JUGEMテーマ:小説/詩 コードセムーは、アメリカバイソンの群れ──数十頭いるところを見ると、雌とその子どもから成るものだろう──を見つけた。「保護されているんだろうけど、悪いわね」そう呟いた後、一頭の子を分解し収
JUGEMテーマ:小説/詩 ふさふさの尻尾を揺らめかせながら、大地を歩く。 今日届いた情報を頭の中で整理しつつ、だが周囲の状況が見えなくなったりは決してせず、それでも一定の速度を保ちながら前進する。 とはいえ事態は予
JUGEMテーマ:小説/詩 ルルーは少しの間その動物の背中を茫然と見ていたが、やがて我に返るとひとまず後を追い始めた。 こいつはどこへ行こうとしているのか? この、果てしもなく続く砂の大地の上、仲間も持たず行くあても
JUGEMテーマ:小説/詩 マダガスカル島を脱出した後、コードルルーはどこへ行くあてもないまま海の上を飛んでいた。 他の者と鉢合わせぬよう──初めはそう思っていたが、なんだか段々ばからしくなってきた。その言い方が悪い
JUGEMテーマ:小説/詩 「うん、ぼくです」 すぐに返事が返って来た。モサヒーの声だ──と思われた。 セキセイインコたちは相変わらず、遥か下方でわいわいと騒いでいる。聞こえて来るモサヒーの声は対してごくか細く、検知帯の全細胞に膨
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JUGEMテーマ:小説/詩 コードセムーは、アメリカバイソンの群れ──数十頭いるところを見ると、雌とその子どもから成るものだろう──を見つけた。「保護されているんだろうけど、悪いわね」そう呟いた後、一頭の子を分解し収
JUGEMテーマ:小説/詩 「なあ」ふいに、隣で足早に進んでいるボブキャットが声をかけてきた。「うん、はい」モサヒーは返事をする。「あの、レイヴンっていう奴が捜してる動物ってさ」ボブキャットは小走りに進みながら空を見上
JUGEMテーマ:小説/詩 「あれは誰だ〜い?」 それは、呼びかけというよりも──明らかに『歌』だった。「あそこにいる〜、あの大きな動物は〜」 高らかに朗らかに、歌声が響く。「熊かな? それともゴリラ?」 少なくともゴ
JUGEMテーマ:小説/詩 ぎゃお──んん 遠吠えが聞こえた。 ボブキャットはびくりと身を竦ませたが、すぐに舌打ちして前進を再開した。「ごみ漁り屋か」と呟きつつ。 モサヒーの方はただちに生体信号を検索し、
JUGEMテーマ:小説/詩 ──双葉……? ボブキャットはそれを聞いてふと足を止めた。池の畔だ。 そこに、アメリカビーバーがいることは先ほどから認知していたが、何しろそいつは池のど真ん中、
JUGEMテーマ:小説/詩 わかっている。私が降りるべき所は、一五七六階だ。イゴナロー階、と暗記した。以後成ろう階。そこで降りなければならない。 箱はただ黙々と私たちを運び続ける。上へ。箱とは言うが相当に広い。何人乗っているのだ
JUGEMテーマ:小説/詩 モサヒーは大気圏上層にて宇宙に漂う無人偵察機に信号を送り、また管理者からの連絡を受け取った後、今日はいつものように真っ直ぐ帰ることはせず『偵察』を兼ねて広大な大陸の様子を眺めながら浮揚推進
JUGEMテーマ:小説/詩 海氷の隙間を進む。 頭数が多いので、なかなか前には進めない。 順番待ちをする間、突然海中に沈む者もいる。 しばらく経つと、沈んだ者は何食わぬ顔でまた元の所に戻るが、その実その口にはアークテ
JUGEMテーマ:小説/詩 「いや無理っしょー」アカギツネが明るくなって来た空を仰いで、ここここ、と笑った。「ディンゴさんには牛は喰えないっすよー」「馬鹿にするな、喰えるわ」ディンゴはじたばたと大地を踏みしめた。「無理
JUGEMテーマ:小説/詩 「あっはい、いましたよー双葉。ギルドって何すかー?」アカギツネは明るく訊いた後「あっ双葉はもういませんから大丈夫っすよー」と補足を付け足した。「いなくなった?」レイヴンが訊き、「逃げたの?」
JUGEMテーマ:自分が読んだ本 岩波講座 宗教〈第4巻〉根源へ—思索の冒険 もう20年も前の本だけども、今日はこれを読んでいた。 以下引用。 とすると神の受肉、キリストの誕生はどのような意味を持つことになるであろうか
JUGEMテーマ:小説/詩 ディンゴ。 ディンゴか。 ディンゴが来る。 こっちに向かって来ている。「ほほほう」思わず歓喜の声が出る。「あっちこっち足を伸ばしてみるもんだな。ラッキーだ」コードイフーは電子線射出機構を急ぎ準備した。
JUGEMテーマ:小説/詩 「レイヴン、レイヴン」オリュクスは──この動物はまったく不思議なくらいに疲れるということを知らない生き物のように思えてならなかった。 いや、そんなことはない。オリュクスだって疲れて眠りたい時
JUGEMテーマ:小説/詩 暗い空間で、送出係から最後の指示を受ける。「ここから先に出ると、重力がかかってきます。大きく下に引っ張られますが、人の手によって受け止められるはずなので地面と衝突する心配は基本ありません」 基本通りに
JUGEMテーマ:小説/詩 「すごいなあ、すごいなあ」ひとり感嘆の声を上げつづけるのはオリュクスだった。「この鳥さん、すごく速いよね。すいーって、すごくきれいに飛ぶよね」「ああ……まあ、すご
JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンは正直なところ、日が暮れた後はただちに、殻の自動浮揚推進機能をフルモードにして、もちろん収容籠を伴い安全に進みつつ、自分も素粒子状態と化して休養およびダメージ修復に移りたかった。
JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンは、赤く乾いた土地の上を引き続き浮揚推進しながら、差し向きエミューから得た助言に沿ってディンゴなる動物を探してみようと考えていた。 アカギツネ同様ディンゴもイヌ科ではあるが、エミュ
JUGEMテーマ:小説/詩 「うん、なぜギルドがレイヴンを狙っているのかについては、国を挙げて考察し、場合によってはギルドへ直談判を試みるとのことです」 モサヒーからそういった報せが届いたのは、彼と実際には分かれてから
JUGEMテーマ:小説/詩 ふさふさの尻尾を揺らめかせながら、大地を歩く。 今日届いた情報を頭の中で整理しつつ、だが周囲の状況が見えなくなったりは決してせず、それでも一定の速度を保ちながら前進する。 とはいえ事態は予
JUGEMテーマ:小説/詩 ルルーは少しの間その動物の背中を茫然と見ていたが、やがて我に返るとひとまず後を追い始めた。 こいつはどこへ行こうとしているのか? この、果てしもなく続く砂の大地の上、仲間も持たず行くあても
JUGEMテーマ:小説/詩 「レイヴン」 キオスの呼ぶ声にはっと我を覚えたレイヴンだった。「あ、ああ」「あのチンパンジーは……どうするの?」キオスは、どこかおずおずとしながらそう訊ねてきた。
JUGEMテーマ:小説/詩 「攻撃……?」レイヴンは衝撃を覚えながらも心の片隅で、こいつは法螺を吹いているのではないか、と勘繰りもしていた。「君たちを、ということは、ギルドを?」「そう」ルル
JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンはその後、チンパンジーの群れに声をかける機会を見つけられないまま、彼らが群れの仲間の一頭の元へ向かい、その対象に対し金切声を挙げながらよってたかって叩いたり引っ掻いたり噛みついたり
JUGEMテーマ:小説/詩 オリュクスは素早い。疾風のように素早く、水のように無駄のない動きで流れるように走る。 彼はとにかく元気で、いつもご機嫌で、とにかく自分の体を動かすのが好きな動物だ。自分の体が動くということ
JUGEMテーマ:小説/詩 「なんか聞こえる?」「なんか言ってるわ」「どこ?」「どいて」「ちょっと尻尾引っ張らないで」「やめて」「どいて」 ハダカデバネズミたちは何やらもめている様子だった。「あの、ここです」レイヴンは
JUGEMテーマ:小説/詩 リーダーのゾウは立派な牙を備える巨大な体躯の持ち主だった。その前足を持ち上げ、キオスの上に下ろされるだけで、この小さな動物はぺしゃんこになるだろう──杞憂にすぎないとわかってはいるが。「あ
JUGEMテーマ:小説/詩 キオスは群れの仲間といっしょに水を飲んでいた。正確にいうと、水を飲む振りをしていた。具体的にいうと、水に鼻先をつけ、水を吸い上げているように見せかけた。 すべて芝居だ。実際のところキオスは
JUGEMテーマ:小説/詩 「よく食べるわね」不意にキオスは背後から声をかけられた。 振り向くと、立派な牙を持ったひときわ大柄なサバンナゾウがそこにいた。「リーダー」今まで話していたサバンナゾウがキオスの代わりに呼び返
JUGEMテーマ:小説/詩 サバンナゾウといったか。この動物はあまり眠らない。常に草木を探し、食んでいる。「食べ続けていないとだめな気がするんだ」 以前、なぜそんなに食べ続けるのかと問いかけた時、そういう答えが返って
JUGEMテーマ:小説/詩 意識が朧げに構築されていく。レイヴンは少しずつ、ほんの僅かずつ我を取り戻していった。「こんにちは」声がした。 レイヴンは振り返った。 そこに、死んだような表情の巨大な浮遊物がいた。「うわあ
JUGEMテーマ:小説/詩 月が一つ見える。まん丸に近い形で光っている。活動するなら今のうちだ。 ネコ科動物たちに嗅ぎつけられないよう注意を払いつつ、砂漠を移動する。ネコ科は素早い。あ、こいつこのぼくを仕留めようとし
JUGEMテーマ:小説/詩 「探しに来てくれて、見つけてくれたのは嬉しい。ありがとう、レイヴン」 コスは収容籠の中に大人しく──あるいは諦めを抱いて──入った後で、そういった意味の声で啼いた。「どういたしまして。心細か
JUGEMテーマ:小説/詩 へいいいいいん 「うわっ」 突如耳を襲った大怪音に、レイヴンは思わず身をすくませた。 ぱうあああああ ぽほおおおおお えわわわわわん 怪音はなおも続いた。どこから聞えてくるのか—
JUGEMテーマ:小説/詩 感受帯角質に正式な辞令が届いたのは、その日の夜だった。『レイヴン=ガスファルト 上記の者を地球方面行方不明動物捜索捕獲係に任命し、地球への出動を命ずる』すべての準備を終えてから、レイヴンはふう、と息を
JUGEMテーマ:小説/詩 感受帯角質に正式な辞令が届いたのは、その日の夜だった。『レイヴン=ガスファルト 上記の者を地球方面行方不明動物捜索捕獲係に任命し、地球への出動を命ずる』すべての準備を終えてから、レイヴンは
JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンは窓外の超高速雲流を眺めるともなく見遣りながら、ハヤミ総司令の待つオフィスへと浮揚推進していた。 呼び出しを受けたのは、昨日の夜だった。「明日の朝、私のオフィスに来てくれたまえ」
JUGEMテーマ:小説/詩 「松村彩夏、さん」初めて見る男の人が私の名を呼んだ。「はい」私は返事をした。「──」男は手許のタブレットに視線を下ろし、しばらく無言でいた。 私も椅子に座った状態で行動をしなかった。「橿原圭
JUGEMテーマ:小説/詩 施設からの迎えが来る日の朝、定時刻に電源がオンになると同時にスピリットの呟きが検知された。 あんたの娘になんか、生まれて来なきゃよかった。 泉は俺の女だ。俺がどうしようが俺の勝
JUGEMテーマ:小説/詩 「命令?」翔は戦慄の声を挙げた。「何、それってどういうフィードバックの?」「よくわからないけど……翔くんも見る? この映像」「──法的に問題なければ」「大丈夫、担
JUGEMテーマ:小説/詩 「何」櫃原圭輔は眉をしかめ私に向かい言った。「命令するのか? ロボットが人間に?」 その時私には、今私の発した言語は人間とのコミュニケーションにおいて選択されるべきものではないという認識があ