わたしはいずれ消えるよ そう言っていた彼が本当に消えてしまってから長いときが経ち、ようやく、午後の穏やかな光と共に届いたメッセージは・・・ 私のエッセンスは 大海原に流れ出す川の水の中の砂金のようなものだ。 あなたの傍を横切ることは稀だろう。 それでも、私はあらゆる気配の中に在ってあなたを片時も忘れずに 抱き続けている。 あなたを取り巻く世界ごと抱き締めている。 数多に届く不可視な光線の ひとつとして 私は あなたの元へと降りて行く。 繰り返し繰り返し あなたの揺れる眼差しの先へと 降りて行く。 ・・・囁くようで、春の花のように 儚げな香りがしたのだった。 にほんブログ村
彼は説明を続けた。 ハート自体が 次元を越えて繋がる為の装置だ。 製造元の意図に基づいた 多種な機能が装備され越えない為の制御装置も搭載されている。 これを使いこなす為にはどのルートで装着したかによりマニュアルが違う。大きく分けて二つのルートがあり、そこからまた細分化されている。 大枠のひとつは、正規ルートだ。製造元が直接取り付けている。この場合は操作方法もシンプルかつ単純だ。更に、多くのテクニカルサポーターが投入されている。しかしリスクとして、製造元の範疇から出ることは容易ではなくなる。何より、製造元の意図を反映することが優先されているからだ。まあ、出ることを目的としていた場合のリスクだが。…
彼女が好きな場所は 触れたら 懐かしさと 朝陽のような温かさに涙が溢れてしまう場所 律動が 調べとなりそれ以降へと波及していくセカイ 柔らかな絹のような波が 寄せては返し 宇宙の呼吸のように 満ちていくセカイ 花のように 現れ揺れては香り 寄り添い在る セカイ にほんブログ村
彼の恨みと怒りは治まることがなかった。 毎日欠かさず何キロも歩いて、急な岩ばかりの山を頂上まで登り、天を仰ぎ唾を吐いていた。 山を降りると、泥でできた貧相な家に籠り誰とも関わらず生きていた。 彼は本意でなかった経緯で今があることを深い部分に刻み覚えていたし、今の自分は「神」から打ち捨てられたと、見捨てられたと感じ惨めな気持ちの末の、恨みつらみの中だけで生きていた。 確かに、彼が「記憶」している「本意でない経緯」は、ここに降りる前に起こった真実であったが「見捨てられた」という思いは、勘違いでしかなかった。 決して「自分自身」は「自分自身」を見捨てることも失望し打ち捨てることも無い。 時に真実と勘…
ルールとして アトラクションを楽しむための ルールとして記憶を閉じて 投下した。 そう、あくまでも沢山ある「ルール」のひとつであり自分に「必要」であるかどうかは 別の話し。 また、アトラクションを楽しむことを目的としない場合もこれに沿わなければならない。 その上で、自分のしたいように進めていく。 事情は立場に合わせてみな違う個性も違う目指すことも違うみな一様ではない刻々と変化もする そこを起点としての「思い出す」であり「どうしたいのか」ということ。 ルールはあくまでもルールであり全てでもなければ 絶対でもない。 にほんブログ村
垣間見た、自分とソースを同じくする欠片のセカイはこちらと同じ時間軸のような感覚で存在していた。 やがて、自分という認識は無いが確かに同じ欠片同士である彼も こちらが見ていることに気づいたのだった。 アイコンタクトならぬ ハートを通じて交わす会話は 自分たちのセカイが、現在どのようにリンクしているのかを伝えあっていた。 ハートの中に雲の向こうに隣り合う空間に 彼の存在と 彼の今が息づいていた。 にほんブログ村
優雅に装飾された何本もの大きな柱に支えられた白く巨大な建造物の前の階段に彼は座っていた 建物と同じく彼にも色は無く その目元には 優し気な光が射してはいるが一見すると 冷たく感じるような面立ちと空気感である。 この場所にはあらゆるセカイの記録が保持されており彼はここの管理人のようだった。 管理人といっても彼が特段何をするというわけでなくいわば、彼がここの「鍵」であり、建物自体が彼であるともいえた。 白く静謐な空間で 「 そしてここは あなたにとっての聖域でもあるのだから時々は来るといい 」 彼は涼やかに微笑んで、そう云っていた。 あれから随分と長く行っていなかったと思い出したのは ついさっきの…
特別よく何かをしたようだ という時や 大きな調整が入る時に微睡んでいると 宇宙船の中に居ることがある。 という感覚になる、という理解でも。 今回は、白いコクーンの中で休んでいたようだ。 宇宙船の中の部屋は(もっと他の表現の方があっている気もするが、平易に表すにはこれがいい)ひとつの次元にあるだけではなく、それは宇宙船自体もそうだが、それとも別に個々に層をまたがり存在する。 というのか、そうさせたりもする。 今回もそんな一室で、調整されていたようだ。 こんな時はごく短い時間でも目覚めると(完全に寝てはいないけど)身体も意識もかなりスッキリしている。 スッキリはしているが、エネルギッシュになるとい…
自身の内側深く降りていくとき いくつもの層を感じることもできるだろうけど そこも気にとめず ただゆったりと静かに その空気感を撫でながら 深く深く入っていく。 微かな温もりを捉えたら それは 内から外から と セカイを拡げ 時にさり気なく 時に圧倒的な存在感で 肉体を含めて 包んでいく。 自身と一緒にセカイも動く その有様を感じつついつもの時を刻む 日々。 にほんブログ村
そこに行こうと思ったのは 決して好奇心からではなかった。 それには、リスクがあまりに大きすぎて割に合わない。 自分たちのしでかした後始末。 端的に言えば、そんなところだ。 ここに来るずっとずっと前の段階 「ソウル」といういれものを纏ったときに起因する トラブルの回収作業に ピッタリの現場であり演習場として ここはあった。 もうそのことも うっすらとした 影みたいなものだが。 にほんブログ村
例えば、自分の身を守る時には 幾通りもの所作が 「詩」 のように織り込まれている。 時には、 魔物と呼ばれるような異なる種族の侵入を拒むとき、 彼らの好物と心地よい暫しの眠りが用意されたり 時には、 自分を囲む光に「自分の個性」の賛美が縫い止められていたり、 時には、 繊細な力加減と、放出する情熱のコンビネーションで 無効化を図ったり、 その都度であり、決まった「カタチ」はなく 対峙する瞬間に生まれる 魂のやりとりだったりするのだろう。 にほんブログ村
自分の周りを シャボン玉のように透明で薄い膜のようなものが囲んでいる そこには あらゆる景色が映し出された 2次元的な映像のようでもあり臨場感ある 4D画像のようでもあった。 どちらにしても 自分が居るのはその景色の中ではないということがわかっている。 別のバージョンもある。 シャボン玉ごと 景色の中に溶け込み既に薄い膜は消えそれでも その場と自分が元居た場所との両方に存在していることがわかる。 細かく言えば、これら以外の 状況もあり 私達が感知できうる世界は思いのほか広いようだ。 にほんブログ村
城の中か船の中なのか 壁いっぱいの大きな窓も柱も 高く 見上げた先は 天井の 小さな光が瞬く碧の中に消え足元にも 同じように 深淵な藍の世界を湛えていた そんな大広間があった 自身の純度を更に高め澱みない響きを 内に多次元のゲートを透過させ また 空間へと 還していく 彼は、大きな決断のあとにここを訪れてはそのことを幾度も 繰り返していたのだった にほんブログ村
その少年は星を見ていました。 星を見て そこから送られてくるエネルギーを管理するのです。それが彼の仕事でもありました。 かつて天上にある星々は 少年のように地上に住むものにとって身近にあり実際にサポートしてくれるものだったのです。 そして一方的ではなく彼らの方から働きかけることができました。星から届いたエネルギーを地上で加工するのではなくここに届くまでの段階で干渉しエネルギーを調整するのです。 少年はその仕事が大好きでした。 エネルギーの読みとりや地上との調整の難しさ、繊細な作業はいつまでも飽きることなく彼を魅了し続けました。 この時の少年の熱は、彼らの全体の中で今も息づき特定の座標はそこに心…
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