尿路感染症(UTI)の生涯罹患率は女性で50%以上である。尿路感染症の臨床的、生理的、生活習慣的な危険因子は多岐にわたりますが、トイレ後の肛門や会陰の衛生習慣、特にトイレットペーパーで拭く方向と尿路感染症の危険性との正確な関係はまだ調査さ…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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血栓性脳卒中患者の主要心血管イベントに対するプラスグレル vs. クロピドグレル、どちらが良いのか?(DB-RCT; PRASTRO-III試験; )
非心原性塞栓性脳卒中の再発予防のために、日本の脳卒中診療ガイドラインでは、抗血小板療法としてシロスタゾール、クロピドグレル、アスピリンが推奨されています。プラスグレルは、チエノピリジン骨格を有するアデノシン二リン酸受容体拮抗薬であり、クロピドグレルよりも速やかで強力、かつ安定した抗血小板作用を示し…
妊娠中のmRNA COVID-19ワクチン接種の安全性と有効性は?(SR&MA; Nat Commun. 2022)
2020年12月に最初のCOVID-19ワクチン接種の有効性が報告され、高所得国では直ちに大量接種が開始され、地域や世界によって接種率にばらつきがあるものの、これまでにないスピードで進行しています。ワクチン接種が十分でないグループのひとつが妊娠中の人々です。COVID-19ワクチンの初期試験から妊…
日本における一般的な風邪症状に対する潜在的不適切処方の割合はどのくらい?(日本の横断研究; PLoS One. 2022)
風邪の症状は、海外でも日本でも、患者が医療機関を受診する主な理由の一つとなっています。従来、風邪の症状に対して医師は主に抗菌薬を処方していました。抗菌薬処方の実態や、感冒症状のある患者が抗菌薬を使用することによる弊害については、多くの研究により報告されています。米国で発表された報告によると、薬剤耐…
日本人糖尿病患者における心血管イベントの発生においてSGLT2阻害薬間に差はありますか?(日本の後向きデータベース研究; Cardiovasc Diabetol. 2022)
SGLT-2阻害薬間で心血管イベントの発生に差はあるのか?ナトリウム・グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤は、腎近位尿細管によるグルコースの再吸収を阻害することによりグルコースの尿中排泄を促進し、血漿グルコース値を低下させる経口抗糖尿
帯状疱疹ワクチンおよび抗ウイルス剤治療が虚血性脳卒中リスクに及ぼす影響は?(自己対照ケースシリーズ研究; Neurology. 2020)
脳卒中は死因の第5位であり、深刻な長期障害を引き起こし、米国における2015年の年間コストは339億ドルと推定されています。脳卒中の原因として、感染症が重要であることを示すエビデンスが蓄積されています。帯状疱疹は、一般に若年期に潜伏していた水痘・帯状疱疹(HZ)ウイルスが再活性化することによって起…
睡眠不足は脂肪を減らすための食事療法の効果を台無しにするかもしれない(小規模ランダム化クロスオーバー試験; Ann Intern Med. 2010)
肥満者におけるカロリー制限食の効果に対する睡眠不足の影響は?哺乳類の睡眠は、生体のエネルギーバランスの調節や代謝的生存と密接に関連しています(PMID:16251951)。げっ歯類の睡眠不足による強力な異化作用に比べ(PMID:844749
プロトンポンプ阻害薬とDAPT併用による安全性・有効性は?(SR&MA; Front Pharmacol. 2021)
経口P2Y12受容体阻害剤とアスピリンによる二重抗血小板療法(DAPT)は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または急性冠症候群(ACS)後の基礎抗血小板戦略を構成します。DAPTの主な欠点は、治療の中止と最も重要な死亡率の上昇につながる可能性のある出血事象の発生率増加です。消化管は、DAPT…
慢性腎臓病患者における3年間の生活習慣介入による効果は?(RCT; J Am Soc Nephrol. 2022)
慢性腎臓病患者(CKD)は、将来の自律神経機能障害および心血管疾患のリスクが高いことが報告されています。指導付きライフスタイル介入は、CKD患者の身体活動および体力を大幅に改善する可能性があります。そこで今回は、CKD患者における3年間の生活習慣介入による効果を検証したランダム化比較試験の結果をご…
スタチン併用の有無に関わらずPCSK9阻害剤およびエゼチミブによる心血管リスク低減効果はありますか?(SR&NWM; BMJ. 2022)
低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値および心血管リスクの低減には、(a)コレステロール合成の阻害(スタチン系薬剤)、(b) 小腸でのコレステロール分子の吸収を阻害する(エゼチミブ)または(c)モノクローナル抗体(アリロクマブやエボロクマブなど)を用いて循環血中タンパク質を阻害することにより、PCSK9(proprotein convertase subtilisn/kexin type 9)タンパク質の作用を中和させる、または、
症候性心室頻拍に対する基質アブレーションと抗不整脈薬療法どちらが優れていますか?(RCT; SURVIVE-VT; J Am Coll Cardiol. 2022)
心室頻拍とは、連続で3拍以上にわたり心拍数が120/分以上となる状態です(通常は60〜100/分)。症状は持続時間に依存し、無症状から動悸、血行動態の破綻、さらには死に至ることもある状態です。虚血性心筋症で植え込み型除細動器(ICD)を装着している患者において、カテーテルアブレーションと抗不整脈薬…
NOAC治療中に急性脳卒中を発症した心房細動患者における虚血性脳卒中と出血のリスク要因は?(前向き観察研究; RENO-EXTEND試験; Stroke. 2022)
NOAC治療中に急性脳卒中を発症したAF患者における虚血性脳卒中と出血のリスク要因は?
モデルナ社製COVID-19ワクチンは6〜11歳の小児においても有効ですか?(RCT; KidCOVE試験; N Engl J Med. 2022)
コロナウイルス有効性試験(COVE)およびTeen COVE試験において mRNA-1273ワクチン(Moderna, モデルナ社製)は、主に一過性の副作用が少なく、12歳以上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に高い有効性を示すことが示され、米国では成人への接種が承認されています…
退院間近のCOVID-19入院患者のリハビリ運動負荷時のサージカルマスク着用は安全か?(小規模ランダム化クロスオーバー試験; Clin Rehabil. 2022)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染を軽減するために、入院患者におけるサージカルマスクの着用がリハビリテーションを含むケア中に推奨されるようになりました。しかし、マスクは呼吸困難を増加させる可能性があり、急性期以降のCOVID-19患者のリハビリテーション活動を推進する上で懸念されま…
DAPT実施患者における消化性潰瘍に対するレバミピドの効果は?(小規模DB-RCT; J Gastroenterol Hepatol. 2019)
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の血栓予防のために二重抗血小板薬(DAPT)が用いられています。DAPTの適切な実施期間については結論が得られておらず、患者背景によりますが、少なくとも1〜2年間以上の実施が求められます。このような背景からDAPTの長期使用は増加しており、ほとんどの患者は…
心血管疾患リスクを有する糖尿病患者における非HDL-C低下に対するスタチンはどれが良いですか?(代用のアウトカム; SR&NWM; BMJ. 2022)
心血管疾患(CVD)は、世界の死亡原因の第1位です。スタチン系薬剤やPCSK9阻害剤など、CVDのリスクファクターである低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)を低下させる薬剤を含む多くの治療法があるにもかかわらず、CVDは世界の死亡原因の上位を占めています。LDL-C低下薬は有効であることが多…
社会との関わりがある方が幸福度が高い?(縦断研究; Int J Environ Res Public Health. 2021)
周囲の社会的つながりから得るものが多いと幸福度は高くなるのか?世界保健機関(WHO)の憲法前文では、健康とは「身体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱がないことではない」(PMID: 12571728)と定義されて
DOACの適応外低用量は標準用量と比較して全死亡および心血管複合イベントのリスクを増加させる?(コホート研究のSR&MA; Int J Cardiol. 2022)
房細動は、高齢者に最も多くみられる不整脈であり、血栓塞栓症との関連が指摘されています。中でも虚血性脳卒中のリスクが高いことが報告されています。直接経口抗凝固薬(DOAC)は、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンに代わり、ほとんどの患者で選択される治療法ですが、その使用に際して標準的な投与量では出血な…
SARS-CoV-2オミクロン変異株は他の流行株と同程度の致死率であることが判明(データベース研究; preprint; Research Square 2022)
オミクロン変異株は従来の流行株と比較して感染力が強く、入院や死亡リスクが低いとされているが、、、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)のB.1.1.529(Omicron, オミクロン)変異株は、南アフリカ、スコット
日本における2型糖尿病患者の2002年から2018年までの血糖コントロールの推移は?(横断研究; JDDM66試験; BMJ Open Diabetes Res Care. 2022)
2型糖尿病は世界的な流行病であり、多くの国で公衆衛生や経済的負担に対する大きな脅威となっています。 2型糖尿病患者の予後を改善し、重篤な合併症の発症を予防するためには、厳格な血糖コントロールを長期にわたって維持することが重要です。多くの糖尿病診療ガイドラインでは、妊娠していない成人の血糖コントロー…
慢性腎臓病患者における便秘と末期腎不全リスクとの関連性はどのくらい?(台湾データベース研究; BMC Nephrol. 2019)
慢性腎臓病(CKD)は、世界的な健康問題です。CKDを適切にコントロールできなければ、末期腎不全(ESRD)に進行し、腎代替療法という高価な介入を必要とし、家族や政府にとって大きな負担となります。CKDのリスクファクターには、糖尿病、高血圧、鎮痛剤、ハーブ、腎臓結石、感染症など多くのものがあります…
50歳以上のCOVID-19成人患者において帯状疱疹の発症リスクが増加する?(米国の後向きコホート研究; Open Forum Infect Dis. 2022)
COVID-19発症は帯状疱疹リスクを増加させるのか?帯状疱疹(HZ)は、潜伏している水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされ、痛みを伴う小水疱状の皮膚発疹によって特徴付けられます(PMID: 23863052、PMID
AZD7442(チキサゲビマブ/シルガビマブ)によるCOVID-19予防効果はどのくらい?(DB-RCT; PROVENT試験; N Engl J Med. 2022)
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチン接種は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の負担を軽減しています。しかし、免疫不全者やワクチン接種ができない一部の集団では、依然として重症COVID-19の危険にさらされています。モノクローナル抗体は、免疫系の状…
アムロジピン誘発性足浮腫に対するシルニジピンへの変更は有効ですか?(単施設前向きコホート研究; J Nepal Health Res Counc. 2021)
高血圧は最も一般的な心血管疾患です。ネパールでは、人口の27.3%が高血圧であることが報告されています。アムロジピンは、その降圧作用の強さから最も頻繁に処方される降圧剤です。しかし、アムロジピンの服用により、最大15%の患者が足浮腫を発症し、服用中止に至ることが報告されています。比較的新しいカルシ…
COVID-19ワクチン未接種かつCOVID-19既往歴を有する成人におけるCOVID-19再感染率はどのくらい?(コホート研究; JAMA Netw Open. 2022)
SARS-CoV-2感染の収束はみられず、世界各地でロックダウンが繰り返されています。一方、米国では感染者数の推移や国民のワクチン接種率などのデータから、公共交通機関および構内におけるマスク着用義務を撤廃しました。一方、CDCはマスク着用義務を5月3日まで延長しました。このような状況の中、COVI…
新生児気管内挿管時の経鼻高流量療法は初回挿管の成功率を上昇させる(RCT; N Engl J Med. 2022)
臨床医が新生児挿管に習熟する機会は、時代とともに減少しています。この傾向の要因としては、非侵襲的な呼吸補助の増加、早産児に対する低侵襲なサーファクタント投与法の利用可能性 、メコニウムで染色された羊水で出生した乳児の気管内吸引を推奨しないことなどがあげられます。しかし、最も病的で未熟な乳児に対して…
早産児の脳内酸素供給に対する輸血赤血球は新鮮な方が良いですか?(RCT; JAMA Pediatr. 2022)
白血球にガンマ線を照射すると、輸血に伴う移植片対宿主病は予防できますが、赤血球の保存病変形成は悪化してしまいます。輸血必要量の多い早産児において、新鮮な照射赤血球が照射・保存赤血球よりも有効であるかどうかは不明です。そこで今回は、貧血を有する早産児に対して、放射線照射された新鮮赤血球と同じく放射さ…
軽症の成人COVID-19患者におけるファビピラビルの有効性は?(DB-RCT; Avi-Mild-19試験; Clin Microbiol Infect. 2022)
軽症COVID-19患者におけるファビピラビル早期投与の効果は?2021年12月20日現在、コロナウイルス病2019(COVID-19)は、世界中で2億7,500万人以上が感染し、約500万人の死亡を引き起こしました(ジョンズホプキンス大学
透析を受けている非弁膜症性心房細動患者におけるアピキサバン用量とワルファリンの比較(後向きコホート研究; Am J Kidney Dis. 2022)
透析を受けている非弁膜症性心房細動(NVAF)患者では、血栓塞栓症に伴う心血管イベントのリスクが高いことが報告されています。そのため、抗凝固療法が実施されますが、異なるアピキサバン投与量またはワルファリンを用いた抗凝固レジメン間の臨床転帰の比較は充分に検証されていません。そこで今回は、維持透析を受…
コクラン・レビューで検証されたほとんどの医療介入は、質の高いエビデンスによれば有効ではない(J Clin Epidemiol. 2022)
エビデンスレベルが高いとされているシステマティックレビュー・メタ解析(SR&MA)は、個々の研究結果を統合することで、現時点における医療介入による治療効果、あるいは害の大きさについて推し量ることができる方法です。コクランレビューは、メタ解析に組み入れる研究選択において、より厳格な基準を設けているこ…
オミクロンあるいはデルタ流行期におけるCOVID-19症状の違いは?(前向き観察研究; ZOE COVID試験; Lancet. 2022)
デルタ変異株に対するオミクロン変異株の特徴とは?2021年11月26日、WHOは南アフリカで初めて確認されたSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529(omicron、オミクロン)を懸念すべき新変異株として指定しました(PMID: 35
カロリー制限による減量に加え食事摂取時間を制限しても12ヵ月後の体重減少はあまり変わらない(RCT; N Engl J Med. 2022)
肥満患者は関節痛の他、高血圧症や心血管イベントの併発リスクが高いことが報告されています。基本的には運動療法と食事療法の実施が求められます。食事療法としては、食事摂取の回数、タイミング、そしてカロリー制限が実施されますが、体重減少を目的とした食事摂取の時間制限による長期的な有効性と安全性は明らかでは…
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尿路感染症(UTI)の生涯罹患率は女性で50%以上である。尿路感染症の臨床的、生理的、生活習慣的な危険因子は多岐にわたりますが、トイレ後の肛門や会陰の衛生習慣、特にトイレットペーパーで拭く方向と尿路感染症の危険性との正確な関係はまだ調査さ…
アセトアミノフェン(パラセタモール)には、無細胞ヘモグロビンによる脂質やその他の基質の酸化を抑制するなど、敗血症に有益と思われる多くの薬理作用がありますが、その効果については充分に検証されていません。そこで今回は、アセトアミノフェンがプラ…
2型糖尿病患者において、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬とナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT-2)阻害薬の併用が、どちらか一方の薬物クラスのみの併用と比較して、主要有害心血管イベントおよび重篤な腎イベントのリスク…
スチュワードシップ(Stewardship)とは本来、管理運用、管理責任などの意味を有していますが、こと医療においては、抗菌薬の適正使用推進を指します。多剤耐性菌の発生を防いだり、資源として確保したり、今ある抗菌薬を適切に大事に使ってもら…
2型炎症を伴うCOPD患者におけるデュピルマブの有用性はどのくらいなのか? デュピルマブは、2型炎症の主要かつ中心的な促進因子であるインターロイキン-4とインターロイキン-13の共有受容体成分を遮断する完全ヒト型モノクローナル抗体です。 慢
低血圧は、重症患者や周術期の患者における有害な転帰と関連しています。しかし、これらの仮定は観察研究によって支持されていることから、更なる検証が求められます。そこで今回は、死亡率に対する血圧目標値の低値と高値の影響を比較することも目的に実施…
米国内科学会(American College of Physicians, ACP)は、2型糖尿病の新しい薬理学的治療に関する推奨事項を更新するために、診療ガイドラインを作成しました。本ガイドラインは、有効性、有益性と有害性の比較、患者…
足底部悪性黒色腫と関連する疾患はあるのか? 足底部悪性黒色腫(AMF, メラノーマ)の臨床的特徴および病態は充分に解明されていません。 足部の臨床的または不顕性持続性炎症は、足の皮膚糸状菌症(dermatophytosis of the f
パーキンソン病(PD)は運動機能と運動能力の予測可能な低下と関連しており、一般的に運動で管理されます。運動機能や移動能力に対する、個別運動(IE)や通常ケア(UC)と比較した集団運動の効果についての理解は限られています。そこで今回は、PD…
これまでの研究で、COVID-19 mRNAワクチンの一次接種後に死亡リスクの増加は認められなかったものの、ブースター接種に関する報告は不足しています。そこで今回は、一次接種に加えてmRNAワクチンのブースター接種後の死亡リスクを評価する…
患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome、PRO)とは、臨床アウトカムの一つです。症状やQOLに関して、患者が自分自身で判定し(患者日記など)、その結果に医師を始め他の者が一切介在しないという評価方法です。具体…
GLP-1RAには血圧低下作用もある? グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1RA)がもたらす心血管ベネフィットは、体重減少や血糖コントロールにとどまりません。その機序の一つとして血圧降下が考えられますが、実臨床における検証は充分
アンチセンス薬であるオレザルセンの効果は? トリグリセリド(TG)およびTGに富むリポ蛋白のレベルを低下させることは、依然として満たされていない臨床的ニーズです。Olezarsen(オレザルセン)は、アポリポ蛋白C-III(APOC3)のメ
がん関連静脈血栓塞栓症(VTE)管理ガイドラインの推奨事項には、がんの活動性が持続している間は抗凝固療法を継続することが含まれています。アピキサバンの連邦医薬品局の添付文書には、VTE二次予防のための用量として、治療開始6ヵ月後に1回2.…
スタチン治療に対する低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の反応は様々であり、合併症の有無や併用薬の使用によって影響を受ける可能性があります。これらの要因に基づくスタチンに対する反応の系統的な変動は、集団のサブグループにおけるスタチン…
心房細動患者における抗凝固薬の使用が、認知機能障害の発症リスクを低減する可能性がありますが、充分に検証されていません。そこで今回は、心房細動(AF)患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)とは対照的に非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC…
抗線溶薬であるトラネキサム酸は脳内出血後の血腫増大を抑制する可能性があります。脳内出血後2時間以内にトラネキサム酸を静脈内投与することで、プラセボと比較して血腫増大が抑制されるかどうかを検討することを目的に実施されたランダム化比較試験(S…
高血圧診療ガイドラインでは、高血圧患者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の診断と治療を推奨しています。下顎前方位置移動装置(MAD)は、持続陽圧呼吸(CPAP)が困難または耐えられない患者に対する口腔内装置療法です。しかし、両者の…
マクロライド系抗生物質が妊娠30週未満で出生するリスクの高い早産児の未熟児慢性肺疾患(CLD)の発症率を低下させるかどうかについては、系統的レビューで矛盾するエビデンスが報告されており、肺ウレアプラズマ属(Ureaplasma spp.)…
急性虚血性脳卒中患者に対する抗血小板療法を支持するエビデンスがあります。しかし、現在推奨されている抗血小板療法では神経学的悪化が一般的であり、臨床転帰が不良であることから、新たな治療方法の確立が求められています。そこで今回は、脳卒中発症後…
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる抗うつ薬の一つであるデュロキセチン(Duloxetine)は、中枢性感作を抑制することで疼痛緩和作用も有していることから、鎮痛緩和を目的として以下の疾患にも用いられています。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸関連疾患の治療薬として広く使用されていますが、腸内細菌叢に影響を与える可能性があります。2型糖尿病は血管内皮細胞の機能低下に起因する血糖コントロール異常を特徴としますが、腸内細菌叢へ影響することも報告さ…
ワクチン接種後の突然死の原因とは?2022年8月10日、14歳の女子中学生がファイザー製ワクチンの3回目接種を受けました。 女子中学生は翌日、37.9度の発熱を認めましたが、夕方には下がりました。 夜に息苦しさを訴えながらも眠りについていま
尿酸値が基準値7.0mg/dLよりも高い高尿酸血症について、日本では、腎臓や心血管アウトカムの発生リスク増加の懸念から早期治療を推奨しています。一方で、米国や欧州では痛風発作がなければ治療の対象としないとするスタンスが一般的です。しかし、…
血糖値の変動が大きいと血管への負荷が大きくなり、血管合併症のリスク増加の可能性が報告されています(PMID: 30040822)。したがって、グルコーススパイクなどの血糖変動が大きくなることと、患者の予後不良が関連している可能性があります…
新規の断続的断食+早期時間制限食アプローチの効果とは?断続的断食(Intermittent fasting)は、ヒトの健康を改善するためのカロリー制限(calorie restriction, CR)に代わる同等の方法と考えられます。しかし
アミオダロンはP糖蛋白やCYP3A4阻害作用を有していることから、薬物相互作用により併用薬剤の排泄を遅延させる可能性があります。しかし、この相互作用による患者予後については充分に検討されていません。そこで今回は、アピキサバンまたはリバーロ…
2型糖尿病は慢性腎臓病など多くの合併症を引き起こし、患者予後を悪化させます。多くの糖尿病治療薬が使用されていますが、患者予後に優れる薬剤の検証については充分に行われていません。そこで今回は、ナトリウムグルコース共輸送体2阻害薬(SGLT-…
ナッジ(nudge:そっと後押しする)とは、行動科学の知見(行動インサイト)を活用することで「人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法」とされています(環境省の資料より)。人々が選択し、意思決定する際の環…
アルコール性肝炎の入院患者に対して、予防的な抗菌薬投与が行われることがあります。一方で重症アルコール性肝炎の入院患者に対する予防的抗生物質の有益性は不明です。そこで今回は、重症アルコール性肝炎で入院し、プレドニゾロンで治療を受けている患者…
スルホニルウレア系薬剤の使用者におけるβ遮断薬の血糖降下作用は、この致命的な副作用のリスクを強く高める薬剤ですが、そのリスクについては充分に検討されていません。そこで今回は、スルホニルウレア系薬剤とβ遮断薬の併用とスルホニルウレア剤単独使…
共同運動介入は、転倒や怪我の予防に役立つ可能性があります。しかし、そのような戦略の有効性を実証する実用的な臨床試験の結果は一貫しておらず、質の高い前向き研究の実施が求められます。そこで今回は、初期6ヵ月間の監督された週1回のジムと太極拳セ…
カリウム保持性利尿薬であるスピロノラクトンは、高血圧症などに広く使用されていますが、抗アンドロゲン作用を有していることから、長年にわたり尋常性ざ瘡に対して適応外処方されてきました。しかし、エビデンスは不充分です。
家族での食事は、子どもたちの食の選択と嗜好を形成する形成的な学習環境です。そのため、子どもの栄養状態を改善するための取り組みには理想的な環境であると考えられます。しかし、家族での食事時間と摂取する食事内容との関連性については充分に検討され…
直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は半減期が12時間程度と短いため、DOAC治療の短いギャップ期間であっても抗凝固作用が低下し、有害な臨床転帰のリスクが増加する可能性があります。しかし、このGapが臨床転帰に及ぼす影響は明らかとなっていま…
COVID-19発症予防のためのマスク着用の効果はどのくらいなのか?COVID-19を予防するために様々な感染対策が講じられています。マスクの種類としてN95、外科用、布製が挙げられますが、最適な使用方法や予防効果の比較検討は充分に行われて
経皮的冠動脈形成術(PCI)を受ける急性冠症候群(ACS)患者には、アスピリンと強力なP2Y12阻害剤による二重抗血小板療法(DAPT)が標準治療となっています。PCI後の虚血リスクと出血リスクのバランスをとるために、強力なP2Y12阻害…
炎症とコレステロールどちらがより適した患者予後の予測因子となりうるのか?炎症と高脂血症(脂質異常症)は共にアテローム血栓症に寄与しています。スタチンによる集中治療を受けると、将来の心血管イベントリスクに対する炎症と高脂血症の相対的な寄与が変
COVID-19パンデミックの最初の年、米国の2件の研究では、COVID-19で入院した人は、季節性インフルエンザで入院した人に比べて、30日死亡のリスクが約5倍になることが示唆されました(PMID: 33323357、PMID: 330…
自然環境への曝露は人間の健康に有益であると考えられていますが、その証拠には一貫性がありません。そこで今回は、フィンランドでの都市環境における緑と青の空間への曝露が精神的・身体的健康と関連しているかどうかを検証した横断研究の結果をご紹介しま…