昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
知人から、「能登半島地震以後、子どもが死ぬ事に怯えているが、僧侶として何か語ってくれ」といわれて、どう説明したらいいか」という問い合わせを頂いた。電話だったので「100万回生きたネコ」「花咲き山」などの絵本を親が読んであげたら良いのではないか。と提案しました。また古い本だが『死ぬってどういうこと?―子どもに「死」を語るとき』(1992/7/1・アール・A・グロルマン著・重兼裕子翻訳)も参考になるとアドバイスをしました。日頃から「100万回生きたネコ」「花咲き山」など死に関わる絵本を読みきかせておくことの大事さを考えさせられました。以前、「花咲き山」をブログで紹介したので、転載しておきます。「花咲き山」(斉藤隆介作)の話は、法照師の「この界に一人、仏の名を念ずれば、西方にすなはち一つの蓮ありて生ず。」という...「花咲き山」
『共感革命:社交する人類の進化と未来』(河出新書・2023/10/24・山極壽一著)からの転載です。なぜ人間だけに白目があるのか人類が持つ大きな特徴として、白目が挙げられる。相手の目の微細な動きから、他人の気持ちを推測できるのは、白目があるからだ。白目によって、黒目の向いている方向がわかり、相手がどこを見ているかがすぐわかる。人間だけが持っている能力、視線共有である。人間以外の霊長類で、こうした白目を持っているサルや類人猿はいない。類人猿も少し離れた相手とコミュニケーションをとる場合もあろか、白目を使うようには進化しなかった。相手が見ている方向や対象には、何らかの意図が含まれているケースが多い。つまりそれには、相手の関心を引く何かがあるということだ。それは美味しい果実だったり、危険な外敵だったり、あるいは...共感革命:社交する人類の進化と未来③
『共感革命:社交する人類の進化と未来』(河出新書・2023/10/24・山極壽一著)からの転載です。遊ぶ人間、ホモ・ルーデンスオランダの歴史学者ヨハン・ホイジンガは一九三八年に『ホモ・ルーデンス』を発表し人間社会における遊びの重要性を説いた。遊びは経済的な利益を求めないし、目的も定めない自由な活動だ。また楽しさを追求するもので、遊び自体が目的になる。しかも、日常を離れた「虚構」でもあり、遊びの中けで通じる独自のルールがつくられる。遊びという行為は、人間のどの文化や文明にも存在しており、一見、無為に見える遊びこそが、社会を発達させた源ともいえるのではないか。人間の遊びに関して、フランスの社会学者ロジェ・カイヨワの優れた考察がある。一九五八年に出版された『遊びと人間』という著書においてカイヨワは、文化が遊びを...共感革命:社交する人類の進化と未来➁
『共感革命:社交する人類の進化と未来』(河出新書・2023/10/24・山極壽一著)からの転載です。二足歩行が共感革命を起こした類人猿の子ども特有の遊びに、ピルエットと呼ばれるものがある。ピルエットとはぐるぐると回転することだ。この遊びはサルには見られず、類人猿にしか見られない。フランスの社会学者ロジエ・カイヨワが分類した四つの遊びの中で最も自由な、浮遊感に満たされ冒険的な緊張感に包まれる遊びで、類人猿が人問に進化するにつれてこの遊びは拡大し、ダンスという音楽的な才能と結びついていった。私は人類が直立二足歩行を始めた理由の一つに、この「踊る身休」の獲得があったと考ている。かつて人類はジャングルを四足で歩行していたが、やがて二足歩行へと変化する。歩行様式が変わった理由として、二足のほうがエンルギー効率も良く...共感革命:社交する人類の進化と未来①
博報堂生活総合研究所「ひとり意識・行動調査1993/2023」結果発表|ニュースリリース|博報堂HAKUHODOInc.上記より転載です。2023年「ひとりでいる方が好き」な人は56.3%。1993年からは+12.8pt増加して過半数に「社会的孤独」「少子化」などの社会問題を背景に、最近ひとりに関する話題を耳にすることが増えています。そして、多くの生活者がコロナ禍をきっかけにひとりで過ごす経験をしたことで、ひとりに対する価値観が変わってきているようです。博報堂生活総合研究所は、1993年に25~39歳男女に対して「ひとり意識・行動調査」を実施。それから30年経った2023年に前回と同様の調査を再度実施しました。その結果、ひとりを志向する生活者が大幅に増加し、その意識と行動に大きな変化が起きていることを発見...30年間で、ひとりの時間を大切にする傾向が高まる
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022年4月号から毎月、執筆者無記名のコラムに執筆しています。出版社から三か月は掲載しないでとのことで、期限切れから掲載しています。2023.10月号都市開教父は二度、脳梗塞を患ったことがある。二度目は重症で、子である私のこともわからなくなった。退院した父と父の部屋で対面した。子である私を認識できない関係性の不在から、私は、その場への居ずらさを感じた。そのときをすることを思いついた。「爪を切ってあげる」といった具合だ。それで私は安心してその場にいることができた。ボランティアで、何かをお手伝いすることは、私にその人の側に安心して居ることができるためであり、私のための行為だと学んだ。都市開教の話だ。首都圏開教の難題は、浄土真宗と縁なの人と、どう関係性を結ぶかということにある...都市開教
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022年4月号から毎月、執筆者無記名のコラムに執筆しています。出版社から三か月は掲載しないでとのことで、期限切れから掲載しています。2023.9月号家族制度を支える意識性的少数者に対する理解を広げるための「LGBT理解増進法」が成立した。性の多様性に配慮し、同性カップルや友だちカップルであっても結婚を認め、異性カップルと同等の権利を与えるという動きが世界的に広がっている。2001年にオランダで世界初の同性婚(異性同士の結婚と同じ内容の結婚制度)が認められて以来、各国で同性婚を容認する動きがみられる。EMA(EqualMarriageAlliance)日本によると、2023年2月末現在,同性婚が認められている国は34ヵ国にのぼり、2019年にはアジアで初めて、台湾で同性婚...家族制度を支える意識
昨日の『暴走老人』のつづきです。温かい家庭で育つと高齢期に強固な人間関係を形成する家族と暮らしていても人づきあいが苦手な人もいますし、一人暮らしでも多くの人と仲良くされる人もおられます。昨年、ハバード大学の研究者らが発表した研究によれば、温かい家庭で育った人は高齢期になって強固な人間関係を構築していることがわかりました。それは、一九三八年か八十年も継続的に行われている研究のひとつです。ハバード大学の学生や近隣のボストン市の男性に聞き取り調杏をし、中年期になった頃に、どのくらい嫌な気持ちに対処できるかを調べたり、高齢期になった人には現在の人間関係などを尋ねたりしています。かつては二十歳代でいまでは八十歳代になった人たちに聞き取り訓査をしたところ、経済状況がどうであるかにかかわらず、子どもの頃に温かい家庭的な...温かい家庭で育つと高齢期に強固な人間関係を形成する
『凶暴老人:認知科学が解明する「老い」の正体』(小学館新書・2018/10/3・川合伸幸著)からの転載です。高齢者の暴行・傷害件数は平成八年の二十倍そこで国内の実態を調べてみることにしました。まずは、高齢者の犯罪が増えているのか確認してみました。図1-2の平成29年版の犯罪白書を見ると、高齢者の検挙人員推移(最近20年間)を罪名別に見た箇所(第四編第七章第一節)で、次のように書かれていました。【高齢者の検挙人員は、平成二十年まで著しく増加していたが、その後はおおむね横ばいで推移しており、他の年齢屑と異なり、高止まりの状況にある。平成二十八年は四万六九七七人であり、八年の検挙人員の約3.7倍となっている。65歳以上の者の構成比は、平成九年には4.1%だった、が、二十八年は二十・八%を占めており、高齢化が進ん...暴走高齢者が増えている?
今日の『産経新聞』、「論説委員の日曜に書く」に「看護婦」に触れていた。その部分だけ転載します。文中で「あえて、看護婦さんと表記した」と断ったが、やはり読者から「看護師と書くべきだ」との指摘があった。これについて先輩の清湖口敏論説委員は自らのコラム「国語逍遥」に「『看護婦』への思慕」と題して以下のように書いた。(「看護婦と呼ぶのは不適切」との誤解はまず、平成11年の「改正男女雇用機会均等法」の施行で生じたのではないかと思われる。同法によって求人募集の際は、特例を除き男女の別を問うてはならないことになったため、「看護婦募集」は「看護婦・士募集」などと改めるようになった。14年の「保健師助産師看護師法」の施行で「看護師」が一気に定着していく。法上の資格名が「看護婦」から「看護師」に変わったからだ。ただそれはあく...看護婦という名前
月曜日の朝のことだ。早朝、一時間ウオーキングして朝食、2.5時間ほどパソコンの前で作業。そして立とうと思ったら、右足くるぶし辺りがむくんでいて、歩けない。歩くと痛みがともなう。すぐ医者に行って診てもらうと湿布薬を下さった。帰ってネットでAIを使って、状況を打ち込み色々と調べると、可能債の第一位が「エコノミー症候群」とでた。次の日当たりから、足全体が紫色になってきた。少し歩けるようになったので、昨日早朝、ウオーキングへと思い、靴をはこうとするとむくんでいて足が入らない。そして昨日、9時にかかりつけ医の所へ行って診察。紫色の足を見て、これはエコノミー症候群ではありません。そして問診でウオーキングへ行く前に、右くるぶし辺りを、強くぶつけたことを伝えると、医師は「血液さらさらの薬を飲んでいるので、それで内出血を起...原因がわかると安心する
『宗教・エスニシティ』(岩波講座社会学・2023/10/18・北田暁大,岸政彦,筒井淳也,丸山里美,山根純佳編集)からの転載です。4宗教の社会貢献宗教には社会の苦難に寄り添い、善き方向に変えていくという働きもある。その内容は、災害時救援活動、発展途上国支援活動、平和運動、環境への取り組み、地域での奉仕活動、医療・福祉活動、教育・文化振興など非常に多岐にわたる。そのような宗教の社会貢献に関する研究がニー世紀に入ってから盛んになった。筆者は、宗教の社会貢献を「宗教者、宗教団体、あるいは宗教と関連する文化や思想などが、社会の様々な領域における問題の解決に寄与したり、人々の生活の質の維持・向上に寄与したりすること」と定義した(稲場・桜井二〇〇九)。地域で人々を支える地道な活動や人材育成も社会貢献である。大学や企業...宗教の社会貢献
『宗教・エスニシティ』(岩波講座社会学・2023/10/18・北田暁大,岸政彦,筒井淳也,丸山里美,山根純佳編集)、人口減少における宗教の戦略からの転載です。(2)宗教法人として福祉事業に参入する寺院富山県では、「富山型デイサービス」と呼ばれる、対象者を限定しない通所型介護施設が展開されている。これは年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に身近な地域でデイサービスを受けられる施設であり、現在、富山県内だけでなく全国にも事業所が展開されている。この事業に宗教法人が参入している事例が複数ある。魚津市の専止寺(真宗大谷派)はデイサービス「まごころ」を二〇〇四年に立ち上げた、続いて、砺波市の善福寺(真宗大谷派)でもデイサービス「聚楽」が二〇〇五年にサービスを開始した。氷見市の明善寺(浄土真宗本願寺派)が運言する...人口減少における宗教の戦略③
『宗教・エスニシティ』(岩波講座社会学・2023/10/18・北田暁大,岸政彦,筒井淳也,丸山里美,山根純佳編集)、存続か消滅か―人口減少における宗教の戦略(高瀬顕功)からの限界集落の現況を転載します。(2)人口移動による宗教浮動人口の現出過疎地域は、たんに人口の自然減によって生じたのではなく、地方から都市への人口移動、すなわち社会減によって引き起こされた。戦後、三大都市圈ではほとんどの期間において人口が転入超過となっている。一九五〇年、三大都市圈の人口割合は三四・七%、その他の地方は六五.二%であったが、一九七〇年には、四六.一%(大都市圈)五三・九%(その他)、一九九〇年には四八・九%(三大都市圈)五五∵一%(その他)となり、二〇〇五年についに、五一.八%(三大都市圏)四八.一%(その他)と逆転するに...人口減少における宗教の戦略➁
『宗教・エスニシティ』(岩波講座社会学・2023/10/18・北田暁大,岸政彦,筒井淳也,丸山里美,山根純佳編集)からの転載です。目次1宗教と社会(宗教とウェルビーイング(櫻井義秀)公共空間における宗教―フランスの事例を通して(伊達聖伸)日本人の宗教性を測る(横井桃子)地域福祉と宗教(板井正斉)存続か消滅か―人口減少における宗教の戦略(高瀬顕功))2日本社会とエスニシティ(多文化主義/多文化共生の変容とオルタナティブの模索(塩原良和)現代日本における移民女性の配置の変容と社会的再生産の困難(〓谷幸)新しい権力エリートの創り出す再生産領域の国際分業―グローバル都市化をめざす国家戦略特区と外国人家事労働者(定松文)最低賃金の労働市場における外国人労働者の出身国の変遷―静岡県焼津市の水産加工業の事例(高畑幸)外...存続か消滅か―人口減少における宗教の戦略①
『共感力を育む:デジタル時代の子育て』(2021/10/19・ミシェル・ボーバ著)からの転載です。子どもたちの人間的スキルが発達し損ねていることを示すデータが心配だ。アメリカの10代の共感力(ほかの人の立場に立つ能力)のレベルは、ほんの30年の間に40%も落ち込んだ。しかし、それはアメリカだけの問題ではない。日本人の利他心について研究している東洋大学の中里至正名誉教授は、ある実験で小学生にゲームをさせ、勝った子どもが獲得したポイントをどのように使ったかを調べ、思いやりの度合いを測定した。1980年代半ばでは、勝った子どもの80%が、獲得したポイントをある程度、負けた子どもに与えていた。しかし、1980年代の後半になると、その割合は40%に突然落ち込んだ。皮肉にも、これはアメリカと同程度の落ち込みになる。し...共感力を育む
『見えないから、気づく』(ハヤカワ新書・2023/10/17・浅川智恵子著)、興味深く読みました。まずは本の説明から転載します。IBMフェロー、日本科学未来館館長で、アクセシビリティ研究の第一人者が明かす真のDE&I(多様性・公平性・包摂性)、そしてイノベーションの源泉とは14歳のとき失明。ハンディキャップを越え、世界初の実用的な音声ブラウザ「ホームページ・リーダー」など数々のアクセシビリティ技術を開発し、日本人女性初の全米発明家殿堂入り。現在は日本科学未来館館長とIBMフェロー(最高位の技術職)を務める研究者が、自身の半生と発想の源泉を余すところなく語る。「多様性のあるチームの方が、より多くのイノベーションを起こすことができることを身をもって体験した」という著者による、一人ひとりが個性を生かし、変化を恐...見えないから、気づく
『我々はどのような生き物なのか言語と政治をめぐる二講演』(岩波書店・2023/5/16・ノーム・チェムスキー著)からの転載です。言語について成立するように見えることは、言語は「思考の道具」として設計されているということです。もちろん、文字通り(誰かに)「設計」されているという意味ではありませんよ。言語は創発し、そして「思考の道具」として発達したのです。実際、言語を内観的に捉えて、何のために言語を使っているか考えてみてください。ほとんど常に、内的対話と呼ばれるもののために言語を使っていることがわかるはずです。つまり、自分自身に向けて話すという行為から我々が逃れることはほとんど不可能だということです。自己に向けての内的対話は昼間でも夜でも一日中ずっと行なわれていて止めることが出来ませんし、止めるためには相当の...我々はどのような生き物なのか②
歌手八代亜紀さんが、令和5年12月30日に亡くなり、発表が今年の9日でした。近年、死亡を発表したときは、すでに「葬儀は近親者で済ませました」のケースが多い。有名人は皆このケースだと言っても良い。2.30年まえまでは死は公として扱われた。地方では全ての人の死亡記事が掲載されてもいた。近年、死はプライベートの出来事になったようです。おそらくプライバートという圧力があるので、有名人の死を病院関係者等が知っても、他人に個人的であっても告知しないようになったに違いない。死はプライベートの出来事になった
『我々はどのような生き物なのか言語と政治をめぐる二講演』(岩波書店・2023/5/16・ノーム・チェムスキー著)著者のチェムスキーは、1950年代にまったく新しい言語理論を提案して言語学の世界に革命を起こしたといわれる方です。本書は2014年にチョムスキー教授が来日して上智大学で行った、言語と政治に関する2つの講演と、質疑応答を記録したもの。人物評を本の中から転載します。人間性の根源としての言語--==科学者としてのチョムスキーチJムスキーの言語学者としての最大の貢献は、長い問その存在が疑われもしなかった(にもかかわらず、整合性がある概念かどうかさえも実際には明確でない)客休としての言語」から、人間が言語を獲得し話せるようになる能力へと言語学の研究対象を大転換し、そのことによって言語の研究を人間の「心・脳...我々はどのような生き物なのか①
『シャーデンフロイデ:人の不幸を喜ぶ私たちの闇』(2018/1/27・リチャード・H・スミス(RichardH.Smith)著・澤田匡人訳)、ドイツ語にある。「害」を意味する「シャーデン」と、「喜び」を意味する「フロイデ」を合わせて、シャーデンフロイデというのだそうだ。「人の不幸は蜜の味」という表現で私たちにも馴染み深い感情で、「成功者や有名人の失敗に歓喜し、自分を虐げる者の不幸に快哉を叫ぶ、その心理に迫る」と本の紹介にある。シャーデンフロイデの根本に「妬み」があるという。この「妬み」が原因で起こった出来事を本の中から一つだけ紹介します。ドイツのホロコーストはヒットラーの「妬み」が原因であるということです。長い文章ですが、以下転載します。アドルフーヒトラーと、死を招くに至った反ユダヤ主義ヒトラーのユダヤ人...シャーデンフロイデ:人の不幸を喜ぶ私たちの闇
『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書・2023/11/9・児玉真美著)、興味深い本でした。機動安楽死チームと「75歳以上なら可」という法案オランダでは2012年に安楽死に特化したクリニックが誕生し、医師と看護師が車で患者の自宅に派遣される機動安楽死チーム制度が稼働した。市内どこへでも派遣するという。安楽死を希望しても引き受けてくれる医師が見つからないという声が以前から続いていたが、この制度ができてその需要に応えられるようになり、安楽死者が増えたと言われ、オランダ、ベルギーとも近年スイスと同じく高齢者の「理性的自殺」が増えているが、オランダでは2016年末に、現在の「耐え難い苦痛がある」とい必要件を満たさなくとも75歳以上の高齢者が冷静に熟慮したうえで死にたいと望む場合には安楽死を認める法案が...安楽死が合法の国で起こっていること
『人類滅亡2つのシナリオAIと遺伝子操作が悪用された未来』(朝日新書・2023/9/13・小川和也著)からの転載です。生成系A-は衝撃の始まりにすぎない「生成系AIの登場は、人間にとってなぜ衝撃的なのか?」ChatGPTにそう尋ねると、次のように答えた。生成系AIの登場は、人間にとって複数の面で衝撃的なものとなります。1.知識とスキルの範囲一AIが大量のデータと情服を学習し、それを元に文章を生成したり、問題を解決したりできる能力は、人間の知識とスキルの範囲を大幅に超えています。人間が一生をかけて学ぶことができる情報量は限られていますが、AIはほぼ無限の量の情報を瞬時に処理することができます。2.創造力と革新性一AIが人間が考えつかないようなアイデアを生み出したり、新しい視点で問題を解決したりする可能性があ...仏教の役割
先般紹介したものと重複しますが『孤独の発明』(三浦雅士著)からの転載です。「言語は意識とその起源の時を同うする。」が納得です。言語によって意識が意識として姿を表す。これって悟りや本願についても言えるのではないか?言語はコミュニケーションの手段ではない、とはどういうことか。『言語の科学』での説明を中心に敷衍してみる。チョムスキーは言語使用のほとんどはじつは心の中で起ってているという。人はいつでも自分自身に語りかけている。自分と話さないようにするのは途方もない意志を要する、と。これはつまり自己意識はつねに言語というかたちをとって現前するということだが、チョムスキーは、それらはたいてい「自分は編されているんじゃないか」とか「なぜこいつは自分にこんな仕打ちをするんだろう」といったたぐいの自問であり、そういう意味で...言語によって意識が意識として姿を表す
本願寺新報2024.1.1日号掲載の法話原稿です。仏の救いのはたらきが私の声となったお念仏仏さまの美しいお姿と言えば、お立ち姿の立像を思い描く方が多いことだろう。立っているというお姿は、如来の能動性を表現している。しかしその能動性の極まりが南無阿弥陀仏の声のお姿だ。「うつしい」という言葉は、上代の『日本書記』や『神功記』などには、「徳」[慈悲]「恩恵」といった漢字を当てて「うつくしび」と読ませている。「慈悲」(うつくしび)というのは「いつくしみ」のことであり、親しいものへの愛情や小さいもの、可憐なものへの思いやりを意味する「愛しみ」(うつくしみ)でもあった。「うつくしい」という言葉は、自然にしたがい、自分より小さいもの、弱いものを護るという「道」に適った行いから生まれた言葉だと『美しい日本の身体』(矢田部...私の声となったお念仏
本願寺新報2024.1.1日号掲載の西原祐治法話原稿です。人間が人間だけでやっていく現代の問題はそこにある「蛇は水を飲んで毒をつくり、牛は水を飲んで乳をつくる」。栂野の明恵上人の言葉だ。昔、仲間と上野公園へ桜見に行ったことがある。呼びかけ人である私は、午後から席取りに行った。良い場所を取って楽しく愉快に過ごそうという思いだった。しかし時遅く、桜の木の下は既に陣取りのシートが敷かれている。すると二人の男が来て相談を持ちかけてきた。それは相談ではなく商談だった。「桜の下のいい場所に席を確保してある。一坪二千円でどうだ」。なんと上野公園の土地分譲をしていたのだ。彼らは、桜見の季節、桜を見ずに、桜の下の地べたは金になると見ていた。まさに「蛇は水を飲んで毒とする」という悪知恵だ。毒も、細菌毒素の毒性を弱めるか失わせ...現代の問題
本願寺新報2024.1.1日号掲載の法話原稿です。いい人いい雨いい天気みんな私中心物の見え方は、動物、鳥、昆虫、また種類によって異なる。たとえば、蛇は、熱で物を感知し、恒温動物が発する熱を蛇は視覚で感知できるし、鳥は人間と違い、他の動物と同様に紫外線を感知する。鳥の目の仕組みは、ある特定の物に焦点を当てることによって、その場所をクリアーに見る事を可能するので、猛禽類の鷲や隼は1.5キロメートル先のネズミを見ることができる。昆虫、蠅は何千にも分かれた視覚受容体があつまった受容体で広い視野を作り出し、ハエには世界がスローモーションに見えているという。蛙は動いているものし見えないので、目の前に餌があっても動かないと見えないのだそうだ。では私は?「そう」。自分の都合で「いい人いい雨いい天気」。みんな自分中心の物の...みんな私中心
例年のことですが、6時からの勤行後、世話人の車に乗車して我孫子市手賀沼大橋からの初日の出見・午前7時、初日の出(写真)、帰りは歩いて1時間20分、毎年のことですが、今年は寒風のなかの1時間20分、くたびれました。昨夜の飲み過ぎか加齢かさだけではありませんが、毎年同じことをしていると。自分の側の変化に思いが及ぶということがあるようです。本願寺新報正月号、4編法話を掲載しました。順次ご紹介します。帰ってゆくべき世界は今遇う光によってしらされる父は、島根県に生まれた。当時島根大学の教授であった川上清吉(1896~1959)先生から教えを受けている。東京へ出てきてからも、励ましの手紙を何通ももらっている。最後のハガキは、お連れ合いの川上ミツさんからの死亡通知だ。「川上清吉儀、去る6月1日午後4時、無事浄土往生いた...謹賀新年
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昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。アメリカの教科書の209篇、日本の教科書の211篇を分析の対象としているが、「強い個人」というテーマはアメリカでは53篇もあるのに対して、日本ではわずか7篇にすぎなかった。細かく見ていくと、「自己主張」というテーマはアメリカの7篇に対して日本では皆無、「自立心・独立心」というテーマもアメリカの7篇に対して日本では皆無、「強い意志」というテーマはアメリカの15篇に対して日本ではわずか1扁であった。アメリカの教科書で多く取り上げられている「自己主張」というテーマが、日本の教科書ではまったく取り上げられていない。このように、「自己主張」をよしとするアメリカ文化と「自己主張は慎むべし」:とする日本...思考停止という病理②
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。相手を信頼すぺきで疑うのは失礼だ、と思う心理日本で生まれ育つと、当たり前のようになっており、とくに意識しなしことも、海外の人と接すると強烈に意識せざるを得なくなるということがある。その一つが、人を疑ざず信頼しようとする心理傾向だ。私たちは、生まれ落ちた社会の文化にふさわしい人間につくら行く。これを社会化と言うが、日本に生まれれば日本人らしく自己主張を慎み、謙虚さを身につけ、相手を尊重し、思いやりをもって相手の気持ちを汲み取ろうとするようになるとともに、信頼すれば相手ば必ずこちらの気持ちに応えてくれるはずと信じ、人を疑うのは失礼だといった感覚を身につけてしく。アメリカに生まれれば、アメリカ人...思考停止という病理①
『パラサイト難婚社会』(朝日新書・2024/2/13・山田昌弘著)からの転載です。古くを振り返れば、平安時代の貴族階級は紫式部の『源氏物語』に見られるように、女性は親元に住み続け、そこに夫が通ってくる「妻問」、いわゆる「通い婚」が一般的でした。男性が3日問続けて女性のもとに通い続けると、4日口に女性の両親も含めて会食をし、それで「結婚が成立した」とみなされる時代だったのです。実際に、『源氏物証』のストーリーの核ともなる男女の恋愛模様は、(主に貴族階級に限ってですが)1人の夫に複数の妻という「一夫多妻」の慣習があったればこそ。あの時代に現代的一夫一婦制が確立されていれば、日本文学の革たる名作もこの世には生まれなかったはずです。光源氏は、葵の上という正妻がいながら父の後妻と関係を持ち、のちに正妻格となる紫の上...パラサイト難婚社会
本日、午前11時から西方寺本堂・庫裏建設の起工式です。設計は長野県の中村建築研究所、施工は松井建設です。設計に3年かけて、本日に至りました。表白(起工式)敬(うやま)って光(ひか)りといのちきわみなき、阿弥陀(あみだ)如来(にょらい)のご尊前(そんぜん)に申(もう)し上(あ)げます。如来(にょらい)は、われら凡夫(ぼんぶ)を、無量(むりょう)の智慧(ちえ)と慈悲(じひ)とをもって育(はぐく)み、金剛(こんごう)不壊(ふえ)の信(しん)を恵(めぐ)んで無明(むみょう)の長夜(ちょうや)に、無碍(むげ)の一道(いちどう)をお示(しめ)しくださいました。いまここ柏市(かしわし)布施(ふせ)の地(ち)に、諸(しょ)縁(えん)ととのい、法(ほっ)照山(しょうざん)西方寺(さいほうじ)、本堂(ほんどう)建設(けんせつ...西方寺本堂・庫裏建設の起工式
この3月まで「本願寺派仏教婦人会総連盟講師」でしたが、定年です。この2年間は、各教区への研修会出講が、コロナのため少なく、西方寺にとってが、助かりましたが、個人的には、燃焼不足でした。この4月からは「本願寺監事」に就任しています。本日が、初会合で京都出張です。本願寺派の監事は、「宗派監事2名」「本願寺監事2名」「築地本願寺監事2名」おり、指名されて初めて、そのような事後とがあることを知りました。本願寺監事
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。鎌倉での一切経校合に参加する関東時代の親鸞の行実としては、鎌介での一切経校合もしばしば注目される。覚如撰述の『囗伝鈔』によると、北条時氏が鎌倉で政治を執っていた頃、北条氏が願主となって一切経(大賊経)の書写が行われた。このときテキストの校合のために学僧を招請することになったが、そこで親鸞が尋ね出されて推挙され、親鸞は招請に応じて一切経の校合を行ったのだという。『親鸞正明伝』には、親鸞は六十余歳のとき相模国江津(神奈川県小川原市出府津)にしばらく滞在したが、ちょうどこのとき北条泰時(時氏の父)が鎌介で一切経書写の校合慶讚の怯要を催していて、優れた利者ということで親鸞はその法要に招かれ、校合の責任者(京匠)になった、と書かれている。『親鸞伝絵』...鎌倉での一切経校合
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。坊守のモデルとされた玉日姫親鸞と玉日姫の結婚については、あくまで伝説とみて、そもそも玉日姫の実在を疑う研究者も多い。たしかに、法然が親燃の六角堂夢告のことをあらかじめ知っていたというくだりなどは、できすぎた話であるように思える。また、下級貴族出身の遁世僧と摂関家の娘では身分が違いすぎて結婚することなどありえない、という見方もある。江戸時代には、玉日姫の法名が恵信尼だとされて、両者が同一人物と考えられたこともあった。だが、親鸞と玉日姫の結婚譚は、関東門徒系の親鴬伝である『親鸞因縁』にも、『親鸞正明伝』とほぼ同じような内容をもって書かれている。しかし結局、『親鸞正明伝』が語る親鸞とに玉姫の結婚譚がなによりも興味深いのは、親鸞がなぜ妻帯に踏み切っ...坊守のモデルとされた玉日姫
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。『親鸞正明伝』が記す九条兼実の娘玉日姫との結婚譚現代では親鸞の妻というと忠信尼のイメージが根強いだろうが、「親鸞は恵信尼と一緒になる前に別の女性と結婚していた」とする伝承も真宗教団では古くからみられた。その女性というのが、第1章でも言及した、関白九条兼実の娘とされる玉日姫だ。親鸞と玉日姫の結婚について詳述するのはり「親鸞正明伝」である。親鸞は法然の門下に入っておよそ半年後の建仁元年(1201)十月、すなわち二十九歳のとき、法然の指示によって玉日姫と結婚したのだという。同書のそのくだりを、要約して記してみよう。〈建仁元年十月上旬、九条兼実が法然の吉水の禅房を訪ね、仏法談義をかわした。そのとき、兼実が「出家の念仏と、私のような在家の念仏とでは、...玉日姫との結婚譚
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。親鸞の師、慈円次は親鸞出家の師となった天台憎慈円である。慈円は摂政・関白を務めた藤原忠通の子で、久寿二年(1155)の生まれ。源平合戦期に政界の中枢に身を置いて摂政(1186~91)・関白(1191~96)を歴任し、かつ政界引退後は法然に深く帰依した九条兼実は、同母兄である。慈円は永万元年(1165)、十一歳のときに比叡山延暦寺に入り(入室)、覚快法親王(鳥羽天皇皇子)の弟子となる。仁安二年1167)に出家し、当初は道快と袮して密教を学んだ。養和元年(1181)に慈円と改名。建久三年(1192)、三十八歳のときに天台座主(延暦寺のトップ)に就任し、後鳥羽都連の優の護持僧となった。関白兼実の後押しもあったのだろう。この後にも、慈円は三度、天台...親鸞の師、慈円
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。日野範綱は親鸞の父有範の兄、つまり親鸞の伯父であった。後白河法皇の近臣であったので、平清盛が後白河を制して覇権を握っていた時期は苫渋をなめたとみられるが、治承五年閏二月、つまりちょうど親鸞が出家した「春」(旧暦で1~3月)に含まれる時期に清盛が没し、後白河の院政が再開されている。この時期の範綱の眼前には久々に光がさしていたのではないだろうか。その範綱が親鸞の養父となっていたのはなぜか。かつては、「親鸞の実父有範が早世したため、範綱が父親代わりとなっていたのだ」と考えられていて、『親鸞正明伝』は有範だけでなく親鸞の母親も早世したと記している。しかし、近年ではこの見方は支持されていない。昭和戦後に、親鸞の弟で、僧侶になっていた兼有が有範の中陰の...有範の中陰の供養
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)執筆者は古川順弘氏、小本ながら内容のある本です。からの転載です。たとえば、西本願寺が所蔵する親鷺自筆の六字名に、「康元元年十月二十八日」という揮毫した年月日と、「八十四歳」という当時の年齢(数え年)が明記されたものがある。六字名号とは「南無阿弥陀仏」と書かれた掛軸のことで、真宗教団ではこれが本尊となる。康元元年は西暦一一五六年にあたるので、ここから逆算すると、承安三年(一一七三)という生誕年が導かかる。誕生日を四月一目とする伝承があり、現在の西本願寺はこの日を新暦に換算した五月二十一日に親鷺降誕会を行っているが、四月一口生誕は江戸時代に広まったものであり、確たる根拠があるわけではない。(以上)(つづく)親鸞聖人の誤誕生日は、歴史的には定かではありません。親鸞聖人の誕生日
本願寺出版社刊『大乗』に、この4月号から「なるほど仏教ライフ」を、署名入れで連載することとなりました。2024.4月号連載原稿です。能登半島地震から三か月が経過した。「今日、交通事故で死ぬかもしれない命」。法座で良く聞く言葉だが、聴衆に、災害で肉親を失った方がおられたら、その言葉は重すぎて説くことができないだろう。本来、諸行無常は、自分を安全な場所におきて語ることできないみ教でもある。元本願寺派総長で故豊原大成氏(2022.1.23亡)は、阪神・淡路大震災(H7.1.17)で三人の肉親を失われる体験をされた。その豊原氏がNHKテレビ『宗教の時間』(「この命を未来につないで。阪神・淡路大震災から22年」)に出演され、次のように語っておられた。「諸行無常はいわば建前、涙こそ本音。私は今もこの建前の無常と本音の...なるほど仏教ライフ①
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022年4月号から毎月、執筆者無記名のコラムに執筆しています。出版社から三か月は掲載しないでとのことで、期限切れから掲載しています。24年12月号掲載文です。現状維持バイアス言葉には、人間の性質や情念、社会のあり様などを可視化するはたらきがある。三十数年前、幼稚園の講演会に児童精神科医の佐々木正美(1935~2017)先生をお招きしてお話を伺ったことがある。講演の中で、文化人類学者の我妻洋氏(1985年没)の話を引用しておられた。それは「他罰化」のことで、地球上、どのような民族であっても、経済的、物理的に豊かな地域や文化圏に住んでいる人間ほど、外罰性とか他罰性という感情を強くもつ。豊かさと外罰性、他罰性、貧しさと内罰、自己罰という感情は結びつきやすい。これは、人類として...現状維持バイアス
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。ウォーミングアップのためにまず、紀元後第二千年紀にヨーロッパで確立された公式制度に多大な影響を及ぼした可能性の高い、WEIKD心理の四つの側面について考えよう。①分析的思考密接な社会的つながりを欠いた個々人からなる世界をうまく渡っていくために、人々はしだいに、関係性を重視して包括的に考えるのではなく、もっと分析的に世界を捉えるようになっていった。分析的にものを考える人は、個人と個人、あるいは事例と事例などの関連性に焦点を当てるのではなく、個人、事例、状況、あるいは物体をそれぞれ別個のカテゴリー(たいてい独特の性質をもっている)に割り振ること...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源④
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。これは、次のような三要素をもつ宗教団体の出現をほのめかすものだ。①互助を提供する相互依存ネットワーク、➁聖なる規範への献身の共有、そして③実存的不安や人生の無常に対処しやすくしてくれる儀式や超自然的信念。戦争やその他の災難が絶えない世界では、集団間競争の作用を受けて、この三要素を備えた宗教パッケージが普及していく。なぜなら、こうした宗教こそが、この重要な特質を欠く宗教との競争に勝利するからである(こうした宗教が「真実」だからではない。実際に、自然災害や戦争はいずれも、人々の宗教的信仰心を深め、儀式への参加を促すことを示す多数の証拠が得られて...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』③
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。一例を挙げよう。ネパール内戦が終結してから10年後に実施された調査では、多くの戦争関連の暴力にさらされた共同体ほど、(共同体の成員同士で行なう)公共財ゲームで協力行動が多く認められた。また、選挙で投票する人達、地域団体に加入している人の割合も高かっか。実際のところ、戦争の被害を受けていない共同体には、任意団体が全くなかったのに対し、戦争の被害を受けた共同体の七〇%に、農業協同組合、婦人会、青年団のような組織が設立されていた。ここでもやはり、戦争が、任意・体に加入しようとする人々の動賺づけを高めていた。戦争がなぜ、ヒトの心理にこのような効果を...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』➁
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)、英語タイトルの『WEIRD』は、「奇妙な」という意味であるとともに、W:Western(西洋の)/E:Educated(教育水準の高い)/I:Industrialized(工業化された)/R:Rich(裕福な)/D:Democratic(民主主義の)次の言葉の頭文字を取ったものとあります。世界16ヵ国で刊行されているそうです。以下転載です。翻訳者のあとがきからの転載です。ヒトにはもともと、他の霊長類と同様に、子どもを養い、配偶者と絆を形成し、近親個体を助けようとする本能が備わっており、人類社会の最も基本的な諸制度は、はるか昔からずっと、血縁関係やその拡大...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ところで、集団規模を拡大することは、危険な敵からの防御や食物獲得の観点では有利だが、集団内の緊張を増加させるという点ではマイナスに作用する。そのことは、うまく対処できなかったなら集団の分裂につながる危険かあるだけに重大な課題といえる。ヒトの先祖とおなじように集団で生きる類人猿はそれに対処する手段を講じており、チニパンジーの場合には、緊張緩和の手段は複数の個体が接触しておこなう毛づくろいであり、これによって脳内に「脳内麻薬」と呼ばれるエンドルフィンが分泌され、幸福感が増大ことが確認されている。しかし、ヒトの先祖のように集団規模がさらに拡大されたケースでは、これだけでは緊張緩和の手段と...ホモ・サピエンスの宗教史③
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ヒトのつかい、つまり婚姻関係の形成についてのモリスの解釈が妥当か否かは不明だが、チンパンジーは雑婚をするのに対し、すべての人間社会は婚姻制度をもつことが確認されているので、社会が生物学的な適応の過程で生じたことは確実だろう。つがいの形成の問いは別にして、ここで確認しておきたいことは、ヒトの固有の特徴である乳幼児期の引き延ばしと母親や周囲の人間に対する依存関係の延長が、ヒトが進化する過程で生じた生物学的適応にほかならないということだ。私たちは先に、二足歩行を始めたヒトの先祖が、ぶざまで、脆弱で、無防備な身体をもっていたことを見てきた。そして、ヒトがそれほど脆弱で無防備な身体をもつ存在...ホモ・サピエンスの宗教史➁
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。内的動機の持続性人間の内的動機に訴えかけて、節電のような、社会的行動を促進させることが、行動経済学の分野ではよく知られています。しかし、どの程度、その効果が長続きするものか、完全には分かっていません。そこで、私と共同研究者は、1012年夏、東日本大震災後の京都府南部で、経済産業省プロジェクトの一環として、一般家庭に、節電をお願いする介入と電気料金を1㌗あたり25円から最大100円程度まで時間帯別に変動させる介入の2種類を導入して、その持続効果を比較検討しました。その結果は、とても興味深いものでした。平均的な節電効果は、節電要求が3%、変動型電気料金が20%と大きく開きましたが、最初の数日に限れば、節電要求も8%とそれな...内的動機の持続性
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。幸福度研究の可能性経済的富と幸福の直接的関係に対する興味関心が高まったからでしょう。幸福調査で観察される定型的事実があります。国のなかでは所得と幸福の間で相関関係が見られますが、異なる国の間の比較では所得と幸福の間に相関関係がみられません。これを発見者の名をとって、「イースタリン・パラドックス」と呼びます。イースタリン・パラドックスを考えてみると、2つの説明が可能です。第一に、人間が気にするのは自分の絶対所得ではなく、他人との相対所得である。第二に、所得が上がれば、一時的に幸福度は増すが、すぐに慣れて幸福は元に戻る。そのように考えると、パラドックスをうまく説明できます。幸福調査で得られたデータをつぶさに検討することで、...イースタリン・パラドックス
『中外日報』(2023.4.19日号)新しい「領解文」の続報です。新しい「頷解文」本願寺派新しい「領解文」の問題点下新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関する多岐にわたる問題点について、今回は拝読・唱和の問題と背景にある組織的課題について取り上げる。(渡部梨里)総局は2023年度宗務の基本方針にのっとり、新しい「領解文」の拝読・唱和を進めている。第321回定期宗会で「理解か深まるまで拝読・唱和を待ってほしい」との請願書が提出されたり、これまで関係諸会議で出席者から現場の拝読・唱和に対する違和感や再検討を求める声が幾度も直接総局に伝えられたりしてきたが、施策に反映されていない。新年度を待たず早急に拝読・唱和を進めた背景には3月29日から始まった親鷺聖入御誕生850年・立教開宗800年慶讚法要での全体唱和を...新しい「領解文」の問題点下
『格差という虚構』(ちくま新書・2021/11/10・小坂井敏晶著)、一点だけ転載します。労働による収入を資本収益が上回り、金持ちがどんどんと富む。一方で庶民はますます貧しくなる。だから累進課税・富裕税・相続税などを通して富を財配分する必要があると論じる。だがメリトクラシーは正しいのか。米田の政治哲学者マイケル・サンデルが指摘する。メリトクラシーの思想は社会移動に関するのであり、平等ではない。それにます気づくべきだ。富者と貧者の深い溝が悪いとは言わない。金持ちの子も貧乏人の子も時問の経過とともに、能力に応じて地位が変わる、つまり彼らの努力と才能の結果て上昇下降も可能でなければならない。偏見や特権により底辺に折り付けられたり、頂上に安住できたりしてはならないと主張するだけだ。[……]メリトクラシーの究極の目...格差という虚構
21日、未明、深夜便「明日へのことば」を聴きながら、「やっぱりそうか」と思ったことがあります。ゲストは脚本家・東京芸術大学大学院映像研究科客員教授の大石みちこさん、「マダム・バタフライの「声」に耳をすませて」というテーマでのインタビュー形式のお話でした。大石さんは、映画が好きなこともあって39歳で受験、合格して映像研究科脚本構成一期生となり、2010年の映画「ゲゲゲの女房」の脚本を手掛けるなど、理論と実践を同時に学びながら後進に育成れている方のようです。お話の中で、次のような話がありました。大学に新しい映像研究科が設立されるという事を知って、入ることを決意しました。監督コース、脚本コース、プロデュースコース、技術パートがあり、撮影、照明、サウンドデザイン、美術、編集など7つのコース、7つの領域があって、監...結論から始まる物語
昨21日は京都、本願寺、前日から入りました。仏教婦人会総連盟の総会でしたが、私の仕事は、2時間、ひな壇の上で座っているだけでした。あたらめて「こんな仕事もあるよなー」と思いました。連盟講師は7名ですが5人参加で、一緒にひな壇の上に坐っていて、連盟講師○○さんと紹介されたとき、立って頭を下げる。それが唯一の役割でした。ネット配信での総会なので、現地参加者はほとんどが役員の人だけです。仕事としては、講師がひな壇にすらることによって「総会の権威付け」と、何か突発的な質問があったときに受け答えることです。無駄なようにも思えますが、考えてみると、自分の人生は大方、無駄なことに喜びを感じたり生き甲斐を感じたりしているので、これも良いかなと思った一日でした。無駄なこと?
『ポジティブ病の国、アメリカ』(バーバラ・エーレンライク著)、「ポジティブシンキングについては、アメリカ独特の無邪気な考え方だと思われがちだが、アメリカ独特とはいえないし、無邪気などという可愛らしいものでもない。アメリカとは大きく異なる環境でも、ポジティブシンキングはさまざまな国で政治的抑圧の道具になっている。」(本文より)本書は、19世紀からキリスト教の一別派として生まれ、20世紀にじょじょに浸透し、大衆化し、今やアメリカ合衆国の国民的強迫観念になり、現在の経済恐慌の要因のひとつでもあるpositivethinkingの弊害を論じています。ポジティブシンキングという心的態度が、人々に期待され押し付けられる「規範」となると、それは抑圧となり、現実把握の失敗、現実遊離、現実逃避へと導かれていく。本書の最初に...ポジティブ病の国、アメリカ
『中外日報』(2023.4.14日号)に「新しい領解文」問題をまとめています。その「上」です以下転載。本願寺派新しい「領解文」の問題点を探る上浄土真京本願寺派で1月16囗に発布された「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)についての消息」に対し、これまで勧学や司教、宗会議員や布教使、一般寺院僧侶、門信徒らから様々な声が上げられてきた。それらの声から、教学面、制定の経緯・手続き、拝読・唱和の推進など多岐にわたる問題点と、背景にある組織的な課題が浮かび上がってきた。上下2回の連載で今回は教学面と制定経緯について取り上げる。(渡部梨陽)法義大きく誤る懸念石上総長は発布経緯を説明新しい「領解文」は、2021年4月に大谷光淳門主が示した親教「浄土真宗のみ教え」に師徳の内容を加えた形で発布された。当初から教学面で疑問視...新しい「領解文」の問題点を探る上
「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)過日、勧学・司教有志の会は、このたび「ご消息」として発布された「新しい領解文(浄土真宗のみ教え)」(以下、「新しい領解文」)について、その文言全般を通じて、宗祖親鸞聖人のご法義に重大な誤解を生じかねないものであることを「声明(一)」において指摘した。この「新しい領解文」の文章表現について、石上智康総長の著書のなかに酷似する表現が多数見出されることは、すでに宗会等で指摘されているように周知の事実であるが、制定の経緯についても、宗会の質疑その他を聞く限り、極めて透明性を欠いている。そして総局の強引な方針によって、全国の僧侶・門信徒は困惑し、混乱は広がり続けている。ことに三月二九日から始まった親鸞聖人御誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年慶讃法要では、「新しい領解...「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)
『中外日報』(2023.4.12日号)に「本願寺派聖教に基づく伝道をー新しい領解文勧学.司教ら声明第2弾」という記事が掲載されていました。以下転載します。浄土真宗本願寺派の学階最高位の勧学とそれに次ぐ司教ら19人が8日、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する第2の声明を発表した。総局が、伝統的に定められた「聖教」ではない新しい「領解文」に基づく法話や唱和を要請していることや、現代版「領解文」制定方法検討委員会の答申と反する名称を定めたことなどに対して「宗門の根幹を突き崩すもの」と強く批判し、新しい「領解文」の取り下げと、聖教に基づく伝道に立ち戻るよう求めた。声明は「勧学・司教有志の会」から出され、深川宣暢勧学を代表に、森田眞円氏、普賢保之氏、宇野恵教氏の4人の勧学と15人の司教か名を連ねる。(勧学と...勧学.司教ら声明第2弾
金の価格が高騰しているという。金Ⅰグラム9,406円とあり、1970年代以前における金の価格は、現在価格の7分の1程度とある。先般、たまに線香を購入する京都のお香の老舗から、「特価販売」というカタログが届いたので、拙寺報恩講導師用、また正月に供える線香を頼みました。30年前に伽羅を購入したときは、1グラム何千円だったかと思います。この度、購入したら品は伽羅1グラム30.000円、2グラム届きました。伽羅の線香は10本27.000円、線香は1本で充分、本堂を香りで満たします。沈香でもピンキリで、最近は法事に行った折、そのお宅にある抹香ではなく、自分で持参した沈香を使っていただいています。伽羅が高くなった
『アニミズム時代』(法蔵館文庫・岩田慶治著)、は、ほとんど読んでいませんが、ふとアニミズムと一切草木悉皆成仏は似ていると思いました。一切悉有仏性でもそうですが、「仏」という理想的世界によって統一されているが、アニミズムは、いのちのありようがバラバラになっているので、そのいのちに接する人の情念によって、悪になった善になったりするのかも知れません。以下、少しですが本から転載します。朝、庭におりたって木々にあいさつする。「今口は、木蓮さん」、「今日は、泰山木さん」。もちろん、木は返事をしない。しかし、泰山木の枝にぶらさがり、木蓮の肌に触れていると、ゴツゴツした、ザラザラした肌ざわりをとおして、木々の返事がかえってくる。自然のなかの応答、感覚のやりとり、そこにアニミズムの出発点があるのではなかろうか。あの枝にカミ...アニミズム時代
宗派から『新時代の浄土真宗』(浄土真宗本願寺派総合研究所編集、浄土真宗本願寺派情報メディアセンター本部編集)が送られてきました。PHPからの発刊です。ざっと目を通しましたが、みな宗報に掲載されていたことで、そう目新しいものがありませんでした。目新しいと言えば、読者「この商品をレビュー」つ次のようにありました。言い得ています。有難い指摘です。本願寺派は歴史と信用のある組織。ゆえに、親鸞の説く教義をもとに、時代に合う理念や行動が語られる本だと想像して、購入。しかし、読んでみると、社会経験が少ない教団のトップが、時代に合うわけでもない、仏教でもない事を語っている内容だと感じました。教団としては、行動理念を大谷光淳門主説かれる各言葉とし、念仏者の社会活動を模索したいようです。社会活動の内容として、地球温暖化、孤独...新時代の浄土真宗
土門拳の埋葬されている八柱霊園のお墓にご縁を頂いている。墓碑に「昭和22年8月土門真菜」とあり、それから浄土真宗とのご縁が出来たのではないかという話を書いた。土門拳は滅多にわが子のことを記していない。そのような興味から図書館から『土門拳のこどもたち』という写真集を借りてきた。以下、二つのことが記されていた。土門拳と「こども」の写真岸哲男(写真評論家、二松学舎大学名誉教授)の最後に、次の様にある。終戦直後の昭和21年-もう遠いむかしのことになったから、書いてもよかろう。当時6歳のかわいいさかりだった上門拳の次女の真菜ちゃんが、築地明石町の自宅近くの防火川水池で、あやまっておぼれ死んだ。その忘れようにも忘れられない不幸な思い出が、こどもにカメラを向けずにはいられない土門拳の深層意識下にきっとあるにちがいない。...土門拳のこどもたち
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。子どもの攻撃性を肯定的行動につなげるそれでは、子どもの攻撃性を肯定的行動につなげていくためには、親や教師の関わりとして何か求められるのでしょうか。子どもの攻撃性の肯定的側面をもっとも強調したストー「『人間の攻撃心』は、親は子どもが外界の危険や内部の攻撃的感情を適切に処理することができるという確信を持って養育すべしと述べています。つまり、子どもを「信じている」かどうかということです。これらの学説を一言でくくれば、家裁調査官と非行少年との関わりをテーマにしたNHKドラマ『少年たち3』(2002年8月放送)で上川隆也演じる家裁調査官が語った、゛”信じること、希望を持つこと、人間はつながっている”という台詞に集約...悪さをしない子は悪人になります④
4月9日(日)、中仏通信の講義で築地本願寺へ行くと「今日は花まつりで駐車できません」とのこと。何とか入れて貰いましたが、境内は1000位の人がいて、出店も「広島お好み焼き」など、屋台の出店と違って、本格的な店が20店舗くらい出店していました。大型の消防車も2台来ていて、お子さんを運転席に乗せて写真を撮るコーナーが人気でした。30年前の築地本願寺の「花まつり」は、銀座三越から築地本願寺まで、作り物の像を引いてのパレードと、子ども向けイベントをしていましたが、人を集めるのには、今の様な飲食を提供することが一番効果的なようです。「やっぱり人は、飲食など煩悩を満たしてくれるものが流行る」と思いながら境内をウロウロしてきました。築地本願寺の花まつり
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。「悪」と攻撃性子どもの「悪」は、やんちゃ、いたずら、わるさ、反発、反抗などの攻撃性として表れます。ここで、「悪」と攻撃性について説明します。「攻撃」は意図的になされる危害行為で観察可能であり、「攻撃性」はその行動が生じる心理的な過程であると説明されることがあります。このように定義する限り、攻撃性は「悪い行為を生じさせる心的過程または心的エネルギー」となります。値かに、凶悪事件、粗暴事件などの反社会的非行は他者に危害を及ぼす攻撃行動であり、自傷、薬物乱用、援助交際などの非社会的非行は自分を傷つける攻撃行動です。非行、犯罪やいじめなどの問題行動のほとんどは、攻撃性の歪んだ発動によるものです。そして、それぞれの...悪さをしない子は悪人になります③
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。悪理学「悪」について説明します。動物行動学、生態学をもとにしながらさまざまな観点から「善」と「悪」について考察したL・ワトソン(『ダーク・ネイチャー悪の博物誌』は、善良なものが腐敗して邪悪なものに転じる契機を「悪理学の三原理」として次のように提示しています。第1原理一よいものは、場所を移されたり、周囲の文脈からはずされたり、本来の生息環境からはずされりすると悪いものになりやすい。どのようなことであれ、もっともよく生きられる場所から移動させられたり切り離されたり遠ざけられたりすると、よいものの安定性が乱され悪くなりやすいのです。そし、元の場所にも移された場所にも問題が生じてきます。ものにはそれぞれに応じた「居場所」...悪さをしない子は悪人になります②
『中外日報』(2023.3.31日号)に本願寺前執行長の武田昭英しが「新しい領解文」について、問題点を投稿していた。新しい「領解文」が全の僧侶・門信徒の間で念が沸き起こっています。宗会でも議論になったようですが、将来の本願寺教団の法義相続に大きな禍根を残すことに気いていたのは、一部の議員のみだったようです。いや、気付いていても、人事権を持った総長の気配りがあったのでないかと思われます。しかし、宗祖親鸞聖人のみ教えが捻じ曲げられることこそが一大事であり、浄土真宗にとって致命的なことです。宗会がこれを座視したことは今後の宗門の衰退に拍車をかけることになる可能性を危惧します。新しい「領解文」の問題点を簡潔に指摘してみます。「後生の一大事」という響きがない。「後生の一大事」は浄土真宗の要です。る。②機の深信が欠如...「新しい領解文」について、問題点
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)、興味深いタイトルの本です。図書案内に次の様にあります。「悪」は排除するべきものではない。悪と善は相対的なものに過ぎない。大事なのは、総体としての生身の人間の中に「悪」を正しく位置づけることだ。罪を犯し、非行に走った少年であっても、「悪」を正しくその子の中に位置づけてやれば、それは人生をプラスの方向に導くためのエネルギーともなるのだ以前、このブログで〝ハトの喧嘩〟について紹介したことがあります。http://satukirou.hatenablog.jp/entry/2013/10/03/202215転載。鳩を籠に入れて喧嘩させると、際限なく殺し合う。相手が無様に倒れ伏してもその皮を剥ぎ続け、容赦のない追撃を加える。これが平和の...悪さをしない子は悪人になります①