全三回くらいでさくっと終えるつもりだったのに・・・だらだらと長くなる悪癖は、今年も健在のようです。トホホ。 ともあれ終了しました、「あなたの手、そのかたちと温度」。いかがでしたでしょうか。 久々の小説書きは、もろにリハビリという感じで、書いては消し行きつ戻りつ、の繰り返しでした。何といってもタイトル! なっかなか浮かばなくて! とうとうヤケクソになって、思いついた中で一番ヘンなやつに決めてしまいま...
恐らくは。 向井は何気なく、この言葉を口にしたのだろう。 だが長谷川は、胸が熱くなるのを止められなかった。そして、しみいるようにして思う。 そんな状況に、向井先生がしてくれたんだ。だから今度は俺が。 向井先生から実のご両親を、ご両親から向井先生を、奪い取ることのないように。 そのチャンスを与えられたらきっと――いや、たとえすぐは駄目でも時間をかけて。 向井先生がただの統でいられる場所を失わずに済...
ほんとだ。 そう思った瞬間、肩から力が抜けた。はあっと全身で息をつくようにして、長谷川は笑った。「そうですよね。行きましょう」 勢いをつけて言った長谷川に、向井も頷いた。だが二人、足を踏み出した方向は真逆で、一瞬の間を置いて同時に立ち止まった。そして振り返る。「・・・長谷川家に戻るんだろ? 俺はそのつもりで、」「いえ」 一方の長谷川は、断固として首を振った。横に。「うちに帰りましょう。あんな話を聞い...
「えええっ!?」 なんて? と、問い返したつもりが、言葉にならなかった。 だが表情だけで充分だったらしい。向井もまた立ち止まり、長谷川を見下ろしてきた。 それからおもむろに長谷川を促して道の脇に避け、そののち。 向井はすらすらと羅列した。至極淡々とした普通の声音で。「好きな男と暮らしてる。去年からしてるこの指輪もそいつと交わしたもので、俺は一生をそいつと添い遂げる。こうやって話したのは親の許可を得た...
コートの下、ジャケットの内ポケットで携帯が振動して、長谷川は歩を緩めた。 足は止めぬまま、携帯を抜きとる。・・・あ。『長谷川? 今どこだ?』 耳に当てた携帯から響く、懐かしい声。自然に口許がほころんでしまう。この人はこういう時、絶対に外さない。 殆ど感動しながら、長谷川は微笑含みの声を送り出す。「先生、お疲れ様です。もうすぐ、」 駅の名を告げようとした、その時。長谷川の足が止まった。 対面から近づい...
未だに顔を合わせたことはない、向井の両親。 せめて想像してみようとするけれど、いつもうまくいかない。 長谷川にとってのそれは、位置づけとしては歴史上の偉人に近い。実在はしているのだろうけれど、遠くて、偉大な存在。指の先も届かないほどに。 向井は、自分からは親の話はしようとはしないが、長谷川が問えばきちんと答える。 別に仲が悪いということはなく、単に、互いにドライなだけだというのが向井の説明だ。 ...
そうなるんじゃないかと予想はしていたし、向井からも確認された。いいのか? と。俺の親のことなら心配しなくても電話かけときゃそれで済むけど、と。 その時も、そしてたった今後にしてきた実家でも、長谷川はこう言った。向井に対しては微笑交じりに、実家の家族に対しては怒り口調で。 駄目ですよ。元旦くらい、(ご両親に顔を見せてあげなくちゃいけないんだよ。だって向井先生は、) 長男で一人っ子なんだから。(うち...
またもごぶさたしております・・・(ガクリ) 年内には更新再開は、はかない夢と散りました・・・(更にガクリ)※以下、説明という名の言い訳ですので、何でしたらすっ飛ばしてください※================ どうもね、対お局とのあれやこれやで溜め込んだストレスが、限界に達しつつあるようで。相手が黙ってるだけで、怒ってる? 私に怒ってる? とドキドキビクビクしてしまう段階にいってしまいまして。いやー、書...
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