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  • 参考資料に

    参考資料に - 陽のない場所にできる影

  • 資料

    資料 - 陽のない場所にできる影

  • あと麹味噌とか

    毎日の生活が変わった。 夜に酒を飲みたい気にならない。だからすることがない。したがって早く寝る。すると早く起きる。 早く起きてすること。 近所の徘徊。休みの日は中央線でテキトーな駅で降りて、まだ夜明け前の暗い街をウロウロする。降りた駅で初めて周辺図を見て、心躍る何かを探す。先日は池を見つけてテンションがあがった。また時には遺跡などに足を運んで歴史の息吹に触れる。昨日はかつての寺院跡を眺めながら「人間などひとえに風の前の塵に同じ」と呟いてきた。きっと知らない人から見たら、歴史を転生してる人に見えるに違いない。 それと変わったのは、朝からジムへ行くようになった。朝の5時くらいに行って、筋トレと有酸…

  • もしも子供ができたなら

    朝から喫茶店でトーストとゆで卵とコーヒーをたいらげて、ジムへ行った。今日は肩のトレーニング。インクラインサイドレイズ、インクラインリアレイズ、インクラインフロントレイズをきめて、それから50分ランニングをした。それが終わると家路について、シャワーを浴びた。 今日やることはすべて終わった。俺の休日のタスクはこれだけだ。つまり朝9時のこの時点で、今日の残りはすべて暇ということだ。しかし禁酒してからというもの、暇を持て余している俺は、こうした時間の過ごし方に慣れている。 おもむろに、バッグに財布だけを入れて駅へ。 東京行きの電車に乗り込むと同時に、「雀魂」を立ち上げて東風戦を始めた。この一局が終わっ…

  • 禁酒3週間

    しれっと続いている。体調は安定している。少し痩せた。ウエストの2センチ小さなスラックスを買った。 改めて考える。酒を辞めた、というけれど変化はそれに色々と付随している。以下列挙。 おつまみを食べなくなった。 サラダを食べるようになった。 夕食は量が減った。 運動を週に5日のペースでするようになった。 寝る前の歯磨きと肌のお手入れを欠かさないようになった。 映画を見るようになった。 寝る前に催眠音声(すこしエロいやつ)を聴くようになった。 これだけ変われば、それは痩せもするし健康にもなる。かといって、この変化は俺になんの負担もない。いわば自然体でこうした生活を送るようになったわけだ。 こないだ受…

  • 逢魔が時

    陽が沈むのを待って街を歩きました。 目的地はありません。どこへでも、好きな方へ好きな時に行って良いのです。もちろん、行った先が気に入らなければいつだって戻って構いません。私はいつもは行かない、ちょっと高級なスーパーでシャイン・マスカットの値段を見て驚いていました。それからロースト・コーヒー店の前を過ぎて、マンションの陰を通って階段を登り、この町を見下ろすところにある、小さな小さな公園へ向かいました。 夜を待つこの町はとても静かでした。遠く西では夕暮れの残滓が、空をかすかな紅色に染めています。夕暮れと夜との間のこの時間。そこに丁度良い名前はありません。時と時との狭間。いうなれば孤独の時です。 ラ…

  • 禁酒6日目

    頭が痛い。左側の偏頭痛。風邪をひいたかと思う。昨日あたり、そういえばクシャミが止まらなかった。いつもならこれ幸いとばかりに早退するのだが、今日は休みの同僚が多かったので最後まで仕事をした。 と言いたいところではあるが、新型コロナウイルスの感染者が出たとのことで午後3時には強制的に帰宅させられた。職場に消毒が入るらしい。 帰り際。仲の良い上司からLINEで「いきますか」とメッセージが来た。もちろん、酒の誘いだ。考える間もなく断った。禁酒中なのだ。迷うことなく断れたのは、しかし自分でも少し意外だった。酒を飲むことが、なんだか汚らわしく見えてきている。いつまでそう見えているかは分からないけれど。 帰…

  • 禁酒5日目

    今日はテレワークの日。本当は仕事にいかなくても良い日だったが、家にいてもすることがないので仕事に行った。そして午後3時くらいに帰ってきた。 ジムでHIITをやってきた。英語だから何言ってるか分からない。いつまで苦行が続くのか全く分からずに、肉体の前に精神的にやられた。すごくきつかった。 俺は最近、ニューハーフヘルスに少し興味を持ち出している。いわゆる男の娘。ここに手を出したらノンケとホモとの境目に俺自身が繰り出すことになる。いや、それはもはやホモだという説もある。新しい経験もしておきたい俺としては、実に悩ましい。禁酒をすると、あらゆることに積極的になる。一週間前まではニューハーフヘルスなんて想…

  • 禁酒4日目

    恋に落ちた。相手はジムのインストラクター。 俺自身が根暗な人間なので、その逆を求めてしまう。「下へ向かって打つよっ!」という、その明るい言葉に、恋に落ちた。彼女のプログラムに出るたびに、俺は恋に落ちている。 格闘技の動きをベースにしたプログラムだった。一応俺はプロの端くれだ。皆の前でやっている彼女の蹴りやらパンチやらに、改善点はある。でもそんなのはどうでもいい。可愛らしいから。あと声が良い。8歳くらいのショタの声っぽい。 根暗な俺は根暗な女とこれまで付き合ってきた。池の水底に沈み込む落ち葉のように、しっとりとした関係性だった。あるべきものがあるべきところに落ち着くような、そんな安心感。やがて飽…

  • 禁酒始めた

    一昨日から禁酒している。俺は19歳から毎晩飲んでいる。量は大体500mlの本搾りを一本飲んで、それからハイボールだ。700mlの角瓶は2日で無くなる。肝臓の値は今年の8月の健診で要再検査になった。それから検査はしていない。煙草は今年の正月から辞めている。禁酒は時々するが、1週間と持たずに終わっている。 禁酒初日 2020年10月10日(土) 酒を飲む前から吐き気があった。ここ何ヶ月か、そういう日が続いていた。鳩尾の右側と背中が痛む。肋間神経痛か膵炎か分からない。または肝臓かもしれない。そう悩むのが嫌で酒を辞めることにした。 何もすることがなくて、夜8時には横になる。いつの間にか寝ていた。 禁酒…

  • コロナにのる

    新型コロナウイルス感染症とやらが流行っているらしい。 俺の職場も頑張って対応しようとしている。プリクルに派遣したり病床を空けたり、できることから頑張ってる。 その影響で俺も在宅勤務などを行った。 これはとても快適だ。 革命的だと言っていい。 下らない電話だの愚痴だの文句だのそれら非生産的な一切、一切を聞かなくて良い。 色々と書こうと思っていたのだけれど、今夜はスーパームーンらしい。それだけ書けば、なんだか十分だ。

  • あと「死霊」を頑張って1冊読み終えた。

    気付けば半年ほど放置していた。このブログ。俺にとって大した意味などないのだろう。 色々と変わったことはあった。でもそれも小さなことだ。たとえばドストエフスキーの「悪霊」を読んだことや、近所に海鮮丼の美味しいお店ができたことや、コロナウイルスが流行ったこと、親しい数人の人物が亡くなったことなんかだ。 これらのひとつひとつは大きな意味を持ち得るのだし、それが俺の人生に影響を与えることだってあったろうと思う。でもこれらの出来事と俺の年表とは合わなかった。これらの出来事は俺の年表の中では下の方、南アメリカ大陸のパラグアイあたりで起きたことのように記されている。これから起きることだってそうだ。こうした類…

  • まずいんだよ梅割りなんて

    生きることの辛さを感じることがある。 それは仕事で。 しかし。 誰かが俺を怒ったわけではない。 誰かが俺のミスをあげつらったわけではない。 そうした辛さではなく、たぶんそれは「孤独」と呼ばれる辛さ。 飲み会の最中につまらなさを顔に出した。 つまらないから。 仕事の話は。 上司連中の話は。 こんなことに「一生懸命」になれる奴らの話は。 俺にとって楽しいことは他にあるのだ。ここで話を合わせるよりも、はるかに楽しいことが。 どこにあるのだ、それは? 俺が辛いのはそこだ。

  • ルーは辛口を使った方が美味しい。

    目が覚めた。スマホを取り寄せると、時刻は6時20分。昨夜の赤ワインが少し残っている気がして、歯を磨く。 7時を待って、近所のスタバへ。 水出しコーヒーを注文する。どうしても「コールド・ブリュー・コーヒー」とは言えない。こんなめんどくさい名称、いちいち呼ぶか。心の中でそう思いつつも、あくまでにこやかに、可愛らしい店員さんへ告げる。「水出しコーヒーを頂けますか?」と。 会計を済ませたところで店員さんに尋ねられた。 「お客様、あずきは大丈夫ですか?」 えぇ大丈夫ですよ、と答える。すると、 「もし良ければこちら、新商品なんですが、ご一緒にどうぞ」 と、小さなケーキを渡された。マニュアルなのだろうが、ほ…

  • 愛しさと切なさと心弱さと

    初めて競馬へ行った。知り合いに誘われて。 賭け事は嫌いだけれど、悪くなかった。なにしろ競馬は100円から賭けることが出来るし、競馬新聞の予想通りに賭ければその新聞代くらいは稼げるのだ。 一番面白かったのは、レースの終盤で玄人らしく酔っ払ったおっさんが「そのまま、そのままだ! 余計なことすんな!」と叫んでいたことだった。おっさん自身が余計なことをしに競馬場へ来ているのに、その言い方はとても面白かった。 午後1時から5時前くらいまで競馬場にいて、結果はプラス500円くらいだった。時給100円。ハイボールを飲みながらそれだけ稼げれば言うことはない。 しかし競馬を見ているとどうにもやり切れない気持ちに…

  • アイドルが堕ちるのは興奮する

    俺の親戚にアイドルがいる。 あまり有名ではないが、アイドルグループに属して撮影会やらコンサートやらをやっているようだ。アイドル事情はよく知らないが、いわゆる地下ドルというのに近いのかもしれない。 時々、彼女のツイッターを見る。するといつだって相変わらず、バカな男どもから金を巻き上げている。最近は何かのオーディションだかトーナメントだかで、他の人と競っているようだ。どうやって競うのかというと、投票サイトで得票を得たり、彼女の写真を買ったり(10枚まとめて買うと、1.4倍のポイントが入るらしい)、そういうことをしてポイントを稼いで競うのだ。そして彼女のツイッターにはいつだって投票方法の解説と写真の…

  • 海賊になれないひとのために

    時々、生きる意味みたいなことを考える日がある。それはたとえば二日酔いのひどい月曜日だったり、あるいは自分の仕事を真剣に見つめ直す火曜日の午後だったりする。 つまりこんな辛い通勤をして、やってる仕事がこれか、という憂鬱にも近いのかもしれない。 なんといっても俺の仕事の下らなさは一流だ。今日も上司との打ち合わせ(といえば仕事のようだが、世の多くの打ち合わせがそうであるように、単なる悩み相談)で、下らない話ばかりしていた。PBOだのIFRSだの横文字が並ぶ打ち合わせ。始まって5分で飽きた。が、真剣に相手の目を見て傾聴しているふりをする。結果、この打ち合わせで俺が得た知見は「この人はまつ毛に白髪がある…

  • おっさんの間で

    俺は仕事というのが嫌いだ。 何が悲しくて朝からおっさんに囲まれながら職場へ向かわなくてはならないのか。この中央線のこの時間というのが非常に憂鬱だ。 そして職場に着いたら着いたで、この時期は電話が鳴り止まない。おっさんの決算書の悩みを聞きながら電卓を叩き、「こうしてみてはいかがでしょう」とテキトーな指示を出す。おっさんは時に俺の指示通り動き、時にトリッキーな動きをする。後者のおっさんはタチが悪い。こいつらを正すのが俺の仕事。 割に合わない仕事だ、と思う。おっさんらは平気で億単位の間違いをする。それを正す俺の月給はその千分の一くらい。割に合わない。 同僚は居る。3人ほど。 俺と同じ仕事をして、同じ…

  • 午前5時、国立駅から上りの中央線に乗った。目的地はなかった。 阿佐ヶ谷で電車を降りた。ホームから改札へ下り、数秒迷って南口へ。 一度も降りたことのない駅だ。朝焼けを待つ街並みにはカラスが混じっている。目的地はなかった。高円寺の方向へ向かう。 阿佐ヶ谷は、煙草の香りがどこからか漂う街。辺りを見回しても、煙草を吸っている人はいない。けれどどこかから、どうしても漂ってくる。 しばらく歩いて、アーケードへ足を踏み入れた。 ゴミが散乱している、幅が7メートルほどのアーケード街。看板には「嘔吐禁止」の文字。24時間営業の安居酒屋からは串揚げの臭いが鼻を突いた。どこかで鳴く、陰鬱な鳩の呻き声が午前6時のアー…

  • 今日はなんだか寂しい一日だった。 午前4時にふと目が覚めて水を飲もうと電気を点けた。すると部屋の壁、あの名前も書きたくもない害虫が目に入った。これは夢だということにして、またすぐに寝た。 そのことにショックを受けていたのだろう。起きたら午前11時で、再びショックを受ける。生きることはショックの積み重ねだ。 そして夕方を待ってバーへ。 ピアノの前。今度ここでライブをやるというミュージシャンが来ていた。そして、俺がウイスキーを飲んでる横でギターの自由練習を行い始めた。やかましい。わりと有名なミュージシャンらしいが、俺はここに音楽の演奏など求めてはいない。それに練習なら別にスピーカーとか繋がなくても…

  • 大体遠くで笛を吹いてるだけ

    「仕事を辞めよう」 ふと、そう考えた。 「仕事を辞めて、採集や狩猟で生きていけないかしら」 そんな発想が膨らむ仕事帰りの午後7時。つまり、どこかのモンスターハンターよろしく、貴重なキノコやら、皆を困らせるモンスターを狩って、それを売り払って暮らすのだ。これでも休みの日にはYouTubeでキノコ狩りの動画ばかり見ているから、キノコ狩りには多少の自信があって、たとえばベニテングタケとタマゴタケの違いも分かる。タマゴタケは柄の部分が黄色いし、傘にはイボイボが無いのだ。それにモンスターを太刀でぶった斬って倒すのだって、どんどんレベルを上げていけばいずれは伝説の古竜だって倒せるようになるだろう。生きるこ…

  • 今日も仕事はさぼった。

    朝を待つ夜がある。そんな夜に俺はジン・ソニックを作る。ジン・トニックではない。ジン・ソニック。ソーダとトニックで作るから、ソニック。下らない洒落。 夕暮れとともに、ライムを1個手にして帰宅した。トニックもソーダも家の冷蔵庫にたっぷりあった。だから俺がこれからすべきことは、ただひとつ。キューブ・アイスでグラスを満たし、そこにジンとライム・ジュースを注ぎ、最後にシュウェップスとウィルキンソン・ソーダでグラスを目いっぱいにすれば良い。 適当に作ったジン・ソニックを飲みながら東の空を見る。 朝を待つ夜がある。それはこんな夜のせいだった。 昔住んでいた町には、東に大きな山脈があった。この時期だと、そう、…

  • 本当は8時くらいに起きて一回吐いた

    目が覚めたら午後9時を過ぎていた。やばい、と一瞬、思う。うちの職場は9時始業だ。手元のスマホには、無断欠勤を問うラインが来ている。 一瞬うろたえて、しかし、すぐさま平静を取り戻す。 そもそも今日は仕事を休むと(勝手に)決めていた日だ。だからやがて陽の昇る朝方5時くらいまで、4件くらいハシゴしながら飲み歩いていたのだ。もともと、今日は休む(と昨夜飲み歩きながら決心した)予定だった。なんら恥じることはない。 スマホを手に取り、職場の電話番号を入力する。そしてベッドの上で土下座の体制を取りながら、一息入れて、発信ボタンを押す。 この土下座の体勢に謝罪の意味など一切ない。ただこういう体勢を取りながら電…

  • 目玉の話によせて

    高貴なものを汚すというのは快感だ。フランスの誰だかいう哲学者を引くまでもなく、誰しも知っている真理だ。 でもそれは決して高貴であることが必要なわけではなくて、要は自分と程遠いもの、手の届かないものであれば良いのだ。たとえば人妻モノを好む人たちに訊ねてみれば、きっと「もう誰かの妻になって手の届かない女性をお持ち帰りしたいのだ」という熱い思いを吐露してくれるだろう。また逆に、ロリを専門とする方々に「ロリとは何ぞや」と問えば、「かつて持っていた、しかし今はもう手の届かない真っ白なイノセントに性的興奮を覚える」とかなんとか、そのまま取調調書に記せそうな供述を得られるに違いない。 高貴なものを汚すことは…

  • 天音しおんを俺は好きである

    俺の知人が女優をやっていて、時々その舞台を観に行くことがある。今夜も仕事をジェンガのように積み上げて定時でさっさと帰り、舞台へ足を運んだ。 この知人というのは、売れてるか売れていないかといったら、売れていないのだろうと思う。いや、売れてるってどれくらいからよ?と聞かれても困る。上原亜衣は間違いなく売れてるだろうけれど、天音しおんはどうだ、と聞かれても答えに窮する。それと一緒だ。天音しおんはニッチなジャンルの巨頭である。俺の知人もまた、同じようなものだ。 会場は町の外れの場末のバー。 カウンターの席に腰を下ろして、周りの客を見遣る。色んな顔がある。まだ若い学生から、俺のようにくたびれたオッサン、…

  • 休みの真ん中でいきていくために

    三連休の真ん中の日。何をすることもなく、昼過ぎまで惰眠を貪り、夕刻になってようやく、のそのそと家を出る。家を出て、どこへ行くというあてもない。ただこの町のあいまをこそこそと歩くだけだ。暗くなるのを待って、隙間をこそこそ歩く。ゴキブリか。どこかで誰かにつぶされるのが、多分俺の人生の最後だ。 南の空に花火が上がっている。どこかで花火大会をやっているらしい。聞くところによると、あの花火というのは――特に、こんなにも遠くから見える大きな花火というのは――ひとつ打ち上げるだけで数万円から数十万円かかるらしい。俺は花火には美しさを覚えない。しかし一発打ちあがるごとに、「あ、五万円」やら「うわぁ、これで五十…

  • うぇいっ!?

    夜を待った。 午後5時半。近くの蕎麦屋へ。タコの唐揚げと秋刀魚の塩焼きをつまみながら、生ビールと焼酎を呷る。この店の蕎麦は中々美味いけれど、時間がかかるのが欠点だ。時計を見て、あまり時間がなかったので、蕎麦は頼まずに店を出た。 紺色に染まり始めた東の空。西の空は、まだ紅の彩りが残っている。まだ夜までには少し時間があるようだ。そのまま、近くのバーへ流れ込む。 季節の果物を使ったフレッシュ・フルーツカクテルに心を惹かれる。カウンターの中のバーテンダーにそう声をかける。と、返ってきたのは、 「どの果物にしますか?」 という問い掛け。何があるのか、と目で問う。 「いまですと、スイカ……は終わっちゃった…

  • ガールズバーではない

    帰りに時々俺はバーへ行く。バーへ行って酒を飲む。家で飲むのに比べて何倍もの金をかけて、家にあるような酒を飲む。薄暗いバーの雰囲気が好きだ、というのは建前で、本音はカウンターの内側にいるお姉さんが目当てだ。独身のオッサンは、お姉さんを好む傾向がある。 とはいえ、俺も大人。ウェイ系の大学生のように下品に絡むようなことは間違ってもしない。大人は静かに酒を飲む。バーとは、羽ばたくことに疲れた鳥たちが羽を休める、止まり木なのだから。 止まり木に羽を休めながら、ロック・グラスの氷を透かして、彼女の姿をぼんやりと視界に入れる。「今日もカワイイね!」と心の中でガッツポーズを取る。しかし決して話しかけはしない。…

  • えい、ちくしょう

    夜が来る。俺はいつもの夜をそうやって迎えるように、酒を飲む。夜というのは酒を飲まずには過ごせないものだと思う。 高校生の頃、夜にはコーヒーを飲んでいた。それはブラックコーヒーで、だから当時の俺は疑うことなく中二病真っ盛りだったわけだ。えい、ちくしょう。(この、「えい、ちくしょう」というのは、「カラマーゾフの兄弟」の中でよく出てきた感嘆詞だ。どこかしこで使われていたので、きっとここで使っても、間違いではないだろう) そうやって慣れないコーヒーを飲みながら、だんだんと酒を覚えていった。ビールから焼酎へ、やがてウイスキーへ至る。 王道というべきか、悪道というべきか、それは分からない。しかしとにかく、…

  • 日常の土曜日

    今日は本屋へ行った。統計学の本を探すためだ。なぜ統計学かというと、別に理由はない。なんとなく、暇つぶしが欲しかっただけだ。 『直感的統計学』。 そういうタイトルの本を見つけた。パラパラとめくる。すごく簡単そうだ。こういう、あまり頭のよろしくない人に向けた本を、俺は探していた。なぜかというと、明確な理由がある。俺の頭があまりよろしくないからだ。 なにせ高校生の頃には真っ赤なシャツに黒のジャケットという痛々しい姿で家の周りをウロウロしていたし、大学生の時にはかっこいいと思って手首にバンダナを巻いて過ごしていた。陰でリストカット常習者と呼ばれていたことを知るのは、それから5年後の同窓会でのこと。ちな…

  • かしす☆おれんじ☆

    同期が1人、今日で退職した。2人で送別会のようなことをした。俺とそいつは同期ではあるが、そいつが退職することに、何の感傷も無かった。それなのに俺から居酒屋へ誘ったのは、ただ、時には1人で飲むのに飽きて、誰かと飲むのも悪くないと思っただけだ。 会社の近くの、チキンカツが美味いことで有名な店へ流れ込んだ。それからなんだか良く分からない話をしながら、ビールと焼酎のグラスを重ね続けた。 仕事を辞めて何をするのかと聞けば、海外へ行くのだという。羨ましい限りだ。そのまま現地で人生の伴侶でも見つけてくると良い。そう言ったところ、「面倒だから伴侶なんていらないね」という。 なんとなくその辺は、俺と同じ考え方ら…

  • ブログ、はじめた

    今日からブログをはじめることにした。 何を書けば良いだろうか、と考える。少しだけ考えて、自己紹介だ、と結論づける。 30代のおっさん。いつしかそんな代名詞で呼ばれる年代になっていた。そんなおっさんは、ブログを書きたいお年頃なのかもしれない。 仕事は、なんといえば良いのだろう。よく分からない。とりあえずデスクの上には青色の芯を詰めたカランダーシュのシャープ・ペンと万年筆、それから電卓。要するに、そんなものさえあれば誰でもできる仕事だ。 趣味は酒を飲むこと。こうして書きながら、J.Ballyのラムを飲んでいる。だから俺の書くブログは支離滅裂なことが多い。それにもうひとつ趣味というか、半ば仕事みたい…

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すなっぴーさん
ブログタイトル
陽のない場所にできる影
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