけられている大物二人。『鮎川哲也/りら荘事件』『高木彬光/人形はなぜ殺される』
江戸川乱歩作品は様々な出版社から出ているが、さて、どれを買うべきか。知っておくべきことは「取り敢えず全作品を網羅している」のは現役版では春陽文庫版だけだという事。ここで「取り敢えず全作品」という言い方をしているのは、この春陽文庫版には「少年もの」は収録されていないから。「少年もの」までも網羅して収録されたものといえば、1980年代後半に出ていた講談社の文庫版全集と2000年代初頭に出ていた光文社の文庫版全集の2種のみだが、ここでは「少年もの」はちょっと無視しておこう。さて、自分が薦めるとしたら「条件付きで」春陽文庫版。春陽文庫版を推す一番の理由は、冒頭で書いた通り「(1)全作品が網羅されている」から。創元推理文庫版だと、例えば長編『幽鬼の塔』とか『猟奇の果』が収録されていないのである。また、現在出回っているこの...乱歩作品はどの文庫で読むべきか?
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