高校3年の夏、転校してきた保彦が美雪にある頼みごとをする。それは二人だけの秘密。ところが彼は。 書く材料があっても小説にするのは簡単ではない。そんな要請を…
オールド・フォックス 11歳の選択 2024.6.15 新宿武蔵野館3
父タイライ、息子リャオジエの暮らすアパートのオーナーはこの辺りの地主シャで腹黒いキツネ(オールド・フォックス)と呼ばれていた。彼は成金だ。成金であっても裸一…
第一話「箱の中」 箱とはエレベーターのことで、突然止まってしまったエレベーターに乗り合わせた男女がおかしな風になっていく。おかしなのは主に女なのだが、ひどく…
主役の三橋達也、大木実、青木富夫のうち突貫小僧こと青木富夫の顔ばかり見ていた。小津安二郎の初期のによく出ていた。 昭和初期の東京の郊外のいたずらぼう…
どこにも自分勝手な男はいるもので、インカに子供を生ませた男は、いわゆるプレイボーイみたいで、現に友人のアリョーシャがはるばる彼を探し当て、会いに行った先でも…
ハロルド・フライのまさかの旅立ち 2024.6.8 シネマイクスピアリ16
ふらりと家を出てそのまま戻って来ない。一つの家出のすがた、でもこれは違う。家を出たときは目的があった。手紙をポストに入れること、これだけのことだ。病気の友人…
山梨の高校生の夏休みの話。これが現代の高校生の本当の姿なのか。田舎ならこうかな、とも思えるし、時代を超越したような印象があった。高校最後の夏休み、進学す…
考えてみると学校は他の何より他人が行き来し長い時間を共にする場所だ。しかもある程度学生らを統制しなければならない。統制が強制に繋がるのは自然な流れで、昔は学…
この森で、天使はバスを降りた 1998.1.31 シャンテシネ
題名が良くない。SPITFIRE GRILL が原題で、お店の名前というごくさりげないもの。題名はすべからくこうでなくてはいけない。あまりにも内容を言い表し…
この映画を見てて思い出した映画がある。 1954年「エノケンの天国と地獄」 ストーリーはこの世にいた時、悪事を働き地獄に落ちた男が10年の地獄の刑期を終え、…
五人の少女がそろって首を吊って死のう、という一種異様な話。でもこの映画を見れば、いたいけな少女たちが死ななくてはならない運命の下に生まれついていることが分か…
ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ 2024.5.11 シネスイッチ銀座1
グアンタナモ収容所はアメリカにとって都合の良い場所にあり、使い勝手のある施設のようだ。アメリカ国内ではないので、キューバなのでなど言い訳が効く。どういう手段…
ボリス・バルネットの三本目、エイゼンシュタインの影響を受けていると思った。それはイメージの飛躍というか、思わぬ映像が時たま現われるところだ。 ロシアの二月…
6300キロの川の流れをさかのぼると源流に着く。その先のさきっちょの水源を見たい。その想いが彼をして長江に再挑戦させた。NHKの「長江 天と地の大紀行」は…
北京の鼓書芸人、方宝慶は兄の宝森、妻と2人の娘と暮らしている。鼓書芸人はひとりが弦楽器、もうひとりが太鼓を打ち物語を歌う芸人のことである。 日本でいえば、…
これはどうしても比較してしまう。比較せざるを得ない。山田太一の小説は好きで読んでいた。脚本家の書く小説らしく簡潔で分かりやすく、そのままシナリオになりそうだ…
北京の京劇クラブに所属する京劇役者の京京(チンチン)は、両親が別居し母方の祖父のもとに預けられることになった。祖父もかつては京劇の名優であった。初めのうちは…
1952年頃の日本はこんな状況だった。戦前を引きずっているし、戦後の勢いもある。特に女性の社会進出は凄まじかった? 新しい憲法のもと、変化が急速に行き渡っ…
イタリア映画で、向こうでは評判の原作で、という宣伝に乗せられたのが悪かった。内容は甘い甘い話。アメリカに留学しているマルタに祖母オルガが亡くなった知らせが届…
ポトフ 美食家と料理人 2024.4.13 シネスイッチ銀座2
主人公二人の関係がわかりにくい。また彼らはレストランを開いているわけではないようだ。だったらなんで生計を立てているのだろう。貴族か何かで働く必要がないのだろ…
上流社会の生活がどんなものか知らないし、近づきになれるわけでもないから、どうでもいいようなものだけど、上流とは、金持ちと理解している。鼠小僧治郎吉が金持ちか…
RHEINGOLD ラインゴールド 2024.4.6 ヒューマントラストシネマ有楽町2
ジワ・ハジャビはクルド系の音楽家のもとに生まれた。幼い頃からピアノを習わされたが熱心ではなかった。ピアノとラップは関係ない。あえてこじつければ、音楽、歌? …
アメリカ映画によくある裁判劇である。ただし、従来の裁判物にはなかった視点がある。「告発」する相手が刑務所なのだ。アルカトラズというサンフランシスコにある刑務…
ゴッドランド GODLAND 2024.3.30 シアター・イメージフォーラム2
アイスランドは北極圏に近く、しかし地面は熱い。火山島で最近も噴火は盛んだ。アイスランドの情報は少ない。遠い国だからということもある。しかし近い国を知っている…
ミルは心やさしい田舎のおじさんだけど、しゃれている。世の中のいろんなこと、いろいろと経験してきているといった感じ。ミルはミシェル・ピッコリがやっているから、…
題名とちょっとした宣伝文句だけで想像して、鑑賞を躊躇することがある、よくやる間違いだ。この映画がそうだった。なんとなく避けているうちに終わっていることがよく…
こうのとり、たちずさんで 1992.10.20 シャンテ シネ2
道路の真ん中に線が引いてあって、そこを一歩越えると別な国、人工的に引かれたただの線に過ぎないものが、かつてあったベルリンの壁よりも高い場合もある。そんな目に…
52ヘルツのクジラたち 2024.3.2 シネマイクスピアリ11
問題を抱えた人たちが集まってきても問題は解決されることはない。時代が問題を連れてくるのか、問題がただ表面化するだけなのか、昔からあったことが別なはっきりした…
アントワンとアントワネットはアパートの屋根裏部屋に住んでいる。金が無いのでラジオを聞くか小説を読むくらいで映画にもいけない。アントワネットが買った宝くじが8…
PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて 2024.3.9 TOHOシネマズ日本橋1
eスポーツが現れてどのくらいだろう。小さな画面のゲームの進化系だ。稚拙な動画から家庭のテレビにつながって、今やいくらでも大きくできる。映画館のスクリーン大に…
項羽と劉邦・その愛と興亡 1996.11.22 テアトル新宿
紀元前の話、中国の歴史は永遠のように長い。私はこういう歴史物はまったく苦手。主人公の二人の名前さえ知らなかった。そしたら、家に漫画だけど、彼らのことを書いた…
コット、はじまりの夏 2024.3.12 新宿シネマカリテ2
夏休みの話はよくある。でもこれは典型的ではない。変な話ではなく、あえて面白さだけを追求していない。小説だから映画だからと極端を求める人もいる。衝撃的事件が起…
台湾映画はホー・シャオシェンばかりではない。一口に中国映画と言っても、三つある。中国本土のもの、香港もの、そして台湾だ。言葉も異なれば、歴史的背景の違いもあ…
フィリピンパブ嬢の社会学 2024.2.24 K’s cinema
フィリピンパブは知ってる。行ったことないので、どんなところか知らないけど、どんな感じかは想像できる。客として女性と話をするのは苦手で、行かないのはそのせいだ…
アメリカ映画でよくある警察もの、デ・ニーロ、ユマ・サーマン、ビル・マーレイ、これだけスターが勢揃いして、ちょっと冴えないのはなぜなのか。 ドラッグの売人の…
これ恋愛映画というのだろうか。恋愛には違いない。結婚するかはわからないけど、相当いい仲になった。デートは質素なもので映画に誘ったり、ディナーに行ったり。特別…
世の中で誰が一番気になる存在か、というと、恋している時は別にして、家族になるのが普通だろう。友だちが一番っていう時もあるが、生まれてから死ぬまでのつき合いに…
ティメー・クンデンを探して 2024.2.17 ヒューマントラスト有楽町2
一台の車がチベット高原を走っていく。車に乗っているのは映画監督、カメラマン、ドライバー、そして社長と呼ばれる男。一行はチベット歌劇『ティメー・クンデン王子の…
ストーリーはいつものフランス映画で、家族や恋愛のあれこれ。そこに音楽が絡まる、そのおもしろさ、最高! この映画に出てくる歌をみんな知っていたら、もっと楽し…
白日青春 生きてこそ 2024.1.27 新宿シネマカリテ1
パキスタン難民の少年ハッサンは香港生まれ、言葉も香港のもので、家族とともにカナダへ移住することを夢見ていた。ところがある日、父が交通事故で亡くなり夢は奪われ…
第一話『李さん一家』 第二話『紅い花』 第三話 『ゲンセンカン主人』 第四話『池袋百点会』 つげ義春の四話のオムニバス四本の内、三本まで見て、これは見…
話の頭とお尻が繋がっているのは、後からわかってくる。それはここでは書かない。 料理人のクッキーと中国人移民のキング・ルーは、アメリカン・ドリームを求めてオ…
エンシノというのはたぶん地名で、主人公の通っている高校がエンシノ高校というのだった。California Man というのが原題で、それを原始のマンと邦題を…
ビヨンド・ユートピア 脱北 2024.1.18 TOHOシネマズシャンテ2
脱北者を支援するキム・ソンウン牧師の今回のミッションは、すでに中国に入って山間で迷う家族を手助けすることだ。緊急なことは慣れているが、これは今までになかった…
いつの時代も人間、一番気になることは自分自身のこと、それも健康問題。世界情勢がどうのこうの、ということも大切なことではあるが、一応そういうことが落ちついてい…
サン・セバスチャンへようこそ 2024.1.20 TOHOシネマズ日比谷8
アメリカ人がヨーロッパに憧れる気持ちは、そのまま映画にも当てはまる。ウッディ・アレンは1935年生まれ、大戦後の文化を享受した世代になる。コメディアンから俳…
これは見る前に想像していた通りの物語だった。あくまでもポール・ニューマンをかっこよく見せるための道具立てを整えて、はいどうぞ、という具合。 銀行強盗の罪で…
市子は気持ちを高揚させるため、好きで口ずさんでる心地の良い歌で落ち着こうとした。彼女の声が耳に残って、映画が終わって映画館を出て人混みにまぎれても音が残り続…
ニューヨーク市長ジョン・パパス(アル・パチーノ)は将来的に大統領をめざしている。市長としての失敗は許されない。しかし警官とマフィアの癒着が表に出ることもあり…
ほかげは火影か灯影と書く。めったに使わない言葉、ろうそくの火の影、光は暗く影も薄い。10ワットの電球かもしれない。冒頭からそんな場面が続く。 暗い中で何を…
ビリー・キャスパーがハヤブサを古屋で見付け、それを飼い始め、餌付けさせ、自分の手に乗せるまでに仕上げた。それはどういう理由からだろう。空を飛ぶハヤブサがまる…
ロシアに出稼ぎに行っていたザールクが23年ぶりに帰ってくる。いったいロシアで何してたのか、どうして今か、誰が知らせたのか、疑問だ。それをさておいて彼はもどっ…
実際にピアノを習うまで、ピアノがこんなにも難しいとは思ってもみなかった。三ヶ月もやればめどが付く位に考えていたのだから、実に甘かった。まあ、この年になって始…
PERFECT DAYS 2023.12.23 シネマイクスピアリ1
公衆トイレの清掃の仕事をじっくりと見た。世田谷区のトイレは新しくて先端を行くデザインで目を引く。どうせ清掃をやるならあんな綺麗なトイレがいいな。よくある公園…
デイヴィッド・アッシュは、亡くなった妹ジュリエットの幻覚に悩まされていた。30代になった彼の元に届いた手紙から亡霊に惑わされている家族の存在を知った。クリス…
満月の夜は眠れないで悶々とするらしい。それは知らなかった。満月に向かって吠える、は聞いたことがある。イタリア映画にあった、月光の冷たい光に反応する「カオス・…
砂漠の流れ者 ケーブル・ホーグのバラード 1992.12.25 文芸坐2
これは好きだ。こういう映画は好みだ。我が家に帰ったような懐かしさを感じさせてくれる。それはこの映画が1970年に作られたものであることも大きく関わっていると…
Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン 2023.5.22 ポレポレ東中野
これは2005年に作られたドキュメンタリーで、今回のは2022年に再編集したものだ。父親が倒れて後のことが加えられている。私が帰国事業を知ったのは「キューポ…
映画を見ていると、宗教がらみのものが多い。主にキリスト教だが、この映画ではユダヤ教だ。ユダヤ人は相当多いはずだが、長い黒い服を着て、ユダヤ教の生活を送ってい…
夫の安西茂は戦後の混乱の中、求職を熱心にする気はないし、妻に文句ばかり言いながら気持ちは愛人にあった。妻がとびきりの美人なのに、なんの不満があるのだろう。こ…
戦艦武蔵は勇壮、かっこいい、なんて思ってたのかプラモデル作ったことある。でもプラモにはまることはなかった。 戦友会ってあるでしょ、あれって、すごく変だ。ま…
燃えあがる女性記者たち 2023.9.30 ユーロスペース1
インドのカースト制度で最下層に置かれる不可触民(ダリト)の女性だけで運営される新聞社「カバル・ラハリヤ」がある。紙の新聞として発行されるものとSNSやYou…
雲の上団五郎一座が、どさ回りゆえ公演場所を転々とする様はもの悲しい。次の舞台が決まってないのは心細いだろう。公演できないのは仕事がないっていうことだ。金も入…
モノクロでしかもくっきりと鮮やかな画像でないからこそ描けたかもしれない。この映画を今作るとしたらどうなるだろう。原爆の高熱に焼ける焦げる爛れる溶けるかして、…
映画は嘘である。この前提に立って私は映画を見ている。嘘といっても、質の良い嘘なのであって、だからうまくつかれるほど、心地よくなる。作り話なのだから気持ちよく…
青いカフタンの仕立て屋 2023.7.8 ヒューマントラストシネマ有楽町1
この監督の前作のパン屋から服屋に変わった。服を仕立てることは以前はよくあった。テーラーが近くにあったし、靴も足の寸法をとって作っていた。そんなオーダーメード…
新婚旅行でアメリカに来たメキシコ政府特別犯罪調査官マイク・ヴァルガス(チャールトン・ヘストン)がアメリカに入った途端に車の爆破を目撃する。彼は捜査官なのでそ…
サタデー・フィクション 2023.11.4 ヒューマントラストシネマ有楽町2
1941年12月1日、上海にある女優がやってくる。彼女の目的は舞台に出演することだ。だが彼女には別な隠された使命があった。 この映画の1940年代の上海に…
731とは言うまでもなく、中国東北地方にあった日本の秘密部隊だ。その内容は本やテレビなどでかなりの部分、知られるようになったが、実際のところ、はるか昔の歴史…
ロビンソン・クルーソー ダニエル・デフォー 唐戸信嘉 訳 光文社古典新訳文庫
ロビンソン漂流記は知っていた。子ども向けの本で読んだかもしれない。ダニエル・デフォーの原作を読んだ。文庫で558ページもある。ロビンソンが無人島にたどり着く…
大空を飛ぶことの気持ちよさは、今の飛行機では安定しすぎていて、あまり感じられなくなっている。それに自分で操縦するわけでもないし、はるか下方に広がる地上は何か…
北極百貨店のコンシェルジュさん 2023.10.21 TOHO シネマズ日本橋9
北極百貨店に動物の客が詰めかける。迎えるは新人コンシェルジュ秋乃。デパートにコンシェルジュって聞いたことないけど、いるんだね。店頭の案内係のような人のことだ…
芝居をするということは何かを舞台で表現することだ。なにを、と問われれば、見て貰うしかない。上演してこその舞台なのだから。それは映画でも同様なことだが、芝居は…
この映画を吹き替えにするなら熊倉一雄だろう。残念ながら無理なので別な人、誰か適切な声はあるだろうか。幸いなことにイギリスではいたようだ。アステリア・マッゴー…
英語がどれだけ有用な道具であるかは先刻承知している。だからずいぶん勉強もしてきたし、少しは話せるようになったのではないかとは思っている。だが、実際に使う機会…
足袋店だった建物の佇まいが素晴らしく良く出来てた。映画のセットは丹精こめて予算もかけて作れば本物かそれ以上のものになる。これほど見事なセットは珍しい。 東…
始まりはアビゲイルの一途な気持ちからかもしれないが、まわりの人たちを巻き込んだ大事件してしまったのには土壌があったはず。時はアメリカ開拓のごく早い頃、169…
映画を撮るのは誰でもできる。カメラで撮影して編集し音楽をつける。彼のように現地に赴かなくても誰かにカメラを回してもらい、直接ではないにしろ演出もできる。かな…
アメリカ映画やイギリス映画にはよくドラッグを注射し、あるいは吸引する場面が出てくる。また、よくないからやめようとする人も出てくる。この映画は後者。それも、徹…
死にそうな犬、無邪気な子ども、足にギプスの父親、ロックな母、長男は運転手。向かうはどこか。急ぐ様子はない。車に乗って旅行ならいいのだが。 イランは砂漠ばか…
スティーブン・キングの作る物語に異議を唱えても意味がない。彼の不思議な世界は異様ではあるが、確固としたものがある。はまりこんだら抜け出せない魅力的な世界であ…
ネズミは天国がお似合い 2023.6.10 国立映画アーカイブ
動物は人間を頂点とするヒエラルキーに従って食物連鎖がある。生物は植物か動物を食べて生きていて、食料を確保しなければ生きていけない。これは自然の摂理だ。 そ…
映画は映像で出来ていることを改めて実感させられた。映像的快感の極致がここにはある。海の上を滑るようにカメラが移動し、その大きさを一目で感じられる気持ちの良さ…
女性が男性優位社会の中で大変な目に遭っていること、でも男性がそのことをあえて意識していない現実に、映画は実例を挙げて描いている。これはあちこちでしつこく言っ…
グランドコントロール 乱気流 1998.7.30 銀座シネパトス3
飛行場にある管制塔、遠くから見るだけで、実際のところどんな感じ? この映画では飛行機の計器故障のトラブルに対処する管制官を通して見せてくれる。 これは見て…
ニナとマドレーヌは女性の恋人同士だ。住居は隣り合ったアパートだ。向かい合った入口のドアは、ドアののぞき穴からお互いのドアが見える。これは相手の生活の一部を覗…
アメリカ人はヒーローを常に追い求めている。あの湾岸戦争にもヒーローを見出し、泥沼のベトナム戦争にだって、英雄は存在した。アメリカが抱えるさまざまな困難を一人…
星くずの片隅で 2023.7.29 TOHOシネマズ シャンテ3
コロナ禍の時は大変だった。どのように大変だったかは人によって違う。私の場合は、と書くほどのことはない。家にいておとなしくしていただけだ、と言うのは嘘。映画館…
グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち 1998.3.14 新宿ビレッジ2
こんな小難しい映画が受けるというのは不思議なことだ。セラピストが出てくるのは、アメリカ映画が多い。きっと神経質な国民なんだろう。すぐに裁判に訴えるのもアメリ…
ソウルに帰る 2023.8.12 Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下9F
フランス人と韓国人の違いを如実に見た思いがする。その違いは一概には言えないが、これだけわかりやすく見せてくれると完全に納得してしまう。でもブラジル人が誰でも…
牛の群を率いながら高山の、しかも猛吹雪の中を行く。映画だから演出はあるにしても、実際に雪があって、吹雪があって、崖があって、そこから落ちたら助からないような…
女性がコンピューターに書き込みをしている。故障の問い合わせをしているようだ。電話で話せば解決も簡単にできそうなものだが、電話をする前にコンピューターでチャッ…
冒頭からのうら寂しい風景と奇妙な人物、彼に対する村民の対応、全てにおいて奇妙な味わいの映画だ。中世ヨーロッパの、スエーデンあたりの伝説のような感じがする。だ…
正確には違うが姉と弟、ロキタとトリはキクとイサムを思い浮かべた。時代も国も背景も異なる話だが、最近見た映画だったので思い出したのだ。 ピザを取れるかどうか…
キリコが主人公かな、と思ったら違ってた。不思議な超能力の持ち主 村石(杉本哲太)が人騒がせな行動をする。それがなぜか彼にかかわった人たち、タクシー運転手の西…
アイスマイヤー曹長の選択 2023.6.17 国際映画アーカイブ小ホール
軍隊には鬼教官がいて、新兵に辛く当たり怖がられている、なんて話はよくある。アイスマイヤー曹長が新兵に容赦ない指導をするところから始まる。ああやってるな、この…
ステファン・ブガイスキ(ロテール・ブリュトー)の夢に現われた旋律はいつ、どのようにして聞いたものだろうか。ヘンリー・ケスディ(マックス・フォン・シドー)とい…
MISS OSAKA/ミス オオサカ 2023.6.8 国立映画アーカイブ小ホール
飛行機での移動が容易になった現在、世界は一つになったかのようだが、そこらじゅうに高い壁はそびえている。しかし行こうと思えば、ほぼどこへでも行けるし、どこかに…
キャラクター/孤独な人の肖像 1998.9.25 シネマスクエアとうきゅう
孤独な人は、父親。彼がどういう人物なのかはかすかにしか分かってこない。というのは、この映画の主人公ではないからだ。彼は息子の向こう側にいて、見つめているのか…
「1秒後の彼女」の改作。変更点は多数あって比較せずにはいられない。 京都の郵便局員 皇一(岡田将生)は少し行動が早い。時間にきちんとしていて、せっかち、…
なんだなんだ、この題名は。これからはこんなのが流行なのか。原題は単に「嘘つき」で、内容から推しても分かりにくい。 映画監督ザックと女優エレーヌのカップルに…
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高校3年の夏、転校してきた保彦が美雪にある頼みごとをする。それは二人だけの秘密。ところが彼は。 書く材料があっても小説にするのは簡単ではない。そんな要請を…
アン・リーの作品で、彼の作風から推測したものとは違う印象を持った。台湾の人がアメリカにゆき、そこに住み着き、だが完全にとけ込んではいないが、台湾には帰るつも…
ブルゴーニュはパリの近くかと思っていたがパリからかなり遠い。日帰りで行けないことはないくらい。 フランスは農業の国だ。パリだって緑が多いと聞く。ここブルゴ…
23年も会っていない父親に会うために、二人の兄弟はNYからロングアイランドへ親捜しの旅にでる。荒廃が街を包んでいる。景気の良い話なんかどこにもありはしない。…
小西徹は大学生、キャンパスを歩いて教室に向かうが、晴れていても雨が降っても日傘をさしている。教室に入っても教師の話を聞いているのかいないのか、熱心には見えな…
人生はこれだ、と手の上に乗せて見せられるものではないし、生き方の決まりも手本もない。気ままに生きればいい。どう生きようともそれぞれの生き方に文句をつける必要…
元中学教師の滝井元之さんの発行する新聞から始まる。新聞というより大きめのチラシふうで手書きである。太さの違う筆ペンを駆使して上部から順に書いていく。色も変え…
映画館は若い人でいっぱいだった。彼らからすれば日常のスケッチが自分のものに重なる部分もあり、同調、同感するだろうが、20歳をダブルで過ごしてしまった私にはな…
制作期間22年という。そんなに長期間やってたんだ、と感心してた。そしたらそうではなかった。何のことはない、昔の映像を使って新たな話に当てはめていた。自分の撮…
これは前に見た「青島アパートの夏」に似ている。ある一つのアパートに暮らす住民の話だ。ただし題名からわかるように、こちらは北京。ただ私には青島と北京の違いは分…
下請け工場で働きながら、夜はバーでホステスとして働く19歳の野上芳江は、常連客の自称会社員の北見英次に夜の街に誘われ、興味本位でついていく。そのままホテルで…
イラン映画はキアロスタミ監督の作品しか見たことがなかったので、今回のように別の監督の作品を見られるのは楽しみです。映画は、日本風に言えば大晦日の午後に始まり…
ウェン・シャンは脚本家としての夢がかなわず、葬儀場で弔辞の代筆業をしている。彼の弔辞は好評だったが、中途半端な状態に彼は悩んでいた。同居人のシャオインとの共…
人間、何の心残りもなく死を迎えることはない。長年のわずらいの後に亡くなるのなら、後始末をする時間を持てるかもしれない。だが、それも病気を抱えていては十分には…
港に置かれた出航予定の100トンほどの船が、突然の嵐により舫い綱が切れ、数千キロも流され未知の海岸に乗り上げる。船に乗っていたのは8歳から12歳の少年だった…
最近とみに作品に恵まれ、活躍している私のお気に入りであるティム・ロビンスとモーガン・フリーマンが出ている。どうやら「告発」に続く監獄もののようだ。これは見逃…
題名どおりの話、ステラのような人はいくらでもいただろう。自分が一番、助かるなら同胞だろうが売る。アンネ・フランクが隠れ家に暮らすことが出来たのは協力者の助け…
名前が題名だから、てっきり主人公の名前がジョージアだと思った。そしたらジョージアは姉の名前でした。姉は有名なカントリー歌手で、妹は姉の影に隠れているすね者。…
伴内国子の五歳になる一人息子 武は、山野モーターズ重役 柿沼久七郎の妻 絹子が運転する自動車にひき殺された。絹子の車には若い愛人が同乗していた。山野モーター…
女優に限らず、俳優というものの発祥は歴史をかなりさかのぼれるらしい。この辺のことは詳しくないが、日本でも歌舞伎にしても猿楽なるものからのものであるし、相当昔…
父タイライ、息子リャオジエの暮らすアパートのオーナーはこの辺りの地主シャで腹黒いキツネ(オールド・フォックス)と呼ばれていた。彼は成金だ。成金であっても裸一…
第一話「箱の中」 箱とはエレベーターのことで、突然止まってしまったエレベーターに乗り合わせた男女がおかしな風になっていく。おかしなのは主に女なのだが、ひどく…
主役の三橋達也、大木実、青木富夫のうち突貫小僧こと青木富夫の顔ばかり見ていた。小津安二郎の初期のによく出ていた。 昭和初期の東京の郊外のいたずらぼう…
どこにも自分勝手な男はいるもので、インカに子供を生ませた男は、いわゆるプレイボーイみたいで、現に友人のアリョーシャがはるばる彼を探し当て、会いに行った先でも…
ふらりと家を出てそのまま戻って来ない。一つの家出のすがた、でもこれは違う。家を出たときは目的があった。手紙をポストに入れること、これだけのことだ。病気の友人…
山梨の高校生の夏休みの話。これが現代の高校生の本当の姿なのか。田舎ならこうかな、とも思えるし、時代を超越したような印象があった。高校最後の夏休み、進学す…
考えてみると学校は他の何より他人が行き来し長い時間を共にする場所だ。しかもある程度学生らを統制しなければならない。統制が強制に繋がるのは自然な流れで、昔は学…
題名が良くない。SPITFIRE GRILL が原題で、お店の名前というごくさりげないもの。題名はすべからくこうでなくてはいけない。あまりにも内容を言い表し…
この映画を見てて思い出した映画がある。 1954年「エノケンの天国と地獄」 ストーリーはこの世にいた時、悪事を働き地獄に落ちた男が10年の地獄の刑期を終え、…
五人の少女がそろって首を吊って死のう、という一種異様な話。でもこの映画を見れば、いたいけな少女たちが死ななくてはならない運命の下に生まれついていることが分か…
グアンタナモ収容所はアメリカにとって都合の良い場所にあり、使い勝手のある施設のようだ。アメリカ国内ではないので、キューバなのでなど言い訳が効く。どういう手段…
ボリス・バルネットの三本目、エイゼンシュタインの影響を受けていると思った。それはイメージの飛躍というか、思わぬ映像が時たま現われるところだ。 ロシアの二月…
6300キロの川の流れをさかのぼると源流に着く。その先のさきっちょの水源を見たい。その想いが彼をして長江に再挑戦させた。NHKの「長江 天と地の大紀行」は…
北京の鼓書芸人、方宝慶は兄の宝森、妻と2人の娘と暮らしている。鼓書芸人はひとりが弦楽器、もうひとりが太鼓を打ち物語を歌う芸人のことである。 日本でいえば、…
これはどうしても比較してしまう。比較せざるを得ない。山田太一の小説は好きで読んでいた。脚本家の書く小説らしく簡潔で分かりやすく、そのままシナリオになりそうだ…
北京の京劇クラブに所属する京劇役者の京京(チンチン)は、両親が別居し母方の祖父のもとに預けられることになった。祖父もかつては京劇の名優であった。初めのうちは…
1952年頃の日本はこんな状況だった。戦前を引きずっているし、戦後の勢いもある。特に女性の社会進出は凄まじかった? 新しい憲法のもと、変化が急速に行き渡っ…
イタリア映画で、向こうでは評判の原作で、という宣伝に乗せられたのが悪かった。内容は甘い甘い話。アメリカに留学しているマルタに祖母オルガが亡くなった知らせが届…
主人公二人の関係がわかりにくい。また彼らはレストランを開いているわけではないようだ。だったらなんで生計を立てているのだろう。貴族か何かで働く必要がないのだろ…
上流社会の生活がどんなものか知らないし、近づきになれるわけでもないから、どうでもいいようなものだけど、上流とは、金持ちと理解している。鼠小僧治郎吉が金持ちか…