2016年 未曾有の刑事ものブームだった思うのですが、その流れでこの「64」も前後編の2部作という超大作として鳴り物入りで公開されました。ですが・・ 64-ロクヨン-後編 あらすじ わずか7日間で幕を閉じた昭和64年、7歳の少女が誘拐され、殺害される事件が起こった。刑事たちの必死の捜査もむなしく事件は迷宮入りし、通称「64」と呼ばれるようになった。担当刑事の三上はその後刑事課から異動し、広報担当になっていた。 「64」から14年経ったある日、警察庁長官が視察に訪れることになる。被害者の父親と面会するはずだったが、父親は面会を拒否するのだった・・。 感想 佐藤浩市という役者さんは、名実ともに日本映画界に無くてはならない大俳優です。ハンサムだったし演技力も抜群。主役もわき役もこなす、素晴らしい俳優さんです。その佐藤浩市さん主演の超大作。他の出演者も並々ならぬ覚悟で臨んだことでしょう。みんな大熱演で、もう熱いのなんのって・・。 あのー、野球もね、9人全部4番バッターではゲームにならないのです。それぞれの役割、メリハリがあってドラマは成り立つ。わかっているとは思います。すごいスタッフで作っているのですから。だけど、でも、あまりの熱さに前編を見ただけで後編を見る気がしなくなってしまいました。まあ見ましたけど。 この原作は横山秀夫先生が、脳梗塞の後遺症と闘いながら、推敲に推敲を重ね、出版中止、全面改稿を経てようやく出版された作品だそうです。そのような作品を映画化するにあたり、2部作、オールスターキャストと大々的に企画され、製作費、宣伝費もたくさんかけて作られました。 なのですが、なのですが、この作品にかける俳優さんたちスタッフさんたち一人一人の思いはわかりますが、 が、が、「空回りしています!」 それがこの作品への感想のすべてです。すごくいいシーンもあった。いい演技もあった。みなさんがんばってる。刑事も記者も興奮して大声でしゃべる。声の通る人が勝ち。だから佐藤浩市はさすがに一番光ってた。(ちょっと老けたなあと思いましたが) が、しかし、映画は「演技合戦」ではありません。何を観客に伝えたいのかを、忘れていなかったでしょうか。
映画『ザ・ブリザード』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆
2016年公開。こんな映画誰も知らない、ぐらいヒットしませんでした。製作費がものすごくかかっているらしいけど、日本での興行収入は推定3億円。「君の名は。」の80分の一ぐらいです。残念。 あらすじ アメリカの沿岸警備隊の若き隊員バーニーは、正義感が強く、困っている人を助けずにいられない。この日も悪天候で遭難したタンカーの乗組員を救出するために嵐の海に向かう。美しい恋人のミリアムはそれを知っていたたまれず、警備隊本部に怒鳴り込む・・。 感想 私は結構面白いと思ったんですけど、なんか地味だからか、ヒットしなかったですね。日本人の洋画離れもあるかもしれないですが、本国アメリカでもパッとしなかったようです。せっかくのクリス・パインが、等身大のヒーローを演じているのに・・。 私の星★が3つになった理由は、お金はかかっていて、波しぶきや難破船のシーンが凄いのに、そういう緊迫したムードをぶち壊すバーニーの恋人の出しゃばりな性格がとても邪魔、だからです。 せっかくの、ほんとにせっかくのケーシー・アフレックの深い演技も、クリス・パインの真に迫る表情も、彼女が時々出てきてうるさくぶち壊す。そういう印象だけが残ってしまった作品でした。 思い起こしてみると、沿岸警備隊がタンカーの乗組員を救出した実話の映画化で、タンカーも警備隊の船も、街も車もすべてが時代色豊かによくできており、ストーリーも主人公の恋人の話を絡めながら、テンポよく展開し、手に汗握るクライマックスで、たいへんいい映画だったのです。 クリス・パインとしても、彼の名声を不動のものにする大作となったはずでしたが・・、何故か大赤字に。うーんなんでかなあ。 恋人役がウザイってことは映画館行って見てみないとわからないことで、それ以前にみんなが行こうとしなかった、ということは、もうこういう地に足の着いた題材が、支持されないということで。 それはつまり、漫画の映画化みたいな作品を求める観客が増えたため・・ということで。 それは、映画ファンとしてとても残念なことであり、嘆かわしいです。 「この世界の片隅に」があのようにヒットしたことは、まだまだ日本も捨てたものじゃない、と思わせる出来事でしたが。 この「ザ・ブリザード」がコケたことは正直ショックでございました。
映画『コンフィデンスマンJP』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★☆☆☆
テレビドラマの映画化って、最悪でもテレビドラマを映画で見るようなものなんですけど、この作品はテレビドラマのほうがマシって思う。そのくせ映画の批評サイトでは★4つだったりする。4つは多すぎじゃない? コンフィデンスマンJP Blu-ray BOX あらすじ コンフィデンスマンは信用詐欺師。ダー子(長澤まさみ)とボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の3人が次に狙うのは、香港の女帝ラン・リウの持っているパープルダイヤのネックレスだった。 感想 とちゅうからネタがわかってしまう、というネットの書き込みも多かったけど、それでも星は4つ。おかしいなあ、だれが星を付けてるんだろう。 テレビドラマを毎回欠かさず見ていた者としては、映画版がテレビよりも間延びして面白くないっていう意見が大半を占めると思っていたのですが。 だれよりもコンフィデンスマンのドラマファンのうちの旦那いわく、「間延びして眠たかったうえに、途中でネタがわかっちゃった。」だそうです。 初めて見る人にとっては面白いのかな。それだけドラマ版は他には無いような魅力があってぶっ飛んでた、ということですね。 ドラマを見ていて、もっとわくわくするのかな、と期待して見た方はがっかりしたことでしょう。
映画『キングアーサー』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆
2017年公開 はじめは6部作の第1作と聞いていましたが、評判が悪すぎて誰も続編の話をしなくなりました。何がいけなかったのでしょうか? キング・アーサー(字幕版) アーサー王の伝説については、ほとんど何も知らず、最初は見るつもりがなかったのですが、6部作と聞いて、じゃあ見ておかなくちゃと映画館に行きました。 私はそこまで悪くなかったと思うのですが、とにかく世間の評判が悪い。アメリカでも酷評されたようです。 理由は何かというと、やっぱり面白くなかったからでしょうね。 CGを駆使しようがしまいが、いい俳優を使おうが、「話が面白くなければ映画は面白くない」あたりまえのことですが、これは真実だと思います。 じゃあ面白くなかった原因は何か。おそらくですが、作り手は一人ではなく、背後にもたくさんの人がいて、それぞれの思いがバラバラだったのではないか・・そんな気がします。もったいないなあ。 キングアーサーのアーサー王伝説は欧米人には特に浸透していて、それだけに主役のチャーリー・ハナムへの期待と同時に、作品への期待度は大きかったのではないでしょうか。 「そもそも題材が古すぎる」という意見もありますが、それは根本的な原因ではないでしょう。 伝説の王の話で、CGも素晴らしく、俳優も素晴らしい。なのにそれほど印象に残らなかった。非常に残念です。 私としては、せっかくだから続編を作ってほしいと思います。別に低予算でもいいから、もう少し脚本を練りましょう。「どこかで見た」感の無い作品をめざして。
映画『イブ・サンローラン』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆
2014年公開 フランスの偉大なファッションデザイナーの伝記です。シャネルやディオールと並び称されるサンローラン。その作品はいつも若い女性を夢中にさせるものばかりでした。 しかしサンローラン自身は鬱病や薬物中毒に苦しむなど決して平坦な人生ではなく、その苦悩をこの映画で描いています。 イヴ・サンローラン(字幕版) あらすじ ディオールのデザーナーとして頭角を現したサンローランは、ディオール亡き後、主任デザイナーとしてショーを成功させる。この時は若干21歳だった。しかしその後戦況が悪化し入隊。軍隊での人間関係で精神病院に入院することになり、このことがのちに彼が薬物中毒に陥るきっかけとなっている。それでも彼の作品は常に新しく、モダンで上品な魅力にあふれていた。 感想 公式伝記映画と呼ばれる作品がこれで、同時期に「サンローラン」という作品も公開されていますがこちらのほうはサンローランのスキャンダルな部分に焦点を当てているそうです。 この作品でもサンローランのいろんな部分を描いていますが、そばで生涯サンローランを支えた、恋人ピエール・ベルジェの目を通して描かれ、サンローランの人間的な魅力もクローズアップされています。 彼のデザインした洋服たちにはとても敬意を払っており、衣装をモデルに着せてみるシーンの、衣装のフォルムの美しいこと。何十年たった洋服でも色褪せない魅力にあふれています。 主演の俳優、ピエール・ニネは華奢で美しく気高い。いい俳優さんです。でも私の若かりし頃の記憶では、サンローランはこんなに美青年ではなかった。それでけっこう奔放な生活をしているとは聞いていたので、作る洋服とは偉い違いだなあ、と思ったものです。 公式伝記映画なのに、まあまあスキャンダラスシーンがあるので、いいのか?と思わないでもないけど、これがフランス映画なのでしょう。 脳裏に極彩色シーンのの印象が強く残りました。色鮮やかないいテレビで見てください。
映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想&あらすじ/おすすめ度 ★☆☆☆☆
2017年公開のアニメ作品。1993年の岩井俊二原作・監督のテレビドラマ作品のアニメ化です。93年のフジテレビ「ifもしも」というオムニバス作品の1つでしたが、非常に秀逸な作品で評判になり、その後映画として公開されました。 あらすじ 中学生のなずなは学校のアイドル的存在。しかしあるとき母親の再婚で急に転校することになる。なずなは典道と祐介に50mを泳ぐ競争をして、勝ったほうを花火大会に誘うと決めていた。いっしょに駆け落ちして逃げようと・・。 感想 リアルタイムでifを見ていた人間にとっては、あの秀作をどうアニメ化するのか、またよくぞあの原作を取り上げてくれた、とわくわくしていましたが、出来上がった作品の星の数はサイアク。あまりに評判が悪いので映画館では見ず、ようやく無料配信で見ることができました。 評判どおり、よく意味の分からない演出とヘタな絵でがっかりの内容。なぜ原作に忠実にアニメ化しなかったのか。なぜあんなに意味の分からない、途中でお花やお星さまいっぱいになったり、キラキラが破裂したりするのか。また、主人公の典道の理解力の無さにいらいらさせられたり、なずなの色気シーンばかり繰り返したりするのか。 それをぐっとこらえてがまんしたとしても、時間を戻すツール(なんか丸いキラキラボールで時間が戻る)を登場させたなら、その成り立ちの伏線を張って、ちゃんと回収してほしかった。とにかくすべてが、意味不明だった。それも無駄に意味不明。テンポも悪い。 背景など素晴らしい要素もたくさんあり、声を演じた俳優もだいぶ頑張っていただけに、惜しい。惜しすぎる。 皆さんがネットに書き込んでいた、作品への批評がほとんどダメだしでしたが、私も同感です。 同時に、奥菜恵がなずなを演じたあのドラマ作品をもう一度見てみたくなりました。
人がなぜ山に登るのか。これまでわからなかったものが、この映画を見て、少しわかりました。言葉に表すのは難しいけれど、それは本当に純粋な山への思い。「そこに山があるから」とよく耳にしますが、ほんとうにそんな感じが伝わってきました。そして、迫力あるエベレストの素晴らしい映像でした。 エベレスト (字幕版) あらすじ さまざまな思いや事情を抱え、エベレストに登るために世界中から人々がやってきます。この日も、あるグループが登頂を目指すが、道具の不備や体調不良や天候不良で、デス・ゾーンと呼ばれる人間が生きることのできない死の領域で離れ離れになってしまう・・ 感想 1996年に実際に起きた遭難事故の映画化です。この時期エベレストには大勢の人が登頂を試みるために集まってきており、嘘のような話ですが、頂上近くでは、下山する人を待機して待ってから頂上に向かわなくてはいけない、工事中の交互通行みたいになっていました。この商業登山に対して、事故の後に批判が相次いだようです。 エベレストはそんな甘い山ではなく、登頂するためには何か月もかけて近くの低い山で訓練登山しながら、だんだん高い山に登っていくということをしなくてはなりません。お金も体力も並大抵ではなく必要です。 それなのにシェルパやガイドが荷揚げをしてくれ、登山技術が未熟な人でも登れるようになっていた、ということがこの事故の背景にあるようです。 しかし、映画の美しいエベレスト、壮大なエベレストを見ていると、山を愛する人が登りたくなる気持ちがわかるようになりました。 だからなおさら、ほんとうにエベレストを尊敬し登頂したい、と思う登山家だけが、エベレストに挑戦する資格があるのかな、と思いました。 映画は遭難したパーティの面々がそれぞれの事情を抱え、ネパールの町に入り、登頂をめざす姿が描かれます。それだけのストーリーなのにどのシーンも丁寧に描かれ、エベレストへの道にぐんぐん引き込まれていきます。 終わってみると、自分もエベレストに近づいた、登る意味がすこしわかった、と思ってしまう映画です。
山崎賢人、吉沢亮の本気の熱量がすごい。2人はまだ粗削りですが、役者魂のようなものが見えました。 ヤングジャンプで連載されているべストセラー漫画の映画化。すでに50巻以上発行されている単行本の1~5巻までの物語です。主人公の信(山崎賢人)は秦の始皇帝の家来の大将軍・李信がモデル。そしてその始皇帝がモデルのえい政は吉沢亮が演じています。 映画 キングダム 写真集 -THE MAKING- あらすじ 奴隷として育った信と漂。2人は日夜、剣の腕をみがき、奴隷の生活からなんとか抜け出そうとしていた。 あるとき身分の高い武将が通りかかり、漂を見てお城に連れて行くという。「先に行くぞ」とお城に上がった漂だったが、それから時が流れ、あるとき瀕死の重傷で戻ってきた。実は漂は顔がそっくりな王の身代わりとしてお城に上がっていた。 その事実を知った信は、漂の敵を討つため王と行動を共にする。初めは王のえい政のことを許せなかったが、その人物を知るにつれ、本当に王のことを守るために信は剣をふるい、敵と戦っていくのだった。 感想 漫画を映画化する難しさって、それは仕方ないですが、信という人物はこんなにオーバーにしゃべるのか?とイラついてしまったのは私だけではないでしょう。 「おおむね合格点」というネットの評判ですけど、山崎賢人については評価が分かれます。 私は彼はもう少しできると思います。 ただ、今はあれが精一杯です。じゃあ誰があの役をできるのかと言われると、思い浮かびません。 あの運動神経、力強いセリフ、整った容姿、ほかには誰もいません。 信は人気漫画の主人公ですので、漫画を読んだ人の中でそれぞれ膨らみ、できあがっていることでしょう。人間でそれを再現するのは不可能に近いと思います。仮面を被ったヒーローでもないですし。 ただ結果として、確かに吉沢亮に食われていました。王様の吉沢亮はハマり過ぎでした。容姿が良すぎる。でもそれが映画の大ヒットに貢献しています。 また、あのあと壮大な物語が続く、と思うからこそ映画は成功しています。戦闘シーンや王宮のシーンのCGなど、ハリウッド映画にはまだまだ及ばないけれど、先々のことを思い浮かべ、心の中で期待感が高まり、壮大な印象が広がりました。 それと戦闘シーンは山崎賢人の運動神経がずいぶん功を奏していたと思います。
2004年 アカデミー作品賞受賞。どんな力作だろう、と思って見てみました。しかし2004年の映画なので2019年の今見てみると、ちょっと古い感じがします。映画を見るのにも旬があります。無いものもありますが。 あらすじ グラハム(ドン・チードル)はロサンゼルス市警の刑事。あるとき人が銃で撃たれて殺害された現場に向かう。 そして物語はその男が撃たれるまでの36時間前にさかのぼる。 ある1つのカージャック事件が起き、犯人の黒人2人組、被害者の裕福な白人(サンドラ・ブロックとブレンダン・フレイザー)、そしてその同じ車種の車に乗る黒人富裕層の男女、その男女を職質し、妻にセクハラした人種差別主義の警官(マット・ディロン)。 最初の裕福な白人の家に鍵の取り換えをした有色人種の男(マイケル・ペーニャ)など、他にもさまざまな人々が関わり合い、共通しているのは人種差別が核にあり、問題に発展していくということ・・。 感想 日本人にとっては人種問題は難しいですが、このように理解するのですよ、と他国の人への説明書のような映画です。 特に、最初の起点になったカージャックの犯人は、世の中は黒人への偏見に満ちている、という考えの持ち主で、白人の女が自分をよけたのが、偏見によるものだと曲解し、そして事件を起こすので、なるほど、たぶん世の中の事件や戦争なんかもこういうことの積み重ねなんだろうな、と思ってしまいます。 淡々とそれぞれの人々の事件が交互に綴られ、そして繋がり、最後の殺人事件になります。 あの「ダンケルク」のように、「いつの時間帯をあらわしているんだろう?」とわからなくなる作りなので、最初の事件は、実は最後に起きること、だとわかって見たほうが理解が早く、映画を楽しめるかと思います。 ブレンダン・フレイザー以外、みんな演技が素晴らしい。特に刑事役のドン・チードルの哀しみに満ちた表情は映画全体を引き締めています。
映画『殿、利息でござる』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆
2016年公開。どうしてこんな題にしたのかな。原作は磯田道史「無私の日本人」の中の評伝「穀田屋十三郎」です。 意外にも感動するいい映画なんですけど、この「殿、」という題からは全くそうは思えないですね、残念です。 殿、利息でござる! あらすじ 仙台にある吉岡宿の穀田屋十三郎は、宿場町が貧困に窮している状況を憂いていた。 吉岡宿は物資の輸送を行う伝馬役になっているが、藩の直轄領ではないので助成金が出ず、宿場のお金を投じて馬や人出を手配するのでどんどん貧乏になるばかり。 十三郎は、ある時知り合った京の茶師・篤平治が、「町民から銭を集め、それを藩に貸し付け、利息で儲けよう」と思いつき、それを実行しようと、資金集めに乗り出すのだが・・。 感想 コメディなのかと思って、「まあ見てみるか」ぐらいの感じでスクリーンでみたのが3年前です。 事実を基にしているということもあり、どんどん引き込まれ、また俳優さんたちの演技もとても良くて、「見ておいてよかった~」と思う映画の1つとなりました。 なかでも妻夫木聡は、やっぱり俳優としての格が違う。ほんとに上手いし、存在感もあります。主役の阿部サダヲや瑛太も良かったし、悪役(みたいな)の松田龍平も「冷たい偉い品のあるお侍」の役が、とても板についていました。 難を言えばやっぱり日本映画らしく、クライマックスの詰めが甘い、ということでしょうか。もとが短編小説だから仕方ないのかなあ。でも大事なことは映画としてどう成立するか、ですから、最後は思い切った演出や仕掛けがあっても良かったかも。 羽生結弦選手が殿役で出演したことが話題になっていますが、殿が異次元の存在という位置づけなので、けっこう効果的だったと思います。 でもやはりこの映画の見どころは感動するストーリーですので、見逃した方はどうかご覧ください。
映画『やさしい本泥棒』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆
2013年 アメリカ・ドイツ合作 日本での公開は見送られましたが、とてもいい映画です。なんで見送られたんでしょうね。 あらすじ 二次大戦直前のドイツ。共産党員だった両親は逮捕される前に子供たちを里子に出した。 途中で弟がなくなり、姉のリーゼルは一人である夫婦の養子になる。 養母には冷たくされるが、養父はやさしく迎えてくれ、読み書きのできないリ―ゼルにやさしく教えてくれた。 あるときヒトラーの弾圧が厳しくなり、とうとう本を読むことを禁じられる。街はずれでたくさんの書物を集めて焼き、人々は軍隊を恐れ、ヒトラーに忠誠を誓う。 リーゼルはそこで、こっそりと1冊の本を盗み出すのだった・・。 感想 第二次大戦とは何が起きていたのか、日本の学校をちゃんと卒業しましたが、あまりはっきりと教えられていない気がします。 日本では原爆が落ち、空襲があった。 ではヨーロッパでは何か起きていたのか。この、1人の少女を描いた映画を見るだけでも、ドイツという国の市民に起きた悲惨な出来事が垣間見れます。 12歳ぐらいの平凡な1人の少女の数年間の出来事。この切り取られた狭い世界のお話を通して、このときに、この国にどんなことが起きていたのかが見事に投影されています。 語り部が「死神」なのですが、ちょっと神秘的な感じで、悲惨さや悲しさをやわらげています。 主人公のリーゼルがほんとうに美少女で、美少女過ぎるぐらいですが、なかなか存在感がありました。 歴史は好きだけど悲惨な戦争映画はちょっと・・という方におすすめです。
2016年 韓国映画「怪しい彼女」のリメイクです。ある日突然、お婆さんが若い娘に戻ったら・・ あらすじ 73歳の瀬山カツは、商店街を歌って踊りながら歩く明るいお婆さん。ある時、夜の商店街の写真館が怪しい光に照らされ、そこで写真を撮ったカツは、なぜか20歳の娘に戻っていた。カツは青春の日々を取り戻そうと、新しい人生を楽しみ始めるのだった・・。 感想 お婆さん役が倍賞美津子で、若い娘役が多部未華子。なんかタイプが違う配役ですが、まあそこはいいでしょう。 今回DVDを借りて、テレビで鑑賞。肩の凝らない話で、ちょっとしんみりもして、たまにはこういう映画もいいかな。 ハリウッドの俳優さんも韓国の俳優さんも、歌ったり踊ったりできる人が多いですが、日本の場合は歌手は歌手、俳優は俳優という空気がまだあります。 そんな中で、多部未華子は演技も上手いですが、歌も歌えるんですね。感心しました。 映画としては、可もなく不可もなくと言いましょうか。軽く楽しめるストーリーで、家族で見るのにぴったりですね。 もちろん、突っ込みどころはいっぱいありますが、それは無視して、ただ楽しめばいい作品です。 最後に野村周平がチラッと出てきたところが洒落てました。中盤以降面白くなるのに、最初の20分がつまらない、という珍しい映画です。見られる方は、最初がまんしましょう。
映画『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆
2018年公開ですが、その解決編ともいうべきエンドゲームがもう2019年に公開されました。 インフィニティ・ウォーでもやもやしていた人たちが、エンドゲームでスカッとしたかったのか、すごい勢いで大ヒットだそうです。 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX あらすじ サノスは全宇宙の半分の生命を絶たないと、宇宙の均衡が保たれない、という思想の元、6つのインフィニティ・ストーンを集め、その石の力で一瞬にしてとてつもない数の生命を奪おうとしていた。アベンジャーズたちはガーディアンズとも力を合わせ、サノスを阻止するべく立ち上がった。 感想 サノスが提唱する、「宇宙の均衡を守るために、生命の半分を消滅させなければならない」という考え方。まったくあきれてものが言えない考えです。 アベンジャーズ達はこの考えに真っ向から否定します。「人間の命の重さに大小は無く、命は何物にも代えがたいものだ」と。 そこまではいいのですが、ではそのサノスの「宇宙の均衡」という思想はどこからきているのか。サノスは宇宙の創生主にでもなったつもりなのか。サノスのほうには、もっと深い理由はないのか。と不思議に思ってしまうのは私だけでしょうか。 そう思って、グーグルで検索。「サノスはなぜ」と入れてみると、ある1つの事実がわかりました。 原作のコミックから、ある1つのことを削除していたのです。 それは、「サノスは死の女神に恋していた」、ということ。 恋がサノスを動かし、死の女神の気持ちを自分に向けるために、あれほどの殺戮をさせた、という部分を、映画ではそっくり削除しています。 「これ以上キャラクターが複雑にならないため」だそうですが、いやいや、動機は何より大事でしょ。 漫画の映画化だからあれぐらいの動機でいい、と考えたマーベルの担当者の人たちは、アベンジャーズを後世に残る名作にしたくなかったのでしょうか。
映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆
「アベンジャーズ」としては第2作になりますが、マイティ・ソーとかキャプテン・アメリカとかガーディアンズとか、やたらシリーズがあるので、もう何作もあるような気がしていました。 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン (字幕版) アメリカのマーベルスタジオのアニメヒーローをクロスオーバーさせたアベンジャーズ・シリーズ。1作目と3~4作目がなんとなくつながっている感じですが、2作目となるエイジ・オブ・ウルトロンはちょっとスピン・オフのような雰囲気です。 それにしてはこの逸話に、なんとお金がかかっていることか? あらすじ 前作の最後に奪還したはずのロキの杖は、実は悪の組織ヒドラに持ち逃げされ、その力を用いて人体実験が行われていた。アベンジャーズたちは杖をまた奪い返すが、トニー(アイアンマン)は杖に埋め込まれたストーンの力を使って、人工知能を生み出そうとする。ロキの杖のストーンは、宇宙にある6つのインフォにティストーンの1つだった。 しかし生み出された人工知能・ウルトロンは暴走し、最強の肉体を手に入れようとする。アベンジャーズはまたも結集し、ウルトロンに立ち向かうのだった・・。 感想 ヒーローものが大好きな人にはたまらないシリーズであります。もちろん、娯楽映画大好きなので、私もアベンジャーズはずっとチェックしています。(やっぱりキャプテン・アメリカがかっこいい。) ほとんど美人とハンサムばかりのヒーロー映画の中でも、頭脳明晰・肉体強靭・心も優しいとなると最強中の最強です。 悪役のウルトロンは人工知能なのでなんとなくキモイですが、大悪党のサノス登場前の掌編としては、肩慣らしにぴったりの戦いでありました。(街が1つ粉々になったのですがね)
映画『アベンジャーズ エンドゲーム』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆
やっぱりこれを見ておかないわけにはいかないですね。前作のインフィニティ・ウォーのショックから立ち直れないでいるうちに、もう続編の公開です。わかってはいてもハラハラドキドキの時間はとても楽しかったです。 【映画パンフレット】アベンジャーズ エンドゲーム 特別版 パンフレット あらすじ 宇宙最強の敵サノスによって、全宇宙の人類半分が消滅してしまった・・。生き残ったアベンジャーズのメンバーたちはもう一度立ち上がり、反撃をしかけるのだった・・。 感想とネタバレ とにかくこれは、原作がアメコミですので、少々のつっこみどころは置いといて、物語を目いっぱい楽しんでしまいましょう。正義の味方のヒーローはかっこいいし、敵をやっつけるたびにスカッとします。それこそが娯楽映画の醍醐味。映画が存在する意義だと思います。 ただ、やっぱりどうしても既視感があるのが、「タイムマシン」的なことで勝利の糸口を見出すしかなかったということ。それはドラえもんでも何度もやってるお決まり展開ですよ! サノスについても、もう少し大物感は出せないものか? 日本のアニメを何十年も見ている側からすると、ストーリーはありきたりと言えよう。 しかしそこはお金をかけたCGを駆使した映像で私たちをうまく誘導して、深く考えさせません。「友情」のような形のない大いなる物も、作品に奥行きを出すいいエッセンスとなります。 3時間、まったく飽きることなく、長くも感じませんでした。 日頃の悩みや、ストレスなど、宇宙を揺るがす出来事の前では、なんとちっぽけなことでしょう。何もかも忘れて、ヒーローの活躍にわくわくしてください。映画はきっとそのためにあるのです。
映画『アベンジャーズ エンドゲーム』感想&あらすじ/おすすめ度 4.0
やっぱりこれを見ておかないわけにはいかないですね。前作のインフィニティ・ウォーのショックから立ち直れないでいるうちに、もう続編の公開です。わかってはいてもハラハラドキドキの時間はとても楽しかったです。 あらすじ 宇宙最強の敵サノスによって、全宇宙の人類半分が消滅してしまった・・。生き残ったアベンジャーズのメンバーたちはもう一度立ち上がり、反撃をしかけるのだった・・。 感想とネタバレ とにかくこれは、原作がアメコミですので、少々のつっこみどころは置いといて、物語を目いっぱい楽しんでしまいましょう。正義の味方のヒーローはかっこいいし、敵をやっつけるたびにスカッとします。それこそが娯楽映画の醍醐味。映画が存在する意義だと思います。 ただ、やっぱりどうしても既視感があるのが、「タイムマシン」的なことで勝利の糸口を見出すしかなかったということ。それはドラえもんでも何度もやってるお決まり展開ですよ! サノスについても、もう少し大物感は出せないものか? 日本のアニメを何十年も見ている側からすると、ストーリーはありきたりと言えよう。 しかしそこはお金をかけたCGを駆使した映像で私たちをうまく誘導して、深く考えさせません。「友情」のような形のない大いなる物も、作品に奥行きを出すいいエッセンスとなります。 3時間、まったく飽きることなく、長くも感じませんでした。 日頃の悩みや、ストレスなど、宇宙を揺るがす出来事の前では、なんとちっぽけなことでしょう。何もかも忘れて、ヒーローの活躍にわくわくしてください。映画はきっとそのためにあるのです。
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