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ド・ヴァロルセイ氏はそのことよく理解したので、元気よく答えた。「そうですか!親愛なるドクター、二万フランほどで良ければ、喜んでご用立ていたしますよ」「本当ですか?」「名誉にかけて!」「で、いつ用意して頂けますか?」「三、四日後には」取引は成立した。ジョドン医師の方では、ド・シャルース伯爵の掘り起こされた遺体から何らかの毒物が検出されるよう準備をしておくこととなる。彼は侯爵の手を握り締め、こう言った。「どのような事態になりましょうとも、私にお任せください」やっとド・コラルト子爵と二人だけになったド・ヴァロルセイ氏は、それまでの遠慮をかなぐり捨て、音を立てて大きく息を吸いながら立ち上がった。「何と骨の折れる会合だ!」と彼は呻るように言った。ド・コラルト氏は椅子の上でぐったりとし、一言も発しなかったので、侯爵は...2-XV-8
2025/05/30 08:59