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  • 太田昌国の世界 その68「画家・富山妙子の世界」

    東京琉球館で太田昌国さんのトーク(2021/9/24)。先月99歳で亡くなった画家の富山妙子さんについて話すということであり、のがすわけにはいかない。山本浩貴『現代美術史欧米、日本、トランスナショナル』はアートの新たな視点を与えてくれる良書だったが、たしかにその中にも富山さんがポストインペリアルな事象(炭鉱や韓国政治など)に取り組んできたことへの言及があった。太田昌国さんはこの連続講座の第1回(10年前)で富山さんと討論し、その際、富山さんは「海」について語ったという。分け隔てる、争いの場としての「海」ではなく、交通路としての「海」。富山さんがピアノの高橋悠治さんと組んでリリースしたDVD作品『蛭子と傀儡子旅芸人の記録』もまた、日本の植民地主義のみならず、海の交易を守る神・媽祖や、島嶼国インドネシアの人形影芝居...太田昌国の世界その68「画家・富山妙子の世界」

  • ロレンツォ・メンギ『裏道人集』@神宮前二丁目

    AnotherWorldinStreetLightCases/街路灯の中の別世界ロレンツォ・メンギさんが渋谷区神宮前二丁目で写真展『裏道人集』を開いている(〜2021/9/25)。かれが深夜の裏道で切り取ってきた一瞬の小世界が、数十本の街路灯の中にひっそりと展示されていて、歩く人たちはそれに気づいているのかどうか、ただそれがまた裏道的。写真では、窓の中でも路地の向こう側でも、真っ暗なため、どこか一点にのみ焦点が当たっている。ガラスケースの前に立つ人は、小さな人たちがひっそりと息づく裏道の小世界、それを取り囲んで大きさを示すケース、ガラス面に反射したこちら側の世界、ケースの外側の建物や行き交う大きな人たちを、視線を泳がせながら観ることになる。つまり展示方法がユニークというだけでなく、規模(小さな人と大きな人)、時...ロレンツォ・メンギ『裏道人集』@神宮前二丁目

  • セメント樽の最中

    山口県の母親に電話であんた欲しいものはないかねえと聞かれたので、そういえば「せめんだる」って食べたことないなあと呟いたところ、すぐに送ってくれた。小野田市(いまの山陽小野田市)にはセメント町というところがあって、小学生のころ、先生から赤黒2色刷の割引券をもらってそこの映画館にときどき行った。もちろん民営初のセメント会社・小野田セメント(いまは合併して太平洋セメント)から付けられた地名である。なお近くには日産化学にちなんだ硫酸町、日本化薬にちなんだ火薬町もある。つまり企業城下町。(ところで、京王線明大前駅の旧名は陸軍火薬庫にちなんで火薬庫前駅だったとか。)セメント町の名物がつねまつ菓子舗の最中「せめんだる」。明治期にはセメントは樽に詰めて出荷されていた。なるほど樽、裏側には「つねまつ」の文字、中には小豆餡。これは...セメント樽の最中

  • 加藤綾子「1CHI」@四谷三丁目ホメリ

    四谷三丁目のホメリ(2021/9/21)。AyakoKato加藤綾子(vln)ベルギーから帰国した加藤綾子さんのヴァイオリン即興を、四谷三丁目のホメリで観た。指で強くはじくイントロから強力でもユーモラスでもあり、50分間まったく飽きることがなかった。自らに挑戦するようなロングトーンのグラデーションも、また、ドラマチックに提示される音の奔流や重なりも素晴らしいものだった。そして中秋の名月。FujiX-E2、LeicaElmarit90mmF2.8(1959-)andSigma400mmF5.6●加藤綾子照内央晴+加藤綾子@本八幡cooljojo(2020年)照内央晴+加藤綾子@神保町試聴室(2019年)即興的最前線@EFAGEastFactoryArtGallery(JazzTokyo)(2018年)『終わりなき...加藤綾子「1CHI」@四谷三丁目ホメリ

  • 千葉成夫『現代美術逸脱史』

    この名著が文庫化されたのでさっそく再読。(ちくま学芸文庫、1986/2021年)いまとなっては当然のようにも思えるけれど、やはり辛辣でおもしろい。著者は、戦前から戦後にかけての前衛アートを、欧化主義という「極楽トンボ」と矮小な伝統主義というローカリズムの間の有象無象だと断じたうえで、1950年代の「具体」や60年代からの「もの派」とは、本質的にはアートの存立意義じたいを問うものだったとする。その活動が重要なのは「プラークシス」(実践)と、それとあわせてとらえるべき、既存の体系に基づく「ポイエーシス」(手段としての制作)の崩壊や再生だということ。即興音楽の模索にも通じるところがあるね。アートがプラークシスによる不断の革命だとすると、ここでジル・ドゥルーズによる「マッケンローの恥辱」を思い出してしまう。テニスのジョ...千葉成夫『現代美術逸脱史』

  • 北田学+西嶋徹+神田綾子@渋谷Bar subterraneans

    Bringonhard-coreimprovisation!-Manabu"Gaku"Kitada,ToruNishijimaandAyakoKanda/ハードコア即興上等!~北田学、西嶋徹、神田綾子Manabu"Gaku"Kitada北田学(cl,bcl)ToruNishijima西嶋徹(b)AyakoKanda神田綾子(voice)渋谷ファイヤー通りのBarsubterranneansでこの3人。なにが「ハードコア即興上等!」ってノリの成り行きなのだけれど、よく考えると悪くない。北田さんと神田さんは1年半前に同じ場所で初共演し、そのときユニットが「キタカンダ」と命名された。それ以来の再演でこんどは西嶋さんを含めたトリオ、この流れも悪くない。たしかにエナジー・ミュージックとしてたいへんな強度だということができ...北田学+西嶋徹+神田綾子@渋谷Barsubterraneans

  • 森順治+細田茂美@Permian

    おおっこのデュオなんて!と驚き、よくわからない期待とともに不動前のペルミアン(2021/9/16)。ShigeyoshiHosoda細田茂美(g)JunjiMori森順治(as,bcl,fl)初共演だが「別に仲が悪いわけじゃなくてたまたますれ違っていただけ」らしい。さて細田さんは「いま何時?あれ時計が止まってる、なんかおかしいと思ったんだよね、やっぱり300円じゃダメだな」と呟き、「じゃあ自己紹介を」。「えっ自己紹介?」「うん自己紹介」。といいつつ森さんには何もさせずギターを弾き始めた。ここからは最高にじわじわくる時間。細田さんはエフェクターは使わずに指やラジオや壁でいろいろな音を出し、森さんもまた生活の延長でしかないように即興空間に入っていく。そしてときどきふたりの呼吸がぴたりと合い、その自然体ぶりに感嘆しつ...森順治+細田茂美@Permian

  • 竹内洋『丸山眞男の時代』

    丸山眞男の『「である」ことと「する」こと』(『日本の思想』)所収)はいまでも大変すぐれた論考だと思っていて、だらしのない人を目にするとよくこれを思い出す。それはそれとして、竹内洋『丸山眞男の時代』(中公新書、2005年)には驚かされた。大学、ジャーナリズム、在野のどこに「真の知識人」を見出し、どこに「疑似インテリ」を見出すか。丸山や吉本隆明に向けられた視線にも、丸山や吉本やその取り巻きたちにより発せられる言説にも、その観点が怨恨とともに絡み合っていた。吉本は丸山について「ここには思想家というには、あまりにやせこけた、筋ばかりの人間像がたっている。学者というには、あまりに生々しい問題意識をつらぬいている人間の像がたっている。」と批判したそうだけれど、いやいや、吉本だって「似たようなもん」ではないのかな。竹内洋『丸山眞男の時代』

  • 『山城知佳子 リフレーミング』@東京都写真美術館

    東京都写真美術館で『山城知佳子リフレーミング』展。この人の《アーサ女》を観てあまりのなまなまなしさに驚いたのは、国立近代美術館の『沖縄・プリズム1872-2008』展(2008年)だった。シンディ・シャーマンのように女性がなにものかに「なる」表現との共通点も考えたのだけれど、山城さんのそれは異なる。暑さ、眩しさ、痛さ、苦しさを引き受けるためにその場に我が身を置く表現であり、より切実で、身体感覚とともに感情移入せざるを得ないものだった。(顔を無条件に世界に晒すことが倫理だというエマニュエル・レヴィナスの思想のように。)今回も展示された《アーサ女》からの荒い息遣いが聞こえる部屋で、戦争体験者の語りを引き受ける《あなたの声は私の喉を通った》の前に立つ。他者の声は私の声、身体を通過したうえで共有される記憶。そしてさらに...『山城知佳子リフレーミング』@東京都写真美術館

  • 高木元輝『Live at Little John, Yokohama 1999』(JazzTokyo)

    JazzTokyo誌に寄稿した。>>#2121『高木元輝カルテット/LiveatLittleJohn,Yokohama1999』MototeruTakagi高木元輝(ts)SusumuKongo金剛督(as,ss,fl,bcl)NaoTakeuchi竹内直(ts,fl,bcl)ShotaKoyama小山彰太(ds)●高木元輝高木元輝の最後の歌(2000年)2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太(2000年)高木元輝『不屈の民』(1996年)1984年12月8日、高木元輝+ダニー・デイヴィス+大沼志朗(1984年)加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)...高木元輝『LiveatLittleJohn,Yokohama1999』(JazzTokyo)

  • 遠藤ふみ『Live at Ftarri, March 8, April 11 and June 27, 2021』(JazzTokyo)

    JazzTokyo誌に寄稿した。>>#2113『遠藤ふみ/LiveatFtarri,March8,April11andJune27,2021』MasahideTokunaga徳永将豪(as)FumiEndo遠藤ふみ(p)FujiX-E2、7Artisans12mmF2.8、XF60mmF2.4●遠藤ふみ青木タイセイ+遠藤ふみ+則武諒@関内・上町63(2021年)徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その3)(2021年)かみむら泰一+古和靖章+遠藤ふみ+阿部真武@神保町試聴室(2021年)徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その2)(2021年)本藤美咲+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)池田陽子+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)●徳永将豪徳永将豪+遠藤ふみ@Fta...遠藤ふみ『LiveatFtarri,March8,April11andJune27,2021』(JazzTokyo)

  • 吉田達也+照内央晴@公園通りクラシックス(JazzTokyo)

    JazzTokyo誌に寄稿した。>>#1172吉田達也+照内央晴TatsuyaYoshida吉田達也(ds)HisaharuTeruuchi照内央晴(p)FujiX-E2、7Artisans12mmF2.8、XF60mmF2.4●吉田達也吉田達也+照内央晴@荻窪VelvetSun(2020年)SignalsDown@落合soup(2019年)邂逅、AMU、藤吉@吉祥寺MANDA-LA2(2019年)クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)RUINS、MELT-BANANA、MN@小岩bushbash(2017年)PAK『NYJPN』(-2014年)一噌幸弘『幽玄実行』『物狂モノグルイ』(JazzTokyo)(2011年)早川岳晴『kowloon』...吉田達也+照内央晴@公園通りクラシックス(JazzTokyo)

  • 三上寛+石塚俊明@アケタの店

    西荻窪のアケタの店(2021/9/1)。KanMikami三上寛(vo,g)ToshiakiIshizuka石塚俊明(ds)よくわからない音塊の声と情の汁がしたたるギター、十九の春、夢は夜ひらく。それはそれとして並んで走ったり、声にステージをいきなり譲ったりもするドラムス。阿吽の呼吸とはこのことか。●三上寛三上寛、遠藤ミチロウ、日本マドンナ@紅布(2017年)三上寛+石塚俊明@アケタの店(2017年)三上寛+JOJO広重+山本精一『LiveatKoenjiShowBoat,2005.8.12』(2015年)三上寛『YAMAMOTO』(2013年)三上寛+ジョン・エドワーズ+アレックス・ニールソン『LiveatCafeOto』(2013年)どん底とか三上寛とか、新宿三丁目とか二丁目とか中央線ジャズ三上寛+スズキコ...三上寛+石塚俊明@アケタの店

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