(C)2013 Worldview Entertainment Capital LLC & Dragonfly EntertainmentInc. 原題:The Green Inferno 製作年:2013年 製作国:アメリカ・チリ合作 配給:ポニーキャニオン 監督:イーライ・ロス 製作:イーライ・ロス、ミゲル・アセンシオ・ジャマス、ニコラス・ロペス、クリストファー・ウッドロウ キャスト:ロレンツァ・イッツォ、アリエル・レビ、ダリル・サバラ、カービー・ブリス・ブラントン、スカイ・フェレイラ ほか (以上、映画.comより) (あらすじ) 女子大学生ジャスティン(ロレンツァ・イッツォ)は、アレハンドロ(アリエル・レビ)率いる積極行動主義グループの演説を目にし、関心を持つ。彼らは原住民のヤハ族を迫害し僻地の開発をする大企業を止めるべく、アマゾンへ発つ事となり、ジャスティンも同行することとなった。現地でデモ活動をし成功を収めた彼らは、帰りの飛行機で事故を起こし、そこで原住民ヤハ族に捕らわれる事となる…。 77点/110点 映画「ホステル」のイーライ・ロス監督による、スプラッターホラー映画である。話としては、意識高い系の大学生が浅はかな考えでアマゾンに行ったところ、食人族に襲われてしまう…というもの。容赦ないゴア描写があるため、グロ耐性がない人は絶対に見てはいけない。 イーライ・ロスは多くの映画作品に関わっているが、その中でこの映画の比較対象として挙げるとすると、やはりホステルであろう。過激なゴア描写があり、また、主人公達が異国の地へ旅した先で監禁されてしまうという事も共通している。だが、この映画グリーン・インフェルノは、ホステルと明確に違う事がある。どちらも理不尽なストーリーではあるが、ホステルの場合は、全く無実な(不注意ではあるが)若者達がターゲットとなる。
(C)2009 Versus Entertainment S.L. All Rights Reserved. 原題:Buried 製作年:2009年 製作国:スペイン 配給:ギャガ 監督:ロドリゴ・コルテス キャスト:ライアン・レイノルズ (以上、映画.comより) 75点/100点 狭い棺の中。面積にして一畳ほど。首を起こす程度の高さもない。そのような環境の中で90分行われるライアン・レイノルズの一人芝居である。棺の外のシーンは一切なし。究極の低予算映画であり、究極のシチュエーション映画である。これ程に徹底したソリッド・シチュエーションの映画は恐らく、未来永劫作られる事はないのではないのだろうか。これだけで大変に、映画界で価値のある作品だと言える。 ということで、先日は狭い狭い洞窟を探検する映画「ディープ・サンクタム」のレビュー記事を書いたが。今回のテーマはその繋がりで「狭い映画」である、「リミット」である。なお原題は「Buried」生き埋めである。この「Buried」という原題も実に絶妙であり、主人公ポールが入れられている棺が、地中に埋められているという事がタイトルでわかるという加減である。狭い棺の中で地中に埋められている。大変だ。 さて、ではこの映画はそんな狭さで、しかも外のシーンは一切描かず、いかに90分持たせているか?例えば携帯電話がある。それを使い電話をしたり動画を撮ったりする。また、お酒とライターがある。それらを使って火をつけてみたりする。そして、生き埋めということなので勿論、空気がなくなりそうになる問題や砂が降ってくる問題も出てくる。 それらの積み重ね、積み重ねで、気づけば90分経っているのだ。これは凄い事である。この映画が面白いかどうか以前に、よくこの限られた条件下での映画を一本成立させた、と感心させられる。そしてそれだけではない。この映画は「面白い」のだ。そうなるとこれは、物凄い事である。テイストとしては、スリラーの形を取りながらも真相を究明しようとする、どうにか脱出しようと工夫する、ということでミステリーの要素も大きい。そのためハラハラするだけでなく、観客の好奇心も煽り実に退屈しない90分を楽しむ事ができる。終わり方もエッジの利いたなかなかのもので、納得できる。
原題:La cueva 製作年:2013年 製作国:スペイン 監督:アルフレッド・モンテーロ 製作:アルフレッド・モンテーロ、フアン・ゴルドン、マルコス・オルティス 脚本:アルフレッド・モンテーロ キャスト:マルコス・オルティス、マルタ・カステジョテ、ホルヘ・パエス、エバ・ガルシア、ソエル・フェルナンデス ほか (以上、映画.comより) (あらすじ) 遊び盛りの若者、男女5人。秘境の島でバカンス中の彼らは羽目を外して楽しんでいた。キャンプの翌日、洞窟を見つけた彼らは興味本位で探検する事にした。狭い洞窟は分かれ道が多く入り組んでおり、帰り道がわからなくなってしまい… 70点/100点 洞窟を探検しに来た若者達が、迷って洞窟から出られなくなってしまうよ、という単純明快なストーリーの映画。日本語版タイトルは、巨大洞窟を探検する映画「サンクタム」から取っている事は明らかであるが、中身としてもしっかり似た系統の作品である。しっかり洞窟を探検するし、しっかり迷うし、しっかり殺し合いもする。怪物も出てこない。サンクタムが好きでこの映画を観てみる人でも、ある程度楽しめるだろう。 さて、ではサンクタムとはどう違うか?というところで、この映画のキーワードを挙げてみよう。「休暇」「おバカな若者グループ」「旅行」「人里離れた地」「携帯の電波がない」。おわかりだろうか。これはもう、映画「死霊のはらわた」などの系譜と言っていいのではないだろうか。つまり、日本語タイトルとして拝借しているサンクタムとは少し毛色の違う、B級ホラー映画である(サンクタムは、割と真面目な路線のスリラー映画である)。しかしこのB級映画のパターン化された、様式美とも言える作り。人を選ぶと思うが、面白いのである。正直私はこの系統の映画はいくらでも飽きずに見続けられる。注意すべきこととしては、幽霊や怪物、地底人等は出てこないということ。
原題:Searching 製作年:2018年 製作国:アメリカ 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 監督:アニーシュ・チャガンティ 製作:ティムール・ベクマンベトフ、セブ・オハニアン、アダム・シドマン、ナタリー・カサビアン キャスト:ジョン・チョウ、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー ほか (以上、映画.comより) (あらすじ) 主人公デビッド・キム(ジョン・チョウ)は、娘マーゴット(ミシェル・ラー)と二人で暮らしていた。以前は良好な家族関係であったが、妻のパメラを癌で亡くしてからはマーゴットと疎遠になっていった。ある日、マーゴットは勉強会に参加するために外泊すると言って出かけたが、その晩にデビットが就寝中、マーゴットからの着信が三度あった。そして翌日に連絡するも一向に返事がない。不審に思ったデビットは警察と協力し、マーゴットのSNSやPC内の情報から、消えたマーゴットの行方を捜す…。 83点/100点 物語のキーがSNSであり、パソコンの画面が多用される実に挑戦的な作品。ジャンル的にはスリラー・サスペンス映画に分類されているが、実際はミステリー映画である。人々の様々な言動、そしてSNS内の画像や文章に手がかりが散りばめられており、注意深く鑑賞すれば観客もしっかり推理できる。とても良質なミステリー映画作品である。 ストーリーとしては、前述したように消えた娘の行方を父親が探すという単純なものであり、最後までぶれない。しかしその中でも話は二転三転し、飽きさせない作りは大したものだ。はたして娘がいなくなったのは家出なのか、事故なのか、誘拐なのか、それともまた別の何かなのか。ハラハラしつつも、最後まで楽しく推理できる。
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved. 原題:A Quiet Place 製作年:2018年 製作国:アメリカ 配給:東和ピクチャーズ 監督:ジョン・クラシンスキー 製作:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッドリー・フラー 製作総指揮:ジョン・クラシンスキー キャスト:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンス、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ、ケイド・ウッドワード ほか (以上、映画.comより) (あらすじ) 2020年、宇宙からやって来た怪物のために世界中が恐怖に陥っていた。怪物は盲目であったが、極めて鋭敏な聴覚を有しており、それを利用して人間を食い散らかしていたのである。そんな世界を逞しく生き延びていたのがアボット一家であった…。 42点/100点 怪物もののホラー映画であるが、ポストアポカリプスものの一種である。主人公一家以外の人間はほぼ全滅しており、インフラは全く機能していない。街は寂れ、店でも好きな商品を取り放題。そんな舞台で、主人公一家は息を潜め、物音一つ立てないようにし、怪物から逃れ生き続けている。その怪物は小さな音や声に反応して即座に襲ってくる。そんな、一家VS怪物の話である。 この映画、掴みは本当によい。スーパーマーケットで一家が薬を物色するところから映画は始まるのだが…音の全くない画面の中で、彼らは本当に慎重に行動をし、「音を立てる事がいかに危険か」という事を、言葉なしに観客に説明してくれるのだ。また、荒廃した街並みも美しく、とてもよい雰囲気を出している。
(C)2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (C)2018 Hasbro. All Rights Reserved. 原題:Bumblebee 製作年:2018年 製作国:アメリカ 配給:東和ピクチャーズ 監督:トラビス・ナイト 製作:ドン・マーフィ、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ、マイケル・ベイ キャスト:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ホルヘ・レンデボルグ・Jr、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン ほか (以上、映画.comより) (あらすじ) 舞台は映画シリーズ第一作「トランスフォーマー」の20年前となる1987年のカリフォルニア。主人公である少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は自分の車を欲しがっていたところ、廃品置き場で黄色いフォルクスワーゲン・ビートルを発見する。このビートルこそがバンブルビー(B-127)であった。チャーリーとビーは友情を育むが、ビーを負う連中に目を付けられることとなる…。 70点/100点 今までの「トランスフォーマー」シリーズではバンブルビーの相方はサム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)であったが、この映画はバンブルビーとサムが出会う前の話。そして今までの映画シリーズではバンブルビーといえば黄色いカマロであったが、今作での彼の変形後の車種はビートルである。カマロの特徴的なデザインに愛着があったファンも多かったであろう。しかしシボレーファンへのサービスもしっかりある。カマロに加えてコルベットも登場するのだ。なお、バンブルビーがビートルに変形するというのはこの作品が初めてというわけではなく、初代アニメで使われていた設定である。
原題:The 5th Wave 製作年:2016年 製作国:アメリカ 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 監督:J・ブレイクソン 製作:トビー・マグワイア、グレアム・キング、マシュー・プルーフ、リン・ハリス キャスト:クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、ロン・リビングストン、マギー・シフ、アレックス・ロー (以上、映画.comより) (あらすじ) 異星人の宇宙船"アザース"が突然地球に現れ、波状攻撃を仕掛ける。第一波から順に、電子回路の破壊、天災、疫病など…異星人の攻撃により地球人側は多大な損害を受けていく… 45点/100点 アメリカのヤングアダルト小説(日本でいうライトノベルのようなもの)の実写映画化作品。つまるところは、少年少女を対象にしたライトな作品であるが、日本では「超大作SF映画」というような宣伝がされていた。もちろん邦画でも同じような作品規模に合わない過剰な表現の宣伝が多々される事は多い(テラ・フォーマーズや進撃の巨人等…)。しかしそれらと観客のとらえ方が違うのは、日本での原作の知名度の違いに他ならない。原作小説「フィフス・ウェイブ」はアメリカでは大ヒットしているが日本では全くと言っていいほど売れていない。自分もこの原作小説は未読なのでこれがどれだけ優れた作品なのかは言及できないが、日本はもっと他国の文化を幅広く学んだ方がいいのかもしれない。 はじめに長ったらしく書いてしまったが、つまり何を言いたいか。この映画は、映画「テラ・フォーマーズ」「進撃の巨人」と同様の、ダメダメ実写映画化作品だということだ(それら2つの映画はレビュー記事を起こす気にもならないが)。この映画はツッコミどころの多さと構成の悪さがひどく、あまり褒めるところがない。
(C)ENBUゼミナール 製作年:2017年 製作国:日本 配給:アスミック・エース、ENBUゼミナール 監督:上田慎一郎 脚本:上田慎一郎:市橋浩治 撮影:曽根剛 録音:古茂田耕吉 キャスト:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学 ほか (以上、映画.comより) 87点/100点 映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品。いわゆるインディーズ映画だが口コミで高い評判が広がり、全国で拡大公開されるという異例の大ヒットを記録した。 公開直後に映画館へ足へ運び感銘を受けた作品。無事地上波デビューも果たされたため、記事を書いてみよう。 説明不要だとは思うが、この映画は「ゾンビ映画を撮影する」映画である。ジャンルとしては、コメディ映画として分類されるだろう。これ以上のストーリーの紹介はネタバレになってしまうので書かないでおこう。というのも、この映画が数々の人により紹介されるたびに言われてきた「ネタバレ厳禁」、これはこの映画を100%楽しむためには守らなければいけないことだ。だが他の「どんでん返しの類で驚かせる」ようなネタバレ厳禁映画と違って、ネタがバレていても楽しめる映画とも言えるのではないか。どんでん返しだけの一発映画ではなく、巧妙かつ絶妙であるストーリー構成に高い価値があるからだ。
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 82点 ネタバレ無し感想
(C)2014 BBP IMITATION, LLC 原題:The Imitation Game 製作年:2014年 製作国:イギリス・アメリカ合作 配給:ギャガ 監督:モルテン・ティルドゥム 製作:ノラ・グロスマン、イド・オストロフスキー、テディ・シュワルツマン 製作総指揮:グレアム・ムーア キャスト:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、マーク・ストロング、チャールズ・ダンス 等 (以上、映画.comより) 82点/100点 ナチス・ドイツの解読不可能と言われた暗号機「エニグマ」の解読機を開発し、連合国を勝利に導いたアラン・チューリングの話。 キャストは、主役アラン・チューリング役のベネディクト・カンバーバッチ、ヒロインであるジョーン・クラーク役のキーラ・ナイトレイ。この二人は特に、言うまでもなく極上である。ベネディクト・カンバーバッチはこの映画以外にもシャーロック・ホームズ役やドクター・ストレンジ役など、知的(かつどこか変)な役をうまくこなす。 この映画の特徴として、戦前(アランの学生時代)、戦中(暗号解読機の製作)、そして戦後の3つの時間軸が存在する。もちろんメインとなるのは戦中の時間軸であり、ところどころで戦前、戦後のシーケンスが挿入される構成となっている。アランがどう考えて行動したか、過去の出来事がどう影響しているか、を探る手掛かりが少しずつ与えられていく上で、エニグマ攻略の様子が描かれていくという構成である。戦中と戦後の映像の区別が直感的にわかりづらいという事はあるが、この構成が実に上手く働いている。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation 原題:Logan 製作年:2017年 製作国:アメリカ 配給:0世紀フォックス映画 映倫区分:R15+ 監督:ジェームズ・マンゴールド 製作:ハッチ・パーカー、サイモン・キンバーグ、ローレン・シュラー・ドナー 製作総指揮:スタン・リー キャスト:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ボイド・ホルブルック、スティーブン・マーチャント、ダフネ・キーン 等 (以上、映画.comより) 80点/100点 X-MENのキャラクター「ウルヴァリン」を主人公とした映画作品スピンオフシリーズの第3弾。 現在、X-MENの映画化シリーズで時系列的に一番最後にあたる作品。ただし、「X-MEN: フューチャー&パスト」によりウルヴァリンが過去へ戻った事により新たな時間軸世界が誕生したということもあり、今後更に新たな時間軸世界が発生することも考えられないわけではない。そのため、これが「X-MEN」の最後、ウルヴァリンの最後、と決めつけるのもよくないと思うが、まあこれがヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの最後には違いないだろう。 さてこの映画はとても特殊である。X-MENシリーズで最も人気がある、不死身でエネルギッシュなウルヴァリン。彼が老い、全盛期ほどの力も失い。その果てが、この「ローガン」というロードムービーであるという意味。これを理解し、受け入れるというのは我々視聴者には簡単な話ではないのだが、受け入れるしかないのだ。この映画には一般的なヒーロー映画(今までの関連作品含む)のような派手で華やかなものはなにもない。薄汚れた街、荒れ地が舞台であり、疲れ果てた満身創痍の男が主人公。映画全体のテンポもこれまでのシリーズではありえない程に鈍重であり、暗い雰囲気だ。「X-MEN」シリーズ自体も他のアメコミヒーロー映画とは違い、ほぼコメディ要素を排除したシリアスな映画シリーズという特徴があるが、ローガンではその方向を維持しつつ更に斜め上へ特徴を伸ばし続けた形か。
(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会 製作年:2017年 製作国:日本 配給:ファントム・フィルム 監督:大九明子 原作:綿矢りさ 脚本:大九明子 エグゼクティブプロデューサー:福嶋更一郎、津嶋敬介 キャスト:松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海、趣里 (以上、映画.comより) (あらすじ) 恋愛経験のないOLの江藤良香(松岡茉優)は、初恋の相手であるイチ(北村匠海)への偏執的な愛情を抱き続けていた。そこで職場の二(渡辺大知)から突然告白され、二人の男の間で悩む。 70点 綿矢りさによる恋愛小説の実写映画化作品。 さて、まず割とどうでもいいことだが、致命的な事を言いたい。主人公は恋愛経験ゼロのオタクOLという設定。そういう設定…なのだが。松岡茉優だ。いかに眼鏡をかけさせ、髪をやぼったくさせ、センスのない風な私服を着させても、松岡茉優だ。素材がよすぎるのだ。というか、OL役だからしょうがないとはいえしっかりメイクしているし、恋愛経験ゼロな雰囲気を出せるわけないのでは。と書きはしたが。この映画は松岡茉優の映画だ。とにかく彼女の演技が全てなワンマン映画だと言える。彼女の凄いところは、全身を使ってしっかり演技をするところだ。舞台俳優に近い感じの雰囲気である。とにかく演技が派手で、華がある。恋愛経験ゼロな雰囲気は残念ながら出せていないが、それでもまあいいか…と思えるくらいに、いい演技だ。 そしてこの映画、ミュージカル要素もある。あまり大きなウエイトを占めてしるわけではないが、要所要所で歌が流れ、登場人物が躍る。この歌を歌うのが松岡茉優。熱唱。驚きの上手さである。突然ミュージカルになるという演出はかなり特殊ではあるが、主人公の変な性格を表現する上手い演出になっていると言える。
(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation 原題:Alita: Battle Angel 製作年:2019年 製作国:アメリカ 配給:20世紀フォックス映画 監督:ロバート・ロドリゲス 製作:ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー 製作総指揮:デビッド・バルデス 原作:木城ゆきと キャスト:ローサ・サラザール、クリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ、キーアン・ジョンソン 等 (以上、映画.comより) (あらすじ) 数百年後の未来。スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータ(ローサ・サラザール)は、サイバー医師のイド博士(クリストフ・ワルツ)の手によって新たな体を与えられ目を覚ます…。 90点/100点 木城ゆきとによる漫画「銃夢(ガンム)」のハリウッド映画化作品。監督は「シン・シティ」のロバート・ロドリゲス、製作に「タイタニック」「アバター」のジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドーのタッグが名を連ねる。 予告動画が公開される度に各所で話題に上っていたアリータバトルエンジェルが、満を持して公開された。製作陣は実に豪華であったが日本の漫画作品のハリウッド映画化。下手をしたら出来がひどいことに…とも危ぶまれていたが、その結果は。 「大成功」と言っていいだろう。素晴らしい実写映画化であると言える。原作の世界観を崩しておらず、その上で新たなエッセンスを追加して122分の映画作品にまとめている。ここまで凄い実写化作品というのは歴史的とさえ言えるのではないか。 さて、何が凄いか。まずは未来の街並みを綺麗に描いていること。数百年先の未来という設定だが、まるで本当に未来に見に行ったかのような街並み。空気感がとても自然で、すぐに頭に入ってくる。また、街並みだけでなく文化、服装などの細かい設定も実に上手く作りこまれていると言える。この部分についてはまさに、軽々と原作を超えてきていると言える。
ランダムに繋がった電話を命綱に助けを求める既婚女性と、電話から得る少ない手がかりを元に事件を解決しようとする青年が主人公のスリラー映画。
(C)2003 TWENTIETH CENTURY FOX 原題:Phone Booth 製作年:2003年 製作国:アメリカ 配給:20世紀フォックス映画 監督:ジョエル・シュマッカー 製作:デビッド・ザッカー、ギル・ネッター 製作総指揮:テッド・カーディラ 脚本:ラリー・コーエン キャスト:コリン・ファレル フォレスト・ウィテカー ケイティ・ホームズ ラダ・ミッチェル キーファー・サザーランド (以上、映画.comより) (あらすじ) 主人公スチュー(コリン・ファレル)は、自称やり手のメディア・コンサルタント。口が達者で、他人を自分の道具として利用する男だった。ある日、スチューは不倫を企てていたところ、彼が切ったばかりの公衆電話から電話がかかってきた。電話相手はスチューに次々と指令を出し、逆らうとスナイパーライフルで狙撃すると言う…。 83点/100点 物語がほぼ全編にわたり、一つの電話ボックスだけで行われるワンシチュエーション映画。 これは実に、本当にとてもよく出来上がったサスペンス映画である。息をつかせないハラハラ感とはまさにこのこと。主人公は電話ボックスの中にいて、スナイパーがどこかから監視している。これだけなのに、全く飽きない。常に緊迫した状況を楽しめるのだ。というのも、登場キャラについての綿密な設定と行動。これが洗練されている素晴らしい脚本から成る映画作品だからだ。主人公スチューは今まで口先だけで社会を渡ってきたやり手。ただし、それ故に恨まれやすい。そこにつけこむスナイパー。この、主人公スチューの設定が絶妙だ。他人に対して傲慢に振る舞ってきた事。しかし、スナイパーに追い詰められていくにつれて自分の罪を認め、考えを改めていく。その様が実に迫真である。そして、感情移入してしまう。何故か?この主人公スチュは極悪人というわけではなく、傲慢と言っても、言ってしまえば「性格が悪い」レベルなのである。観客側も共感しやすいのだ。
原題:Don't Breathe 製作年:2016年 製作国:アメリカ 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 映倫区分:PG12 監督:フェデ・アルバレス 製作:サム・ライミ、ロブ・タパート、フェデ・アルバレス 製作総指揮:ネイサン・カヘイン キャスト:ジェーン・レビ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾバット、スティーブン・ラング 等 (以上、映画.comより) (あらすじ) アメリカのデトロイトが舞台。育児放棄の親と暮らす不良少女ロッキー(ジェーン・レビ)は、妹と共にいつかこの街を抜け出そうと考えていた。そこで、ボーフレンドのマネー(ダニエル・ソバット)と、友人のアレックス(ディラン・ミネット)と共に空き巣をして資金を確保しようとしていた。何度かの成功を収め、次に選んだの視覚障碍者の老人の家。しかしその老人は恐るべき聴覚の持ち主の退役軍人であった…。 69点/100点 リメイク版「死霊のはらわた」のフェデ・アルバレス監督のサイコスリラー映画。簡単に言うと、空き巣を繰り返す若者達3人が、超人おじいさん在宅中の家に忍び込み、戦う話である。この映画は大成功を収め、小さくない影響を映画界に与えた。 さて、音を立ててはいけない、という系統の映画はこれまでも無数に存在していた。2018年にもそれを前面に押し出した「クワイエット・プレイス」が公開されたが、他にも、サバイバル系の映画としては割とメジャーな要素である。そういった映画では音への反応がどの程度敏感かという事も重要な要素となるが、この映画の敵である老人は、人間離れをした聴覚で、小さな音にでも反応するという怪物的な「設定」である。また、老人の他に番犬も敵キャラとして主人公の前に立ちはだかる。 この映画の面白いところはやはり、音を立ててはいけないというハラハラ感である。特に序盤の緊迫感は素晴らしく、家への侵入前後はまさに手に汗を握りながら主人公達を見守ることができる。
(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved. 原題:Train to Busan 製作年:2016年 製作国:韓国 配給:ツイン 監督:ヨン・サンホ 製作:イ・ドンハ 製作総指揮:キム・ウテク 脚本:パク・ジュソク 撮影:イ・ヒョンドク キャスト:コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク、チェ・ウシク 等 (以上、映画.comより) (あらすじ) エリート仕事人間のソグ(コン・ユ)は、妻と別居し、娘のスアン(キム・スアン)と暮らしていた。スアンに全く構ってやれていなかったソグだが、スアンの誕生日に言われた「釜山のお母さんに会いたい」という要望を聞くため、二人でソウル発釜山行きの高速列車KTXに乗り込んだ。しかし車内でゾンビウイルスが蔓延し始めるのだった…。 81点/100点 韓国発のゾンビ映画。KTX(日本で言う新幹線)の中で起こるゾンビパンデミックを鮮烈に描く。様々な映画祭で賞を受賞する等高い評価を得た。日本でも韓国公開の一年以上経ってから鳴り物入りで公開がされ、多くの観客の心を掴みゾンビ映画では異例の大ヒットを記録した。 この映画の特徴としてはやはり、電車の中が舞台だということ。ゾンビ+電車という要素の組み合わせがまた面白く、抜群の相乗効果を発揮している。電車の中でゾンビの感染が広がっていく。しかし外もゾンビだらけで降りることはできない。どう生きるか。そしてそれだけだと単純な話に思えるが、脚本がまた秀逸であり、観客を飽きさせない様々な面白い展開を見せる。これでもかとアイディアが詰め込まれたゾンビ映画なのである。 ゾンビの系統としては、リメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッド」に代表される、走る高速ゾンビである。キビキビ動き、車両の中を所狭しと走り回る。これが実に恐ろしい。時速300キロを超えるKTXの中ということもあり、かなりのスピード感を演出してくれる。また、噛まれてから割とすぐにゾンビ化(個人差があるようだが…)するという特徴もある。ゾンビメイクも特徴的で、上手い具合に「韓国流ゾンビ」が出来上がっている。
(C)STUDIOCANAL S.A.S. 原題:The Commuter 製作年:2018年 製作国:アメリカ・イギリス合作 配給:ギャガ 監督:ジャウム・コレット=セラ 製作:アンドリュー・ローナ、アレックス・ハインマン 製作総指揮:マイケル・ドライヤー、フアン・ソラ キャスト:リーアム・ニーソン、ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、サム・ニール、エリザベス・マクガバン 等 (以上、映画.comより) (あらすじ) 10年間勤めてきた会社から突然、解雇を宣言されたマイケル(リーアム・ニーソン)。失意のまま普段通りの通勤電車で帰路につくが、電車の中で見知らぬ女性に、「乗客の中からとある人物を見つけ出せば10万ドルを支払う」と突然言われ、事件に巻き込まれる…。 80点/100点 「アンノウン」「フライト・ゲーム」「ラン・オールナイト」に続く、ジャウム・コレット=セラ監督と、リーアム・ニーソン主演の4度目のタッグ作品。このタッグ作品ということが意味することは何か?鉄板の面白さだという事だ。この作品も例外ではない。批評家達の評判はそれほど高くはなかったとのことだが、公開初週末に1370万ドルを稼ぎ出すヒット作となった。 さて、あらすじからもわかるように、これは「陰謀に巻き込まれる系」映画である。このジャンルは基本的に、主人公が大きく不利な状況からスタートするものであり、それだけでスリラーとしては面白くなりやすい。ただし、このジャンルの難しさは、風呂敷の広げ方、畳み方の難しさだ。陰謀に巻き込まれて面白くするのはよいが、映画一本で話がまとめきれないと消化不良になってしまう。その点、この映画は綺麗に、最後に陰謀も含め解決するので安心してよい。伏線の張り方もちょうどよい。 では、なぜそこまで綺麗に話がまとまるのか?それは、映画の舞台がほぼ「電車の中だけ」で完結するからだという事が大きい。不必要に多くの登場人物もいないし、話が広がりすぎもしない。話もわかりやすい。実にいい塩梅が作り出せるのである。
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