『最澄と天台宗のすべて』展@東京国立博物館
東京国立博物館で「最澄と天台宗のすべて」展を観てきた。仏教も仏教美術も好きなのだが門外漢だからすぐに忘れ、そのたびに勉強する。頼りにするのは末木文美士『日本仏教史』。もう四半世紀前に読んで、良書だと思ったのでフィルムルックスを貼ってまだ大事にしている。それによれば、エリート最澄はせっかく入唐しながら「自らの知識が時代に遅れつつあること」に焦りをおぼえ、帰国後の日本で求められた「密教的な呪法の力」に対して最澄のそれは「付け焼き刃」であったから、年下のライバル空海に教えを乞うた。だから両者の交流とは言ってもその多くは最澄の側からの密教経典の借用だった。今回の展示ではそのあたりの屈折した関係がさらりと触れてあるのみで、密教についても並列的に展示するにとどめている印象。もちろんことさらにドラマチックな対立を見せなくても...『最澄と天台宗のすべて』展@東京国立博物館
2021/10/31 23:01