主人公二人の関係がわかりにくい。また彼らはレストランを開いているわけではないようだ。だったらなんで生計を立てているのだろう。貴族か何かで働く必要がないのだろ…
ちょうど国立映画アーカイブで「日本の女性映画人1」が開催されている。まるでそれに合わせたかのような内容だ。韓国から応援されているようだ。こんな映画を日本でも…
南フランスの街に住む一人の少年アントワーヌは床屋へ行くのが好きだった。と、これだけで、見た人はすぐに分かってしまうだろう、「髪結いの亭主」のことだ。少し古く…
生きる LIVING 2023.4.8 シネマイクスピアリ8
役所仕事は政治と関わっている。区や市の長しだいで変わることがある。役所は市民の暮らしやすい手伝いをするのが本来の仕事だ。でもそのための法律や法整備は政治家が…
アメリカの南部は未開の地のように見える。何十年か前の南部の話となると、「フライド・グリーン・トマト」を思い出してしまう。が、この映画はまったく違う感じがする…
人間のしがらみ Of Human Bondage サマセット・モーム 河合祥一郎訳
以前、「人間の絆」として知られた小説が光文社古典新訳文庫では「人間のしがらみ」となったいきさつは、河合祥一郎の訳者あとがきに記されている。絆と言う語の束縛、…
かっと陽の照りつける暑さのない、すずしげな夏。スウェーデンには行ったことがないので、実際どんなところか分からないが、映画で見る限りでは、ベルイマンが描かなく…
高校の映画部ではなく、文化祭のクラスの出し物として映画を撮る。これはすごい。あれだけの熱意があったなら、まず映画部作るでしょ、と思った。でもクラスで決めてク…
韓国映画はそう多くは見ていない。それは日本公開された作品が極端に少ないからだ。十年程前までは、他のアジアの映画もほとんど入ってこない状況だった。だが、それも…
エンパイア・オブ・ライト 2023.3.4 シネマイクスピアリ9
映画館についての映画は、つい最近インド映画であったが、映写機の知識を追加してくれる。一秒間に24コマ写された画像が動かない絵であり、人間の目が早さに追いつか…
AU PERE DE TRANQUILLE(静かなる父)という変わった名のカフェ、田舎町の寂れた店だ。客の入りの少ない店が、つぶれないでやっているのを見る。…
津田市の小学校教師 志野田ふみ子は教育長から退職勧告を受けた。理由は共働きだからだ。夫の健一郎は県教組の執行委員で、2人とも働いているので、1人辞めても余裕…
20世紀初頭にソ連が誕生した時、どれほど世界の人々に勇気を与えたか想像に難くない。1905年当時、ロシアだけではなく、革命の根はどこにもあった。たまたまソ連…
三村節子(田中絹代)は、夫の亮助(山村聰)と妹の宗方満里子(高峰秀子)と東京で暮らしている。節子は銀座のバーを経営しているが収入が不安定である。夫は失業して…
日本にこんな場所があるのか、白い岩肌と、反対に息をつけるオアシスの水との対比。砦に隠れている姫たちを別な国を経由して自国に帰ろうとしている。この景色は日本と…
コンパートメントNo.6 2023.2.25 シネマカリテ2
人間の行動に制限があるのは、当人の判断以上の物理的理由がある。冬のロシア、一緒に行く友人の都合から、一人であるところへ行くことになる。ロシアのムルマンスクに…
あの三人の内の誰が正常と言えるのか。母親の病気が癒えたばかりで、避暑地に遊んでいる。治ったとは言え、はっきりとしていないので、又ぶり返さないとも限らない不安…
この映画は見た覚えがある。でも内容は覚えていなかった。60年も前のことは忘れている。それでもこの映画が評判になっていて、私でも見ていたくらいだ。当時、映画の…
犯罪には時効というものがある。私はかねてから、その効果に疑問を持っていたが、他人の目を常に気にしつつ暮らしていかなければならない状況が、このように映画で示さ…
カウボーイがまだ残っていた時代の最後の時期。そもそもカウボーイの仕事はなんだったのだろう。思い浮かぶのは、「ローハイド」のような牛の群れを運ぶことや、馬を乗…
1928年、18才のセレストは、映画館の伴奏ピアニストとして人気を得るが、トーキーの出現により失業、その後ピエールと結婚し、息子ブローデルをもうける。夫の戦…
イニシェリン島の精霊 2023.2.4 シネマイクスピアリ16
映画を解説するサイトがある。親切にもわかりやすく説明してくれて、私のような人間には良い手助けになる。しかしそんなのに頼ると自分がなくなる。私の乏しい知識で理…
題名といい、始まってから数分間の一種異様な雰囲気といい、これは間違った場所に踏み入ってしまったかな、と思った。なにしろ、外国ならともかく、あるいは時代劇なら…
エンドロールのつづき 2023.1.28 シネマイクスピアリ16
映画って不思議な魅力がある。誰もが見たことがあり、世界中に映画館があり、エンターテインメントとして最多の観客がある。他の娯楽に比べ、身近で行きやすいことも理…
主人公は女性画家(若山セツ子)なんだけど、脇役ともいうべきいじわるばあさん(杉村春子)が俄然すごくて、主役を食うことおびただしい。それは役の上でもそうだし、…
彼がこれを執筆したのは1948年頃で、第一次世界大戦と第二次世界大戦があり、ソ連で社会主義政権が勢いを増し、東西の緊張が高まりつつあった。イギリスの帝国主義…
木下恵介というとまず「二十四の瞳」が頭に浮かぶから、こういう映画を作っていたとは実に思いがけないことだ。やくざな男(町田)から離れられない女(敏子)との束の…
渋谷に暮らす野呂が銀座で交通事故に遭う。事故といっても車に少し触れられただけ、転んですぐに起き上がれた。周りの人たちに助けられて病院へ。目撃者が多くて、当人…
簡単に言ってしまえば、よくある漂流ものということだが、ただこれは実際にあったことだから、内容がしっかりしている。一口に「徒労」と言ってしまうのは、余りにも可…
オルランドが男の名前なのか、女のものなのか知らないが、どちらともとれるのではないか。それはこの映画では女性が演じているが、どちらともとれるようになっている。…
映画スターは華やかであるほど孤独であるらしい。スターといっても現在と以前とは異なる。かつてスターは文字通り、はるか空に輝く星であり、そばにいたり手にしたりで…
この家族は正に私の理想だ、というのは前から考えていたことと映画の中身が一致するからだ。私の理想というのは、男と女というもの、残念ながら平等にはほど遠い状態に…
クララとお日さま Klara and the Sun カズオ・イシグロ
これはSFなのかファンタジーなのか童話なのか。人間の生活の中にロボットが入ってくる時代はまもなく来るだろう。小説でも映画の中にもロボットはかなり前から活躍し…
今はBLっていうんだ。Boyをつける必要はあるかな、boyもgirlも関係ない、あえてBOYやっぱり特別なこととされてる。 題名の意味がわからない。見終わ…
おトラさんのお化け騒動 1998.11.5 フィルムセンター
こういうなつかしの映画に引きつけられるのって、私も昔を懐かしむ域に達してしまったのか。おトラさんを見ていた私としては、どんなだったかを知る手がかりになるのは…
久田孝明は小学五年の夏に同じクラスの竹本と冒険をした思い出がある。久田は売れない小説家だが、持てる題材で思い切り書いてみた、サバカンと言う。 竹本はいつも…
1952年、ニュージーランドのクライストチャーチ。女子高に通うポウリーン(メラニー・リンスキー)は、イギリスからの転校生ジュリエット(ケイト・ウィンスレット…
「男はつらいよ」を今回はしっかり書いてみよう。この作品で泉の三部作の完結ということだが、内容も今の時点では袋小路に入ってしまった。つまり、学生である満男と、…
男はつらいよ 寅次郎忘れな草 1997.10.17 フィルムセンター
1973年当時、銀座松竹で見ていて二度目。登場人物から時代は感じるものの、作品の中身からは古くささはまったく感じられない。むしろ、エバーグリーンのみずみずし…
ミセス・ハリス、パリへ行く 2022.12.10 シネマイクスピアリ8
ディオールのようなハイブランドはパリに多い。ブランドがそうなるまでのいきさつは様々だろう。これでディオールの現在に至る形がわかった。得意客に向けての注文服と…
離婚が日常茶飯事であるアメリカでは、夫婦がけんかして、別れる別れないと騒ぐのは当たり前すぎて、こうして映画にするのもはばかれるくらいなのではないか。現に、ウ…
一本の映画で織田信長を描けるのだろうか、という危惧を持った。その生涯をNHKドラマのように描いたら一年がかりになるが、映画ではそうもいかないので、ある一時期…
この映画は原節子の美しさに全国民が魅入られていなければ成り立たないものだ。彼女が美人であることは明白なことだが、それでも誰にも好まれたかというと、確かなこと…
1952年の映画。この映画の風景は見知ったものだ。木造の家、舗装されていない道、古い自動車、きたない子ども。それでもこれはセットだろうから、きれいな町になっ…
1924年3月30日は日曜日だった。Mothering Sundayのこの日はイギリス中のメイドが年に一度の里帰りを許される日だった。しかし、ニヴン家で働く…
私が一番見たい映画群は戦後のアメリカ映画だ。1968年以降の映画は知っているから、それ以前のアメリカ映画の全盛期を見たい。 勝負事は何にでも賭けられる。当…
まだ原作は読んでいないのだが、この映画から推察するに、波瀾万丈な、いかにも19世紀的な話のようだ。ある人が、ある人の助けを借りて、あることを成し遂げる。その…
BSで「Shall we Dance? 」をやってたので少し見た。たしかにジェニファー・ロペスは美しく、あこがれの目で見られる女性だ。思いだすと以前の…
その人が何をして、どんな生活で、仕事は何か、友人との付き合いはあるのか、家族と仲が良いのか、等々を見せれば1つの作品となる。この映画は全てにわたって説…
アメリカ映画で感心することは、時代色の付け方の見事さだ。フィルムの色合いから、建物、車、人間、言葉などがきちんとその頃になっている。この映画でいえば、195…
舞台挨拶に主役の男性が出てきた時、歓声が起こった。テレビに出ているような若手だろうと思った。熊川哲也という人で、私はまったく知らなかった。バレーのダンサーと…
エビータについてはあまり知らない。テレビでいくらかの情報を得ただけだ。アメリカでミュージカル化されていたことは知っていた。映画化するにあたってかなりもめたこ…
登場人物が多くて、人間関係が複雑に絡まっていて、どこかわからないところで変なことしてる。そんな映画は多い。見終わって面白ければ良いが、時間の無駄だったりす…
不都合な理想の夫婦 2022.11.5 シネマイクスピアリ16
1986年、ニューヨークで貿易商を営む英国人のローリーは、米国人の妻アリソンと、息子と娘の四人で幸せに暮らしていた。アリソンは乗馬スクールのコーチ、サムは新…
アメリカ映画の軽いコメディかなと思わせて、実は深刻な話だった。しかもその深刻さが私の許容範囲を超えていて、理解できない。レスビアンの関係性や宗教、自由恋愛を…
1970年代にチャップリンの映画が連続上映されたことがあって、かなり見た覚えがある。でもなぜかこれは見ていなかった。名のみ有名な映画だったが、その後の鑑賞の…
エドワールとキャロリーヌ 1992.5.14 シネヴィヴァン六本木
いかにもフランスらしいしゃれた味わいの映画だ。エドワ-ルは新進のピアニストだ。妻のキャロリ-ヌが今夜着ていくドレスを体に当てている。エドワ-ルはピアノをさら…
3つのエピソードがある。 第1話 モデルの芽衣子がヘアメイクのつぐみの話を聞いている。女と男の不定形三角関係、終わった恋愛と現在の恋愛では三角関係は成り立た…
この映画からエド・ウッドの存在を知った。なにやら不思議な映画を作った人だそうで、監督した作品がたしかユーロスペースで公開されていた。 この映画を見たからっ…
とりたてて大きくはないが特徴的な屋根が目立つ老舗の旅館、女将が客を待っている。特別な客なのだろう、女将がどんな挨拶をしようかと練習する。そこにタクシーに乗っ…
再見だが、ほとんど忘れていた。こんなに悲惨な話だと覚えていたら見なかったのに。それほど落ち込ませる話だった。だが、悲惨な話といえば、韓国映画でさんざん慣らさ…
17歳のサーリャはクルド人の父マズルム、妹のアーリン、弟のロビンの4人で暮らし、埼玉の高校に通っている。父は子どもたちに、クルド人としての誇りを失わないよう…
「紅の豚」の実写版のようだ。ギリシャの海を実際に見たことはないが、あくまでも明るく、輝く太陽、青い空、紺碧の海。こんな観光ポスターのような景色が本当に広がっ…
自国のことをことさら悪く描くつもりはなかったに違いない、となると実際にあんな街角があるのだろう。表面上、美しい街ばかりという印象のある国、オーストラリアだか…
デリシュ! 2022.10.15 TOHOシネマズ シャンテ3
王を頂点とする君主制は完全に時代遅れである。フランスがきっぱりと葬り去った先見性は見習いたい。つまり日本の王である天皇がいるのは疑問だ。憲法が認めているので…
香港映画の盛んな時期は1950年代から中国返還までの間らしい。中国映画は見ても香港のは避けていた。好きなジャンルでなかったからだ。だから、今回の7人の監督に…
ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ 1998.5.27 ニュー東宝シネマ
事実は小説より奇なり、と言うけれど、この頃は事実の方が進んでいて、こうやって映画化しても現実で見ているので、このくらいじゃ物足りなく思えてしまう。面白い映画…
川っぺりムコリッタ 2022.10.1 シネマイクスピアリ7
引き取り手のない遺骨があって、役所では遺族と思われる人に連絡をして引き取ってもらうようにしている。これは「おみおくりの作法」に似ている。あれは役所で働く人物…
アフリカの国はゴタゴタが絶えない。もともと植民地にされていた地域が多かったことも原因の1つになっている。また鉱山や希少価値のある金属の出る場所もあって、それ…
始めの場面に出てくる二人は喧嘩をしているのではなくて、じゃれていたようだ。ゴンボは妻のパグマに馬を追う道具であるウルガを立てて、迫っていた。 果てしない彼…
千葉県にこんなにのどかな所があるのを知らなかった。水郷まで行けば見られるような景色が千葉にもあった。まず、そこに新鮮な驚きを感じた。知らないこと、知らない場…
キャメラを止めるな! 2022.7.23 TOHOシネマズ シャンテ3
「カメラを止めるな」を既に見た人に向けて作られている。前作との比較で楽しむか、こっちがどんなふうになっているかの興味で見に来ると思う。私はそうだった。改めて上…
彼の最近作「ウディ・アレンの重罪と軽罪」は特に好きな作品だったが、今回のように監督自身が全面に出るとどうも彼の体臭が臭うようで、それが鼻に付く。でも、それは…
ここ2年半余りのコロナを完全無視するドラマあり、少し出すのもあり、こうしてコロナの影響をまともに取り上げる映画もある。これは今時期にでないと撮れない映画だ。…
前に見たときに、のんをのんと意識していなかった節がある。「さかなのこ」が強烈にのんを意識させた。そもそも私をくいとめての時、のんを知っていただろうかさえ疑わ…
3時間57分という長さに怖じけずいて、見るのがためらわれた。 さて、どうだったか。簡単に言えば、映画の長さは絵描きの苛立ちを表すため必要な時間であった。あ…
ずっとみたかった映画だ。古くは並木座や文芸坐でかかっていた。しかしなぜか見逃していた。今回ここで上映させるされることを知り、しかも3回もやる。見逃す手はない…
アナザー・カントリー 2022.9.10 シネ・リーブル池袋
イギリスのパブリックスクールがどんな学校でどんな生徒が入ってどんな将来が来るのかなどの知識がない。一言で言えば上流社会の学校でしょう。イギリス人でなし、上流…
明日を創る人々 2022.8.20 国立映画アーカイブ小ホール
立て万国の労働者♫ から始まる労働歌は、武骨な叫びに希望が詰まっていて聴いててうれしくなる。ストしてデモして要求獲得!いいねえ、こういう映画好き。戦後の民主…
ダニエルは恋人のリアとの結婚を控えていた。ある日、両親の離婚で20年前に母に引き取られた3人の姉が訪ねてきた。顔さえ覚えていない姉たちにとまどうダニエル。病…
ベイビー・ブローカー 2022.6.25 シネマイクスピアリ16
赤ちゃんポストは救いになるだろうか。捨て子の良いイメージ付けに過ぎないかもしれない。育てる気がなくて、育てる自信がなくて、育てる環境がなくて、など理由はいろ…
かつての日本映画「浮雲」は空に浮かんだ雲のように流されて、屋久島にまで行き着いてしまう男と女を描いた。このフィンランド産「浮き雲」は現代における社会の悲惨を…
男か女かは、どっちでもいい、が大きくでる。原作のさかなクンが男か女かは、どっちでもいいからだ。のんが女性で男性を演じる、わざわざ言うまでもない。性を分ける必…
アンナ・カリーナの出ていた映画の香りがする。モノクロで撮ったのはそれを狙ったと思う。スペインの街並みはパリっぽくはないけれど、似てなくもない。少なくとも東京…
初めてこの映画の写真を見た時、へんてこなキャラクターだな、と思った。これは多分見ないだろう、と目星をつけた。だけど、テレビでの紹介や評判を聞くにつれ、次第に…
時は1917年。第一次世界大戦の最中。村には若者がいない。戦争中は意気が昂揚している。だからかどうか、こんな「事件」が起きた。イギリスは今はまとまった国を成…
中学生のドーン・ウィナーはいじめられっ子だ。学校では仲間外れにされたり、ゴミを投げられたりする。担任もドーンには冷たい態度だった。ドーンには兄と妹がいて、妹…
75歳は日本の後期高齢者で線が引かれている年齢だ。まさに現実が将来作られるであろうプランに向かっているように思えてならない。この話は「十年」の中の一話で、あ…
ウェルカム・トゥ・サラエボ 1998.8.14 恵比寿ガーデンシネマ
ユーゴスラビアといえば、チトー大統領のもと、割合と平静に人々が暮らしていたという印象があった。だから、90年の混乱の際にも、こんなごたごたにまで至るとは思い…
光文社古典新訳文庫でカルロ・コッローディ「ピノッキオの冒険」は読んだ。それまでに知っていたピノキオの話とは違っていてぶっ飛んだ。親切なコオロギを殺してしまう…
イギリスがこんな寒い国だったとは知らなかった。スコットランドだから北国にあたるのだろう。それにしても、海も凍る寒さは相当なものだ。緯度でいえば、十分寒いはず…
WINDS OF GOD ウィンズ・オブ・ゴッド 1995.6.3 丸の内東映
元々舞台のものであるし、監督も奈良橋陽子だから、映画としても一風変わったものに仕上がっていた。変わった、といっても変にではなく、なかなか素敵に変わっていた。…
選挙は金がかかる。複数の候補者をめぐって多くの運動員が何日もかけての選挙戦。スポンサーは企業や個人。選挙が民主的な公平な制度であったとしても金がいるのは避け…
一本の作品に仕上げるのに必要なエピソードの数は決まっていない。一つでもいいし、多くても問題ない。ただ少ないと話を膨らませにくいし、多すぎると整理するのが大変…
ヨーロッパの列強が植民地を持っていた時、人種的に優秀な者が劣等民族を支配するのは当然とばかりにアフリカ、アジア、南アメリカを蹂躙していた。それは良くないこと…
メイド・イン・バングラデシュ 2022.5.31 岩波ホール
バングラデシュの首都ダッカ。シム・アクターは縫製工場モダンアパレルで働いている。夫のショヘルは目下無職だ。工場で火事が起こり同僚のモイナが亡くなった。工場は…
ワン・セカンド 永遠の24フレーム 2022.5.30 TOHOシネマズ シャンテ3
中国、1969年。砂漠を歩く一人の男、彼は強制労働所を抜け出し逃亡者となって、ある映像を見るべく上映場所を探していた。 張芸謀は生きていた。オリンピックと…
こういう事件のこういう取り上げ方は好きでない。事実がこんなのだから作り方でよりスキャンダラスにできる。日本で言えば東映映画のような、決してフランス映画ではな…
小林多喜二をはじめとする日本共産党に対する弾圧は知らない人もいるだろう。そういう人にとって入門書として、これはちょうど良いのではないか。 千代子がどのよう…
アンネ・フランクと旅する日記 2022.3.26 TOHOシネマズ シャンテ3
アンネの日記からキティの存在がアンネの設定を超えて広がった。またアニメにしたことでアンネの自由への希求が実現した。実写はCGを使ってもアニメに及ばない。アニ…
君を想い、バスに乗る 2022.6.11 シネスイッチ銀座1
1950年から現在までの結婚生活、50年の金婚式なら聞くが70年となると何婚式だ。ダイアモンド婚式とでも言うのだろうか。 それにしてもランズエンドと言う地…
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主人公二人の関係がわかりにくい。また彼らはレストランを開いているわけではないようだ。だったらなんで生計を立てているのだろう。貴族か何かで働く必要がないのだろ…
上流社会の生活がどんなものか知らないし、近づきになれるわけでもないから、どうでもいいようなものだけど、上流とは、金持ちと理解している。鼠小僧治郎吉が金持ちか…
ジワ・ハジャビはクルド系の音楽家のもとに生まれた。幼い頃からピアノを習わされたが熱心ではなかった。ピアノとラップは関係ない。あえてこじつければ、音楽、歌? …
アメリカ映画によくある裁判劇である。ただし、従来の裁判物にはなかった視点がある。「告発」する相手が刑務所なのだ。アルカトラズというサンフランシスコにある刑務…
アイスランドは北極圏に近く、しかし地面は熱い。火山島で最近も噴火は盛んだ。アイスランドの情報は少ない。遠い国だからということもある。しかし近い国を知っている…
ミルは心やさしい田舎のおじさんだけど、しゃれている。世の中のいろんなこと、いろいろと経験してきているといった感じ。ミルはミシェル・ピッコリがやっているから、…
題名とちょっとした宣伝文句だけで想像して、鑑賞を躊躇することがある、よくやる間違いだ。この映画がそうだった。なんとなく避けているうちに終わっていることがよく…
道路の真ん中に線が引いてあって、そこを一歩越えると別な国、人工的に引かれたただの線に過ぎないものが、かつてあったベルリンの壁よりも高い場合もある。そんな目に…
問題を抱えた人たちが集まってきても問題は解決されることはない。時代が問題を連れてくるのか、問題がただ表面化するだけなのか、昔からあったことが別なはっきりした…
アントワンとアントワネットはアパートの屋根裏部屋に住んでいる。金が無いのでラジオを聞くか小説を読むくらいで映画にもいけない。アントワネットが買った宝くじが8…
eスポーツが現れてどのくらいだろう。小さな画面のゲームの進化系だ。稚拙な動画から家庭のテレビにつながって、今やいくらでも大きくできる。映画館のスクリーン大に…
紀元前の話、中国の歴史は永遠のように長い。私はこういう歴史物はまったく苦手。主人公の二人の名前さえ知らなかった。そしたら、家に漫画だけど、彼らのことを書いた…
夏休みの話はよくある。でもこれは典型的ではない。変な話ではなく、あえて面白さだけを追求していない。小説だから映画だからと極端を求める人もいる。衝撃的事件が起…
台湾映画はホー・シャオシェンばかりではない。一口に中国映画と言っても、三つある。中国本土のもの、香港もの、そして台湾だ。言葉も異なれば、歴史的背景の違いもあ…
フィリピンパブは知ってる。行ったことないので、どんなところか知らないけど、どんな感じかは想像できる。客として女性と話をするのは苦手で、行かないのはそのせいだ…
アメリカ映画でよくある警察もの、デ・ニーロ、ユマ・サーマン、ビル・マーレイ、これだけスターが勢揃いして、ちょっと冴えないのはなぜなのか。 ドラッグの売人の…
これ恋愛映画というのだろうか。恋愛には違いない。結婚するかはわからないけど、相当いい仲になった。デートは質素なもので映画に誘ったり、ディナーに行ったり。特別…
世の中で誰が一番気になる存在か、というと、恋している時は別にして、家族になるのが普通だろう。友だちが一番っていう時もあるが、生まれてから死ぬまでのつき合いに…
一台の車がチベット高原を走っていく。車に乗っているのは映画監督、カメラマン、ドライバー、そして社長と呼ばれる男。一行はチベット歌劇『ティメー・クンデン王子の…
ストーリーはいつものフランス映画で、家族や恋愛のあれこれ。そこに音楽が絡まる、そのおもしろさ、最高! この映画に出てくる歌をみんな知っていたら、もっと楽し…
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役所仕事は政治と関わっている。区や市の長しだいで変わることがある。役所は市民の暮らしやすい手伝いをするのが本来の仕事だ。でもそのための法律や法整備は政治家が…
アメリカの南部は未開の地のように見える。何十年か前の南部の話となると、「フライド・グリーン・トマト」を思い出してしまう。が、この映画はまったく違う感じがする…
以前、「人間の絆」として知られた小説が光文社古典新訳文庫では「人間のしがらみ」となったいきさつは、河合祥一郎の訳者あとがきに記されている。絆と言う語の束縛、…
かっと陽の照りつける暑さのない、すずしげな夏。スウェーデンには行ったことがないので、実際どんなところか分からないが、映画で見る限りでは、ベルイマンが描かなく…
高校の映画部ではなく、文化祭のクラスの出し物として映画を撮る。これはすごい。あれだけの熱意があったなら、まず映画部作るでしょ、と思った。でもクラスで決めてク…
韓国映画はそう多くは見ていない。それは日本公開された作品が極端に少ないからだ。十年程前までは、他のアジアの映画もほとんど入ってこない状況だった。だが、それも…
映画館についての映画は、つい最近インド映画であったが、映写機の知識を追加してくれる。一秒間に24コマ写された画像が動かない絵であり、人間の目が早さに追いつか…
AU PERE DE TRANQUILLE(静かなる父)という変わった名のカフェ、田舎町の寂れた店だ。客の入りの少ない店が、つぶれないでやっているのを見る。…
津田市の小学校教師 志野田ふみ子は教育長から退職勧告を受けた。理由は共働きだからだ。夫の健一郎は県教組の執行委員で、2人とも働いているので、1人辞めても余裕…
20世紀初頭にソ連が誕生した時、どれほど世界の人々に勇気を与えたか想像に難くない。1905年当時、ロシアだけではなく、革命の根はどこにもあった。たまたまソ連…
三村節子(田中絹代)は、夫の亮助(山村聰)と妹の宗方満里子(高峰秀子)と東京で暮らしている。節子は銀座のバーを経営しているが収入が不安定である。夫は失業して…
日本にこんな場所があるのか、白い岩肌と、反対に息をつけるオアシスの水との対比。砦に隠れている姫たちを別な国を経由して自国に帰ろうとしている。この景色は日本と…
人間の行動に制限があるのは、当人の判断以上の物理的理由がある。冬のロシア、一緒に行く友人の都合から、一人であるところへ行くことになる。ロシアのムルマンスクに…
あの三人の内の誰が正常と言えるのか。母親の病気が癒えたばかりで、避暑地に遊んでいる。治ったとは言え、はっきりとしていないので、又ぶり返さないとも限らない不安…
この映画は見た覚えがある。でも内容は覚えていなかった。60年も前のことは忘れている。それでもこの映画が評判になっていて、私でも見ていたくらいだ。当時、映画の…
犯罪には時効というものがある。私はかねてから、その効果に疑問を持っていたが、他人の目を常に気にしつつ暮らしていかなければならない状況が、このように映画で示さ…
カウボーイがまだ残っていた時代の最後の時期。そもそもカウボーイの仕事はなんだったのだろう。思い浮かぶのは、「ローハイド」のような牛の群れを運ぶことや、馬を乗…
1928年、18才のセレストは、映画館の伴奏ピアニストとして人気を得るが、トーキーの出現により失業、その後ピエールと結婚し、息子ブローデルをもうける。夫の戦…