春の香りと。
わたしはいずれ消えるよ そう言っていた彼が本当に消えてしまってから長いときが経ち、ようやく、午後の穏やかな光と共に届いたメッセージは・・・ 私のエッセンスは 大海原に流れ出す川の水の中の砂金のようなものだ。 あなたの傍を横切ることは稀だろう。 それでも、私はあらゆる気配の中に在ってあなたを片時も忘れずに 抱き続けている。 あなたを取り巻く世界ごと抱き締めている。 数多に届く不可視な光線の ひとつとして 私は あなたの元へと降りて行く。 繰り返し繰り返し あなたの揺れる眼差しの先へと 降りて行く。 ・・・囁くようで、春の花のように 儚げな香りがしたのだった。 にほんブログ村
2019/02/26 23:52