昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
一昨日(2024.2.27)の『産経新聞』に連載コラム「100円男の哲学矢野博丈」が掲載されていました。以下転載します。21世紀は人間力の時代昭和47年、総合スーパーの雄だったダイエーが売上高で老舗百貨店の三越を抜き、小売業の日本一になった。「スーツと出てパツと消える」なんて揶揄されたスーパーだが、モノの値段が上がり続けたあの時代、大量仕入れとセルフサービスで安値にこだわったことで消費者の支持を集めた。店舗には入り口前の信号が変わるたびにぞろぞろと客が押し寄せ、商品はなんぽでも並べるだけ売れていった。まだスーパー業界に勢いがあった平成初期の頃だろうか、パーティーで奥さまと一緒に食卓を囲んだイオンの岡田卓也名誉会長相談役が、こう指摘した。「スーパーは有肩上がりの経営計画を出しているがあれは間違いだ。いまから...新しいをどう提供するか
昨日(2024.2.27)の『読売新聞』千葉県版に下記の記事がありました。ヨーカドー津田沼9月閉店習志野市のイトーヨーカドー津田沼店が、9月頃に閉店することがわかった。運営するイトーヨーカ堂によると、親会社のセブン&アイーホールディングス(HD)が昨年3月に発表した構造改革・成長戦略の一環だ。’津田沼店は1977年、JR津田沼駅に近い新京成電鉄新津田沼駅の駅ビルに開店した。地下I階、地上8階で食料品、衣料品を中心に販売し、家電、家具のテナントが入っている。80年代には大型店が集中し、「津田沼戦争」と呼ばれるほど激しい商戦を繰り広げた。しかしに西船橋駅経由で東京に向かう東葉高速鉄道が開業すると、JR津田沼駅と新津田沼駅の乗降客数は減り、買い物客数にも陰りが見えるようになった。イトーヨーカ堂の広報担当者は津田...文化的な位置付け
昨日の続きです。「和語」「漢語」について、下記からの転載です。日本語の連濁のルールについて│旅する応用言語学(nihongo-appliedlinguistics.net)連濁の例外とはいえ、連濁には例外もたくさんあります。また、例外の例外まであって、奥が深いです。(詳しく知りたい方はバンス他(編)(2017)『連濁の研究:国立国語研究所プロジェクト論文選集』開拓社などをご参照ください。)主な例外ルールとして、和語なのに連濁しない場合漢語・外来語なのに連濁する場合の2つに分けて説明します。①和語なのに連濁しない場合和語なのに連濁しない場合として以下があります。①和語でも、並列構造の場合は連濁しないことが多い。好き(すき)+嫌い(きらい)→好き嫌い(すききらい)山(やま)+川(かわ)→山川(やまかわ)飲み(...連濁のルール
「和語」「漢語」について、下記からの転載です。日本語の連濁のルールについて│旅する応用言語学(nihongo-appliedlinguistics.net)連濁とは、単語と単語が合体するときに、後ろの語の語頭が濁音に変わることをいいます。例えば、「鼻(はな)」と「声(こえ)」が合わさると「鼻声(はなごえ)」になりますね。後ろの語「声(こえ)」の語頭「こ」が「ご」に濁音化しています。この記事では、この連濁の原則と、例外について紹介します。連濁には以下のようなルールがあります。和語が合わさる場合、原則として連濁する。漢語・外来語が合わさる場合、原則として連濁しない。とはいえ、あくまで「原則」であって、例外も多いです。①和語が合わさると原則は連濁する以下のように、和語が合わさるときは連濁します。鼻(はな)+声(...和語.漢語の約束
先日、2人(ににん)、二人(ふたり)の読み方を紹介しました。和語で読むか、漢字読みするか。これは規律があります。以前、下記のことを紹介したことがあります。接頭語「大」の付くことばで,〔ダイ〕か〔オー〕かで迷うことがよくある。一般的な[ダイ]〔オー〕の読みの決まりであるが,原則として,「大」の後に「漢語」(音読みの語)がくると〔ダイ〕,[和語](訓読みの語)がくると〔オー〕だとされている。「大地震」の場合は,〔オージシン〕である。「大地震」の場合,なぜ〔ダイ〕と言う人が多いのか。恐らく,[震災]「災害」に「大」が付く場合,〔ダイシンサイ〕〔ダイサイガイ〕になることと関連があるのだろう。「地震」ということばは,かつては「雷」「火事」と並ぶ日常的な“準”大和ことばだった。それが先祖返りして漢語的になってきたらし...「おおじしん」か「だいじしん」か?
『がんになった人のそばで、わたしたちにできること:「幸せな生」を支えるための10の講義』(2023/12/28・西智弘著)から、「もう死なせてほしい」:と言われたらの部分だけ転載します。コミュニケーションの盤面に「もう死なせてほしい」といわれたとき、どういった言葉を置き返すのが「定石」なのでしょうか.医師や看護師の教科書や国家試験では、こういった場合では「死にたいと思うくらい、おつらいのですね」と返すことを解答、つまりは定石として取り扱っていることが多いのですが、ことはそんなに単純なのでしょうか。作家で医師の帚木蓬生さんは、『ネガティブーケイサビリティ答えの出ない事態に耐える力』(朝日新問出版)のなかで、ネガティブ・ケイパビリティとは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」をさ...「もう死なせてほしい」:と言われたら
『読売新聞』「編集手帳」(2024.2.22)に次の文章がありました。(抜粋)◆文章を書く仕事をしていて、洋数字の2を悩ましく思うことがある。昨日の当欄に、政倫審への出席の意向を伝えた議員を「二人」と表記した◆「2人」と書いてもいいのだが、洋数字を「ふた」と読むのはどうかという疑問を禁じ得なかったからだ。(以上)なんで数字の「2人」より、「二人」の方が多いんですか!?-なん...-Yahoo!知恵袋単純なルールです。「1人」と書けば、「いちにん」と読みます。「2人」と書けば、「ににん」と読みます。「一人」なら「ひとり」。「二人」なら「ふたり」。「いちにん」「ににん」より「ひとり」「ふたり」のほうが一般的なので、文字を書く場合は「一人」「二人」です。3名以上は、普通「さんにん」「4人」といいますので、「3人...2人は、「ふたり」か「ににん」か?
今日(2024.2.22)の『読売新聞』「気流」(読者投稿コーナー)に下記の投稿があった。披露宴娘の黒ドレスに納得主婦坂ノ上清子73(茨城県鹿嶋市)結婚式で黒のドレスを着用する花嫁が増えているとの記事(6日)を読みました。実は、昨年、披露宴を行った次女も黒いドレスを着用しました。衣装選びで「どれがいい?」と次女が様々なドレスを試着した写真を私のスマホに送ってきました。その中に黒もあり、私か「黒はないでしよ」と答えると、次女は「色々試着したけど、黒が映えた」と言いました。子どもの頃から人と違うことをしたがる性格でしたが「『あなた色以外に染まりません』という意味もあるんだよ」と言われ、選択に納得しました。その言葉の通り、次女には末永く幸多かれと祈っています。(以上)「へー、黒いドレスか」と思って「黒のウェディ...黒のウェディングドレス
今日(2024.2.21)の『産経新聞』に【「親ガチャの哲学」著者の戸谷洋志さんに聞くー「出生の偶然性」を共感の礎】にとや・ひろし昭和63年、東京都生まれ。関西外国語大准教授(哲学・倫理学)。『ハンス・ヨナスの哲学』『未来倫理』など著書多数」「いま、現実世界に対する悲観的な物の見方が蔓延している気がするんです。その象徴ともいえる『親ガチヤ』という概念をフックに、現代社会を覆う「ヒリズムについて考えたかった」。哲学者の戸谷洋志さん(35)は新刊『親ガチヤの哲学』(新潮新書)を書いた理由をそう語る。人はいつ、どんな親のもとに生まれてくるのかを選べない。そんな出生の偶然性によって左右される人生をどう引き受け、生きていけばいいのか。粘り強い思索が刻まれた一冊だ。(海老沢類)大学入試にも登場「親ガチヤ」は出生時の運...「親ガチャの哲学」著者の戸谷洋志さんに聞く
本日のNHKニュースの転載です。複数の遺骨納める「合葬墓」20年で4倍増1都3県公営墓地02月20日06時31分首都圏の1都3県の自治体が設置する公営墓地で、複数の遺骨を合同で納める合葬墓と呼ばれる墓の数がこの20年で4倍に増えたことが、わかりました。専門家は「離れて住む子や孫に墓を守ってほしいと言いづらいと考える人たちが、合葬墓を選んでいるのではないか」と指摘しています。NHKは先月から今月にかけて、首都圏の1都3県と人口が10万以上の市の合わせて97の自治体に、公営墓地についてのアンケート調査を行いました。その結果、これらの自治体にある公営墓地には複数の遺骨を合同で納める合葬墓と呼ばれる墓が36施設に上り、20年前と比べて4倍に増えていることが分かりました。内訳は、都立霊園が2から8に増加し、横浜市や...複数の遺骨納める「合葬墓」20年で4倍増1都3県公営墓地
ギリシャの哲学者アリストテレスが、説得の三原則を説いている『アリストテレス全集18弁論術』を借りてきました。三原則とは、logos(ロゴス、言論)–理屈による説得pathos(パトス、感情)-聞き手の感情への訴えかけによる説得ethos(エトス、人柄)-話し手の人柄による説得で、エストが一番需要だとあります。かなり長文の本で、三原則が描かれている部分を探すだけても、一時間かかりました。手に負えないので、説得に最も重要なのは「信」だという表記を知っただけで本は閉じました。説得の三原則
刊行された『岩波仏教辞典』(第三版)を図書館から借りてきました。以下は、辞典の中にある「悪人正機」の表示です。悪人正機親鸞の言葉を記したとされる『歎異抄』の、「善人なをもちて往生をとぐ、いはんや悪人をや」という言葉に示される思想。人間はその本質において皆悪人であるがゆえに、自分を善人と思って「自力の作善に励むものよりは、悪人としての自己の本性を自覚して阿弥陀仏の本願他力にすなおに身をゆだねるものの方が、阿弥陀仏の救済の直接の対象であるとする思想である。かつては親鸞の思想の真髄とみなされたこともあったが、このような思想が親鸞自身の著作にみえないことから、今日では親鸞の中核的な思想と見ることは否定されている。親鸞においては、五逆や'謗法のような悪は,どこまでも厳しく否定されるべきものと見られている。また源智編...岩波仏教辞典
「日本人のYESはなぜNOか?」(岡本浩一著)に興味深い事が記されていました。簡単に言えば、日本語に敬語が多いのは、人間関係を保つため。欧米では契約社会なので、言葉でなく契約で関係性が結ばれるので、敬語を必要としないというものです。本からその部分だけ転載します。社会的スキルが発達している欧米文化日本語の場合、敬語は、文法の根幹の一つと見ることができる。尊敬語、謙譲語、丁寧語の区別が歴然とあり、それらは、人称代名詞を必要としないほど、文法のなかに深くくいこんでいる。ところが、中世の英語やラテン語の「敬語」の現象は、もっと挿入的で(例えば、フリーズ)を挿入するなど)、付加的な要素にすぎない。少なくとも、接頭語、接尾語、動詞、助動詞など、文法のありとあらゆる部分を、敬意の有無によって調整するような形態ではない。...敬語の役割
昨日(2024.2.15)『毎日新聞』(夕刊)に【約20年ぶり改訂『岩波仏教辞典』社会見つめ「近代」拡充―新項目に「葬式仏教」「創価学会」など】の記事が掲載されていました。以下転載です。「葬式仏教」「創価学会」-。そんな項目が追加された『岩波仏教辞典』(岩波書店、9900円)=写真9=の第3版が2023年11月、刊行された。約20年ぶりの改訂は、最新の研究成果を盛り込んだだけでなく、これまで少なかった「近代仏教」に関する項目の充実が大きな目玉。幕末以降、現代に至る仏教界の動きのことで、追加された約200項目のうち約90項目が近代仏教関連だ。専門家以外には縁遠く思われがちな辞典だが、現代社会と仏教の関わりをひもとく助けとなりそうだ。■■仏教辞典は初版が1989年、第2版が2002年に刊行されたが「近代仏教の...約20年ぶり改訂『岩波仏教辞典』
『「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える』(ちくまプリマー新書・2023/1/7・村山綾著)からの転載です。公正推論は、第2章で紹介した公正世界信念と名前が似ているので、ここで両者の違いや関係性について整理しておきましょう。公正世界信念は、良い行いには良い結果が、悪い行いには悪い結果が伴うという因果応報のルールのもと、世界は秩序だって構成されていて、人はその人にふさわしいものを手にしていると信じることを言います。そして、このような世界観に一致するように、他者に起こった出来事の原因を推論したり、現在の状況から将来起こりうることを予想したり期待したりすることを公正推論といいます。公正推論は、自らの公正世界信念を守り維持するために行われる、というとわかりやすいかもしれません。そしてこの推論は、第1章で...「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える⑤
『「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える』(ちくまプリマー新書・2023/1/7・村山綾著)からの転載です。第2章に引き続き、この章でも、身の回りの人たちに起こったさまざまな出来事を、自分の信じる世界観に基づいて解釈、理解してしまう傾向について考えていきます。特にこの章では、「自業自得」や「努力は報われる」に見られるような世界観が、ときに私たちに非合理的な推論をさせてしまう点に注目します。日本人を対象とした研究さて、公正推論自体は、直感的には日本人でも欧米の人たち同様の傾向が認められそうに思われます。ここまでの内容を読んだみなさんも、悪い人の不運には「日頃の行いが悪いから」、良い人の不運には「そのうちきっと良いことあるさ」と考えやすいという説明については「たしかにそんな気がする」と思ったのではな...「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える④
冬の未明のウオーキング、楽しみの一つに公園の噴水型水飲み場の水を飲むことがあります。冷たければ冷たいほど、水を飲んで食道を通過していくときに、体の温もりを感じ生きていることを実感します。今日も一時間歩いて、水場で水を飲みました。水を飲んだ後、「生きている」ということを実感しました。その時に思ったことですが、以前このブログで紹介したノーム・チェムスキー、「二〇世紀における科学の三大発見として、しばしば(量子力学に代表される)[原子]と(DNAの二重螺旋構造の発見を端緒とする)「遺伝子」と並んで「心・脳」の研究がが挙げられるが、人間の心・脳の科学としての「認知科学」誕生に際してチョムスキーが行なった貢献は決定的であり」そのチェムスキーは、「言語とは意識そのものである」ということを言った人です。まさに私は水を飲...言語とは意識そのもの
1月15日未明に足のくるぶし付近を打って、それが内出血、血液さらさらの薬の効果で足が腫れあがって早朝ウオーキングは中止。昨朝、25日ぶりに歩きました。「やっぱし未明のウオーキングはいい」感想です。5時20分~6時30分、6時前に朝焼けが始まり、遥か田圃も向こうに林を背景として家々が連なり、朝焼けをバックにしているので、私側の家々は暗く、6時過ぎなので点々と明かりが列なっています。だんだん朝やけが光を増していくと、電灯の光の点々が、次第に目立たなくなり、そして朝焼けの光に取り込まれて行く。私はその情景を歩きながら連想します。暗闇の中に灯る家々の明かりは、人それぞれが抱えている喜びです。お金であった健康であったり家族であったり、そのあると灯火といあることを依り所として過ごして行きます。やがて大きな光に包まれて...久しぶりのウオーキング
今日の『産経新聞』に、「性自認は女性」を受け入れる14女子校と、それに関する記事が掲載されていました。その一部分の記事です「女性らしく」「お嬢さま」NG性差強調する表現避ける性の多様性の尊重を踏まえた指導における配慮の例教職員が「女の子らしく」「女性らしく」「男性ならでは」といったジェンダー(性差)を強調するような発言に注意将来設計を考える授業で「彼氏」「彼女」という言葉を使わず、「パートナー」と表現する保護者に向けた生徒の呼称を「お嬢さま」から「お子さま」に変更する朝礼などで、「女性」という表現でなく、「人」とする。別室に着替えるスペースを用意する(以上)「女性らしく」「お嬢さま」NG
ラオジ放送で、「北陸では7種類の雪が…」とあり、「津軽恋女」の歌詞「津軽には七つの雪がふるとか♪~こな雪つぶ雪わた雪ざらめ雪みず雪かた雪春待つ氷雪」と、メロデイーーが頭をよぎりました。そのメロディーとともに、この歌手は正確ではないとも思いました。というのは、カナダ、アメリカの北極圏の先住民族の言語であるイヌイット語では、「雪」の種類に応じて、その呼称が二〇以上あるという。それぞれの語は、「○○雪」のような複合語ではなく、単一形態素の独立の語としてある。色々な種類の雪が降るには変わりないのだが、降る雪を峻別する言葉が存在するといった方が正しい。太宰治が表現した七つの雪こな雪、つぶ雪、わた雪、みず雪、かた雪、ざらめ雪、こおり雪。-風に吹かれて旅するブログ(話題・記念日&ハッピートーク)(hatenablog....津軽には七つの雪がふるとか♪
『「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える』(ちくまプリマー新書・2023/1/7・村山綾著)からの転載です。インドとアメリカで、他者の行動の原因帰属の仕方が異なることがわかりましたが、その背景要因には思考スタイルや自分についての認識の仕方(自己観)の違いが想定されています。アメリカを含む西洋の文化では、さまざまな事象は相互に独立しているという見方が広く受け入れられています。原因帰属を行う際も、その時に観察可能な「最小サイズの原因と結果の関係」に注目します。また、自分自身の存在を周囲の環境と切り離して理解します。つまり自分は、周囲からは独立した、主体性を持った唯一無二の存在であると考えているのです。そのため、他者の行動に対しても、その人自身の独自の特徴が反映されたものだと考える内的帰属が行われます...「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える③
『「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える』(ちくまプリマー新書・2023/1/7・村山綾著)からの転載です。「テストでいい点数が取れた理由」-内的帰属と外的帰属原因帰属について詳しく説明していくにあたって、2つの重要な帰属のタイフー内的帰属と外的帰属-を最初に紹介しておきます。内的帰属とは、出来事や行為の原因を、その出来事を経験した人やその行為をした人自身に求める形の帰属です。一方で外的帰属とは、ある出来事や行為の原因を、その人が取り囲まれている環境に求める形の帰属です。これだけではよくわからないでしょうから、冒頭で取り上げた「数学のテストで高得点を取った」を例にして考えてみましょう。高得点を取ったという出来事に対して、「私は能力があるから」のように、自分自身の性質や特徴を原因とするとき、あなた...「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える➁
『「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える』(ちくまプリマー新書・2023/1/7・村山綾著)を読みました。良くバス旅行で、「日頃の行いが良かったようで、今日は良い天気です」という言葉を聞く。私は、これは迷信の類いでと、聞き流していました。ところがこの本を読むと、総標ゲンすることの背後の心の癖があるという。それを解明する本で、興味深く読みました。著者は近畿大学の准教授で、社会心理学を研究している方です。私たちが出来事の背景に、常に納得できる原因を探している、それが「帰属」の問題だと説明する。少し本の概要を見て見ます。「公正世界信念」について、この世界には一定の秩序があり、努力すれば報われる、というような公正なルールに基づいていると信じている。この信念に基づけば、人は誰しもその人に相応しい結果を手に...「心のクセ」に気づくには――社会心理学から考える①
昨5日は、東京で会食、雪が降る中、午後9時30分頃、店を後にしました。雪のため、帰宅を急いだ人が多く、電車はガラガラでしたが、運休が怪しく、何とか11時に帰宅でしました。柏市は、10㎝の積雪でした。今日は、京都で会議、明日10時~、本山で如月忌(九条武子さまの御命日法要)で30分程、法話をすることとなっています。ライブ配信されるので、興味のある方は、見てください。本山で如月忌(九条武子さまの御命日法要)
もう20年前のこと。市内に移り住んだ方が、随分いたんだ阿弥陀仏のご本尊を持参され、阿弥陀仏の入仏法要を依頼されてこられた。廃棄して欲しいと頼まれた本尊の裏書を見ると「釋法如」の文字があった。法如上人は、江戸時代中期。本願寺派第17台の宗主で、現在の阿弥陀堂を建立された方です。「これは勿体ないので、額表装にして家宝とし伝えたら良いですよ」とアドバイスした。聞けば、先祖は富山県から北海道に移住して来られた方だという。そのときに北海道は富山県の方が多いという刷り込みが,記憶になされた。その関連の記事が、今日(2014.2.5)の『読売新聞』編集手帳に、記述されていました。以下転載。加越能三州人は北海道の人口の少なくも10分のIを領し、人口の多きこと富力の膨大なることは右に出るものながるべしー1916年大正5年)...加越能三州人は北海道の人口の少なくも10分のI
昨3日の法話会の午前中のことです。11時から、T家のご法事があり、出勤しました。都市開教寺院である当寺では、葬儀件数の半分は、葬儀をご縁として寺と縁を結ぶという現状です。T家茂草でした。12H月中旬の葬儀をして、昨日は四十九日法要でした。法要前の挨拶で本願寺出版社刊の「季刊せいてんno145」(2013.12月刊)のコピーを手にしておられ、「熊本県の姉から、送ってきました。姉は、熱心な門信徒で、せいてんに掲載されているご住職の記事を見て、送ってきてくれたものです。姉からよろしくお願いします。よろしくとのことです」と、送られてきた、かるかん饅頭を頂戴しました。12月の葬儀の時、私のときに私を認め、自宅になり聖典の最後尾に3頁にわたって細かい文字で掲載されている、私のインタビュー記事をみて、この人はとなったの...お育て
本日午後1時30分から、西方寺法話会、ご講師は、松月博宣師です。コロナ前は、2席で、途中、お茶とお菓子を出しましたが、現在は、50分に一席。ペットボトルのお茶を、最初に配り、お菓子は、袋に包んで持ち帰って頂いています。省エネに慣れてしまって、2席に戻しずらい環境にあります。毎回、新しい方が1.2名来られ、「初法座参拝記念」という住職が揮毫した本を差し上げています。これは「あなたが参拝することを歓迎しています」というお寺側の意志表示です。本日法話会です
本願寺出版発行の「大乗」2月号(2024.2.1発行)に法話を依頼された原稿が掲載されています。下記の通りです。後半掲載キサ・ゴータミーの新解釈ご門徒のOさんの話です。Oさんは数年前に、最愛のお連れ合い失っています。ある日、寂しさの中で、“妻に会いたい”という情念が激しく湧きおこって苦しかったといいます。会えないのは分かっているが、会いたいという思いがどうにもならない。ところがある時、ふと“あ、これが煩悩というものなんだ。自分は人より煩悩が少ないと思っていたが、これが煩悩なんだ”。そう自分の姿が見えたとき、妻に会いたいという激しい情念がスーと消えたそうです。そして自分の体験を通して、分かったことがあると、仏典に出ているキサ・ゴータミーの解釈をしてくれました。キサ・ゴータミーの話とは、一人の若い母親が子供を...キサ・ゴータミーの新解釈
本願寺出版発行の「大乗」2月号(2024.2.1発行)に法話を依頼された原稿が掲載されています。下記の通りです。前半掲載お覚りとははたらきです能登半島震災により、被災された方々に、こころよりお見舞い申し上げます。報道番組で、被災された家屋が映し出されるとき、浄土真宗のお仏壇を拝見することが多くありました。映像を見ながら、浄土真宗の盛んな地域であることを思うと共に、「南無阿弥陀仏」という名号となって寄り添ってくださっている阿弥陀さまのはたらきに思いを新たに致しました。その阿弥陀さまについてお話します。連れ合いは、よくテレビで登山の番組を見ることがあります。ある時、私も一緒になって見ていると、「百名山」北岳への登山をテーマにした場面でした。その中に、“ブロッケン現象”を紹介する一コマがありました。山に疎い私は...お覚りとははたらき
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昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。アメリカの教科書の209篇、日本の教科書の211篇を分析の対象としているが、「強い個人」というテーマはアメリカでは53篇もあるのに対して、日本ではわずか7篇にすぎなかった。細かく見ていくと、「自己主張」というテーマはアメリカの7篇に対して日本では皆無、「自立心・独立心」というテーマもアメリカの7篇に対して日本では皆無、「強い意志」というテーマはアメリカの15篇に対して日本ではわずか1扁であった。アメリカの教科書で多く取り上げられている「自己主張」というテーマが、日本の教科書ではまったく取り上げられていない。このように、「自己主張」をよしとするアメリカ文化と「自己主張は慎むべし」:とする日本...思考停止という病理②
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。相手を信頼すぺきで疑うのは失礼だ、と思う心理日本で生まれ育つと、当たり前のようになっており、とくに意識しなしことも、海外の人と接すると強烈に意識せざるを得なくなるということがある。その一つが、人を疑ざず信頼しようとする心理傾向だ。私たちは、生まれ落ちた社会の文化にふさわしい人間につくら行く。これを社会化と言うが、日本に生まれれば日本人らしく自己主張を慎み、謙虚さを身につけ、相手を尊重し、思いやりをもって相手の気持ちを汲み取ろうとするようになるとともに、信頼すれば相手ば必ずこちらの気持ちに応えてくれるはずと信じ、人を疑うのは失礼だといった感覚を身につけてしく。アメリカに生まれれば、アメリカ人...思考停止という病理①
『パラサイト難婚社会』(朝日新書・2024/2/13・山田昌弘著)からの転載です。古くを振り返れば、平安時代の貴族階級は紫式部の『源氏物語』に見られるように、女性は親元に住み続け、そこに夫が通ってくる「妻問」、いわゆる「通い婚」が一般的でした。男性が3日問続けて女性のもとに通い続けると、4日口に女性の両親も含めて会食をし、それで「結婚が成立した」とみなされる時代だったのです。実際に、『源氏物証』のストーリーの核ともなる男女の恋愛模様は、(主に貴族階級に限ってですが)1人の夫に複数の妻という「一夫多妻」の慣習があったればこそ。あの時代に現代的一夫一婦制が確立されていれば、日本文学の革たる名作もこの世には生まれなかったはずです。光源氏は、葵の上という正妻がいながら父の後妻と関係を持ち、のちに正妻格となる紫の上...パラサイト難婚社会
本日、午前11時から西方寺本堂・庫裏建設の起工式です。設計は長野県の中村建築研究所、施工は松井建設です。設計に3年かけて、本日に至りました。表白(起工式)敬(うやま)って光(ひか)りといのちきわみなき、阿弥陀(あみだ)如来(にょらい)のご尊前(そんぜん)に申(もう)し上(あ)げます。如来(にょらい)は、われら凡夫(ぼんぶ)を、無量(むりょう)の智慧(ちえ)と慈悲(じひ)とをもって育(はぐく)み、金剛(こんごう)不壊(ふえ)の信(しん)を恵(めぐ)んで無明(むみょう)の長夜(ちょうや)に、無碍(むげ)の一道(いちどう)をお示(しめ)しくださいました。いまここ柏市(かしわし)布施(ふせ)の地(ち)に、諸(しょ)縁(えん)ととのい、法(ほっ)照山(しょうざん)西方寺(さいほうじ)、本堂(ほんどう)建設(けんせつ...西方寺本堂・庫裏建設の起工式
この3月まで「本願寺派仏教婦人会総連盟講師」でしたが、定年です。この2年間は、各教区への研修会出講が、コロナのため少なく、西方寺にとってが、助かりましたが、個人的には、燃焼不足でした。この4月からは「本願寺監事」に就任しています。本日が、初会合で京都出張です。本願寺派の監事は、「宗派監事2名」「本願寺監事2名」「築地本願寺監事2名」おり、指名されて初めて、そのような事後とがあることを知りました。本願寺監事
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。鎌倉での一切経校合に参加する関東時代の親鸞の行実としては、鎌介での一切経校合もしばしば注目される。覚如撰述の『囗伝鈔』によると、北条時氏が鎌倉で政治を執っていた頃、北条氏が願主となって一切経(大賊経)の書写が行われた。このときテキストの校合のために学僧を招請することになったが、そこで親鸞が尋ね出されて推挙され、親鸞は招請に応じて一切経の校合を行ったのだという。『親鸞正明伝』には、親鸞は六十余歳のとき相模国江津(神奈川県小川原市出府津)にしばらく滞在したが、ちょうどこのとき北条泰時(時氏の父)が鎌介で一切経書写の校合慶讚の怯要を催していて、優れた利者ということで親鸞はその法要に招かれ、校合の責任者(京匠)になった、と書かれている。『親鸞伝絵』...鎌倉での一切経校合
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。坊守のモデルとされた玉日姫親鸞と玉日姫の結婚については、あくまで伝説とみて、そもそも玉日姫の実在を疑う研究者も多い。たしかに、法然が親燃の六角堂夢告のことをあらかじめ知っていたというくだりなどは、できすぎた話であるように思える。また、下級貴族出身の遁世僧と摂関家の娘では身分が違いすぎて結婚することなどありえない、という見方もある。江戸時代には、玉日姫の法名が恵信尼だとされて、両者が同一人物と考えられたこともあった。だが、親鸞と玉日姫の結婚譚は、関東門徒系の親鴬伝である『親鸞因縁』にも、『親鸞正明伝』とほぼ同じような内容をもって書かれている。しかし結局、『親鸞正明伝』が語る親鸞とに玉姫の結婚譚がなによりも興味深いのは、親鸞がなぜ妻帯に踏み切っ...坊守のモデルとされた玉日姫
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。『親鸞正明伝』が記す九条兼実の娘玉日姫との結婚譚現代では親鸞の妻というと忠信尼のイメージが根強いだろうが、「親鸞は恵信尼と一緒になる前に別の女性と結婚していた」とする伝承も真宗教団では古くからみられた。その女性というのが、第1章でも言及した、関白九条兼実の娘とされる玉日姫だ。親鸞と玉日姫の結婚について詳述するのはり「親鸞正明伝」である。親鸞は法然の門下に入っておよそ半年後の建仁元年(1201)十月、すなわち二十九歳のとき、法然の指示によって玉日姫と結婚したのだという。同書のそのくだりを、要約して記してみよう。〈建仁元年十月上旬、九条兼実が法然の吉水の禅房を訪ね、仏法談義をかわした。そのとき、兼実が「出家の念仏と、私のような在家の念仏とでは、...玉日姫との結婚譚
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。親鸞の師、慈円次は親鸞出家の師となった天台憎慈円である。慈円は摂政・関白を務めた藤原忠通の子で、久寿二年(1155)の生まれ。源平合戦期に政界の中枢に身を置いて摂政(1186~91)・関白(1191~96)を歴任し、かつ政界引退後は法然に深く帰依した九条兼実は、同母兄である。慈円は永万元年(1165)、十一歳のときに比叡山延暦寺に入り(入室)、覚快法親王(鳥羽天皇皇子)の弟子となる。仁安二年1167)に出家し、当初は道快と袮して密教を学んだ。養和元年(1181)に慈円と改名。建久三年(1192)、三十八歳のときに天台座主(延暦寺のトップ)に就任し、後鳥羽都連の優の護持僧となった。関白兼実の後押しもあったのだろう。この後にも、慈円は三度、天台...親鸞の師、慈円
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。日野範綱は親鸞の父有範の兄、つまり親鸞の伯父であった。後白河法皇の近臣であったので、平清盛が後白河を制して覇権を握っていた時期は苫渋をなめたとみられるが、治承五年閏二月、つまりちょうど親鸞が出家した「春」(旧暦で1~3月)に含まれる時期に清盛が没し、後白河の院政が再開されている。この時期の範綱の眼前には久々に光がさしていたのではないだろうか。その範綱が親鸞の養父となっていたのはなぜか。かつては、「親鸞の実父有範が早世したため、範綱が父親代わりとなっていたのだ」と考えられていて、『親鸞正明伝』は有範だけでなく親鸞の母親も早世したと記している。しかし、近年ではこの見方は支持されていない。昭和戦後に、親鸞の弟で、僧侶になっていた兼有が有範の中陰の...有範の中陰の供養
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)執筆者は古川順弘氏、小本ながら内容のある本です。からの転載です。たとえば、西本願寺が所蔵する親鷺自筆の六字名に、「康元元年十月二十八日」という揮毫した年月日と、「八十四歳」という当時の年齢(数え年)が明記されたものがある。六字名号とは「南無阿弥陀仏」と書かれた掛軸のことで、真宗教団ではこれが本尊となる。康元元年は西暦一一五六年にあたるので、ここから逆算すると、承安三年(一一七三)という生誕年が導かかる。誕生日を四月一目とする伝承があり、現在の西本願寺はこの日を新暦に換算した五月二十一日に親鷺降誕会を行っているが、四月一口生誕は江戸時代に広まったものであり、確たる根拠があるわけではない。(以上)(つづく)親鸞聖人の誤誕生日は、歴史的には定かではありません。親鸞聖人の誕生日
本願寺出版社刊『大乗』に、この4月号から「なるほど仏教ライフ」を、署名入れで連載することとなりました。2024.4月号連載原稿です。能登半島地震から三か月が経過した。「今日、交通事故で死ぬかもしれない命」。法座で良く聞く言葉だが、聴衆に、災害で肉親を失った方がおられたら、その言葉は重すぎて説くことができないだろう。本来、諸行無常は、自分を安全な場所におきて語ることできないみ教でもある。元本願寺派総長で故豊原大成氏(2022.1.23亡)は、阪神・淡路大震災(H7.1.17)で三人の肉親を失われる体験をされた。その豊原氏がNHKテレビ『宗教の時間』(「この命を未来につないで。阪神・淡路大震災から22年」)に出演され、次のように語っておられた。「諸行無常はいわば建前、涙こそ本音。私は今もこの建前の無常と本音の...なるほど仏教ライフ①
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022年4月号から毎月、執筆者無記名のコラムに執筆しています。出版社から三か月は掲載しないでとのことで、期限切れから掲載しています。24年12月号掲載文です。現状維持バイアス言葉には、人間の性質や情念、社会のあり様などを可視化するはたらきがある。三十数年前、幼稚園の講演会に児童精神科医の佐々木正美(1935~2017)先生をお招きしてお話を伺ったことがある。講演の中で、文化人類学者の我妻洋氏(1985年没)の話を引用しておられた。それは「他罰化」のことで、地球上、どのような民族であっても、経済的、物理的に豊かな地域や文化圏に住んでいる人間ほど、外罰性とか他罰性という感情を強くもつ。豊かさと外罰性、他罰性、貧しさと内罰、自己罰という感情は結びつきやすい。これは、人類として...現状維持バイアス
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。ウォーミングアップのためにまず、紀元後第二千年紀にヨーロッパで確立された公式制度に多大な影響を及ぼした可能性の高い、WEIKD心理の四つの側面について考えよう。①分析的思考密接な社会的つながりを欠いた個々人からなる世界をうまく渡っていくために、人々はしだいに、関係性を重視して包括的に考えるのではなく、もっと分析的に世界を捉えるようになっていった。分析的にものを考える人は、個人と個人、あるいは事例と事例などの関連性に焦点を当てるのではなく、個人、事例、状況、あるいは物体をそれぞれ別個のカテゴリー(たいてい独特の性質をもっている)に割り振ること...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源④
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。これは、次のような三要素をもつ宗教団体の出現をほのめかすものだ。①互助を提供する相互依存ネットワーク、➁聖なる規範への献身の共有、そして③実存的不安や人生の無常に対処しやすくしてくれる儀式や超自然的信念。戦争やその他の災難が絶えない世界では、集団間競争の作用を受けて、この三要素を備えた宗教パッケージが普及していく。なぜなら、こうした宗教こそが、この重要な特質を欠く宗教との競争に勝利するからである(こうした宗教が「真実」だからではない。実際に、自然災害や戦争はいずれも、人々の宗教的信仰心を深め、儀式への参加を促すことを示す多数の証拠が得られて...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』③
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。一例を挙げよう。ネパール内戦が終結してから10年後に実施された調査では、多くの戦争関連の暴力にさらされた共同体ほど、(共同体の成員同士で行なう)公共財ゲームで協力行動が多く認められた。また、選挙で投票する人達、地域団体に加入している人の割合も高かっか。実際のところ、戦争の被害を受けていない共同体には、任意団体が全くなかったのに対し、戦争の被害を受けた共同体の七〇%に、農業協同組合、婦人会、青年団のような組織が設立されていた。ここでもやはり、戦争が、任意・体に加入しようとする人々の動賺づけを高めていた。戦争がなぜ、ヒトの心理にこのような効果を...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』➁
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)、英語タイトルの『WEIRD』は、「奇妙な」という意味であるとともに、W:Western(西洋の)/E:Educated(教育水準の高い)/I:Industrialized(工業化された)/R:Rich(裕福な)/D:Democratic(民主主義の)次の言葉の頭文字を取ったものとあります。世界16ヵ国で刊行されているそうです。以下転載です。翻訳者のあとがきからの転載です。ヒトにはもともと、他の霊長類と同様に、子どもを養い、配偶者と絆を形成し、近親個体を助けようとする本能が備わっており、人類社会の最も基本的な諸制度は、はるか昔からずっと、血縁関係やその拡大...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ところで、集団規模を拡大することは、危険な敵からの防御や食物獲得の観点では有利だが、集団内の緊張を増加させるという点ではマイナスに作用する。そのことは、うまく対処できなかったなら集団の分裂につながる危険かあるだけに重大な課題といえる。ヒトの先祖とおなじように集団で生きる類人猿はそれに対処する手段を講じており、チニパンジーの場合には、緊張緩和の手段は複数の個体が接触しておこなう毛づくろいであり、これによって脳内に「脳内麻薬」と呼ばれるエンドルフィンが分泌され、幸福感が増大ことが確認されている。しかし、ヒトの先祖のように集団規模がさらに拡大されたケースでは、これだけでは緊張緩和の手段と...ホモ・サピエンスの宗教史③
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ヒトのつかい、つまり婚姻関係の形成についてのモリスの解釈が妥当か否かは不明だが、チンパンジーは雑婚をするのに対し、すべての人間社会は婚姻制度をもつことが確認されているので、社会が生物学的な適応の過程で生じたことは確実だろう。つがいの形成の問いは別にして、ここで確認しておきたいことは、ヒトの固有の特徴である乳幼児期の引き延ばしと母親や周囲の人間に対する依存関係の延長が、ヒトが進化する過程で生じた生物学的適応にほかならないということだ。私たちは先に、二足歩行を始めたヒトの先祖が、ぶざまで、脆弱で、無防備な身体をもっていたことを見てきた。そして、ヒトがそれほど脆弱で無防備な身体をもつ存在...ホモ・サピエンスの宗教史➁
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。内的動機の持続性人間の内的動機に訴えかけて、節電のような、社会的行動を促進させることが、行動経済学の分野ではよく知られています。しかし、どの程度、その効果が長続きするものか、完全には分かっていません。そこで、私と共同研究者は、1012年夏、東日本大震災後の京都府南部で、経済産業省プロジェクトの一環として、一般家庭に、節電をお願いする介入と電気料金を1㌗あたり25円から最大100円程度まで時間帯別に変動させる介入の2種類を導入して、その持続効果を比較検討しました。その結果は、とても興味深いものでした。平均的な節電効果は、節電要求が3%、変動型電気料金が20%と大きく開きましたが、最初の数日に限れば、節電要求も8%とそれな...内的動機の持続性
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。幸福度研究の可能性経済的富と幸福の直接的関係に対する興味関心が高まったからでしょう。幸福調査で観察される定型的事実があります。国のなかでは所得と幸福の間で相関関係が見られますが、異なる国の間の比較では所得と幸福の間に相関関係がみられません。これを発見者の名をとって、「イースタリン・パラドックス」と呼びます。イースタリン・パラドックスを考えてみると、2つの説明が可能です。第一に、人間が気にするのは自分の絶対所得ではなく、他人との相対所得である。第二に、所得が上がれば、一時的に幸福度は増すが、すぐに慣れて幸福は元に戻る。そのように考えると、パラドックスをうまく説明できます。幸福調査で得られたデータをつぶさに検討することで、...イースタリン・パラドックス
『中外日報』(2023.4.19日号)新しい「領解文」の続報です。新しい「頷解文」本願寺派新しい「領解文」の問題点下新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関する多岐にわたる問題点について、今回は拝読・唱和の問題と背景にある組織的課題について取り上げる。(渡部梨里)総局は2023年度宗務の基本方針にのっとり、新しい「領解文」の拝読・唱和を進めている。第321回定期宗会で「理解か深まるまで拝読・唱和を待ってほしい」との請願書が提出されたり、これまで関係諸会議で出席者から現場の拝読・唱和に対する違和感や再検討を求める声が幾度も直接総局に伝えられたりしてきたが、施策に反映されていない。新年度を待たず早急に拝読・唱和を進めた背景には3月29日から始まった親鷺聖入御誕生850年・立教開宗800年慶讚法要での全体唱和を...新しい「領解文」の問題点下
『格差という虚構』(ちくま新書・2021/11/10・小坂井敏晶著)、一点だけ転載します。労働による収入を資本収益が上回り、金持ちがどんどんと富む。一方で庶民はますます貧しくなる。だから累進課税・富裕税・相続税などを通して富を財配分する必要があると論じる。だがメリトクラシーは正しいのか。米田の政治哲学者マイケル・サンデルが指摘する。メリトクラシーの思想は社会移動に関するのであり、平等ではない。それにます気づくべきだ。富者と貧者の深い溝が悪いとは言わない。金持ちの子も貧乏人の子も時問の経過とともに、能力に応じて地位が変わる、つまり彼らの努力と才能の結果て上昇下降も可能でなければならない。偏見や特権により底辺に折り付けられたり、頂上に安住できたりしてはならないと主張するだけだ。[……]メリトクラシーの究極の目...格差という虚構
21日、未明、深夜便「明日へのことば」を聴きながら、「やっぱりそうか」と思ったことがあります。ゲストは脚本家・東京芸術大学大学院映像研究科客員教授の大石みちこさん、「マダム・バタフライの「声」に耳をすませて」というテーマでのインタビュー形式のお話でした。大石さんは、映画が好きなこともあって39歳で受験、合格して映像研究科脚本構成一期生となり、2010年の映画「ゲゲゲの女房」の脚本を手掛けるなど、理論と実践を同時に学びながら後進に育成れている方のようです。お話の中で、次のような話がありました。大学に新しい映像研究科が設立されるという事を知って、入ることを決意しました。監督コース、脚本コース、プロデュースコース、技術パートがあり、撮影、照明、サウンドデザイン、美術、編集など7つのコース、7つの領域があって、監...結論から始まる物語
昨21日は京都、本願寺、前日から入りました。仏教婦人会総連盟の総会でしたが、私の仕事は、2時間、ひな壇の上で座っているだけでした。あたらめて「こんな仕事もあるよなー」と思いました。連盟講師は7名ですが5人参加で、一緒にひな壇の上に坐っていて、連盟講師○○さんと紹介されたとき、立って頭を下げる。それが唯一の役割でした。ネット配信での総会なので、現地参加者はほとんどが役員の人だけです。仕事としては、講師がひな壇にすらることによって「総会の権威付け」と、何か突発的な質問があったときに受け答えることです。無駄なようにも思えますが、考えてみると、自分の人生は大方、無駄なことに喜びを感じたり生き甲斐を感じたりしているので、これも良いかなと思った一日でした。無駄なこと?
『ポジティブ病の国、アメリカ』(バーバラ・エーレンライク著)、「ポジティブシンキングについては、アメリカ独特の無邪気な考え方だと思われがちだが、アメリカ独特とはいえないし、無邪気などという可愛らしいものでもない。アメリカとは大きく異なる環境でも、ポジティブシンキングはさまざまな国で政治的抑圧の道具になっている。」(本文より)本書は、19世紀からキリスト教の一別派として生まれ、20世紀にじょじょに浸透し、大衆化し、今やアメリカ合衆国の国民的強迫観念になり、現在の経済恐慌の要因のひとつでもあるpositivethinkingの弊害を論じています。ポジティブシンキングという心的態度が、人々に期待され押し付けられる「規範」となると、それは抑圧となり、現実把握の失敗、現実遊離、現実逃避へと導かれていく。本書の最初に...ポジティブ病の国、アメリカ
『中外日報』(2023.4.14日号)に「新しい領解文」問題をまとめています。その「上」です以下転載。本願寺派新しい「領解文」の問題点を探る上浄土真京本願寺派で1月16囗に発布された「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)についての消息」に対し、これまで勧学や司教、宗会議員や布教使、一般寺院僧侶、門信徒らから様々な声が上げられてきた。それらの声から、教学面、制定の経緯・手続き、拝読・唱和の推進など多岐にわたる問題点と、背景にある組織的な課題が浮かび上がってきた。上下2回の連載で今回は教学面と制定経緯について取り上げる。(渡部梨陽)法義大きく誤る懸念石上総長は発布経緯を説明新しい「領解文」は、2021年4月に大谷光淳門主が示した親教「浄土真宗のみ教え」に師徳の内容を加えた形で発布された。当初から教学面で疑問視...新しい「領解文」の問題点を探る上
「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)過日、勧学・司教有志の会は、このたび「ご消息」として発布された「新しい領解文(浄土真宗のみ教え)」(以下、「新しい領解文」)について、その文言全般を通じて、宗祖親鸞聖人のご法義に重大な誤解を生じかねないものであることを「声明(一)」において指摘した。この「新しい領解文」の文章表現について、石上智康総長の著書のなかに酷似する表現が多数見出されることは、すでに宗会等で指摘されているように周知の事実であるが、制定の経緯についても、宗会の質疑その他を聞く限り、極めて透明性を欠いている。そして総局の強引な方針によって、全国の僧侶・門信徒は困惑し、混乱は広がり続けている。ことに三月二九日から始まった親鸞聖人御誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年慶讃法要では、「新しい領解...「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)
『中外日報』(2023.4.12日号)に「本願寺派聖教に基づく伝道をー新しい領解文勧学.司教ら声明第2弾」という記事が掲載されていました。以下転載します。浄土真宗本願寺派の学階最高位の勧学とそれに次ぐ司教ら19人が8日、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する第2の声明を発表した。総局が、伝統的に定められた「聖教」ではない新しい「領解文」に基づく法話や唱和を要請していることや、現代版「領解文」制定方法検討委員会の答申と反する名称を定めたことなどに対して「宗門の根幹を突き崩すもの」と強く批判し、新しい「領解文」の取り下げと、聖教に基づく伝道に立ち戻るよう求めた。声明は「勧学・司教有志の会」から出され、深川宣暢勧学を代表に、森田眞円氏、普賢保之氏、宇野恵教氏の4人の勧学と15人の司教か名を連ねる。(勧学と...勧学.司教ら声明第2弾
金の価格が高騰しているという。金Ⅰグラム9,406円とあり、1970年代以前における金の価格は、現在価格の7分の1程度とある。先般、たまに線香を購入する京都のお香の老舗から、「特価販売」というカタログが届いたので、拙寺報恩講導師用、また正月に供える線香を頼みました。30年前に伽羅を購入したときは、1グラム何千円だったかと思います。この度、購入したら品は伽羅1グラム30.000円、2グラム届きました。伽羅の線香は10本27.000円、線香は1本で充分、本堂を香りで満たします。沈香でもピンキリで、最近は法事に行った折、そのお宅にある抹香ではなく、自分で持参した沈香を使っていただいています。伽羅が高くなった
『アニミズム時代』(法蔵館文庫・岩田慶治著)、は、ほとんど読んでいませんが、ふとアニミズムと一切草木悉皆成仏は似ていると思いました。一切悉有仏性でもそうですが、「仏」という理想的世界によって統一されているが、アニミズムは、いのちのありようがバラバラになっているので、そのいのちに接する人の情念によって、悪になった善になったりするのかも知れません。以下、少しですが本から転載します。朝、庭におりたって木々にあいさつする。「今口は、木蓮さん」、「今日は、泰山木さん」。もちろん、木は返事をしない。しかし、泰山木の枝にぶらさがり、木蓮の肌に触れていると、ゴツゴツした、ザラザラした肌ざわりをとおして、木々の返事がかえってくる。自然のなかの応答、感覚のやりとり、そこにアニミズムの出発点があるのではなかろうか。あの枝にカミ...アニミズム時代
宗派から『新時代の浄土真宗』(浄土真宗本願寺派総合研究所編集、浄土真宗本願寺派情報メディアセンター本部編集)が送られてきました。PHPからの発刊です。ざっと目を通しましたが、みな宗報に掲載されていたことで、そう目新しいものがありませんでした。目新しいと言えば、読者「この商品をレビュー」つ次のようにありました。言い得ています。有難い指摘です。本願寺派は歴史と信用のある組織。ゆえに、親鸞の説く教義をもとに、時代に合う理念や行動が語られる本だと想像して、購入。しかし、読んでみると、社会経験が少ない教団のトップが、時代に合うわけでもない、仏教でもない事を語っている内容だと感じました。教団としては、行動理念を大谷光淳門主説かれる各言葉とし、念仏者の社会活動を模索したいようです。社会活動の内容として、地球温暖化、孤独...新時代の浄土真宗
土門拳の埋葬されている八柱霊園のお墓にご縁を頂いている。墓碑に「昭和22年8月土門真菜」とあり、それから浄土真宗とのご縁が出来たのではないかという話を書いた。土門拳は滅多にわが子のことを記していない。そのような興味から図書館から『土門拳のこどもたち』という写真集を借りてきた。以下、二つのことが記されていた。土門拳と「こども」の写真岸哲男(写真評論家、二松学舎大学名誉教授)の最後に、次の様にある。終戦直後の昭和21年-もう遠いむかしのことになったから、書いてもよかろう。当時6歳のかわいいさかりだった上門拳の次女の真菜ちゃんが、築地明石町の自宅近くの防火川水池で、あやまっておぼれ死んだ。その忘れようにも忘れられない不幸な思い出が、こどもにカメラを向けずにはいられない土門拳の深層意識下にきっとあるにちがいない。...土門拳のこどもたち
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。子どもの攻撃性を肯定的行動につなげるそれでは、子どもの攻撃性を肯定的行動につなげていくためには、親や教師の関わりとして何か求められるのでしょうか。子どもの攻撃性の肯定的側面をもっとも強調したストー「『人間の攻撃心』は、親は子どもが外界の危険や内部の攻撃的感情を適切に処理することができるという確信を持って養育すべしと述べています。つまり、子どもを「信じている」かどうかということです。これらの学説を一言でくくれば、家裁調査官と非行少年との関わりをテーマにしたNHKドラマ『少年たち3』(2002年8月放送)で上川隆也演じる家裁調査官が語った、゛”信じること、希望を持つこと、人間はつながっている”という台詞に集約...悪さをしない子は悪人になります④
4月9日(日)、中仏通信の講義で築地本願寺へ行くと「今日は花まつりで駐車できません」とのこと。何とか入れて貰いましたが、境内は1000位の人がいて、出店も「広島お好み焼き」など、屋台の出店と違って、本格的な店が20店舗くらい出店していました。大型の消防車も2台来ていて、お子さんを運転席に乗せて写真を撮るコーナーが人気でした。30年前の築地本願寺の「花まつり」は、銀座三越から築地本願寺まで、作り物の像を引いてのパレードと、子ども向けイベントをしていましたが、人を集めるのには、今の様な飲食を提供することが一番効果的なようです。「やっぱり人は、飲食など煩悩を満たしてくれるものが流行る」と思いながら境内をウロウロしてきました。築地本願寺の花まつり
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。「悪」と攻撃性子どもの「悪」は、やんちゃ、いたずら、わるさ、反発、反抗などの攻撃性として表れます。ここで、「悪」と攻撃性について説明します。「攻撃」は意図的になされる危害行為で観察可能であり、「攻撃性」はその行動が生じる心理的な過程であると説明されることがあります。このように定義する限り、攻撃性は「悪い行為を生じさせる心的過程または心的エネルギー」となります。値かに、凶悪事件、粗暴事件などの反社会的非行は他者に危害を及ぼす攻撃行動であり、自傷、薬物乱用、援助交際などの非社会的非行は自分を傷つける攻撃行動です。非行、犯罪やいじめなどの問題行動のほとんどは、攻撃性の歪んだ発動によるものです。そして、それぞれの...悪さをしない子は悪人になります③
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。悪理学「悪」について説明します。動物行動学、生態学をもとにしながらさまざまな観点から「善」と「悪」について考察したL・ワトソン(『ダーク・ネイチャー悪の博物誌』は、善良なものが腐敗して邪悪なものに転じる契機を「悪理学の三原理」として次のように提示しています。第1原理一よいものは、場所を移されたり、周囲の文脈からはずされたり、本来の生息環境からはずされりすると悪いものになりやすい。どのようなことであれ、もっともよく生きられる場所から移動させられたり切り離されたり遠ざけられたりすると、よいものの安定性が乱され悪くなりやすいのです。そし、元の場所にも移された場所にも問題が生じてきます。ものにはそれぞれに応じた「居場所」...悪さをしない子は悪人になります②
『中外日報』(2023.3.31日号)に本願寺前執行長の武田昭英しが「新しい領解文」について、問題点を投稿していた。新しい「領解文」が全の僧侶・門信徒の間で念が沸き起こっています。宗会でも議論になったようですが、将来の本願寺教団の法義相続に大きな禍根を残すことに気いていたのは、一部の議員のみだったようです。いや、気付いていても、人事権を持った総長の気配りがあったのでないかと思われます。しかし、宗祖親鸞聖人のみ教えが捻じ曲げられることこそが一大事であり、浄土真宗にとって致命的なことです。宗会がこれを座視したことは今後の宗門の衰退に拍車をかけることになる可能性を危惧します。新しい「領解文」の問題点を簡潔に指摘してみます。「後生の一大事」という響きがない。「後生の一大事」は浄土真宗の要です。る。②機の深信が欠如...「新しい領解文」について、問題点
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)、興味深いタイトルの本です。図書案内に次の様にあります。「悪」は排除するべきものではない。悪と善は相対的なものに過ぎない。大事なのは、総体としての生身の人間の中に「悪」を正しく位置づけることだ。罪を犯し、非行に走った少年であっても、「悪」を正しくその子の中に位置づけてやれば、それは人生をプラスの方向に導くためのエネルギーともなるのだ以前、このブログで〝ハトの喧嘩〟について紹介したことがあります。http://satukirou.hatenablog.jp/entry/2013/10/03/202215転載。鳩を籠に入れて喧嘩させると、際限なく殺し合う。相手が無様に倒れ伏してもその皮を剥ぎ続け、容赦のない追撃を加える。これが平和の...悪さをしない子は悪人になります①