私は部屋に戻った。すると浜子がまたaikoを歌っていた。曲はスターだった。浜子は歌が上手く、みんなそれに聴き入っていた。私も悔しいけど聴き入った。浜子は嫌味なくビブラートを駆使した。私はビブラートの振動を体で感じるたびに、その波形を想像し、その波形から眉間の
「あのさ、君にこんなこと言うのなんなんだけどまず大前提の話するね。それの何が教育だってこと。ごめんねこんなこと言って。でもまず俺の話聞いて。君は晴人に中学受験させたいって言うじゃん。でもそれって「勉強が大事だから」ってことだよね?これからの世の中は勉強が
オネエ系の腹立ったときーー「ああああああ、マラたつマラたつ!」という一発ギャグがふと思いついてニヤニヤしながら国道を運転していると、前方で警察官が旗を振っていた。そして私に向かって左側の空き地へ入るように指示した。私は何が起こったのか分からなかった。検問
Q.この会社には社員が256人います。金玉の数は245個です。さて、男性は何人いるでしょう。その計算を見て俺は思った。なんて簡単な計算だと。答えはこうだ。A.男の金玉の数が1人2個とすると、245÷2で122.5・・・・え、おかしい。割り切れない。どういうことだ、俺の計算が
今日はハロフィン。子供達がお化けの格好をして街中の家を訪ねます。「トリックオアトリート!」訪ねられた家は皆、お菓子を子供達に渡してやります。すると子供達は「ハッピーハロウィン!」と言って立ち去ります。あるうちに子供達がやってきました。他のうちと同じように
「そこにいるのは誰だ」突然アンパンマンが研究所の方に向かっていった。と同時にその先に拳を向けた。研究員らはいきなりアンパンマンが何を言ったのか分からなかったが、研究所の方を見ると何者かが立っていた。そこにいたのはアンパンマンと同じような背格好をした二人組
こうして、妥当バイキンマンのための猛特訓が始まった。今の力でもおそらく倒すことができると思われたが、バイキンマンの知力は侮れなかった。アンピンマンを分析し、より強力なマシンと戦略を準備しているだろうとの推測から、こちらも相当の力を付ける必要があった。特訓
その夜、JAMはなかなか寝付けなかった。突然現れたてんどんまん、彼のおかげで皆が笑顔になった、妥当バイキンマンの気持ちも盛り上がった、てんどんまんは我らに味方してくれるらしい、しかしなぜ?それが分からなかったーと、JAMの部屋の扉が開いた。突然のことにJAMは驚い
その姿は明らかに人間ではなかった。頭が陶器のような素材でできており、彼が頭を棒で叩くとカンカンカンと音がした。なんだあれは?敵か味方が分からない存在に研究員達は困惑した。そして緊急会議が開かれた。対策案は二択に分かれた。一つ目は、バイキンマン襲来時に備え
アンパンマンとバイキンマンと闘いから1週間がたった。あのときバイキンマンは腹が減っていたのか、アンパンマンを跡形もなく食べてしまった。世界を救う唯一の希望であったアンパンマンは消え、世界は再び絶望の底へ落ちた。しかしJAM達は諦めなかった。バイキンマンが去っ
シン・アンパンマン エピソード7〜アンパンマンVSバイキンマン〜
とその時、外からものすごい轟音が聞こえてきた。ドシンという音と共に建物が揺れ、天井の電飾が点滅した。「もしかして!」butterが叫んだ。「あなた方はここにいて下さい!我々研究所のメンバーで外を確かめてきます!」butter達が外に出ると信じられない光景が目の前に広
会場中があっけにとられていた。何が起きたのかが理解できなかった。しかし会場の雰囲気などお構いなしに、アンパンマンは自らが作り出した天上の穴に向かってジャンプしたかと思うと、そのまま穴を突き抜けて空の彼方へ去っていってしまった。一瞬の間が開いたあと会場中が
結局のところ、JAMがとった方法は、乳酸菌にストレスをかけるというものであった。この方法には気の遠くなる時間と莫大な予算が必要であったが、乳酸菌をバイキンマンのBKM01と同じだけの改変を加えることは現代の技術では不可能であった。JAMのチームは何度も何度も失敗を重
こうしてJAM研究所によるバイキンマン抹殺計画が始動した。この計画は人類史上最高の発明である細菌感染の万能特効薬APMの頭文字を取り、アンパンマン製造作戦と名付けられた。アンパンマンの製造方法としてまず行われたのが、BKM01にバイキンマンが生誕以前に受けたのと同等
会議を終え、自身の研究所に戻ってきたJAMは椅子に腰掛けため息をついた。出席者から質問攻めにあったせいでひどく疲れていたのだ。質問には何一つ明確に答えることができなかった。会議で問題は提起された、しかしその解決策は?そう思うとまた心が重くなった。解決策の道筋
突如地上に現れたBKM01進化型に、世界中は恐怖した。BKM01の脅威とは、今までの細菌が引き起こしていた感染とは違い、純粋な暴力であった。BKM01は明晰な頭脳を持っていた。生存本能と人間への憎悪が引き金となり、それを体現するための意識をもつ器官が発達したのだ。その器
20XX年。人類と細菌の戦いには終止符が打たれていた。人類は長年の細菌との戦争に打ち勝ったのだ。今やどんな細菌の感染も止めることのできる特効薬APM(それは予防にも発症後にも使用できる)というものが開発され、人類の歴史から風邪という言葉すら消えかけていた。これに
え?田中は耳を疑った。そして柴田の本名を思った。柴田の本名は悠だ。「ユウって、俺と同じ名前つけてくれたんだろ?」柴田はニヤついていた。目の焦点も合っていないように見えた。寒さで体も心も限界に来ているようだった。「下山したら子供達に会わせてくれよ」やばい。
この感じでいうとまだ4分の1くらいか、俺は飽き飽きしていた。早く気づいてくれよ、そう思ってイライラしても待つことしかできない。俺みたいな存在は最初に存在に気づいてもらえればラッキーでそうじゃない場合は扉が開かれるまでひたすら耐えるしかない。ここにいるんだと
「ありがとうな」柴田は田中の目を見つめていた。田中は頭が錯乱して何を言われたのか理解できなかった。柴田はしばらく黙って口を開いた。「お前のこと友達と思ってたけどよ。こんなことまでしてくれるなんてな」田中は理解した。嘘がバレていたのだ。しかしもう隠すことは
俺は花坂悠が嫌いだ。なんだ花坂悠って名前。あいつに全然あってないじゃないか。あいつは勉強もできなかったし足だって早くなかった。もっと芋っぽい名前がお似合いなんだ。もっとも花坂悠はあいつの本名だ。あいつは本名でデビューした。俺はあいつのXをたまに見る。興味が
田中は答えた。「あ、ええとその時の気持ちで決めたんだよ。字画とか音とか」「なんかバラバラだね」「まあな」「どの子が字画?」「え」「どの子が字画で決めた名前?」「ええとカズヒサ」「シバタカズヒサって字画がいいの?」「ああ、姓名判断で決めたんだ」「あとは?」
田中は忘れないように頭の中で何度も繰り返した。「カズヒサ、タケオ、ユウジ、コウジ、ユウ、ユウスケ、ユウマ、ユウ、ゲンタ、ミツヒコ、、、、カズヒサ、タケオ、ユウジ、コウジ、ユウ、ユウスケ、ユウマ、ユウ、ゲンタ、ミツヒコ、、、」「全員おとこ?」突然柴田が聞い
それを言われても柴田は俯いたままであった。田中は焦った。まずい。もしかしたらすでに限界なのかもしれない。心身ともに疲れ果ててなにも柴田の心を動かすことはできないのかもしれない。いや、それか柴田の心はショックすぎて燃えすぎてしまったのではないか?燃え尽きそ
柴田は坂本の目を見たまま固まっていた。坂本も柴田を見ていた。柴田は何を言われたのか分からなかった。百合が田中の奥さん?こいつは何を言っているんだ?そう思ったが言葉が出てこなかった。しばらくこう着状態が続いたあと、坂本が口を開いた。「俺と百合は結婚している
田中は体を縮こませながら俯いていた。もう何時間そうしているか分からなかった。手はかじかんで、足の感覚もなかった。体力が残っているうちに掘った穴の中でじっとしていた。中から外の吹雪が見えた。真っ白な背景でも視認できるくらいの雪の量だ。そう、彼は雪山で遭難し
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私は部屋に戻った。すると浜子がまたaikoを歌っていた。曲はスターだった。浜子は歌が上手く、みんなそれに聴き入っていた。私も悔しいけど聴き入った。浜子は嫌味なくビブラートを駆使した。私はビブラートの振動を体で感じるたびに、その波形を想像し、その波形から眉間の
「いつもしかめっ面してるのよくないよ」って浜子に言われた。今言われた。一瞬何言われたか分からなくて目が点になったんだけど、恐る恐る己の眉間に人差し指を当ててみたら、確かにあたしの眉と眉の間はぐちゃぐちゃってなってた。それはまごう事なきしわだった。しかも結
隣に座ってる男がよく分からんカクテルを持って「これ飲んでみる?」と言った。俺は(ほらきましたよ)と思った。どうしてこういうウェイウェイ系の男って(女もそうだけど)自分が美味しいと思うものを人に味わわせたがったり(あれ?味わわせたがるであってるっけ?味あわ
テレビを見ていた妻が、私の方に振り返って言った。「ところでどうして下の毛整えてるの?」私は妻の前で裸だった。下半身を露わにしていたわけではなかったが股間はタオル一枚で隠れていた。脱衣所が寒いので、風呂上がりにこうやって居間で全裸でいるのはいつものことだっ
私の名前はいちごパンツ朱美。もちろん本名じゃない。芸名。芸名と言っても、私はお笑い芸人じゃない。画家。ライブドローイングをしたり、たまにSNSに絵を上げたりする。まあそれも芸といえば芸だけど、芸能ではなく芸術の方。芸術やってるっていうのは譲れない。どんなに揶
「高橋、部活辞めるってよ」副会長の阿部がそういうと、ざわついていた部員らが静まり返った。突然のことに皆耳を疑った。「ちょっと待ってくれよ。高橋ってあの高橋?」驚いた横田がそう聞くと阿部はこっくり頷いた。「そうだよ。部長の高橋だ。昨日、本人から聞いたから間
彼には変な癖があった。それは女性を頭の中で裸にしてしまうというものであった。彼がすこぶる性欲が強いという訳ではない。彼は哲学的であり思想的であった。あらゆる事柄について物事の本質を知りたいと思っていた。それは女性に対しても同じであった。より良く理解するた
クリスマスからわずか10日しか経っていないという驚愕の事実を世間の誰もが忘れるどころか考えもしない今、奇跡の9連休が終わる。たった9連休に「奇跡の」とつけてしまうところが日本人の勤勉さを物語っていて、それほどまでに日本人の休むことへの罪悪感は根深いが、とに
「写真撮りましょうよ」の一言にプロレスラーたまべはギョッとした。目の前には、今回の興行の主催元である羽村興業社長の羽村氏と、その妻である美穂子がニコニコして立っていた。僕が撮りますよと、練習生の一人が気を利かせて美穂子のスマホを受け取った。じゃあ明るいと
味平は苦い顔をしていた。人間が梅干しを思い浮かべると涎を垂らしてしまうように、味平は人生で一度も飲んだことのないコーヒーを目の前にしてうげえの顔を隠せなかった。しかしその顔は、日曜の人気店だとしても長すぎる待ち時間に対しての苛立ちということにしていた。目
事実上のオリンピック選考会を兼ねたフルマラソン大会の35km地点、残りの距離7キロ強という地点で、地元出身の優勝候補である柴田はしゃがんでいた。しゃがみながら、ふーっふーなんて息をして顔を歪めていた。オリンピック男子マラソンで久しぶりにメダルを取れそうとまで言
なにしろ俺の左肩の力は強大すぎる。どれくらい?と問われればパッとは思い浮かばないので、番組アンケートよろしく「特になし」と返答するしかないのだが、例えばメジャーでも大活躍間違いなしの力だといえば分かりやすいだろう。もしも俺がドジャース所属選手だ仮定すれば
今回お呼ばれしたのは、赤坂の老舗料亭での和食フルコースでした。月に一度、異業種の方々と美味しい料理を囲んでお話をするというのは本当に楽しい時間です。こういった場ではマナーが大事。当たり前ですが、皆が気持ちよくお食事をしてお話をする場所ですからね。ただ私“
「ほらお新よ。あそこにあるのが月じゃて」お新は草原でじじと空を見上げた。空にはまんまるの大きな黄色に光る玉が浮かんでいた。お新は、丸いだけで玉に見えるのは不思議だな、と思った。涼やかな風が吹き、すすきが揺れて頬をくすぐった。「月のおかげで我らはここにおる
ある朝目が覚めると、自分の体に違和感を感じた。重さがあり、普段より重く動かしにくいのであった。ふと顔に触れると、これまた奇妙なことに骨張っており、鼻は幾分高く感じられた。私は頭を少し上げた。すると、目に入ったのは中年男性のような体躯であった。体は一回り大
新宿駅の待ち合わせ場所に着くと、仕事の同僚である彼女はほっかほかの肉まんを両手に持っていた。形としてはちょうどウェイトレスがおぼんを持つ形であった。彼女の持つ肉まんからは湯気が出ており、そのものが持つ熱を彷彿とさせた。道ゆく人々がその異様な光景をチラ見し
新幹線なうです。今ね、ネタを書こうと思ったんだけどね、パソコンを広げて書きかけのネタブログ見たら全部消えててやんの。だからこんな文章書いてんだけどね。もうこのイライラをぶつけるんだったらパソコンにしかないよね。だから言ってやる。ダッサて。だってデータを有
池中「いやあ増岡さんて若いよねえ」増岡「え?私ですか?そうですかね?」池中「今いくつ?」増岡「53です」池中「全然見えないよね」増岡「何歳に見えます?」池中「うーん、30代半ばくらい」増岡「え?本当ですか?私そんな若く見えます?」池中「見える見える。言われる
僕は今おしっこをちびりそうになっている。不良に絡まれているからじゃない。そんなことが理由じゃない。今僕は吉野家から出てきたばっかりで、その時水をジャブジャブ飲んじゃったからだ。だけど偶然、不良に絡まれてもいる。僕が道を歩いていると、不良は「何見てんだよ」
家の鍵がぶっ壊れたせいで、橋下工務店の佐藤さんを家で待っていた俺は「佐藤さんが今日来なければいいのに」とずっと思っていた。だって今日佐藤さんが来ないことが確定すれば今すぐ俺は出かけられるし、近所の花屋のよしこちゃん通称スーちゃんの顔を見にターリズに行って
なんでだ。やめてくれ。そんなの酷すぎる。耐えられない。なぜこんな仕打ちを。何か俺が悪いことをしたのか?前世の因縁か?どうすればいいんだ。分からない。誰か教えてくれ。もう嫌だ。おじさんの乳首が浮いてる。笑っちゃう。おじさんが真面目な話をしているのに。職場の
ホテル内に併設された教会での結婚式にて、誓いの口づけの前に神父が言った。「あなたはやめるときも健やかなるときも妻を愛し続けることを誓いますか?」「誓います」「本当に誓いますか?」その言葉に出席者らはざわついた。だって新郎が誓いますって言ったらだいたい次の
パーティーテーブルの上に一輪挿しが置いてあったんだけどね、お花が飾ってあったんだけどね、そのお水を飲んじゃった人がいたのよ。多分緊張しちゃって思わずだったんだと思うんだけどね、でもその様子を見ていた出席者たちが一斉に俺のことを見たわけよ。これはつまりどう
おしっこがしたい。だけど我慢している。だって目の前に須川さんがいるから。この尊い時間を1秒でも無駄にしたくないから。それに立ち上がったら帰るきっかけを与えてしまうかも知れない。だから爆発しそうな股間に痛みを抱えて、前屈みで座っている。須川さんはというと、と
ああこんな会社もうやめてやる。やめてやるやめてやるやめてやるったらやめてやる!だって今後のあたしにとって良いとこ無しなんだもの。考えれば考えるほどデメリットしかない。まず会社が一部上場してない。私はもはや一部上場してない会社はクソだと思ってる。世の中に名
「いや、これは流石に無理ですよ」通信販売会社グッドネット、営業担当のエース柏原は直属の上司、部長の北村にそう言って顔をしかめた。部長の方も困り顔で柏原に手を合わせた。「いやそこをなんとか頼むよ」「そう言われたって、このスペックでこの値段じゃ誰も買いません
俺はとにかく近所の喫茶店で朝11時までやってるモーニングを食べたいから、朝は軽めで済ます。だってモーニングはコーヒー頼めばタダでついてくるし、しかも俺はコーヒーチケットを以前安く買えるキャンペーンがあったときに30万円分買っているから、気持ち的にはタダでモー
今日は彼女とドライブデートだから朝起きて鼻毛も切ったりするぐらいばっちり支度をしていざ彼女を迎えに行こうと家の外に出たら車庫に車がなかった。そのとき一瞬頭が真っ白になってえやべえ盗まれた?と思ったけどよくよく考えてみたら昨日車で都内に行って仕事先のビルに
日本映画大賞の授賞式で壇上に上がった俺は、日本映画協会の会長からトロフィーを受け取ると、ステージ真ん中のマイクの前に立った。ライトが照らされて眩しかった。この眩しさは俺が今世間から浴びている注目、そしてこれからも浴び続けるであろう注目を予感させた。この光
喫茶店に来た。普段はコーヒー一択だが、今日はなんか食べようと思った。なぜならお腹が減っていたからだ。「いらっしゃいませ。ご注文どうぞ」「ええと、サンドイッチかなんかあります?」「サンドイッチですと、キャロットラペかミラノサンドとなっております」ええとキャ
箱根駅伝で、我がわし田大学は先頭を走っていた。なんとまだ3区にも関わらず、2位集団に5分の大差をつける圧倒的な走りだ。ここまでは予想通り、いやそれ以上の走りを選手たちがしてくれている。他大学は助っ人外国人を出しているのに、我らわし田大学は日本人だけしか出
Vaundyの踊り子が超好きだ。出会いはカーラジオから流れてきた今週のポップチューンである。私はこの曲が流れてきたとき、思わず車を路肩に停めた。聞き逃してしまえばいつまた出会えるかわからない。だから集中して歌詞を覚え、スマホでそれを検索し、その曲がVaundyという
朝、会社で朝礼を待っていると、社長が入ってきた。社員らはすぐに椅子から立ち上がり、直立して社長のデスクの方を向いた。この会社は今どき上下関係や規律が結構厳しめのところなので、そういうのが当たり前だった。「気をつけ、礼」と、日直の須田が号令をかけると、みん
電車の車内で立っていると、目の前で男が足を組んで座っていた。帰宅ラッシュで混み合っていたが、男はふんぞり返って足を組んでいた。外は暗かったので、窓ガラス越しに男がパズルゲームをしているのが見える。赤とか青とか黄色とかの玉を並べて消すことに夢中になっている
小学校の国語の授業で先生が「転失気というものを知っていますか」と質問したとき、生徒たちは一斉にスマホを開いた。学校でスマホが禁止だったのは一昔前の話で、今や当たり前のように学校全員がスマホを持っていた。転失気とは何かっていう答えの調べ方はふた通りあり、ブ
私は考えた。このストレス社会、どうやったらストレスなく生きられるのかを。そして今、一つの答えに辿り着いた。その答えをここに記したいと思う。それは『毎日完璧にスケジュール通りに動き続ける』ということである。朝起きる時間、ご飯を食べる時間、家を出る時間、仕事
「おめえ、はなくそくっついとるぞ」相川桜は目の前の客にそう言われ、ん?という顔をした。知らない顔だった。おそらく初めてきたのだろう。年齢でいえば80代。自分の祖父より年上だ。孫に連れられてという感じでもなく、一人できたようだった。アイドルの握手会では珍しい
ある日あるところで誠実な男が死んだ。死んだものが皆そうされるように、男は生前の行いを神によって審判されることになった。男が裁きが執り行われる部屋に通されると、奥の祭壇に神が鎮座していた。男は固唾を飲んで神を見た。しかし神は黙って何かを読んでいた。男はどう
会社が非番だったので、何となく家の周りをぶらついていた。春の割に暑く、半袖でいても差し支えないような陽気であった。ふと小学校の前を通りかかると子供たちの声がした。私は金網越しに小学校の校庭を見た。どうやら昼休みのようで、たくさんの子供達が校庭で遊んでいた
「金玉がぶる下がっている」仕方のないことだが、これは事実である。どれだけ真剣に語っても真面目に語っても、彼には金玉がついている。私はふざけているのではない。至って真面目である。このことが世界を救うと信じている。ぜひ最後まで読んでほしい。例えば国会議員を想