現代美術家のづてなおと氏の、写真に関するテキストとレクチャーを再構成したものです。
常識的なカメラの扱い方を一通り覚えた方向けの内容です。
写真を撮る行為は、ノッていて思わず無茶苦茶な英語を口走ってしまうのに似ていると思う。 つまりは自分をさらけ出すという事で、それは本人にとってはとても恥ずかしい行為だ。 フェイスブックやインスタグラムに投稿される写真は違う。人に見られる事を意識して恥ずかしく無いように撮られて...
創作過程という話について述べるなら、構想から表現方法まで自由に選び書くことが出来る小説と、テーマもフォーマットも有る論文のどちらの方が書くのが楽かと言えば、自分はという事では論文の方だ。 逆説的だけど実感として、自由に出来ない事、制限が有ることは却って創作意欲が高まり、仕事...
以前、タクシードライバーをしていた頃、乗客の若いあんちゃんに 「運転上手いですね」 と褒められたことがあった。そうしたらすぐに、その人と一緒にいた兄貴分らしい人がこのような事を言った。 「お前、運転のプロだぞ。プロに向かって、上手いですね、とは、失礼じゃないか。すん...
写真は引き算と良く言われる。 昔某カメラのTVコマーシャルで篠山紀信が「写真ってのはいいと思ったら何にも考えずとにかくそれにぐっと近づいて撮れ」と言う意味の事を言っていたのを思い出す。写真における引き算とは、普通はそういう事を言うのだと思う。 つまり、簡単に言えば画角に...
晩秋から12月、そして2月の初め位までの季節は、風景写真を撮るのに大変都合がいい。 低い太陽は、見えるもを立体的に見せてくれる。 あとこれは関東地方の話だけれど、空気が乾燥していて、空は青く遠景までくっきり綺麗に見える。 本格的に風景写真を撮りたいと思ったら、じっくり...
自分が広告業界に入った当初、新人に求められる仕事としてよく高所作業を行った。 スタジオの高い屋根に渡された骨組みに登って色々な作業をしたりする仕事だ。 初めに命じられた時には、そこは高すぎて自分にはとても出来ない仕事だと思った。実際、足を滑らせて下に落ちでもしたらただ事...
19世紀も終わりには写真が随分普及してきて、絵画にも影響を与えた。 ドガは、写真のような大胆な構図の絵画も残している。 人物をフレームからはみ出させたり、被写体とカメラの間に偶然写り込んでしまったかのようにポールを描いて絵を分断させたり、まるでスナップ写真のようだ。 T...
例えば、ある日のある時間、車に乗ってある場所から出発し、ある場所にたどり着く。 単にたどり着くだけなら、道さえ知っていれば可能だ。 しかし、都会に住んでいる人なら分かると思うけど、混雑を避けてそうするのには鋭い土地勘が必要だ。 今の時間はあの道にしよう。来てみたら詰まっ...
カメラを三脚にしっかりと据え付けても、それでもブレる事が有る。 理由は様々だ。 自分の手でカメラを触ると、カメラを振動させてしまう。背面の液晶モニターを拡大してみるとよく分かるが、レリーズの為にカメラに手を触れていると、それだけで大きく振動し続けている事が見て取れる。 ...
カメラの操作を練習する事の意義は、何も考えなくてもそれを行える様になる事にある。理想は、撮りたいと思ったその瞬間にはすでにシャッターを押している感じだ。 勿論これは、何にも考えずに写真を撮る事が理想、と言うような哲学的な話では無くて、むしろ撮る写真を考...
写真を撮り慣れて来て、光の読み方も構図の定番も知り、いわゆる上手い感じの写真がとれるようになって来ると、その写真は却ってなんだかつまらないという事が有る。 写真の事は何も分からずにただパチリと子供を撮ったあの写真の良さは、どこへ行ってしまったのだろう? これは恐らく、商業...
カメラやレンズを保管する乾燥剤入りのドライボックスは、下記の物を用意すれば自分でも作成できる。 ●パッキン付ケース 米等の食品を保存する為に売られている、パッキン付のプラスティックケースは防湿性能が有り、 カメラを保存するケースとして使える。 パッキンの無い衣...
カメラバッグには大きく分けて、現地まで機材を運ぶ用途と、現地で機材を身に付けておく用途があり、要件が違う。 現地まで持って行くカバンなら、大きくて丈夫で、口も大きく開いてドカドカ入れられるのがいい。 設営や撤収はとにかく忙しいから。 でも、身に付けて動き回るカバン...
メディアが発達している昨今、一般の人でも、写真家が写真を撮っている姿を見る機会があると思う。それこそ色々な人の色々な奇妙な撮り方、想像を超えた(物理的な)姿勢や格好を見る事もあるかもしれない。 傍から見るとそれが異様に見えたとしても、それでも覚えておく必要が有るのは、まず...
模倣とは一つの表現である。 人が人のまねをする。これが表現と言うのは一見奇妙に思える。 しかし、真似をする人はその対象を愛するから真似をするのだし、学ぼうと思うから真似をする。 ここに、心の内奥にある原動力がある。 模倣と言ってもその人の中では、何も表現していないと...
映画「大脱走」には、「そしてカメラだけど、よく覚ろ、いいか、フォーカルプレーンシャッターの~」というセリフが有ったような気がする。 機械式シャッターを備えた昨今のデジタル一眼レフカメラのシャッターの形式は皆フォーカルプレーンシャッターだ。そんなに珍しいものでは無い。 こ...
最近のカメラのオートフォーカスは性能が高く、その素早さと正確さには驚くばかりだ。 ただ、最近の、雑誌等の写真を見ると、中にはどうも頂けない物もある。ピントを合わせる場所と被写界深度の選択が半端で、よく考えられていない感じがするものが見受けられるのだ。 画面の中のどこにピ...
ここしばらくの間、レンズを買うとレンズフードは当たり前のように付属するものだったが、最近はまた別売というレンズやセットも出てきた。別売のフードは買うと数千円するが、果たしてこれは買うべきだろうか? 結論を述べると、レンズフードはお勧めする。 ●フードを付ける事の利点 ...
撮影に際しては、レンズ保護の為に保護フィルターを取り付ける事をお勧めする。 保護フィルターは、カメラのアクセサリーの中でも特にお役立ち度が高い。 レンズは汚れる。自分はよく車のラリーの撮影をしていた。ご存知の方もいると思うが、あれは意外と遠くまで泥が飛んでく...
自分が色々使って来た中で、結論から述べるとジッツオがいい。 まず、基本的な性能と使い勝手が良い。 ネジを締めようと思えば素早くしまり、ピタッと止まる。それでいて緩めるのも楽でスッと緩む。 それから基本的に丈夫。 自分のいた現場ではクイックセットのハスキーも何本も有った...
35mmフィルムの1眼レフカメラを買うと50mm固定焦点レンズ、コンパクトカメラなら35mm固定焦点レンズが漏れなく付いて来たのは今は昔、現代ではカメラ購入時にレンズも選択出来る、と言うか悩む時代だ。 ではどんなレンズが必要かと言えば、端的に述べれば長いのと短いのの二本。...
どんな撮影かにもよるけれど、脚立が有ると撮影に役立つ事がある。 ●脚立は何に使えるか 何が便利かと言えば一義的には、脚立に乗れば高い位置から写真を撮れる事。 発表会での集合写真の撮影なら、高い舞台に合わせてカメラをセットするには脚立(と背の高い三脚)が必要という、本当...
平面化された時の輪郭が、写されている物自体を認識させるものとなるかどうか、撮影時にこれを意識出来ると、写真の撮影はずっと面白いものになるはずだ。 風景にしても何にしても、目で見る映像の中には遠かったり近かったりするものが色々混ざっているし、そもそもそこにある物は大抵立体...
写真によって人の注意を引くことを考えるなら、それを見せる対象となる人についてよく研究した方がいい。 以前、とある県の観光パンフレットの写真を撮影した事があった。そこには清流で有名な川が有り、当然そこも写真に撮る事になったのだけれども、川の何処を撮れば良...
「ブログリーダー」を活用して、Lolomoさんをフォローしませんか?