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  • 楽しいキャラクターたち/物語る絵画(根津美術館)

    〇根津美術館企画展『物語る絵画』(2023年7月15日~8月20日)源氏物語や平家物語など人気を博した物語は、成立後ほどなくして絵画化がはじまる。本展は、物語の範囲を仏教説話や能、幸若舞(こうわかまい)やお伽草子などにまで広げ、絵画化されたさまざまな物語を味わいながら、いにしえの人々が物語のどのような場面に心惹かれたのかということにも注目する。私の好みを直撃するような展覧会で楽しかった。物語を絵画化した絵巻や画帖は、ああ、このキャラクターのこの場面をこう描くか~というのが、絵の巧拙とか美術的価値とは別に、とても楽しいのだ。『十二因縁絵巻』は私の大好きな作品(最強の羅刹の無明!)。『絵過去現在因果経』は王子シッダールタが城を出る場面で、白馬に乗った王子の前後に二人の従者が付き添い、さらに四人の天女が馬の走り...楽しいキャラクターたち/物語る絵画(根津美術館)

  • 官家(皇帝)のつとめ/中華ドラマ『清平楽』

    〇『清平楽』全69集(湖南衛視、騰訊視頻、2019年)放送時の評判がよかったことを噂で耳にしていたので、いつか見ようと思いつつ、機会がないままになっていたら、BSで『孤城閉~仁宗、その愛と大義~』のタイトルで日本語字幕版が始まった。しかし私はBSを見られる環境がないので、少し遅れて中文版の視聴を開始し、気がついたらBS放送を追い越して視聴を終えてしまった。結果は、たいへん満足している。さすが正午陽光影業のクオリティである。ドラマは北宋皇帝・仁宗(趙禎)の少年時代から始まる。仁宗は、父の真宗の崩御により幼くして即位したが、政治の実権は太后・劉氏が握っていた。仁宗は実母の李氏に一目会うことを願うが、太后は許さず、李氏は身罷ってしまう。やがて太后も没し、青年・仁宗は自分の政治を開始するが、少年時代の経験は彼の一...官家(皇帝)のつとめ/中華ドラマ『清平楽』

  • 2023年7月名古屋:幻の愛知県博物館(愛知県美術館)

    〇愛知県美術館企画展『幻の愛知県美術館』(2023年6月30日~8月27日)博物館好きにはとても面白い企画展だった。企画趣旨に云う――現在愛知県には、県立の総合博物館がありません。けれども明治時代に遡ると、この地に「愛知県博物館」は確かに存在していました。1878(明治11)年に県が民間からの寄附金を集めて建てた博物館は、古く貴重な文物から味噌や醤油、酒、木材、織物、陶磁器、絵画、機械、動植物等々、国内外のあらゆる物産を集め、人々の知識を増やして技術の発展を促そうとしました(後略)。日本全体として見ると、1867(慶応3)年、幕府と薩摩藩、佐賀藩は第2回パリ万国博覧会に物産を出品し、その関係者が明治新政府で博物館行政を担うことになる。町田久成は歴史ある文化財を守るため、大英博物館を参考にした。佐野常民はロ...2023年7月名古屋:幻の愛知県博物館(愛知県美術館)

  • 2023年7月名古屋:徳川家康(徳川美術館)

    〇徳川美術館・名古屋市蓬左文庫夏季特別展『徳川家康-天下人への歩み-』(2023年7月23日~9月18日)日曜から名古屋に行くことになり、調べたら、この夏季特別展の初日に当たっていたので、さっそく見て来た。今年の大河ドラマ『どうする家康』でも注目の集まる、徳川家康の生涯を紐解く。展示構成としては、はじめの第1~第5展示室は、いつもより家康に注目しつつも、それ以外の品々もそろえた名品コレクション展示。第1室、『三団子形馬標』は、関ヶ原合戦の時、家康四男の松平忠吉が使用し、忠吉の遺領を継いだ義直に譲られ、尾張家に伝えられたもの。初めて見たので珍しかった。刀剣と太刀拵が多数出ていて、マニアの女性で賑わっていた。私はどちらかといえば、火縄銃や口薬入(火薬入)のほうが興味深い。銃身に太陽神アポロを刻んだ火縄銃は、以...2023年7月名古屋:徳川家康(徳川美術館)

  • 2023大須観音の旧文庫

    昨日(月曜)は朝から名古屋で仕事だったので、日曜から前乗りして、少しだけ遊んできた。徳川美術館と愛知県美術館を参観して、そのあと、初めて大須観音(真福寺宝生院)を訪ねた。2013年1月に名古屋市博の『古事記1300年大須観音展』を見て以来の念願を、10年越しで実現したことになる。多少リサーチしてきたので、まわりが古着屋・メイド喫茶・昼呑み・名古屋めしなど、何でもありの商店街なのは驚かなかった。仁王門をくぐって、石段の上にあるのが、本尊・聖観音をお奉りする本堂で、南面している。本堂の裏手(東側)の1階に寺務所があるので、ご朱印をいただきに寄った。右(東)の瓦屋根の建物は、大須観音の「境内見取図」によれば、庫裏と客殿。そして庫裏の北側、東北の隅に「旧文庫」があるらしいのだが、ここからは見えない。ご朱印を書いて...2023大須観音の旧文庫

  • 門前仲町グルメ散歩:2023夏・初かき氷

    今年も初かき氷は門前仲町の伊勢屋で。盛りがよすぎて、アングルによっては器が見えない。ただの氷のカタマリにようだ。最近は夜の営業をしなくなってしまったので、週末でないと店に寄れない。週末も17時閉店なので、今日は16時過ぎに入ったら、もう「close」の札が出ていた。「食事でなければ、どうぞ」と通してくれて、ありがとうございます。かき氷を食べると、一気に体が冷えて、暑さ負けから回復する。そういえば、昨年まで足付のうつわ(パフェグラス)だったのが、今日は平底のカップに変わっていた。門前仲町グルメ散歩:2023夏・初かき氷

  • 2023年7月関西旅行:聖地南山城(奈良博)ほか

    ■法相宗大本山興福寺国宝館朝から暑い1日。南円堂でご朱印をいただき、9:00開館の国宝館を久しぶりに見ていく。いつもの名品が揃っていたが、初見のように思ったのは絵画の『尋尊像』。目鼻の小さい丸顔で、気の弱そうな肖像だった。名前に記憶があったのは呉座勇一氏の『応仁の乱』に取り上げられていたためだと思う。■東大寺ミュージアム2020年7月から戒壇院の四天王像が展示されていたが、本年秋頃の戒壇堂拝観再開に向けて四天王像を移動するため、同館は8月28日から9月30日まで休館になるという。戒壇院で以前のように安置されるなら、拝観に支障はないので焦る必要はないのだが、今の状態をもう一度見ておこうと思って寄った。ちょうど四天王像の向かい側に、もと四月堂の千手観音の脇侍となった日光菩薩・月光菩薩がいらしたが、かつては三月...2023年7月関西旅行:聖地南山城(奈良博)ほか

  • 2023年7月関西旅行:歌と物語の絵(泉屋博古館)+少女たち(京都文博)

    ■泉屋博古館企画展『歌と物語の絵-雅やかなやまと絵の世界』(2023年6月10日~7月17日)会期末の週末に駆け込み鑑賞。屏風や絵巻物などの物語絵と歌絵を紹介するコレクション展。実はちょっと意外な感じがしていた。泉屋博古館と「やまと絵」があまり結びつかなかったのだ。しかし展示の19件は、確かに全て同館の所蔵品だった。最も古い作品は伝・公任筆『中色紙』(古今355・つるかめもちとせののちはしらなくに)。巧いとは思わないが、たよりなげで雅やかな筆跡である。三十六歌仙を描いた書画帖(江戸時代)が2種類出ていた。松花堂昭乗を作者とするものは、書(和歌)と絵が交互に貼られている。近世らしく、人間味を感じさせる歌仙絵である。屏風は見覚えのない作品もあって面白かった。『柳橋柴舟図屏風』(六曲一双)は、ひろびろした川面を...2023年7月関西旅行:歌と物語の絵(泉屋博古館)+少女たち(京都文博)

  • 2023年7月関西旅行:名品ギャラリー(京都国立博物館)

    〇京都国立博物館特集展示『茶の湯の道具茶碗』(2023年6月20日~9月10日);『新収品展』(2023年6月13日~7月17日);名品ギャラリー『縄文土器と土偶』『15世紀の白描絵巻』『地蔵と閻魔』『古筆とかなの美』『袈裟と名物裂-舶載された染織-』『錺りの美-仏をかざる-』『豪商の蔵III-茶室を彩る漆-』各地の博物館・美術館で夏の企画展が始まっている。加えて、見に行きたい公演や祭礼もある一方、地元・東京の夏の行事も復活しており、仕事もあり、経費の制約もあり、いろいろ考えた結果、三連休の土日だけ関西で遊んできた。京博は2つの特集を含む常設展示。うぉ~久しぶりだ~!と思ったが、2022年1月にも、いちおう常設展期間に来ていた。しかし今年のように、夏場をまるっと常設展示にあてるのは、近年、珍しいのではない...2023年7月関西旅行:名品ギャラリー(京都国立博物館)

  • 2023祇園祭・前祭宵々山

    三連休の土日を使って、弾丸ツアーで関西の展覧会を見て来た。土曜が祇園祭・前祭の宵々山に当たっていたので、暗くなって本格的に人出が多くなる前に少し見てまわった。2021年は後祭だったので、前祭の山鉾を見るのは久しぶりである。四条通りの月鉾。むかしはけっこう気楽に鉾に上がらせてもらったのだが、今年はどこも順番待ちの長い列ができていたのであきらめた。ご神体や懸装品を公開する会所への入場も(コロナ対策の意味もあって)制限しているところが多かったように思う。私の大好きな蟷螂山。しかし、粽、Tシャツ、扇子、全て完売だった。Tシャツは、毎年、デザインが変わるらしいのだが、来年もこれを継続販売してくれないかなあ。欲しい。船鉾も好きだ。2014年に復活した大船鉾よりもひとまわり小さいが、京都の狭い路地に現れると全く左右に余...2023祇園祭・前祭宵々山

  • 治水の神話と歴史/中国の水の物語(蜂屋邦夫)

    〇蜂屋邦夫『中国の水の物語:神話と歴史』法蔵館2022.5昨年、とても面白く見た中国ドラマ『天下長河』が、いまWOWOWで『康熙帝~大河を統べる王~』のタイトルで放映中である。清・康熙時代の黄河治水を描いたドラマである。ときどきSNSで感想を読みに行っていたら、ドラマに登場した陳潢と靳輔に関する記述が、この本にあると教えてくれる人がいたので、さっそく買って読んでみた。本書は、中国の洪水や治水の神話をはじめとして、水利史や古代都市の防洪・排水問題、黄河や長江の流態など、現実の歴史に即した問題も一書にまとめたものである。著者は文学博士で、専門は老荘思想・道教とのこと。はじめに神話。中国の神話は、帝王・伏羲から始まると思っていたが、『韓非子』には、木の上に巣をつくることを教えた有巣氏、火を使うことを教えた燧人氏...治水の神話と歴史/中国の水の物語(蜂屋邦夫)

  • 図譜から抽象画まで/植物と歩く(練馬区立美術館)

    〇練馬区立美術館コレクション+『植物と歩く』(2023年7月2日~8月25日)同館のコレクションを中心に植物がどのように作家を触発してきたかを探る。いま、朝ドラ『らんまん』を面白く見ているので、牧野富太郎の植物図も出ていると聞いて、さっそく見てきた。冒頭には、東京帝国大学理科大学植物学編纂の『大日本植物志』第1巻第2集(明治35/1902年)。とても大きな版型だ。青い表紙で、タイトルや著者・出版者表記は全て英語。周囲をさまざまな植物、アジサイ、フジ、ユリ、アヤメなどの線画が囲んでいる。もちろん石版印刷。それから全部で6枚、この『大日本植物志』所収の図版が個別に展示されていた。私は目が悪いこともあって、花びらの湾曲した内側とか、尖った葉先とか、一瞬、墨のぼかしを使っているように見えたのだが、よく近づいてみる...図譜から抽象画まで/植物と歩く(練馬区立美術館)

  • 中国鏡と倭鏡/めでたい鏡の世界(五島美術館)

    〇五島美術館館蔵・古鏡展『めでたい鏡の世界』(2023年6月24日~7月30日)館蔵品から中国や古墳時代の古鏡約60面を展観する。軽い気持ちで見に行ったら、解説が充実していて、想像よりも面白かった。同館が古鏡の展覧会を開催したことがあっただろうか?と考えたが、思い当たるものがない。調べたら(「観仏三昧」のアーカイブによれば)2003年に『中国の古鏡展』を開催しているようだ。中国では「かがみ」は古くは「鑑」と書いたが、戦国時代から「鏡」を使うようになった。漢代の鏡は種類が豊富で、化粧道具として流布したほか、吉祥、魔除け、贈答品としても用いられた。冒頭に展示されていた『草葉紋鏡』(前漢時代・紀元前2世紀)の文様は、天に向かって伸びる宇宙樹を現わしたものだというが、簡略化されたデザインはアールデコふう。周縁を囲...中国鏡と倭鏡/めでたい鏡の世界(五島美術館)

  • 美しい爆撃機の記憶/B-29の昭和史(若林宣)

    〇若林宣『B-29の昭和史:爆撃機と空襲をめぐる日本の近現代』(ちくま新書)筑摩書房2023.6太平洋戦争(あるいは大東亜戦争、アジア太平洋戦争)について、今なお多くの日本人が、戦争末期の数か月間に行われた日本本土空襲を記憶している。本書は、太平洋戦争を象徴する存在となった爆撃機ボーイングB-29スーパーフォートレスと日本人の歴史をひもとくものである。私は昔から「飛行機」と「空爆」の歴史に関心があって、この分野の既刊書をかなり読んできたが、新しく気づかされたこともいろいろあった。ひとつは、第一次世界大戦は人々が戦闘機どうしの空中戦を空の一騎打ちのように見なし始めた戦いであったが、戦略家は航空隊の圧倒的な優位性(前線を飛び越えて敵の補給路やはるか後方の生産施設を攻撃できる)に気づいていたという記述。「一騎打...美しい爆撃機の記憶/B-29の昭和史(若林宣)

  • 2023扇風機買い替え

    家電製品は、壊れるまで使う習慣なのだが、扇風機を壊してしまった。稼働させた状態で場所を動かそうとしたら、ガードの隙間に椅子のレバーが挟まって羽根が欠けてしまった。欠けたのはわずかだが、羽根のバランスが崩れてしまったので、スイッチを入れると、ガタガタ不穏な音がする。これは駄目だなと観念して、翌日、近所のホームセンターで、安い「お座敷扇風機」を買ってきた。右が新しい機種で、重量が格段に軽いことにびっくりした。かつて実家から貰ってきた古い扇風機を、左の扇風機に買い換えたときも、ずいぶん小型軽量化したと思ったのに。左の壊れた扇風機は、表示を見たら「2010年製」だった。そうか、埼玉から東京に戻ってきた頃に購入し、そのあと、札幌→つくば→東京と使ってきたのだった。これからホームセンターに持っていって処分してもらうの...2023扇風機買い替え

  • おうこくさんに出会う/木島櫻谷(泉屋博古館東京)

    〇泉屋博古館東京特別展『木島櫻谷-山水夢中』(2023年6月3日~7月23日)近年再評価がすすむ日本画家・木島櫻谷(このしまおうこく、1877-1938)の多彩な山水画を展観する。あわせて写生帖や収蔵品の古典絵画や水石も紹介し、櫻谷の根底にあり続けた心の風景を探る。私が櫻谷の名前を覚えたのは、この10年くらいの間だと思う。京都方面への旅行の計画があって、イベント情報をチェックすると、櫻谷に関する展覧会を見かけることがあった。いま調べたら、京都の泉屋博古館では、2013年、2017年、2021年にも櫻谷の展覧会を開催している。しかし、特に興味がなかったので、一度も見に行ったことはなかった。今回も、正直なところ、あまり期待はしていなかったのだが、行ってみたら、なかなか良かった。入館すると、いつもはガランとした...おうこくさんに出会う/木島櫻谷(泉屋博古館東京)

  • 新版画の多様性/ポール・ジャクレー(太田記念美術館)

    〇太田記念美術館『ポール・ジャクレー:フランス人が挑んだ新版画』(2023年6月3日~7月26日)今年のはじめから同館のtwitterアカウントが、本展開催に向けて、時々、ジャクレーを紹介してくれていたので、絶対行こう!と決めていた。ポール・ジャクレー(PaulJacoulet、1896-1960)は、パリに生まれ、3歳の時に来日し、64歳で亡くなるまで日本で暮らした版画家で、昭和前期に流行した「新版画」の絵師のひとりと考えられているようだ。「新版画」といえば、最近、川瀬巴水、吉田博、笠松紫浪などにあらためて注目が集まっているが、ジャクレーの名前は、私は全く知らなかった。なのでtwitterで見たジャクレー作品は衝撃的だった。たぶん最初に見たのは、本展のポスター・チラシにもなっている『満州宮廷の王女たち』...新版画の多様性/ポール・ジャクレー(太田記念美術館)

  • アイスショー"Fantasy on Ice 2023 神戸千秋楽"ライブビューイング

    〇FantasyonIce2023ライブビューイング(神戸:2023年6月25日、13:00~)私の一番好きなアイスショーFaOI(ファンタジー・オン・アイス)。今年は宮城公演1回と新潟公演2回を現地で見ることができた。最後の神戸公演は、金曜だけチケットが取れたのだが、仕事を休むことができず、泣く泣くリセールに出した(瞬殺で買い手が付いた)。日曜はライブビューイングがあることが分かっていたので、我が家から近い下町の映画館のチケットを確保した。前日にコンビニで発券したら、最前列の席で笑ってしまったが、このアイスショーに関しては贅沢は言わないことにしている。この日はFAOI2023の大楽で、プロスケーターのジョニー・ウィアがこのツアーを最後に引退することを表明していたので、何かとんでもなく「特別」なことが起こ...アイスショー"FantasyonIce2023神戸千秋楽"ライブビューイング

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