保護者が同伴でないと、割引が受けられない。と駅員に言われ、私の試しの旅がはじまった。それもそうだ。一人で出来る人に特典を与える。「町は甘くない」ど暗黙の助言を受けた。57歳の時に、まさか、脳出血で倒れ、半身不自由になり、運転免許も一部取り消しになった。それもそうだ。今日は、15年ぶりに町の雑踏にでた。リハビリも今も続けているが、今日は、自己責任で内緒で町にでた。妻も私を川に放り込むように私を手放した。「行って来るね」「おだいじに」込み入った文言もなく一人旅が始まった。杖を持っているから町は、やさしい。電車に乗っても、若者が席を立ち、言葉もなく別車両に移った。ドアが開き、何秒で閉まるのか、10秒の駅も、15秒の駅もある。ラッシュ時は、避けたいが乗車、下車はタイミングだ。本流の街に着いた。壁に寄りかかることが...まち(連載―第557号)