b 新しい分類の中に止揚すること 【要約】 「静かだ」「綺麗だ」を一語と見て形容動詞とよぶのはまちがいである。これは二語と見るべきである。静止し固定した変わらない属性において対象をとらえるときの語は、形容詞だけではない。漢語そのほかたくさんある。そのたくさんのうちで、特別...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・61
9 言語理解 【要約】 言語理解は子どもの知的発達に大きな寄与をする。そのような寄与がどのように発達変化するか、その発達を規定する要因は何かについて考えてみたい。 ■ 談話の自己行動調整機能 自己行動に対する談話の調整機能の発達過程についての実験的研究の成果を検討する...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・60
《代表過程と条件づけ》 【要約】 二つの事項間の任意的な関係は、言語的代表過程に限らず、非言語的過程にも存在する。接近連合、あるいは条件づけによって、連合される二つの事項の間に有縁性があってもなくても、両者間に結びつきが生じる。 連合における結合は、一つ一つが孤立してい...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・59
《代表過程の二つの発達水準》 【要約】 代表過程とは、“代表するもの”と“代表されるもの”との間の分化である。ピアジェ(Piaget,1945)に従って、“代表するもの”を“能記”、“代表されるもの”を“所記”とよぶ。この二つの用語は、フランスの言語学者ソシュール(Sau...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・58
■範疇化 【要約】 代表過程の発生と発達を具体的に考えてみる。認知に対して作用する代表機能は、要するに、客観的事象を意味的なものへと変形することであり、範疇化することである。 特定の1匹の動物が特定の“そのもの”としてではなく、“イヌ”という範疇(カテゴリー)ないし級(...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・57
《ピアジェの見解》 【要約】 ピアジェ(Piaget,1933,1934,1945)は、知覚が行為的経験を媒介としてはじめて発達すると考えている。前述したマッチ箱場面(父親が1歳4カ月の女児の目の前でマッチ箱をあけ、そのなかに鎖を入れ、箱の口を少しあけたまま彼女にさし出す...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・56
■認知と行為 【要約】 代表機能の最も単純で直接な水準は知覚である。知覚が行為的な経験とどのように因果的に関係しているかについて、二つの対立する見解がある。その一つは、人間の知覚は代表機能によって支えられるが、この機能は、人間においては視覚や聴覚とならんで一つの基本的で生...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・55
■非言語的な経験 《“内言語”の非言語性》 【要約】 言語的代表過程が形成されるための要件の一つとして、マイクルバスト(Myklebust,1960) は、“内言語”なるものを考えている。“内言語”はビゴツキーの“内言”とは異なる概念である。“内言”は談話の内面化ないし思...
東京のデパートで開かれていた「大黄金展」の会場から1040万円の純金製茶碗が盗まれた。犯人Aはこの茶碗を古物買い取り店Bに180万円で売却した。古物買い取り店Bは同じ日に古物買い取り店Cに約480万円で転売した。 したがって、Aは180万円、Bは約300万円、Cは約56...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・54
8 認知世界の形成 【要約】 子どもは、まず言語を学び、つぎにそれを基礎として意味的経験をするようになっていくのではなく、はじめに意味的経験をし、その経験を深めていく途中から、それを基礎として言語の影響を徐々に受けるようになっていくのである。意味的経験がなければ、言語の経...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・53
■聴力 【要約】 談話を聞く場合、談話の全体が必ずしも遺漏なく聞きとれるということはなく、また、つねにそうである必要もない。その理由の一つは、談話の行われる状況、談話そのものの置かれている文脈、あるいは広い知識・経験などが、聴取欠損部を補うのに役立つということにある。この...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・52
■音声識別と発声 【要約】 音声識別力が、子どもの漸次発達変化していく音韻とその体系化にそって発達することは明らかである。低い発達段階では、一部の音声だけを識別し他の音を無視するとか、特定の音声を彼自身の音韻範疇に従ってまとめたり相互交換したりする、ということが考えられる...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・51
■音声識別と場面 【要約】 “言語理解”が言語以外の条件(場面)によっている場合が多い。 カリツォーバは、成人が談話を与えるとき、その音調が一定であり、また身振りや場面も一定であるときだけ、要求している条件(“理解”)反応を示すことを実験的に確認している(Kogan,1...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・50
■音声識別 【要約】 音声に基づく談話の識別は、子どもが音声そのものに積極的で分析的な関心をもつまでは生じてこない。ルイス(Lewis,1951)によると、音声に対する子どもの関心は、原初的な音声模倣(音調をおもな手がかりにする談話“理解”期に対応する時期に生じる)が減退...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・49
7 談話の識別 【要約】 ここで“談話の識別”とは、子どもが聞いた談話が、その特徴に応じて、安定した特殊反応をおこさせるようになることである。子ども自身の生産する談話が発達するための基本的な条件の一つは、他者の談話の識別にあることはいうまでもない。 ■音調・音色の識別 ...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・48
4 言語理解の発達 【要約】 発声行動の言語化が子どもの聞く談話の言語的理解を基礎として生じてくることは明白であり、使用に対する理解の時期的先行が1歳6ヶ月から3歳0ヶ月ごろまでではほぼ2~3ヶ月の間隔で、もっとも顕著に現れるといわれている。 最初に、非言語的な側面にお...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・47
《象徴遊びにおける発声行為》 【要約】 象徴遊び(“ふりをすること”“見せかけること”)に発声行為が伴うとき、その象徴的な特性はいっそう明瞭になる。 ピアジェ(Piaget,1945)による観察事例をみる。 ⑴Jという子どもは、1歳6ヶ月に、石鹸も水もその場になく、それ...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・46
■その他の音声的象徴行動 【要約】 身振りと音声模倣のほかに、重要な二、三の初期の音声的象徴行動がある。これらは、音声模倣と発達的に接続する関係にあり、本格的な言語習得過程の先行条件となるものである。 《半個人的な言語的表示》 それは形式的にだけ言語であり、機能的にはな...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・45
■言語音声の習得(省略) ■オノパトペ 【要約】 “オノパトペ”は、人間の音声以外の音や声(物音や動物の声など)に対する模写的な音声を意味する。オノパトペはその機能において、音声模倣とはかなり違っており、言語獲得以前の子どもの場合には、とくにそうである。 幼い子どもは、...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・44
《音声模倣と自発的使用》 【要約】 上述の問題は、模倣された音声が子ども自身の自発的で、ある程度その場に適合した(意味的な)談話の形成にどのように寄与していくのかという、言語発達問題の核心につながっている。ここには顕現的な音声模倣とその音声の意味的―自発的な使用との発達的...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・43
《音声模倣と意味》 【要約】 ギョーム(Guillaume,1925)は、音声模倣はその音声が子どもにとって意味ないし意味の縁辺を伴っているときだけ生じるのであり、意味からまったく離れた音声の模倣ということはありえないという。レオポルド(Leopold,1939)も、自己...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・42
《同一視説》 【要約】 “同一視”とは、他者と自己を混同することをいう。精神分析の創始者フロイト(Freud) は、親に対する子どもの同一視が人格の基本要因であることを主張し、その後の人格理論、社会心理学、さらには学習理論をふくむ行動理論に大きな影響を与えている。フロイト...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・41
■音声模倣の機制 【要約】 語の形成は、喃語活動にふくまれる音声の自然の固定化によって達成されるとは考えられない。幼児は、必要な語を形成するさいに、新しい音声を習得する必要がおこってくる。さらに、多くの異なる音声を組み合わせて作られてくる反応を習得する必要があるが、これは...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・40
《連続発達説》 【要約】 音声模倣の発達が連続的だとする見解は二つに大別することができる。一つは、音声模倣が出生後きわめて早期から認められるとする見解であり、もう一つはほぼルイスの第3段階から生じるとするものである。 前者に属する連続発達説はピアジェ(Piaget,19...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・39
■音声模倣の発達過程 【要約】 《音声模倣の開始期》 音声模倣は0歳2ヶ月から早くも始まると(Hoyer and Hoyer,1924;Lewis,1951;Stern u.Stern,1907)があるかと思うと、0歳9ヶ月~0歳10ヶ月になってはじめて音声は模倣される...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・38
3 音声模倣 【要約】 言語習得がとりわけ音声模倣に依存していることはいうまでもない。言語発達が学習現象であるといわれるおもな理由の一つは、それが音声模倣を経てはじめて達成されるというところにある。 擬音あるいは擬声(オノマトペ)もまた、一種の模倣音声であるが、言語的で...
自民党は、4月4日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した安部派、二階派の議員ら39人を処分した。しかし、それで終わりではない、と私は思う。そもそも39人は「選ばれて」議員になっているのだから、選ばれた議員の悪行は、選んだ側にも責任があるのである。では、誰が選んだのか...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・37
《発達的連関についての諸説》 大きく分けると三つの考え方があるようである。 第一は、音声と身振りとの間に連関は認めるが、相互の経験的な因果関係を問題にしない立場である。音声がもともと、人間においては行為を伴い、両者が生得的に密接に結合していることは認めるが、この2種の反...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・36
■身振りと談話 《音声的伝達の利点》 【要約】 音声による伝達の基本的特徴はつぎのようである。 ⑴聴覚刺激以外の感性刺激は、空間性ないし対象性が比較的大であるが、聴覚刺激はその時系列性ないし線状性のゆえに、事象の記号として、事象とそのものと区別がつけやすい。⑵聞き手が聴覚...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・35
■身振りによる伝達の限界 身振りで非現実事象を表示することは可能であるが、音声行動と比較すれば大きな制約がある。そのおもな理由としてつぎの三つをあげることができる。 ⑴大部分の身振りは、それが行われる事態に依存して表示の一義性を達成する。 ⑵身振りで高度に抽象的な事象を表...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・34
■自発的身振りの発達 《身振りと“内的言語感覚”》 【要約】 レベス(Revesz,1956)によれば、音声が“内的言語感覚”の影響を受けるようになるとき、音声言語行動が形成される。これと同様に、身振りもこの要因の関与によって、象徴化を開始するという。それは身振りの形では...
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・33
■絵画的身振り 《絵画的身振りの意味》 【要約】 他者の身体運動を自己の身体運動で模倣しようとする傾向は0歳10ヶ月~1歳0ヶ月ごろからみられる。子どもの絵画的身振りはこのような人間行為の模写にはじまるようである。この場合、模写の媒体となる身体部位は、はじめのうちは一定せ...
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b 新しい分類の中に止揚すること 【要約】 「静かだ」「綺麗だ」を一語と見て形容動詞とよぶのはまちがいである。これは二語と見るべきである。静止し固定した変わらない属性において対象をとらえるときの語は、形容詞だけではない。漢語そのほかたくさんある。そのたくさんのうちで、特別...
4 形容動詞とよばれるものの正体 a 歴史的な検討の必要 【要約】 国語の教科書や参考書では、その大部分が「形容動詞」といわれるものをとりあげて説明している。 《活用表》 ● 静かだ(基本の形) 静か(語幹) だろ(未然形) だっ・で・に(連用形) だ(終止形) な(連体...
d 複合動詞の問題・・・正しい意味での助動詞の使用 【要約】 動詞は、単独で使われるだけでなく、複合して使われることがある。動詞の下につけ加えて使うかたちの動詞を、これまでの教科書では助動詞とよばれる品詞の中に一括していた。(その中の性格のちがう語を区別する必要がある) ...
c 属性表現の二つの形式・・動詞と形容詞の関係 【要約】 形容詞の活用形は、 ● 正しい(基本の形) 正し(語幹) く・あろ(未然形) く(連用形) い(終止形) い(連体形) けれ(仮定形) ○(命令形) のようなかたちをとり、動詞のように五十音図と関係を持つもにでは...
b 形式動詞あるいは抽象動詞 【要約】 対象となっている属性について具体的に知らないとき、簡単にしか表現できなかったり簡単な表現で足りる場合には、形式動詞あるいは抽象動詞とよばれる種類の動詞が使われる。 ● どこに(ある)のか。どう(する)つもりか。どうして(いる)か。ど...
3 動詞と形容詞、その交互関係 a 活用ということについて 【要約】 動詞といわれる種類の語は、使い方によって語尾のはたちが変化する。これを活用と呼ぶ。 ●「書く」(基本の形) 「書」(語幹)・「書か」「書こ」(未然形)・「書き」(連用形)・「書く」(終止形)・「書く」(...
b ほかの語の一人称への転用 【要約】 落語「そこつ長屋」の熊さんは、八さんから「オイ、しっかりしろ。お前はいま浅草で行き倒れになっていたぞ」と言われ、あわてて現場にかけつけた。その死骸を見て、「ああ、たしかにおれだ。熊さんは泣きながら死骸を抱き上げ「この死骸はおれに違い...
2 代名詞の認識構造 a 話し手の観念的な分裂 「あなた」「かれ」、「あれ」「これ」など、代名詞と称する一連の語がある。名詞に代わって使われるのだから、名詞と同じ意味を持っているかというと、決してそうではない。とりあげている対象は同じであっても、そのとりあげかたがちがって...
b 形式名詞あるいは抽象名詞 【要約】 普通の名詞は、話し手が対象の具体的なありかたをとらえた上での表現だが、対象を具体的なありかたとしてとらえられない場合、簡単にしか表現できない場合、簡単に表現して足りる場合には、抽象的に表現することがある。 どちらの場合にも、とりあ...
第二章 日本語の文法構造・・その一、客体的表現にはどんな語が使われているか 1 名詞のいろいろ 【要約】 a 対象のありかたとそのとらえかた 言語の構造を考えるとき、話し手が対象とする、現実の世界がどんな構造になっているかをときほぐしていまなければならない。 現実の世界...
3 時枝誠記氏の「言語過程説」 これまでの言語学では、言語を一つの道具として理解していた。頭の中に道具があって、これを使って思想を伝達すると考えた。この道具は、概念と聴覚映像とがかたく結びついて構成された精神的な実体と説明され、「言語」または「言語の材料」と呼ばれている。...
第二部 日本語はどういう言語か 第一章 日本語はどう研究されてきたか 1 明治までの日本語の研究 【要約】 古代の日本人の言語観では、私たちの言語表現が霊力を持っていて、表現された内容が現実化するものと考えた。これを「言霊」と呼んでいる。 明治以前に行われた日本語の研究...
2 時枝誠記氏の「風呂敷型統一形式」と「零記号」 すべて認識は、認識の対象と認識する人間(主体)の存在を必要とする。お化けや天使は現実には存在しないが、これを認識する人間は自分の頭の中に空想の対象を想定しているのだから、この意味で対象が存在していることになる。対象をとらえ...
第三章 言語の特徴・・その二、客体的表現と主体的表現が分離していること 1 客体的表現をする語と主体的表現をする語がある 【要約】 いま、一切の語を、語形や機能などではなく、対象→認識→表現という過程においてしらべてみると、二つの種類に分けられることがわかる。 一、客体的...
5 音韻およびリズムについて 言語学では、音声と音韻を区別している。個々の音声の個性を引きこれは去った共通の面がある点をとりあげて、これを音韻と呼ぶならわしになっている。これは、表現の二重化の自覚である。音声そのものが言語としての表現ではなく、音韻と呼ばれる面が言語表現で...
3 辞書というものの性格 【要約】 《辞書の中に言葉がある》という解釈は正しいだろうか。 「辞書に登録された語彙は、具体的な語の抽象によって成立したものであって、宛も博物学の書に載せられた桜の花の挿画の様なものであって、具体的個物の見本に過ぎないのである。辞書は具体的言語...
2 言語表現の二重性 【要約】 言語の音声や文字の特徴はどこに求められるか。 (文字の)感性的なかたちの変化は、そのかたちが一定の種類に属するかぎりにおいて、その範囲を出ないかぎりにおいては自由だが、たとえ小さな変化であっても、そのかたちが他の種類に転化するような場合には...
第二章 言語の特徴・・その1 非言語的表現が伴っていること 1 言語の「意味」とは何か 【要約】 ・言語の意味が何であるかの言語学者の説明は、大きくわけて二つになる。その一つは、話し手、書き手の側にあるものとしてその心的状態と表現である言語との関係において説明するやりかたで...
第一部 第一章 絵画・映画・言語のありかたを比べてみる 1 絵画と言語との共通点 【要約】(注・原文は敬体文) ・言語も絵画も、人間の認識を見たり聞いたりできるような感覚的なかたちを創造して、それによって相手に訴えるという点で(作者の表現であるという点で)共通な性格をもって...
(三)滑稽美 懸詞による旋律美、協和美の観察は、もっぱら美の形式に関することであった。 音声Sを媒介として喚起される概念をA、Bとする時、AとBの対比は、懸詞の美の質的価値を決定する基準となる。AとBとの対比を、角(ASB)によって表す時、角(ASB)は、極小から極大まで...
■喃語の反復性 【要約】 喃語の反復性は、心理学的にはどのように説明されてきただろうか。 《循環反応仮説》 ・ハートレー(Hartley,1810)、オールポート(Allp0rt,1924)、ホルト(Holt,1931)。 “いま発声のための筋が活動していたとする。言語音...
■喃語の形式 【要約】 《喃語の音声面》 初期にはbaba....のような1音節単位の反復が多く、その後にbaba,baba,....のような反復性の多音節単位の反復が生じ、さらに、その後bama,bama,....のような非反復性の多音節を単位とする反復が生じ、さらに変...
《非叫喚音の発生時期》 【要約】 非叫喚発声ははじめから言語的特性を十分にそなえているわけではない。最も初期の非叫喚発声は呼吸運動によって大きな拘束を受けており、その音声の調音化は漸次的である。呼吸活動のもとで音声が多様化してくるということは、発声が呼吸活動ならびに情動か...
■非叫喚発声 《非叫喚発声の発達的意義》 【要約】 非叫喚発声は叫喚よりもよく統制された呼吸活動と調音活動のもとで生じる。叫喚よりも変化に富んだ発声である。叫喚が強力な発声であるため母親の注意をひきつけ、その結果として自己の欲求をみたすのに役立つのに対して、非叫喚は弱い発...
2 喃語 【要約】 喃語(babbling)は非叫喚音から成る一連の音声パターンをいう。それが談話と区別される点は、調音化がきわめて不十分であり、かつ意味が不明であり、伝達的意図に動機づけられていないということである。それは“意味のわからない話”である。(喃話という方が適...
《育児者の役割・意味形成》 【要約】 現実に対する子どもの認知は、成人(多くは母親)との接触を通じて形成されていく。それは成人の側からの積極的な働きを契機としている。成人が子どもの行為を子どもにとって興味のあるものにするための手段として、成人はいろいろな働きかけを子どもに...
《発声行動の手段化とその要因》 【要約】 子どもはいつごろから外界刺激の特性に対応するような行為をするようになるのか。また、このことはどのように確証されるのか。 “(新生児は)手足をランダムに屈伸し、特殊な、つまり特性記述可能な行為をしない。「有意味だ」といえる運動が発...
国会中継や記者会見などで、議員がやたらと「○○させていただく」という文言を使うことが鼻につく。議員は選挙民に選ばれて「議員にさせていただいて」いるのだから当然かも知れないが、「説明させていただく」だとか「使わせていただく」だとか、「調べさせていただく」だとか、自分の行為ま...
■初期音声における意味 《叫喚の発達》 【要約】 言語学者サーピアは、初期叫喚の“意味”に関連して「・・本能的な叫喚はどんな厳密な意味でも伝達(communicationn)とはならない。」(Sapia,1921)と述べている。初期の本能的叫喚はたしかにサーピアのいうよう...
《音素型の測定と記述》 【要約】 初期音声発達の解明に大きな貢献をしてきたのがアーウィンである。アーウィンを中心とする研究者の業績をアーウィン自身(Irwin,1952)がまとめたところによると、0歳2ヶ月~2歳6ヶ月の間では次のような発達傾向が認められる。 ⑴音素の種類...
【要約】 予期吸啜反応はいっそう直接的な、一部の子音生産の下準備となりうる。予期的に吸啜反応をしているときに呼気が生じると、これが唇音[p][b]、鼻唇音[m]、鼻歯音[n]を作り出す。歯舌音[t]の生じる可能性もある。このように吸啜反応は、唇、歯、鼻腔、舌の関係する広範...
《摂食運動と調音活動》 言語音声(母音・子音)を出すためには、呼吸活動と声帯の開閉との間の協応だけでなく、口腔の姿勢や運動を伴うことが必要であり、特定の言語音声を発するための特定の姿勢や運動は、“調音”(articulation)とよばれる。調音をつかさどる器官は呼吸器官...
■その後の音声の変化 《叫喚音声の変化》 【要約】 単調だった初期叫喚は、まもなく変化を示しはじめる。それは発声の持続時間・リズム・強さ・高さ・音色などの上にあらわれる。ビューラー(Buher,C,1930)によると、少なくとも0歳3ヶ月にはこれがはっきりしてくる。おおま...
《叫喚と非叫喚との識別》 【要約】 0歳1ヶ月ごろになると、叫喚よりおだやかで静かな音声がときおり生じはじめる。これは“cooing”とか“whining”とかいわれる非叫喚音である。それまでは声量の調節ということはできなかった子どもが、0歳1ヶ月以後調節することができは...
フランスの劇作家マルセル・パニョルは「笑いについて」(岩波新書)の中で、「笑い」には3種類ある、と述べている。その1は、強者が弱者を見下して馬鹿にする笑い、その2は弱者が強者を皮肉る笑い、その3は人間同士が楽しみや喜びを分かち合う連帯の笑い、である。日本でも「嘲笑」「哄笑...
《新生児の叫喚》 【要約】 新生児(生後1ヶ月間)が叫喚に費やす時間は全生活時間の5~6%といわれている。これは、睡眠時間の70%と摂食時間の15%を考えるとき、おきていて吸乳していないときには、叫喚していることが非常に多いことを物語っている。 叫喚がどんな原因で生じる...
1 乳児初期の発声 【要約】 ‘うぶ声’にはじまる人間の発声は日々急速に変容して、まもなく明白な技能的統制が生じてくる。これと平行して、音声に‘意味’も感じられるようになる。これらの変化は明らかに人間の高次神経機構の整備によるものである。しかし、このような初期の段階におい...
【序】 私は今、自閉症児の「言語発達」について考えている。「言語発達」の遅れは、自閉症児の行動特徴(症状)の一つに挙げられているが、助詞、助動詞、人称代名詞の誤用、紋切型で抑揚のない語調(口調)などが指摘されているだけで、その実相や原因はそれほど究明されていないように思わ...
吉本芸人Mの「性加害」という問題が取り沙汰されて2か月が経とうとしているが、その《本質》が忘れられたまま、不毛な対立・抗争が続けられている。「性加害」の《本質》とは何か。それを明らかにするためには、まず「性」とは何かについて考えることが必要だ。「性」とは「男と女」という区...
Ⅶ 幼児ー母親の相互交渉の型と刺激の特性《映写観察を使用したセット場面での行動的相互交渉の評価》 A 背景 ・(幼児ー母親の相互交渉を「映写観察」〈その記録を分析〉することにより)、刺激パタン、刺激の数や多様性、回数・強さで示される刺激の量、刺激時間の評価が容易にできるよう...