今日は天気が崩れ、雷雨になる。雷鳴は怒りを帯びた咆哮のように響き、窓に叩き付ける雨が、不安を煽る。淡雪は強い光と音に身を竦めているが、それでも窓の傍で外に視線を向けている。「そんなに怖いならこっちにおいで」と、桜花は淡雪の身体を引き寄せる。そのまま大人しくしているのは、余程怖いからなのだろう。 「そんなに怖がらなくてもそのうち止むさ。何も起こりはしない」悪天候ではあるが、空気は淀んでいない。邪悪...
少し戻ります。 この山は平和だ。静かで、秩序が保たれている。元々豊かな山なのだが、燈火と桜花がいることで、より良い状態を維持している。この平和は、桜花にとってはいささか退屈なものだった。しかし、数年前、その退屈から桜花は解放される。眺めるだけだった世界。それは、突然空から降って来た。 淡雪が此処で暮らすようになってから、季節は少しずつ動き、短い春は足早に過ぎようとしている。淡雪は朝日と打ち解けたよ...
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