体の奥底から熱いものがこみあげてきたのは、フルカウントから投じられたスライダーがマイクトラウトのバットをすり抜けた瞬間でも、激闘を戦い抜いた男たちが抱き合う時間でも、英雄たちが胴上げでマイアミの宙を舞ったタイミングでもなく、世界中の興奮がいったんの落ち着きを見せた頃合いだった。 ああ、WBCは終わってしまったのだ。もうこのチームを見ることはできないのだ。そんなことを考えたら、寂しくなって、悲しくなって、でもなんだかうれしくなって、でもやっぱり寂しくなって、もうぜんぶ分からなくなって、とにかく涙が止まらなくなっていた。 チームが結成されてから、宮崎キャンプからカウントしても一か月ほどの期間しかな…