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2016/04/10

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  • 琴を弾く透明美人(其の八)

    「そうかそうだったのか。あなたは私の恩人だ。どんな願いも聞くから話してごらん。」「お恥ずかしい話ながら私は小さい頃から音楽が好きで琴と筝(小型の琴)を勉強していました。筝はなんとか弾けるようになりましたが、琴の方は弾ける前に病気で死んでしまいました。あの世では良い師がおらず悩んでおりましたところ、思いがけず先生の琴の調べを聞くことができ、この人こそわが師と決めたのでございます。まだわからないところがいくつかございます。どうか琴の手ほどきをお願い致します。」「わかりました。よく聞いてください。」ルーチェンは、しっかりとわかりやすいように琴を何度も弾き伝授した。「これでもう思い残すことはございません。」と言ってクアンニヤンは二人の元を去ろうとした。「お待ちください。じつは私も筝を少々習っております。どうか私にお聞か...琴を弾く透明美人(其の八)

  • 琴を弾く透明美人(其の七)

    こうして何日も姿の見えない弟子にルーチェンは琴を教えた。幸帰りしていた妻のリャンコンが戻り二人で姿の見えない演奏者の琴をしばらく聞いていた。「これは狐ではありません。音の調べがとても物悲しい。きっと幽霊が弾いているのです。」「そんなバカな。幽霊が弾くものか。」ルーチェンは信じなかった。「それでは我が家に伝わる古い鏡を持ってこさせましょう。その鏡なら正体を写し出すことができるでしょう。」そう言うと妻は召使に鏡を取りにやらせた。次の夜、又琴がひとりでに鳴りだした。ルーチェンと妻の二人は明かりと鏡を持って部屋に入った。鏡に照らしだすと中には美しい女性が恥ずかしそうにうずくまっている。妻によく似たこの女性、どこかで見たことがあると考えたが突然思いだした。「なんだクアンニヤンじゃないか。どうしてここにいる。」娘は泣きだし...琴を弾く透明美人(其の七)

  • 琴を弾く透明美人(其の六)

    こうしてルーチェンとリャンコンはめでたく結婚式を挙げた。ルーチェンの家では新婚の夜あの貝殻の琴を置いてある部屋から琴の音が聞こえてきた。召使の少年は誰かがいらずらで弾いているのだろうと思い、そっと部屋の中をを覗いてみると不思議なことに琴がひとりで鳴っていた。うす気味悪くなった少年は、主人のルーチェンのところへ知らせにいった。「ご主人様大変です。琴がかってに曲を弾いています。」「何をたわけたことを言うな。」「いえ、部屋には誰もおりません。」ルーチェンが行くと確かに部屋は真っ暗で中には誰もおりません。明かりを持って、部屋に入ると琴の音は止まった。「たぶん狐だろう。必死に弾いているところをみるといたずらではなく、私に琴を習いたいのであろう。」そう言うとルーチェンは弟子に教えるようにゆっくりと琴を弾きはじめた。(続く)琴を弾く透明美人(其の六)

  • 琴を弾く透明美人(其の五)

    ルーチェンが葛公の家に通ううち二人はいつしか親しくなった。ある日彼は思い切って葛公にお願いした。「どうかお嬢さんと結婚させてください。」しかし葛公はルーチェンの家が落ちぶれて貧乏なことを知っていたのでどんなに一所懸命に頼んでもうんとは言わなかった。逆に悪いうわさが立つのを恐れて隣町の金持ちの息子と見合いをさせることにした。その男は評判も良くハンサムであったが見合いの後彼の座ったところに女物のハンカチが落ちていて女の口紅のあとがあった。「あんな男のところには娘はやれん。」葛公はすぐさま縁談を断った。葛公の家には珍しい菊の花があった。緑色の菊で葛公の自慢であり秘宝であった。ところが秋になるとルーチェンの家にも緑色の菊が咲き町の評判を呼んだ。「娘があの男に菊の苗を渡したのに違いない。」怒って葛公は娘リャンコンをたたい...琴を弾く透明美人(其の五)

  • 琴を弾く透明美人(其の四)

    藁を敷いてみたがとても眠れない。彼は坊さんから習った曲を何度も弾いた。雨が上がるとルーチェンは夜明けを前に屋敷を出て目的地を目指した。県知事を務めたこともある葛公(かつこう)という金持ちがいた。彼は音楽が好きでルーチェンの名声を聞きある日彼を家に招待した。坊さんに習った曲を弾いていると風が吹き部屋の右隅に掛かっていたすだれが揺れ中にいた女性の顔が見えた。その女性のあまりの美しさに琴の音が乱れた。「素晴らしい。あなたは才能がある。これからも家に来ていろいろな琴の音を聞かせてくれ。」葛公はそれから家の宴会に招いた。葛公の家にはリャンコンという十七歳の娘がいたがこの娘があの時の女だった。琴を弾く透明美人(其の四)

  • 琴を弾く透明美人(其の三)

    ルーチュンは家に帰っても琴の練習を怠らなかった。特に坊さんからもらった貝殻の琴で弾くときは気持ちを込めて練習した。家の用事で近くの村に出かける途中大雨に降りこめられた。夕方になって泊まるところを探しているとなかなか宿が見えない。暫くするとやっと家の明かりが見えた。慌ててその屋敷に駆けこんだ。雨をぬぐっていると突然若い女が現れてルーチュンを見ると顔を赤らめて逃げて行った。その女性はとても色が白く目の大きな美人で一目見ただけでルーチュンの心は奪われてしまった。無礼を詫びようと「すみません。すみません。」と大きな声で言うとやっと老婆が出て来て「なんのご用ですか。」と尋ねる。「雨が降り出しました。一晩泊めて下さい。」「何もござませんが泊まるだけでしたら・・・」「ありがとうございます。ところで先ほどこの部屋に入って来られ...琴を弾く透明美人(其の三)

  • 琴を弾く透明美人(其の二)

    お坊さんは琴を手にして弾き始めた。すると雨はあがった。琴の音に引き寄せられるように沢山の鳥も近くに集まった。「恐れ入りました。どうか弟子にしてください。」彼は床に頭をつけてお願いする。「良く聞いておくのだぞ。」お坊さんは三度繰り返した。彼は其の曲を真似して弾いてみた。「違う、違う。」お坊さんは丁寧に教えてくれた。彼は何度も繰り返して曲を弾いた。「弾きこなしてきたな」そういうとお坊さんは綺麗な貝殻のはめ込んだ琴を彼に渡した。「お前にこれを授けよう。よく練習するように。」と言うと寺の中に入って座禅を始めた。礼を言って寺を去ったが後ろを振り返ると寺は何処にも見えなくなってしまった。(続く)琴を弾く透明美人(其の二)

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