青柳俊哉「仮晶」ほか
青柳俊哉「仮晶」ほか(朝日カルチャーセンター福岡、2024年09月16日)受講生の作品。仮晶青柳俊哉惹かれて野花の咲く原へ月へむかって花の成分がながれだすひとつの茎が指にふれるかたい腺毛の奥のしずけさ唇を花びらが噛む苦みのある繊維質の霧のような香気月がしぐれて舌崩れる多孔質スポンジ状の子房の中へそそがれて種子へ結晶する接合されて野花と生きはじめる「月へむかって花の成分がながれだす」は、青柳の「詩語法(詩文法)」の特徴である。肉眼では見ることのできない運動が、言語によって実現されている。「花の成分」は具体的に何を指すか。それは読者の想像力に任されている。この詩には、ほかにもおもしろい語法がある。「ひとつの茎が指にふれる」「唇を花びらが噛む」。「ふれる」「噛む」という動詞の主語は「茎」「花びら」。人間ではない...青柳俊哉「仮晶」ほか
2024/09/29 12:13