古地図を歩く そのむかし池田村惣谷と呼ばれていた山里に麓から上ってくると殆どが坂道であり、人だけなら峰をまっすぐに這い登ればよいのだが荷物を運び上げる牛車...
自転車と環境について考えるサイトです
自然と人間の健康な環境づくりと都市建設をめざし、自然科学者、建築家、環境デザイナー各位のご指導も賜りながら、サイクリストが政治参加するチャンスとしましょう!
古地図を歩く そのむかし池田村惣谷と呼ばれていた山里に麓から上ってくると殆どが坂道であり、人だけなら峰をまっすぐに這い登ればよいのだが荷物を運び上げる牛車...
Googleで検索すると、AIは自転車環境党のような政党は実際には無いと言う。死んだ政党だとすると、わたしはその幽霊政党の幽霊党首だと言うことになる。今は...
R・シンの店 銀色の並木道を山に向かって登り、広場のある丘が見える当たりで横に入ると、輪廻地区はすぐに現れた。ネオンサイン...
R・シンの家 R・シンの家には人の良さそうな女中がいた。彼女の身体からは最初洗濯石鹸の匂いがしていたが、近付くと干物の質感と匂いが漂ってき...
岬町の風 僕は南西貿易の木村老人に会うために岬町に向かっていた。事務所のビルの窓から窺う限り、南西海運の看板は、骨のような橋を渡るとその下...
ブラックリスト 石田智子の机の上にそれはあった。それは何かの物体がそこに落している影のように見えた。空中に見えない何かが浮か...
月明かりの列車の影 月明かりの中を海岸列車は走っていった。すると、まるで水澄ましのように、灰色と銀色とそれを縁取るように青い...
砂の駅 真っ白な砂がアスファルトの隙間から吹きだしている赤くてあつい葉の海岸植物があちこちにひろがっていて七月の太陽をうけて海は眠そうに輝いている午後列車...
石積みのダム 髙木敏克高橋の黒い革ジャンには『蜘蛛族』という大きな字の刺繍があった。仲間の革ジャンにはボブ...
岬ホテル 髙木敏克 「岬でもっとも隅のお部屋をご用意させていただきました」とボーイは得意げにいった。ふたり...
月光 髙木敏克 ...
叙事的永遠 私の言葉が音もなく崩れ落ちてゆくその崩れてゆく言葉は美しくもないはずなのにその散りかたが実に綺麗 存在から開放され うつろぎ揺れ落ちる動きに ...
永遠の現在 高木敏克 久しぶりに近い親戚と家族が集まることになり全員の顔を思いだ...
ウェブの海を漂っていると、水先案内人は火災の港に導く。「加西市には美しい雲海が見られるスポットがあります。中でも加西市網引町にある『周遍寺』は雲海スポット...
富士正晴「贋・久坂葉子伝」を読み解く 高木敏克 行動する久坂葉子のドキュメンタリー風小説にはなにやら六甲山脈の闇の中の伏...
路傍の部屋 高木敏克 夜中に水脈調査のバイトをしていた夏の夜だった人が寝静まって町のノイズも...
空と風と星の詩人・尹東柱へ贈る 高木敏克 「ぼくは、まだ監獄の空気以外の空気を味わえるだろうか。これは大問題だ。いや、そ...
ハイネは、さまざまな史実の底にある本源的な詩の中に諸事実を溶かしこみながら、時代と人生の関連像を構築しえた稀有な作家だといわれている。――さらに、フランス...
ハイネの『ドイツ冬物語』を読む (2) 『ドイツ・冬物語』においてハイネはドイツ文学の水脈のなかに政治を含むドイツの現実を溶かしこみ、二律背反する時代と人...
ハイネの『ドイツ冬物語』を読む (1) ――次の詩は、ことしの1月、パリで書いたものであるが、その地の自由な空気はもともと、ぼくが好むよりはるかに鋭く、多...
水脈 夜の坂道には様々な影法師が張り付いていた。だが、僕が近づくとそれは起き上がって歩き出すのだった。坂道はうねっていて、何度も何度も起き上がる影法師に...
泣く女 蜘蛛男はソファーに座って背中を丸め口笛を吹きながら糸を出す長い脚を編棒にして出てくる糸で虫どもを編集するのだ女郎蜘蛛は発光色の糸を吐き泣く女の呪文...
蝙蝠の谷 少年たちは高取山頂の石の鳥居の上に立って蝙蝠を釣り明石海峡の夕陽を盗んで帰るがその顔はいつまでも火照っている遠くの旗振山の男にも鉄拐山の狼煙人に...
桃色の事務所 真っ青な空に白い鳥が絡まり、ガラスの破片が降ってきた。海鳥が一羽、事務所の中に飛び込み、真っ赤な鳥の血が書類の上に飛び散った。ギラギラと音...
奄美大島の国道58号線を南に下り、キャンマ山のある岬を半分すぎると長く湿ったトンネルに入る。だらだらと下る闇の坂道は滑りやすく、ときどき路面を光らせてみせ...
ヒンドゥー・ベトナム・メリケン語 港では光が点滅している様々な光が点滅しているまるで魂が呼んでいるようだ僕は意味の解らない言葉を聴くのが好きだヒンドゥー語...
鏡の中から メイカップをする君は、実は世界を塗り替えようとしている鏡の中を明るいパステルで塗っているのは真っ暗な瞳孔の中から世界を塗り尽くそうとするもう一...
レストラン「ミラー」 何時だってそうだが、港の明りは街の明りとは途切れている。港は闇の中に現れた。闇と海の静けさの中を潜らないと港は現れない。港の情景はい...
月明かりの中を海岸列車は走っていった。すると、まるで水澄ましのように、灰色と銀色とそれを縁取るように青い光りが闇の中で浮かび上がっていた。 電車の中は異...
孤島では 髙木敏克 しらされた島のさらに沖に孤島があり名前はまだしらされない万歩計が先にあるき雨がふり旅人は雨についてはしる バス...
1.「オデュッセイア」の黙示録 2024年12月5日 ぺラゴスの「レジュメ」 ――――永遠の神話から死すべき人間の叙...
暗闇に堂々と泥棒が入ってきたらしい昔の泥棒は泥の中を棒でかき回しながら入ってきたと書いてあるが今の泥棒はスポットライトで闇をかき分けながらやってくる変な...
発色 砂丘の喫茶店は化石になった骨のように乾いていた。中に入ると内壁は粗末な板張りで窓は一つだけあったが、鎧戸が閉じら...
さび 高木敏克錆は赤く浮かんで見えるがその裏には黒い錆が沈んでいる浮いた波に沈む男も浮いた分だけ沈んで錆びているので浮いた分だけでなく沈んだ分も...
風景の切れ目 1 浮森 君が死んでしまっているのに僕がまだ生きているのは、それだけで不思議な風景なのに、君はまた言った。「不思議な風景ねえ」三木市別所町...
バーテンダーの不在 バーテンダーが帰ってこないので客はグラスの隙間から自分の顔ばかり鏡で見ることになる。バーカウンターの高さは身長百八十センチの人に合わせ...
4職人には道楽を嫌うところがあり根本のところで人を避けている。「なるほど、バーテンダーは職人なんだ」と龍はつぶやいた。バーテンダーは急に自分の危険な側面を...
3三の宮北の繁華街のロルカビルの屋上に上がって龍は満月を見つけた。ネオンの隙間の闇の中に真っ赤な大きな満月が浮いていた。月の楕円の公転で最も地球に近づく日...
2 店主の名前は大觜のオオハシであり、下の名前は鴉のカラスである。大觜鴉は紛らわしいので呼名は大鴉となった。彼がこのスパニッシュ・レストランを父から引き...
宮丘町は峠にあるが、この辺りで昔の村は二つに分かれていた。宮丘町は宮川から続くが、宮とは長田神社のことで、峠の東と西は山で区切られている。地名というものは...
誰かが死んだ後の部屋というものは奇妙なほどに整頓されていて誰かがその死を恥じているにちがいないと思えるほどの寂しさに満ちている。スペイン料理店ロルカに入っ...
抜け殻 「大きな太陽を見ているよりは、小さな星を見つけたい。できれば自分だけの星を見つけてみたい。それは小さな夢のようで、実はとんでもなく大きな夢なのか...
南風 高木敏克 これで問題が解決したわけではない時が解決してくれるというのは本当かなぜ生きるのかもそうなのか 生ま...
風の曲がり角 道の両側は煉瓦塀の壁が高く長く続いていた。煉瓦色に挟まれた青空は限りなく遠くまで輝いていた。そのあっけらかんとした明るさにも関わらず、そこ...
岬病院 ジーパンの膝小僧から糸が出ているので引っ張っていたら、どうやら繊維質の自分の体がほどけているのであった。最近、乾燥肌がすすんでいると思っていた矢先...
河面 なまぬるい水が寒天のうすみどりで固まり少年は真っ逆さまに閉じ込められている水底に潜んで川海老を見上げると川面に自分の顔が映っている 水中の緑より夜の...
少年のころ、あのひとは野原の空井戸に落ちたが闇の中で独り空を見ていたそうだバス道が水脈を切り畑が笹原になり用水はすべての井戸から消えていた人が昇天するのだ...
蝶々 空気は透明なものだと信じている者にも透明に対する恐怖がある真に透明な大気は真の闇より恐ろしいそこで蝶々が飛んできて風の先端をカラフルに描きだす蝶々は...
死角から生角へ1927年生まれのニュージーランドの詩人ジャネット・フレイムの生涯を描いたジェーン・カンピオン監督の長編映画An angel at my t...
沼島 高木敏克 白骨に夜行貝が静かに語り始める寒天状の午後孤島ではビニール傘が全員にゆきわたる少女たちが拝むのは海底から立...
淀屋のクロノスの橋 高木敏克 河の流れをみていると水になって流れてみたく...
六月 幽霊船 海陽炎は闇に浮く五月珊瑚虫かたりが今を食べていて 四月黒潮に斜めに刺さる島もあり 三月 思い出の句置きみやげ漆黒の闇と夜光貝二月の句 大橋...
「クロノス・エロス・タナトス」は放り投げて忘れてしまった教科書を思い直して読み直すと意外と面白い読み物であることを発見したような気分になる本である。著者は...
高木敏克 少年老いやすくしおれちまった少年少女がソフトクリームを売っている理由というバネもなく 自由という羽根もなくなぜ生きるかという曲がり角で...
かなしみ喫茶は自動ドア 高木敏克 人はのしあがるように階段をのぼりへしおるように降りてゆく珈琲物語かなしみ喫茶はいつも人がいっぱい ...
本日2024年5月16日はペラゴス 勉強会です。倉橋健一さんとやりやってきました。 レジュメはよく読むと面白いので、読んでください。 高木敏克ドスト...
ドストエフスキイの「永遠の夫」の解読高木敏克 はじめに 「永遠の夫」は1870年に「悪霊」とともに起稿されているが(レーニンが生まれた年)、処女作「貧...
隣の部屋 いきなりこの部屋にたち現れたのは全裸の若い女性でどうも学生らしい白い壁の前にあらわれた肌は茶色でそれが彼女の色で陰りの部分にだけメラニン色素が...
暗闇堂々 暗闇に堂々と泥棒が入ってきたらしい昔の泥棒は泥の中を棒でかき回しながら入ってきたと書いてあるが今の泥棒はスポットライトで闇をかき分けながらやって...
夢が思い出す 夢を思い出しきれずに夢の断片だけで物語が失われるのは年のせいなのかと思う夢覚めの時思いだせない記憶というのははたして夢なのかそれよりもなぜ...
その日わたしが帰宅してドアを開こうとした時のことであった。いきなり隣のドアが開いた。おどろいた女の目がじっとわたしを見ていて離れない。そこまで驚かせてす...
さび錆は赤く浮かんで見えるがその裏には黒い錆が沈んでいる浮いた女に沈む男も浮いた分だけ沈んで錆びているので浮いた分だけでなく沈んだ分も掘りださなければなら...
岬工場 高木敏克 薄暮が迫ってくると遠くに光が点りはじめる。小さな光が命の在りか示すのだが、岬の闇がまっすぐ伸びて島につなが...
風の闇をのぞけ 村上春樹の「風の歌を聴け」のはじめのほうに野井戸の闇を覗く少女が出てくる。実は風の歌はそこから聴こえてくるのだ。その穴はぽっかり空いた心の...
今日は神戸珈琲物語で長田高校の先輩詩人に会ってきました。甲子園出場記念の帽子をプレゼントして戴いた。詩の根拠について楽しい語らいの茶話会となりました。大阪...
宮川に沿ってその家に行く途中に何本かの橋が架かり道から浮いたように高くこんなに浮いたり沈んだりして下には鉄筋の骨が埋まっている 風に晒されて地表は柔らかく...
六甲耳鳴りのする高度でヒルクライマーたちが蝶々を追っている雷雲が追ってくる山肌を包むように包囲しようとして包囲されていたのだたしかに山は鳴っている解放区な...
琴掛柳の影にはいくつかの死角があり止まったままの時間に躓くことがある空とともに私が映る床屋の水盤に鋏が解体されてふたつのナイフになる 風の吹く砂漠は布に...
あまりにも寒いので毛皮をかぶり羊になろうとした時のことであった若い時の革ジャンは記憶だけが重かった結末しか覚えていない悪夢のように 現実のような夢というも...
詩の会も終わって、二次会も終わって、地下鉄山手線の入り口で解散になった時に、シナトラに行かない?とサユリはいったのでみんなが振り向いた。黙って消えればよい...
風景の隙間では記憶の世界から夢の世界に時間が流れて南の銀色の海は朝から傾いている この乱雑な再開発の斜面の神戸にも山村の名残の坂道が続...
さび錆は赤く浮かんで見えるがその裏には黒い錆が沈んでいる浮いた女に沈む男も浮いた分だけ沈んで錆びているので浮いた分だけでなく沈んだ分も掘りださなければなら...
高橋は蛇の木峠のトンネルを出たところで右目の端に黒い石積みのダムを見つけて目が眩み、ハンドルを切り損ねて車体をバウンドさせて横転し、バイクは空中に舞い、...
ドライブウェイを登ってくる時には確かに見えていたのに、下るときにはなぜか見えなくなる石積みのダムがある。老人の話によると、その昔その谷には山間の部族がひっ...
ドゥニーズの部屋 水滴が玉になって転がるようなパリジェンヌのフランス語は耳に届くだけではなく胸に響く快さをもっている。ドゥニーズが喋るとそれだけでフランス...
サンマロへの道(1) 「久しぶりにお父さんがブルターニュから来るわ。飼っている大兎のお肉も持って来てくれるの」洋子さんからも少しは聞いていたけどドゥニーズ...
サンマロへの道(2) モンサンミッシェルで宿を取らなかったのは誤りであった。確かにあそこでは宿が取れたはずだ。海に浮かぶ寺院を背にしながら、どうしても振り...
サンマロへの道(3) リチャード・パーカー今という時間がいつまでも続く未来のやってこないノッペラボーの道だった。ようやくたど...
調査員Rの報告 保険会社はいくら保管金を支払っても損をしない金融組織になっている。支払い保険料は後...
エッセイ賞入選作の通知が届きました。
機関代理店がなぜ悪いかというと、自由競争を排除しているからである。企業が内部に保険代理店を作り、保険料の一部が手数料として戻ってくるとなると、代理店間の...
ダウンヒル 高木敏克 子供たちの声が消えると坂の上からカンカンが転...
ヒルクライマー 髙木敏克女は死ぬ前に話しておきたいことがあるといって、毎晩 ねるまで ねたまま上になり下になり...
共同保険とは何か? この取材は主人公のX研究員の報告として創作された小説のプロットなので、事実調査ではありません。作家の単なる想像力の産物です。 この話は...
出向社員の驚くべき発言 潜入記者の聞き込み調査――――小説―――――フィクションです 「なるほど、機関代理店のカラクリについてはだいぶん解ってきました。...
機関代理店への徹底追及潜入記者の決死の取材報告 ――――小説―――――― 機関代理店は、企業の「自己物件代理店」「別動体代理店」英語で...
出向社員の実態―――――侵入記者の聞き込み取材――――小説今回の事件では、大手損保2社の出向社員がそれぞれ3名だったのに、1社は37名だった。この異常な出...
機関代理店と保険バブルの関係 (潜入記者の報告)ーーー小説のプロット 保険契約企業が自ら保険代理店を始めるというのはどういう事なのか?まず考えられることは...
保険金詐欺の真犯人は誰か?(潜入記者の報告) これは小説のシナリオです。 損害保険会社は大企業から保険契約を得るために「機関代理店...
保険とリスクマネジメント 日本では保険といえば、リスクマネジメントの一手段として定着し、リスクを軽減したり転嫁したりするものだと考えられているが、これは保...
タイミング・リスクマネジメント 阪神淡路大震災においては市長も罹災し、市庁舎には出てこれなかった。司令塔の不在のまま、意思決定はなされず、救護活動、防災活...
反抗的人間L‘HOMME REVOLTEbyAlvert Camus このレポートは自分が文学作品を書くためのものです。 総 論 「革命家とは、す...
黒田喜夫「詩と反詩」の世界 読書会レジュメ by髙木敏克 黒田喜夫年譜 月十日闘いつ黒田喜夫(本名)父母父系は山形県西村山郡紫橋村中郷(現在河江市)...
悲劇メディア2023・4・23 カルメン1・ プロロゴス エウリピデスの悲劇「メディア」は紀元前431年の春、大ディオニソス祭において上演された。紀元前...
サンマロへの道 「久しぶりにお父さんがブルターニュから来るわ。飼っている大兎のお肉も持って来てくれるの」洋子さんからも少しは聞いていたけどドゥニーズお父さ...
墓をさがす 高木敏克梅の開花を追いながら川沿いを自慢の自転車で走っていると、谷間の懐かしい路地に迷い込んでしまっ...
ドゥニーズの部屋 水滴が玉になって転がるようなパリジェンヌのフランス語は耳に届くだけではなく胸に響く快さをもっている。ドゥニーズが喋るとそれだけでフランス...
瓦礫砂漠 砂漠にサイクリストが足をつく見渡せば地平を瓦礫が覆っているタイヤは砂に沈むが瓦礫は超えるのでたいていの道は瓦礫砂漠に描かれる...
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古地図を歩く そのむかし池田村惣谷と呼ばれていた山里に麓から上ってくると殆どが坂道であり、人だけなら峰をまっすぐに這い登ればよいのだが荷物を運び上げる牛車...
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月明かりの列車の影 月明かりの中を海岸列車は走っていった。すると、まるで水澄ましのように、灰色と銀色とそれを縁取るように青い...
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六月 幽霊船 海陽炎は闇に浮く五月珊瑚虫かたりが今を食べていて 四月黒潮に斜めに刺さる島もあり 三月 思い出の句置きみやげ漆黒の闇と夜光貝二月の句 大橋...
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高木敏克 少年老いやすくしおれちまった少年少女がソフトクリームを売っている理由というバネもなく 自由という羽根もなくなぜ生きるかという曲がり角で...
かなしみ喫茶は自動ドア 高木敏克 人はのしあがるように階段をのぼりへしおるように降りてゆく珈琲物語かなしみ喫茶はいつも人がいっぱい ...
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ドストエフスキイの「永遠の夫」の解読高木敏克 はじめに 「永遠の夫」は1870年に「悪霊」とともに起稿されているが(レーニンが生まれた年)、処女作「貧...
隣の部屋 いきなりこの部屋にたち現れたのは全裸の若い女性でどうも学生らしい白い壁の前にあらわれた肌は茶色でそれが彼女の色で陰りの部分にだけメラニン色素が...
暗闇堂々 暗闇に堂々と泥棒が入ってきたらしい昔の泥棒は泥の中を棒でかき回しながら入ってきたと書いてあるが今の泥棒はスポットライトで闇をかき分けながらやって...
夢が思い出す 夢を思い出しきれずに夢の断片だけで物語が失われるのは年のせいなのかと思う夢覚めの時思いだせない記憶というのははたして夢なのかそれよりもなぜ...
その日わたしが帰宅してドアを開こうとした時のことであった。いきなり隣のドアが開いた。おどろいた女の目がじっとわたしを見ていて離れない。そこまで驚かせてす...
さび錆は赤く浮かんで見えるがその裏には黒い錆が沈んでいる浮いた女に沈む男も浮いた分だけ沈んで錆びているので浮いた分だけでなく沈んだ分も掘りださなければなら...
岬工場 高木敏克 薄暮が迫ってくると遠くに光が点りはじめる。小さな光が命の在りか示すのだが、岬の闇がまっすぐ伸びて島につなが...
風の闇をのぞけ 村上春樹の「風の歌を聴け」のはじめのほうに野井戸の闇を覗く少女が出てくる。実は風の歌はそこから聴こえてくるのだ。その穴はぽっかり空いた心の...
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六甲耳鳴りのする高度でヒルクライマーたちが蝶々を追っている雷雲が追ってくる山肌を包むように包囲しようとして包囲されていたのだたしかに山は鳴っている解放区な...
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