ホーチミンは一週間雨。雨季をはずしたのに、なんちゅうことや。ずれてるのか。時計を見た。フライトは今夜、真夜中だ。まだ時間がある。しょぼいホテルに閉じこもるなんて、まっぴらだ。映画、とふっと頭に浮かび、と、指はキーボードの上を動き出していた。映画と打ち込むと、ヒットする。出てくる、ぞくぞくや。それを片っ端からノートに書きうつしていく。映画はショッピングビルにはいってる。ホーチミンに、こんなにショッピ...
70歳おんな一人押しかけ留学ベトナムに留学しようと思った。まず学校を見つけなくっちゃ。これは、ネットでカンタンに見つかった。しかし、何回もメールを送っても、返事がない。ネットがトラブってるのかな。困るやないか。アパートかホテル、送迎の依頼もできないし。なによりも不安で胸がもたれるやん。見知らぬ国に英語下手、方向オンチ、年食いすぎのアナログ女が一人で乗り込むのは、リスク大きすぎやないか。どうしよう、...
オランガバードの三ツ星ホテルで二泊。世界遺産の石窟寺院群に行く予定だ。一日目は、エローラ、二日目はアジャンダ石窟と。「石窟に行っても、壁画はかなり、傷んでるよ、」タクシーのドライバーは、わざわざ行くこともないのに、という風に、冷ややかに笑いをうかべた。「そうか、ダメージひどいのか、、」私の期待はしぼんだ。しかし、素晴らしかった。石窟神殿の前に立ったとき、私は胸がわしづかみにされた。世界の良いもの、...
車窓は黒一色に塗りつぶされて、だいぶん経ったころ、口ひげの男が子供を連れて、ふたたび私の前に来た。この席は、口ひげのだ。私は立ち上がった。すると、例の正体不明の男が、ふたたび、はやてのように現れた。でも、こんどは、子供の姿を見ると、言葉をなくして、突っ立ったまんま。私の席は隣の車両らしいが、もう、移りたくても移れない、ドアのそば、デッキには、びっしり客が座りこんでいるのだ。私はリュックを手にし、一...
両替したルピーの札束をすばやく腹巻のポケットに押し込んだ。私は早足で、さっきの車両にもどり、窓際の細長い木のイスに座った。もうすぐ電車は動き出すのだ。私はワクワクした。そのとき、30代の男が私の前に立った。あっ、係員だ。私はカバンに手を突っ込みチケットを出し、「この席でいいのか」とたずねた。男はチケットをのぞき、私の横に腰を下ろし、あれこれ話し出した。うっとおしくてたまらない。そうか、チップだ、と...
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