雪に戯れて (29)
『親愛なる大助君に先日は、地震のお見舞い電話を下さいまして、本当にありがとうございました。電話を頂けるなんて夢にも思っておりませんでしたので、地震の恐怖も忘れ、嬉しさが心の底から込み上げてきて、思わず泣いて取り乱してしまい済みませんでした。この飯豊山麓の町も、TVでは震度3と放送しておりましたが、その後、余震が数え切れないほどあり、最近では、私も地震慣れした様で騒ぎたてしませんが、これがいけないことは充分に判っております。然し、最初の揺れは、心がちじみあがるほど怖かったです。大きな揺れを感じた直後、お爺さんは棚に飾っておいた愛玩のガラスの花瓶が落ちて壊れたのが癪にさわったのか、わたし達に当たり散らすように、大きな声で怒鳴る様に指示したので、ママと二人して咄嗟にテーブルの下に身を隠しましたが、そのとき、お爺...雪に戯れて(29)
2023/07/29 17:36