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増田再起
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2014/09/19

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  • プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」

    9八月・移転期限日一週間前・訣別・三十五度8月21日となりいよいよ紫苑の立ち退き期限日です。若手の応援を受け店内の片付けがはじまっています。「天国と地獄」の曲が薄く流れえている。調理場から段ボール箱を持ってきて積み上げる作業姿の登和。タオルにTシャツ姿の淳と総司が入って来る。登和「それ、運んで」総司「了解しました」総司、運び出す。登和「淳、調理場から空箱と新聞紙持ってきて」淳「ハイ」調理場から持って来て段ボール箱を組み立てる淳。タオルにTシャツ姿の良子が来る。続いて京子と早紀も作業する格好で来る。若手にとって唯一息抜きの場所であった紫苑の引っ越しです。皆テキパキと働きます。良子「店の周りは金網に取り囲まれて、まるで動物園の中にいる感じ」早紀「緑の檻の中にね」良子「そうそう」京子「本当にそうですよね」淳「こ...プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」

  • プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」12

    8七月・移転一ヶ月前・昼・三十四度早いもので七月の声を聴きました。炎天下の最中今日は万年青の解体の日。女将の典子が半狂乱の体で良子と登和に止められながら来ます。登和「女将さん・・・」典子「なんであたしが万年青のあんな姿を見なけりゃならないのよ・・」登和「そうですよね。分かります,分かりますよ、女将さん」良子「女将さん。しっかり、しっかりしてね」典子「良子、あんただってわかるだろうあたしの気持ち」良子「分かります、分かりますとも」典子「万年青はあたしのすべてなんだ。あたしの七十五年が壊されているんだよ」登和「分かってます。ええ、分かってますとも」解体の音一際大きく。典子「ああ、あたしの万年青が殺される」やがてプツンと解体の音がやみ、静寂の時が流れます。典子「・・・どうなったの・・」良子「解体が・・・終わった...プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」12

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」11

    7六月・移転二ヶ月前・移動三月の移転意思の表明から三ヶ月。清彦と早紀の補償交渉や移転場所もそれぞれ決まり移転が始まりました。それと同時に横丁の取り壊しも進み七曲りもなばかりとなって来ました。良子「今日は朝からどっちの引っ越し」淳「鳥功す、明日が海路すね」良子「あら、二日続けてお引越しだ。北口の店見に行った?」淳「ええ、改装工事が終わったんで大将と一緒にね。今の店より結構広かったすね」良子「そう、じゃ淳も頑張んなくちゃね」淳「頑張りますよ。これから新しい店になると思うと何だかワクワクしますね」良子「そうなんだ。若いからね、先行きが楽しみなんだね」」淳「ママはそうじゃないんすか」良子「そりゃそうよ、成ろうことならここの場所にずっと居たかったんだから」淳「ああ、そうなんだ」まあ、若い者にはこの辺の気持ちはわかり...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」11

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」10

    6一週間後・昼・代理・二十六度金蔵の尾てい骨骨折から一週間後、典子は紫苑である女性と待ち合わせします。予定の時刻を過ぎて慌てた面持ちで現れた女性は・・・。早紀「遅くなってすいません。道に迷っちゃったもんですから・・」友永早紀という名前でした。典子「・・・早紀ちゃんなの?」早紀「ハイ、友永早紀です」典子「あらあ、立派になっちゃって・・あたしの事分かる?」早紀「・・・万年青のおばさまですよね。いつも父がお世話になっております」典子「とんでもない、お世話になってるのはこっちの方」早紀「め、滅相もないことでございます。」典子「・・立ち話もなんだから・・さあ、座って座って」ずいぶん昔の知り合いのようです。典子「緊張してる?」早紀「ええ、少し・・」典子「ねえ、早紀ちゃんがこの横丁出て何年になるかしら」早紀「私が五歳の...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」10

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」9

    5同日・夜・二十度七曲りの皆が応援した淳の試合は見事淳が勝利をおさめました。万年青での一次会も終わり、紫苑の二次会の為先遣隊として良子と若手が席作りに来ました。良子「ソーレソレソレ、お祭りだ」燥ぎまくった若手がきます。総司「勝者矢崎淳!!」まだ万年青に残ってる老体組と若手合わせて十人分の席をつくります。良子「ご苦労さん。来るの何人だっけ」総司「僕らを含めて十人ですね」良子「じゃ、テーブル動かして席作ろうか」淳「ママ、どういう形にしますか」良子「そこのソファ席から椅子席のテーブルをこう並べて・・」総司「椅子は両サイド置いていいですね」良子「ああ、そうだね。京子ちゃん」京子「ハイ」良子「冷蔵庫からビール出して」京子「ハイ、了解」こういう時の若手はテキパキ働くもんです。みるみる席がつくられていきます。総司「淳君...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」9

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」8

    4五月・移転三ヶ月前・午後・二十五度今日は淳の東日本新人王戦準決勝の日。京子たちと応援に行く予定の良子は早じまいの支度をしております。そこへ万年青の登和が来店します。良子「あら登和さん、いらしゃい。珍しいわねこんな時間に」登和「ほら、今日は淳君の応援じゃない、試合の後の寄り合いの準備だけだから仕込みが少なかったの」良子「そうか、さて戦勝会となるか残念会となるか」登和「ドキドキね」良子「・・ねえ、何か飲む」登和「コーヒー頂戴」良子「了解」登和「ねえ、良ちゃんも行くんでしょう」良子「ええ、十六時に京子達と待ち合わせしてるの。もうそろそろ来るんじゃないかな」登和「試合は何時から」良子「試合開始が十八時。会場まで一時間見とけばいいかなって」登和「じゃ、あたしも一緒していい」でも登和の様子がいつもと違うんですな。登...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」8

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」7

    3四月・移転四ヶ月前・朝・十五度・その2良子が帰ってきました。すると先ほどの顛末は毛ほども見せずいつもの紫苑の客を演じる二人です。良子「ねえ、もう始まったわよ」功一「何が?」良子「ホラ、丸万市場に行く手前三階建ての雑居ビルがあるでしょう」功一「ああ、小田万ビルな」良子「知ってるの」功一「ああ、コロナ前は店終わったらよく行ってたスナックがあってな。それがどうした」良子「解体工事が始まったらしいよ。養生して足場の組み立てしてた」功一「ええ、あそこが!・・・ああ、区画整理内だもんな。そうか始まったか」良子「ほら、あそこ横丁の入り口でしょう、あんなところで工事始まっちゃったら客足に影響するよね」功一「ああ、それでだ」良子「なにさ」功一「いや、ゆんべやけに客足が落ちたからよ」良子「あら、功さんとこも」良子「やだ、会...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」7

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」6

    3四月・移転四ヶ月前・朝・十五度・その1いつもの朝です。ママの良子は買い物で留守にしてますが、七曲りのにんげんにとって勝手知ったる紫苑です。居たい様にいます。今朝は奇しくも淳のボクシングジムの会長の海路と仕事先の鳥功の大将功一が一緒になりました海路「オイス」功一「オッ、権藤ジムの会長さん、オハヨウさん。朝のロードワークかい」海路「ああ。こ、功ちゃん早いね」功一「ああ、ここんトコ客が戻って来てたんだが、ゆんべはエアポケットみたいにクソ暇でさ、腹立ったから早仕舞いしてふて寝さ。そうしたら朝早くに目がパッチリだ」海路「そ、そういえばウチもそうだったな」功一「何かあったのかな」海路「さあね・・・」功一「どうだい、淳の調子は」海路「いいよ。じ、淳は絶好調さ。でもトレーナーの俺がいけねえ。・・・俺もめっきり駄目になっ...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」6

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」5

    2同日・深夜・気温九度移転期限日が9月3日と決まったその夜。閉めた紫苑におでん屋万年青の女将典子と右腕の登和がやって来ます。それはそうです。長年住み慣れた七曲り路地からの立ち退きが決まったのですから心穏やかではいられません。良子も同じ気持ちです。典子「ちょっとゴメンよ」良子「あら、カアサン、珍しい」典子「閉店は分かってるんだが、チョット奥借りるよ」良子「どうぞどうぞ」登和「良ちゃん、ごめんね」良子「何を仰いますやら」という訳で良子もご相伴して一杯。典子「(ため息)・・七十五年。・・・七十五歳か・・・」良子「何ですか」典子「おでん屋万年青さ、万年青の年齢」良子「そうか、万年青は七十五年ですか」典子「カアサンが復員してきたトウサンとこの七曲りに店を持ったのはあたしが生まれた昭和23年だった。だからおでん屋万年...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」5

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」4

    1三月・移転六か月前・報告・・気温12度・・その2役所で移転意思の確認表明をした金蔵をはじめとした主だった者が帰って来る時刻となりました。先ず帰って来たのは通称社長と言われている金蔵が一人で着ました。それもビックニュースを持って。金蔵「なあ、知ってる?」良子「なあに?」金蔵「清彦のやつなゆんべ酔っぱらって、店の階段から転げ落ちたんだぜ」」良子「えっ、あの急な階段から!大丈夫だったの」金蔵「大丈夫な訳ねえよ。骨折だと」良子「何でまた」金蔵「例によって年甲斐もなくはめ外したんだよ」良子「じゃ、役所には・・」金蔵「来たよ。奴にも意地って奴があるからな。海ちゃんに負ぶさって来た」まあ、60を越した男がやる事じゃありません。良子「(水を出す)ねえ社長だけ?あとの人は?」金蔵「ああ、帰りがけだからついでに土手の桜見て...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」4

  • プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」3ー1

    この劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」は以下の喫茶店「紫苑」の店内を舞台に展開されます。1三月・移転六か月前・報告・・気温12度・・その1今日は七曲り路地の住人にとって大切な日であります。というのも区画整理地区になった七曲りからの移転意思のあるなしを表明する日だったのです。年中無休を貫く喫茶紫苑の良子と団体客の予約の為参加できない功一は、役所に行く金蔵達も委任状を金蔵託して結果を待っていました。金蔵の営む不動産屋事務員京子もその一人。結果を待つ間良子の花札占いで自分の運勢を見て貰います。良子「はい、京子ちゃん、アンタが引いた札は菖蒲。吉凶札は吉札、陰陽札は陽札。菖蒲の咲く、寸分の狂いも無く建てられた八橋は、権威、富の象徴と出てるね」なんのこっちゃな内容ですが・・良子「だからね。アンタの運勢を紐解くと...プレーバック劇団芝居屋第41回「七曲り喫茶紫苑」3ー1

  • プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」2

    さてさて本日は「七曲り喫茶紫苑」の舞台に登場する役者の紹介です。この通称七曲り路地と言われる路地はかつて特徴のある十五店舗の店で構成されていましたが、この四年のコロナ禍で五店舗まで減少していました。喫茶紫苑はここに生きる人達の憩いの場となっていました。七曲りの老舗店おでん屋「万年青」の二代目女将影山典子(75歳)。戦後両親が典子の誕生を機に始めたのが「万年青」の為、「万年青」の歴史は丸々典子の年齢と同じなのでした。演じましたのは永井利枝。今や「万年青」の次に古い喫茶「紫苑」の二代目店主中村良子(45歳)前店主が年齢的な事から引退したことをきっかけに店を譲られ、得意な占いを売りに七曲りの憩いの場として切り盛りしている。演じましたのは増田恵美。「万年青」の典子の片腕として長年勤めて来た福田登和(50歳)。アパ...プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」2

  • プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」1

    9月3日にお陰様で劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」も無事千秋楽を迎えることができました。と、言う訳でさて恒例のプレーバックが始まります。先ずはこの作品のあらすじをどうぞ。東京郊外のある私鉄沿線の街。駅前の繁華街から少し離れた横丁の路地裏にこの話の舞台になる喫茶紫苑がある。この曲がりくねった路地は通称七曲りと呼ばれ昭和の匂いを残す十一店舗の個性豊かな飲み屋が集っており、長年庶民の隠れ家的な場所となっていた。この路地の住人には長年にわたる懸念があった。それは以前から計画されていた再開発事業による区画整理であった。住民の反対によって近年まで滞っていた区画整理計画も、四年に渡るコロナ禍の影響により繁華街が大きな打撃を受けた事で執行される事が決定し、事業は加速的に進行し、何回かの説明会を経て移転意思の確認と...プレーバック劇団芝居屋第41回公演「七曲り喫茶紫苑」1

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