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映画の批評・考察など。できるだけこれまであまり言及されてこなかった美点を持つ映画を取り上げます

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2017/07/07

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  • 『バタリアン』A級のシナリオでB級に徹した快作

    監督・脚本 ダン・オバノン 1985年 アメリカ 字幕によるとこの映画で描かれる出来事はすべて実話だし、登場人物も実名ということだ… 優れたコメディにはタブーや固定観念を突き破る力があるということを実証したB級映画の傑作だ。 終盤、自然な展開で最初の地下室に戻り、カプセルの蓋を締めるとそこに電話が現れ、その後万事休すと思われた瞬間、今度は軍の電話番号が目に飛び込んくる。序盤に示されていた伏線だ。このスマ...

  • 『アメリカングラフティ』青春の彷徨

    監督 ジョージ・ルーカス 1973年 アメリカ 郷愁という感情は子供には理解できないと言ったのは誰だったか、おそらくこの映画を見れば認識を改めるのではないだろうか。学生時代を過ごしたことのある人は勿論、作中の人々と同世代の人やこれから学生時代を過ごす人が見てもこの映画の持つノスタルジックな魅力は安々と理解するだろう。 映画自体も明確に現在から顧みられる過去という構造を作っていて、冒頭の「1962年」の字幕...

  • 『THX-1138』現実そのもののような描写と出口のない閉塞感

    監督 ジョージ・ルーカス 1971年 アメリカ 個性的で非常に完成度の高いSF映画。あまり語られないのは娯楽性に乏しいせいだろうか…。現実とは著しく異なる世界を描きながらその世界を説明せず、キャラクターの喜怒哀楽は乏しく、ドラマも平板で…そんな映画は苦手だという人には確かに面白くない映画かもしれない。こう考えると、残念ながら一般的な観客の大部分がここに当てはまってしまいそうだ。しかし、説明より表現を好む人...

  • 『スペシャル・アクターズ』 前作との違いは何 ?

    監督 上田慎一郎 2019年 例えば『カメラを止めるな!』の前半部の調子を最初から最後まで通した映画を一本作ってみたらどうなるだろう? そう。勿論とんでもない駄作になるに決まっている。しかし、なぜかその分かりきったことをやってみた、というのがこの映画『スペシャル・アクターズ』らしい。『カメラを止めるな!』では前半部が駄作だからこそ前半と同じ描写や展開に新たな意味付けをしていく後半部の面白さが倍増したの...

  • 『上海から来た女』描写と物語の傑作

    監督:オーソン・ウェルズ 1947年 アメリカ 美しい描写の映画であり、サスペンス、ミステリーの傑作だ。 我々観客は例えば『市民ケーン』を真剣な意図の籠もった映画で、『上海から来た女』は娯楽を意図したサスペンス映画で…と半ば自動的にカテゴライズしてしまうが、作り手であるオーソン・ウェルズにとっては『市民ケーン』と『上海から来た女』に質的な違いはないらしい。彼は『市民ケーン』で全ての被写体にピントを合わ...

  • 『恐怖への旅』導入部と本編でまったく別の映画のよう

    監督 オーソン・ウェルズ ノーマン・フォスター 1943年 アメリカ 冒頭、カメラが通りから2階の窓に寄っていき、中を覗き込むと太った男が蓄音機を回し、出かける準備をしている。レコードの針が跳び、歌が何度も同じフレーズを繰り返す。その間も男は髪をとき、ピストルを準備し…やがて扉を締めて出ていく。このファーストシーンの描写の密度がものすごい。いきなりクライマックスのような充実度だ。我々観客の視点は外から内...

  • 『ストレンジャー』多種多様な技巧が詰め込まれた映画

    監督 オーソン・ウェルズ 1946年 アメリカ 頻出する時計の描写はやがて時計塔に集約されクライマックスを迎える オーソン・ウェルズ監督作だが『市民ケーン』や『偉大なるアンバーソン』からは一変、今回は映画会社の要請にピッタリ合った単純なサスペンス映画だ。開き直ったような極端な変身ぶりだが、驚くほど分かりやすく、面白い映画に仕上がっている。これまでと方向性は違ってもその洗練された技巧には全く変わ...

  • 『禁断の惑星』 斬新で親しみやすいSF映画

    監督:フレッド・M・ウィルコックス 脚本:シリル・ヒューム 1956年 アメリカ SFの面白さとB級映画の楽しさを兼ね備えた名作。 初っ端からMGMのライオンに重ねてキーンと宇宙空間を表す電子音が鳴り、空飛ぶ円盤がピコピコと音を発して飛んでいく。そこに大衆SF雑誌風のタイトル『FORBIDDEN PLANET』が堂々たる効果音を伴って現れる。ケレン味たっぷりで、古めかしくも魅力溢れるオープニングだ。 23世紀の超光速宇宙船はUFOの...

  • 『メトロポリス』一大仮構世界と二人のマリア

    監督 フリッツ・ラング 1927年 ドイツ 映画史に残る傑作であり、SF映画の古典。ドイツ表現主義の頂点という言い方もあるかもしれない。 公開時300分以上とされるオリジナル版は失われ、以降、再編集されたアメリカ版を元に徐々に復元されていき現在では150分の完全復元版と銘打たれたバージョンがある。ヨザファートやグロート、労働者11811ことゲオルギーたちそれぞれの物語、ヨシワラのエピソード、発明家ロトワングのキャラ...

  • 『インターステラー』 SFとドラマの両立

    監督:クリストファー・ノーラン 2014年 アメリカ・イギリス 2000年代以降に作られたSF映画としては出色の出来だ。宇宙船でワームホームを抜けたりブラックホールから帰還したりと、現代の技術では到底実現不可能な大胆なフィクションを含んでいるのにストーリー展開、描写ともに高いレベルでリアリティを維持し、緊迫感を失わない。 時空を越えて届けられる幽霊からのメッセージは作中で唯一時間を超越するとされる重力ででき...

  • 『ゼロ・グラビティ』体験するための映画

    監督:アルフォンソ・キュアロン 2013年 アメリカ・イギリス この映画は見る媒体によって極端に印象が変わる。映画館の大きなスクリーンで見ると、壮大な宇宙空間を疑似体験させてくれる実に楽しい映画だし、スマホの小さな画面で見ると細部の欠点ばかりが目につく駄作になる。テレビで見てもどちらかというとスマホよりの印象になるだろう。 宇宙の広大さや無重力の環境をリアルに体感させてくれるのがこの映画の一番の持ち味...

  • 『メッセージ』存在としての時間

    監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 2016年 アメリカ フラッシュフォワードで描かれる未来の思い出 この映画はアメリカ製の娯楽映画だ。つまり、かなり広範な層が見る映画ということで、なかなか語るのが難しい。この映画の提示する時間観に初めて触れるなら新鮮で感動的なはずだし、もっとも一般的な層を想像してみても「普通に面白い」という感想があったり、「ちょっと難解」という人もいそうな感じだ。ハードなSF小説を娯楽映画...

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