ホタテなどの二枚貝が毒を持つことがあることをご存じでしょうか。その毒は「貝毒」と呼ばれ、発生状況はモニタリングされており、貝が市場に出る前に検査が行われています。 貝毒にはいくつかの種類がありますが、日本で食品安全の面から規制の対象となっている貝毒には、下痢性貝毒と麻痺性貝毒の2種類があります。そのうち下痢性貝毒については、マウスを使う動物実験を機械検出法へ代替する対応が既に行われています。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://animals-peace.net/experiments/goodnews-shellfishtoxin.html target=] 残る麻痺性貝毒について、以前は動物実験の代替が難しいと言われていましたが、EU諸国で徐々に代替の動きが出始め、2019年には、EU規則によって機械検出による方法を主たる方法とすることが定められました。また、2020 年 10 月に EU は麻痺性貝毒の検査として機器分析法のみを認めることとするとのSPS通報(世界貿易機関(WTO)のSPS協定に基づき、加盟国が他の加盟国に提案する措置について通報すること)を行ったとのこと。この EU 規則改正は 2021 年 10 月に施行され、麻痺性貝毒の検査には機器分析以外は認められなくなりました。 こうした動きに合わせ、既に日本の農林水産省もEU輸出に際しての取扱要綱において機械検出法を採用しているので、対EU輸出に関しては問題はないのですが、やはり問題は国内流通です。厚生労働省が動物実験ではない方法を公定法として採用することが、動物保護の観点から早急に必要です。 2022年に厚労省に問い合わせた際は、機械検出法への変更に向けて科学研究費の助成を行っており、その結果が出たら、変更の検討に入ると聞きました。すでにその当時の研究班の3年間の助成期間も過ぎ、結果も出ているので、動きが見えないのは変だと思い改めて問い合わせたところ、なんと状況は変わっていませんでした。 厚生労働省「国民の皆様の声」からの回答(2025年3月12日) ※太字はPEACEによる 「国民の皆様の声」にお寄せいただいたご質問につきまして、以下のとおり回答いたします。 麻痺性貝毒にはサキシトキシンを代表として数十種類の類縁体が存在しており、貝中の類縁体の相対存在量は地域によって異な