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小杉 匠
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2013/06/08

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  • ら、ら、ら

    「ら、ら、ら」働いて、働いて朝から晩まで働いて、働いて衣服に染み付いた汗のにおいわずか三日間、束の間の休息ゴロゴログルグルゴロゴロと心地よさそうな寝息を立てて働き者の猫は夢の世界に浸る想像が、希望が、未来が山麓の石清水のようにこんこんと湧いてくるよそして、昔から変わらない歌を子供たちがくちずさむら、ら、らら、ら、ら目に映るすべてがまばゆくてそう、あれはちょうど一年前あの白い雲のようになりたいとふもとの祠に通った回数は優に一千回を数えたああ、我が町に雪が降るあの町にもこの町にも雪が降るよそして、あなたの足元一面に舞い降りる白く冷たい花びら少し積もって、ぜんぶ覆って精一杯の愛情であなたを包もうら、ら、らら、ら、らら、ら、ら

  • 冬の使者に告ぐ

    「冬の使者に告ぐ」響きという響きが町じゅうを埋め尽くし匂いという匂いが体じゅうに染みわたるどこまで続くのだろうこの目で確かめたくて朝一番で飛び起きた澄んだ空気の先に緩やかな弧を描く山の稜線子供の頃、端から端まで駆けた夏の日の浜辺辿りつかない終点を、先端を目で追うばかりそんなとき、どうしても思い出すのだもう一歩踏み出す勇気を持てなかった冬の日を冬の使者に告ぐ、耳を澄まして聴くがよい春よ早く来い目の前の真実を何ひとつ打ち消せぬまま許されるものと許されないものが入り混じって濁りきった黒の墨汁で毒と愛の混ざった言葉を並べていく耐えて、ただひたすら耐えて果てしないこの歌の終わりまで耐えて誰の目にも映らぬよう秘かに懺悔する本当はとても小さな小さな道端の草花それが私だ、摘んでくれグシャリと砕けたガラスの心崩れ切った身を宙に委...冬の使者に告ぐ

  • 春を愛す

    「春を愛す」響きという響きが町じゅうを埋め尽くし匂いという匂いが体じゅうに染みわたる先行く者の背中を追う視線振り返った腰のひねり具合につられるように歩幅をずらして終いには後ずさりする、そうだろう冬の使者に告ぐ、耳を澄まして聴くがよい春よ早く来いどこまで続くのだろうこの目で確かめたくて朝一番で飛び起きた澄んだ空気の先に緩やかな弧を描く山の稜線子供の頃、端から端まで駆けた夏の日の浜辺辿りつかない終点を、先端を目で追うばかりそんなとき、どうしても思い出すのだもう一歩踏み出す勇気を持てなかった冬の日をほら、誰かが踏破しようしているあの境目指をくわえてぽかんと見守っている間に臆病者は子供のまま大人になってしまった目の前の真実を何ひとつ打ち消せぬまま許されるものと許されないものが入り混じり濁りきった墨汁のように毒と愛の混ざ...春を愛す

  • 道端の草花

    「道端の草花」響きという響きが町じゅうを埋め尽くし匂いという匂いが体じゅうに染みわたるふと背中を追う誰かの視線振り返った腰のそのひねり具合につられるように歩幅をずらして終いには後ずさりする、それは秋、それとも冬?春よ早く来いどこまで続くんだろうこの目で確かめてみたくて朝一番で起きた澄んだ空気の先に緩やかな弧を描く山の稜線子供の頃、端から端まで駆けた夏の日の浜辺辿りつかない終点を、先端を目で追うばかりそんなとき、どうしても思い出すんだもう一歩踏み出す勇気を持てなかった冬の日をほら、誰かが踏破しようとしているあの境目指をくわえて見守っている間に子供のまま大人になってしまったよ許されるものと許されないものが入り混じった濁った墨汁のように毒と愛の混ざった言葉を並べていくただ文字を書きなぐるだけならばデタラメにも慎重にも...道端の草花

  • 今宵雪を待つ

    「今宵雪を待つ」この大海原で溺れかけている手を思い切り伸ばして救いの船を掬う色とりどりのボール水面を流れる流れる波紋は端まで広がり辺り一面を漂うばかり船首から見える光景は冬舞い散る白粒を指でつまむ頼りなく崩れるカタチ触れただけで消えるツブテ粉々に砕けたあとは空を飛ぶことさえ難しくなってしまったはるか斜めから差し込む光の筋を数えあげるうち誰かの年齢を偶然言い当てたそれが幸せなのか不幸なのかわかるはずもない苛立ち明日が近いから焦り怯え昨日が尊いから立ち尽くす美しい晴れ空はいつまでも続きはしないのだと鼠色の空が鼻をならしながらつぶやいた春を愛する人は夏を愛し、秋を愛し、冬を愛す四季を愛する人、その人はその変わり目の名もなき季節の中にすら永遠を見る目の前の一束の空気がいつかこの季節の代名詞となって誰かの手のひらの上にそ...今宵雪を待つ

  • 手のひらのうえ

    手のひらのうえまわり、まわり、まわりつづけるいくつかの音を立てて幾千の色をなしていくつもの余韻を残し次から次へとやってくるわずかよっつしかない季節はその変わり目も手伝って万華鏡のように色鮮やかお前は、天使の矢が恋人たちを射抜くそんな季節に産まれたのだこの地球に、大宇宙にあれからいま時は流れてお前はとうに忘れてしまっただろうこの世に生まれ落ちたばかりの感情をお前は確かに人間だった均しく美しく尊い存在もうすぐ天国から使者が参るその者に伝えるがよい我が人生は素晴らしきかな、と鱗状の雲が彼方まで続いている朝日が差すこの部屋でお前は物思いにふける愛しきものそれは辺り一面を覆う霧深い朝の光景それは一日の終わりを告げる漆黒の闇それはじりじりと身を焦がす太陽の光それは身を引き裂くほど凍てつく寒さ空想の世界から届いた一通の手紙を...手のひらのうえ

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