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  • 読書感想:『日本文化の論点』 (ちくま新書)〜サブカルチャーで変わる社会。発信者が問われる未来とは〜

    製造物でもなく、農作物でもない。 目には見えないけど、相手が夢中になってくれているもの。 それが、世界から見た日本の新たな文化=サブカルチャーだった。 日本の文化を世界に。 そんな動きが活発だった2013年に発売されたのがこの一冊。 世界に認知されるまでにになった日本の新たな文化と、その文化によって変容している日本社会を、批評家・宇野さんが様々な論点から気づきを掘り出していく。 今でこそ、苛烈でどストレートな言葉を投げかける宇野さんだが、この当時はサブカルチャーオタクに近いポジションだったらしい。 サブカルチャーにどっぷり浸かっているが故のソフトな文調やライトな行動は、共感しやすい反面、鋭さが…

  • 読書感想:『はぐれ鴉』 第五回(小説すばる 2020年 9月号 [雑誌]) 〜拒絶の先に仇敵の姿、才次郎の振り上げる思いの行方〜

    おいしい役どころを得た(苦笑)才次郎だったが、結局この役目は彼に何をもたらしたのか・・・ 嫁入りの時期を遅らせることはできた。 しかも、流れのなかとはいえ才次郎は英里に告白することもできた。 しかし、その結果は撃沈(涙) 引っかかるのは英里の言い分。 まるで自分は幸せになることができない運命、かのような言葉が。 彼女の旅立ちにはまだ時間が残され、お別れ、ということではない。 (実際、偽装彼氏関係が終わった後も才次郎は英里に会うことができている) それでも、彼女の真意は未だ分からず、謎の発言や態度などすんなり終わり、ということにはならないだろうなあ。 そして、才次郎は普請ではぐれ鴉と遭遇、さらに…

  • 読書感想:『布武の果て』第六回(小説すばる 2020年 9月号 [雑誌]) 〜信長の躍進と堺衆の暗躍、その陰で蠢く三河の遠謀〜

    来ても対応できるだろう、という見込みはあった。 だが、足利義昭ら信長包囲網側からすると、信玄の死はやはり大きかった。 信長はすかさず足利義昭討伐へ動き出す。 そして今井たち堺衆もこの期を逃さず、荒木村重を突き動かし、信長へ帰順させる。 そもそもこの段階まで村重が反信長側だったという意外な事実もさることながら、村重のその後を考えると、堺衆主導という流れは大きな伏線になるなあ。 そして、ここ数回ずっと揉めていた堺商人内の意見も、これで統一になったかな・・・ 室町幕府の滅びも目前に迫り、近畿は織田色に染まっていく。 石山本願寺という強敵が控えてはいるものの、大きな峠を越えた織田と堺。 そんな中、進行…

  • 読書感想:『剛心』 第十回(小説すばる 2020年 9月号 [雑誌]) 〜明かされる妻木の過去。何者かになろうとした若き日々の姿〜

    原口の回想から明かされる、妻木の過去。 言葉はあてにならない。見るべきはその人の行動だ 自分は何者でもない。だから結果が欲しい 時代は江戸から明治へ。 みんな、新時代で生き残るために、何者かになろうとしていた。 武士が商売を始めて笑われたり 武士のままでいようとして、刀を振りかざしたり そんな中、不器用で真面目で、そのくせ壮大な思いを抱く青年・妻木。 自己アピールをせず、黙々と何かをする。 周囲から浮くその存在は、妥協せず迎合せず、己を磨き続け、原口が出会うたびに、一廉の男に近づいていく。 あの天才肌で、憎々しく、それでいて何でもできてしまう活躍には、自分しかなれない何かへの尽きない努力があっ…

  • 読書感想:『塞王の楯』第十三回(小説すばる 2020年 9月号 [雑誌]) 〜大津再び!穴太衆、西国無双から城を守れ〜

    塞王の死、という衝撃と伏見城陥落。 匡介たちの悲しみをよそに、西軍は一気に近畿一帯を制圧していき、舞台は岐阜や尾張、伊勢に移っていく。 もう、出番はないのか。 源斎が体を張って得た情報を活かせる場は、ないのか。 依頼がないと動けない。 苛立つ穴太衆に大津・京極家から大津城防衛の依頼が舞い込む。 秀頼の母・淀殿の妹が奥さん 一族が秀吉の側室の出身地 豊臣家(西軍)との関係が深い京極家。 地理的にいっても関係値からいっても西軍所属、と思われていたにも関わらず、土壇場で東軍へと鞍替え。 西軍にとっては邪魔な存在に早変わりしてしまった。 ときは関ヶ原合戦間近、家康率いる東軍は美濃へ集結、三成の西軍との…

  • "私は面白かったよ。おまえが死ぬのではないかと、はらはらしながら待つ人生が" 読書感想:『チンギス紀』第四十回(小説すばる 2020年 9月号 [雑誌])

    母・ホエルン逝く。 チンギスからまた一人、大切な存在が去っていく。 ジャムカ死後、目に見えた強敵は無い。 当初は数百機だったモンゴル帝国は、今や数十万の軍勢を動員できるほど、その規模は拡張している。 (将来のライバルとなりそうなマルガーシが着々と成長しているけど・・・) 主だった将校は戦死や病死がほとんどなく、一軍を任せられるほどの存在がたくさん。 新たなメンバーも続々加入し、金や西夏との戦いに備えた歩兵の準備も着々と進む。 なのに、どんどん空虚になっていくチンギス。 なんだか、『楊令伝』後半の楊令と重なる・・・ (楊令と違うところは家族がたくさんいることと、方向性はもうみんなに認知されている…

  • 読書感想:『豪快茶人伝 下巻』 (大活字本シリーズ)〜こだわりが繋いだ茶の道。現代に続く茶の湯物語〜

    ※本書は文庫版の大活字本verを読んだ感想です。 内容は文庫版と同じなので、文庫本表紙も一緒にあげておきます。 茶の湯を繋いだ人たちの物語。 後編は江戸時代以降の茶人を追っていく。 パトロンが付いたことで、茶の湯は幕府御用達の流派だけではなく地方でも開花。 戦なき太平の時代となり、その時期が安定していくと、茶の湯が果たした役割は少しずつ変化していく。 忠臣蔵の決め手となった吉良上野介の茶会 享保の改革の敏腕老中が愛した茶器収集 大老として幕府を支えようとした井伊直弼が培った茶の湯の精神 茶の湯は、趣味・娯楽・アフターファイブの楽しみ(笑)といったサブカルチャーとしての価値はもちろん、職務では満…

  • 読書感想:『豪快茶人伝 上巻』 (大活字本シリーズ) 〜茶の道はつながった! 一杯の幽玄に命をかけた者たちの物語〜

    ※本書は文庫版の大活字本verを読んだ感想ですが、内容は文庫版と同じなので、文庫本表紙も一緒にあげておきます。 豪快茶人伝 上巻 (大活字本シリーズ) 作者:火坂 雅志 発売日: 2019/11/01 メディア: 単行本 もう5年。 数字を見て、驚いた。 もう、そんなに経ったのか。 確か、冬のスキー旅行で新潟にいたときに、この訃報を聞いた。 奇しくも火坂さん出身地にいた僕は、聴いた瞬間、火坂作品でよく描かれていた稲穂が目に浮かんだ。 冬を耐え、たくましく立ち誇る。 あの光景を、もう見ることがない、と脳が自覚したときの寂しさを、思い出した。 数多くの作品を手掛け、執筆途中だった作品もあった。 未…

  • 読書感想:『愚か者の城』〜行き方を知らない天下人への道。秀吉、生まれ変わる〜

    令和の秀吉像を作り出した矢野隆さんの傑作『大ぼら吹きの城』の続編。 www.motiongreen.net 今作は"天下人"という目指すべき姿を見出したものの、現実や未熟な自分とのギャップに苦しむ秀吉が描かれる。 お市の方に惚れてしまい、おねにバレて家庭は不穏な雰囲気。 気に食わない明智光秀がどんどん出世し、秀吉にとって面白くない日々。 おまけに「必要なのは武功」という概念に囚われ、殿(しんがり)を名乗り出たら、思わぬ自分の本性に愕然とする。 目指す先はあるのに、自分のダメさがどんどん現れていく。 燃えたぎるミッションを作ることができず、気がつけば周囲に壁を作ってしまう。 そして、ちぐはぐな自…

  • 2020年7月読んだ本のまとめ。~1日1冊 適正ペースを知っておく~

    この記事を書いているころ、全国的な梅雨明けがいよいよ、という話になってきた。 暑さは得意ではないけれど、暑くない夏というのもさみしいもの。 ましてや、晴れ間がないと憂鬱になってしまう。 ただでさえ、巷じゃ感染者が増えてきて、もはやどうしたものか、という状況なので・・・ さて、そんな中、7月は意外と読書に関しては苦戦の一ヶ月だった。 というより、読書以外のこととの兼ね合い・折り合わせが悪く、気持ちが分散してしまって集中できなかった、というのが大きい。 それでも、1日1冊ペースが崩れなかったのは、自分の中では僥倖。 8月以降はもう少し諸々のペースがあがってくるといいなあ。 積み本、そろそろ本格的に…

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