『イ・サン』再考(3)即位の経緯1.第21代王・英祖の決断~サンの即位問題李祘(イ・サン:後の正祖・チョンジョ)の祖父・英祖が81歳の時(1775年11月30日)、高官たちを集めて言いました。気力が失せてきて政務が難しくなったからです。# 英祖(ヨンジョ)は<朝鮮王朝>第21代王。 ドラマ『トンイ』にあるように、淑嬪・崔氏(トンイのこと)の息子・ヨニングンです。「兵曹判書(ピョンジョバンソ:軍務の役...
大君 第7話(4) 女真・フリガイ族長の娘「ナウリがご一緒だと、通訳をしていただけるので安心です」(ギドゥク)「女真の言葉が分かるのですか?」「ええ、アボジと一緒に住んでいた経験もあります。 まだ言葉を忘れてはいません」「何と…、千の騎馬よりも心強い」裏工作をするヤンアン君「本当の主導者である私との会談の準備をしろ。 ウンソンではない」チンヤン大君の私邸「それぞれに武器が必要だ」「ええ、武器をかすめ...
大君 第7話(3) 男の生き方~男の生き方に惚れた女は一途ですナギョムが持ってきた湯薬「それは捨てなさい」「媽媽…」「先の王妃も側室も亡くなった時のことを知っているでしょう? 宮殿の外からの薬は危険です。 チンヤンの背後にはヤンアンがいます。 すべての疑問を排除するように気をつけて下さい」「チンアンの義理の兄の、 警護官のユン・ジャジュンは湯水のように国費を浪費しています。 王室入りしたものの、あの...
大君 第7話(2) 外泊随行して来たジャヒョンを見つけて、ほとんど言葉にならないフィの驚きでした。「どうしたら良いのか…?」「これを届けることができたので、もう大丈夫です。 帰ります」「冬が近いと陽が沈むのも早くなる」「徹夜で歩くわ」「このまま帰せるとでも思うか?」「今夜は天幕の中で寝て、 明日の朝早く、お付きと共に帰す」「…」「天幕を空にしておけば良かったが…」「男の格好をしているから、外で寝るわ」...
大君 第7話(1) 未完成だった防寒着軍を支援する者たちの中にはジャヒョンも加わっていました。「どこの家の者なのか?」「…」「俺はヤンアン君の家の出身だ」「私はソン領事の家の者だ」「領事の家にはたくさんの者たちが仕えているのに、 なぜお前のような若者が厳しいところに出征するのか?」朝からジャヒョンはいませんでした。「いったい、あの娘はどこに…? 一人で見送りの挨拶に行ったのかしら…?」書置き…オモニム兄...
大君 第6話(4) 北の戦地へフィとジャヒョン「いったいどうしたのか?」「媽媽は、また私を騙しました」「?」「戦争に出ると聞きました。 女真族という蛮族は、 農耕も狩猟もしない略奪者たちだと聞いています」「ナムジャ…」「首を刎ねて、頭の皮もはぎ取るそうですね? 聞くことは怖いことばかりです」「いったい誰なのか?そんな恐怖に陥れたのは?」「きっと大君だわ。 最初、誰だか知らなかったけど、こうして結婚す...
大君 第6話(3) 王の献身と忍耐~王としての運命ヤンアン君は、「自らの兄弟が戦地に赴くとなれば、 チョナの病気が懸念されます。 左議政のご長男(グァンのlこと)は、 これまでもその父親を助けて戦闘経験を積んでいますから、 私の補佐官にしたいと思います」さらに、「チョナの代行として世子を選ぶならば、 新しい代行は民の前にその資質を示すべきです」と、議論を誘導します。「それならばチンヤン大君が適任では...
大君 第6話(2) 大妃が出した条件~結婚との引き換えに「文官だろうが武官だろうが、良い地位を用意する」と、ヤンアン君とチンアン大君から金銀を貰い驚くナギョムの兄ユン・ジャジョンに与えられたポストは内禁衛(ネグミ:王の警護たち)の副官「何百もの者を集めます」「事が起きる時には、千人でも不足ですよ」ナギョムは宮中に出向くと伝えます。「宮中に何の用事があるのか?」「オマ媽媽から呼ばれました。 ウンソン大...
大君 第6話(1) 大妃の願いはウンソン大君倒れた文宗「チョナ、いったいどうして?! 何しているのか?! 早く御医を呼べ!」「何ですって?!」御医が言うには、事件の知らせを受けて、慢性の持病が再発したとのこと。「この冬も容態は良くなってはいませんでしたから…」「いつになったら意識を回復するのですか?」「気付けの湯薬を準備します」「国境では事件が起きています。 すぐにでも回復して貰わねばなりません。 ...
大君 第5話(4) 「俺は誓う。君だけを愛する」「三国史記」をヒントに、喝采を受けた演出でした。「きちんと演技を見たのかな? 何も言って来ないのか?」「確かに感動していましたが、 なぜ連絡しないのでしょうか?」「あ~、しかし、もう帰らないとな…。 今日許して貰えないと、次の手がない」婦人会「お二人はどこから来たのですか? 来週は姑の誕生日なので、 もう一度あの話を聞かせて貰えないでしょうか?」「私の...
大君 第5話(3) 旅芸人~道は書から開ける「王室にはお祝い事が続きますね。 お世継ぎも生まれ、王室には新しい女性も入った。 この上ない喜びです」「弟からもまた孫が生まれるでしょう。 オマ媽媽こそお元気でお暮し下さい」「チュサンには忠誠、中宮には慈しみを捧げなさい。 それがお二人の役目です」「たびたび顔を出して下さいね。 義理の妹が出来て幸せです」「赤ちゃんはお元気ですか?」「ええ、毎日毎日成長して...
大君 第5話(2) 友達の結婚式~届かぬ思い…月は満月で輝いている花壇は花で一杯花の影が月影と一緒になっている美しい人達が共に座っているこの世で私の最高の人ではないだろうか…「…」「!」ジャヒョンにはたくさんの手紙が届きます。「…」中宮殿には鯉のスープ「赤ん坊はチョナによく似て、可愛いですね」「大妃媽媽も、 チョナが赤ん坊の時によく似ていると仰せです」「ははは、誰に似てようと一向に構わん。 もう既に王子...
大君 第5話(1)彼女には触れるな~俺の女には決して触れるな!漢江(ハンガン)に飛び込んだジャヒョンすぐにフィも飛び込みます。「…」「…」「大丈夫か?息は出来るか?」「んん…」「泳げもしないのに、どうして飛び込んだのか?」「だって、降りて来いって言ったからだわ」「船を変えようという意味だ。 飛び込めとは言っていない」「…」「溺れて死んだらどうするんだ?!」「信じていたわ」「…」「救ってくれると信じていた...
# ドラマ『ファンジニ』をご覧になった方にはお解りのことと思います。着ているチマチョゴリは鮮やかな絹地ですよね。まず、キーセン(妓生)と娼婦は、まったく違うということを念頭に置いて、以下をお読みください。当時のキーセン・妓楼は、(私見ですけど)京都の茶屋と類似していると思います。『逆賊』で張緑水(チャン・ノクス)を演じたイ・ハニのステージを先にご覧下さい。(Amazing Grace)https://www.youtube.com/wat...
大君 第4話(4) 欲張りな男「フィが女連れだったのか?」「男の格好をしていましたが、確かに女でした。 男装して身分を隠した女と一緒にお忍びだったのです」「ところでソン・オクは何と…?」「王室の親類が政治に口を出すことは好まないとのことでした」「では…?」「何かの名分を与えないといけない」「…」「弱い王では強い官僚を作ることはできない。 強い王が安定した政治をもたらし、官僚の知恵を育む。 高麗の王のよ...
大君 第4話(3) 妓房にてチョ・ヨギョン「何の用事なのか?」「今日はお仕えしようと思います」「言葉に気をつけてくれ。 今日は用があってお忍びなのだ」「面白いですね。 大君…、若旦那にこのような趣味があるとは知りませんでした」「私には妓房に行く趣味はないから、断る」「絵を見たいです。 中国からある高官が絵を持って来ましたから、 ウンソン大君のお返しの烙印が欲しいのです」「…?」「北京の町の不通の絵師...
大君 第4話(2) 絵の友達?ユン・ナギョム「あの娘がジャジュンの妹なのか?」「そうです」「可愛いもんだ、ふふふ~」「ここに来たことをなぜ知っているのか?」「兄がヤンアン大君の屋敷に出入りしているからです。 今日はご一緒だと聞きました」「では、そなたのために監視する者がいるということだな」「お話があったので来ました」「?」「婚約を破棄して下さい」「婚約者が無礼だからなのか?」「大君が私のことを信用し...
大君 第4話(1) 心をこめて~届いた贈り物チンヤン大君が接近するところを見かけたフィでした。「どうしたのか?」「…」「…」「宮中で何かが起きているので、お帰りを…」「…」「…」部屋に戻って…。「お友達はお帰りですか?」「…」「アガシ、どうしたのですか? 外で何かあったのですか?」「いいや…」「?」「あ~」# ジャヒョンは、イ・ガンに腕を掴まれていたところをフィに見られたことで困った様子。世継ぎのこと「伯父が...
ドラマを紹介する一方で、史実をパラレルに別路線で記述したいと思います。『大君』:母(大妃)と息子(王)と孫(世子)~壮大なファンタジー高麗武士として北方の防衛で活躍した李成桂(イ・ソンゲ:初代太祖)将軍が朝鮮王朝を築いたのが1392年のこと。(国号が“朝鮮”となったのは翌年)その後は次男に第2代王(定宗)を譲り、さらに3男の第3代王(太宗)へと王位は禅譲されるのですが、いずれも長男ではありませんでし...
大君 第3話(4) 正気ではない人~イ・ガンソルファとナギョム「遅れたようだわね」「祝宴だから陽が沈んだ後の方が良いのでは?」「しかも、ジャヒョンに会うためだからね」「オモ、私じゃないの?」「え?!」「実は…、今夜に集まる男たちが私のお目当てだわ」(ソルファ)妓女ヨギョンの舞い「お酒を一杯頂けませんか?」「…」「お兄様がとても大切にしておられるようです。 今夜は、私がお友をするようにとのことでした」「...
大君 第3話(3) 宴席の前に~ティータイム刺繍のハンカチを見つめるフィ「…」競技の際の控室でフィに出会った時の話をしているジャヒョン「ただ上半身が裸だったというだけだわ」「わぁ~、もうそれで結婚は出来なくなります」「何言っているのよ。 間違って迷い込んだだけだわ」「どうして叫ぶとかしなかったのですか?!」「だって、驚いていて、何も考えられなかったわ」「どうでした?」「何が?」「若旦那は美男子でした...
大君 第3話(2) 大君の役目~次男と三男の差異クッタンはジャヒョンと衣服を取り換えて、両班の娘の気分。「そこじゃないわよ。 んん…、ここだわ」安氏(ジャヒョンの母)たちが帰って来ます「何しているのよ?!」「あんたは流刑にするわよ!」「どうか一度だけ許して下さい」「もう何度も許しているわ!」「私がクッタンに頼んだことなのです、オモニ」「この娘を追い出すわ!」「オモニ!」「奥様…」「だって、娘を追い出す...
大君 第3話(1) 刺繍のハンカチ控室に戻ったフィは絵の入った筒を見つけました。そして、戸張を切り裂くと…。「あの日は両班の娘で、今日は召使の姿に変身だな…。 いったい誰なのか?」「あなたに何の関係があるの? 出るから、そこをどいてよ」「侵入者は君だ。俺じゃない」「迷ってしまって、間違ってこの部屋に入っただけだわ」「どこの宮殿からきた密者なのか? 俺の馬を傷つけたのも君なのか?」「何のことなの?」「ま...
大君 第2話(4) ポロの試合の時の事馬球のウォーミングアップの際に、フィが思っていたよりも上手なので、「別の作戦を考えないといけないな」と、馬に仕掛けを指示したガンでした。馬小屋に忍び込むガンの配下「…」そして、ジャヒョンが期待した馬球(ポロ)試合しかし、「ジャヒョンは家にいなさい」(母親)「未婚の女性が行くところではない」(父親)「何を言うのですか? 新しい国では許されなくとも、オモニの時代には...
大君 第2話(3) アヤメと馬~絵師たちジャヒョンが自分の部屋に帰ると、そこでは母親が友達を招いておやつを食べて“おしゃべりの婦人会”を開いていました(実は賭け事も…)。「私の部屋で何をしているのですか?」「!」「何をしているかって…、おしゃべりだわ」「母屋があるでしょうに、なぜ私の部屋なのですか?」「なぜって…、 男たちがいないところに集まっているのよ」「は~」「みんな座りなさい。まだ話は終わっていな...
大君 第2話(2) お世継ぎ~弟か生まれてくる子か?チョン・ソルファとユン・ナギョム「ナギョンはわけもなく、ちょっと待てば次男のお嫁さんではなくて、 中宮殿に入れるわ。 王妃になったらお姉さんを上回れるわ。 王妃選びもすぐに始まるわ」「選ばれる道もあるではないですか?」「王宮は退屈だわ」「国の母になるのに?」「噂では世子は病弱だわ。 誰もが本当に王子なのかと心配しているわ」「哀れみでも欲しいのですか...
大君 第2話(1) 出会いのころイ・フィ池で亡くなったヨンヒの供養に大きな菊の花を流ししていると…、「ヨンヒや…」白い菊の花を矢で射る兄:イ・ガン「いつかこんなこともすると思っていました」「弟は何をそんなに深刻に受け止めるのか? 誰かが近寄ったことも分からずに…」「は~」「池に浮かんだ女の花と遊んでいるのか?」「…」「どうしたのか? 誰かが見えるのか?」「弓は控えて下さい。 作った人が辛くなります」「一...
『大君』 世宗の子供たち~王朝実録 第7代王ドラマ『大君(テグン)』で、チュ・サンウクが演じる第7代王・世祖(セジョ)は1417年生まれ。38歳で即位し、在位は13年間でした。少し遡ります。<朝鮮王朝>初期の王は正室・側室からたくさんの子孫を作りました。“ハングルの創製者(『根の深い木』など)”の第4代王・世宗(セジョン)にも、正室から8男2女、その他にも側室から12人の子供がいました(合計22人:...
大君 第1話(4) キングメーカー~太宗の長男(伯父)ギドゥクは見ていました。「!」ガンに突き飛ばされて、池に落ちたヨンヒ「!」「媽媽、助けて下さい!」「お前は嫌いなんだろう?!」「助けて下さい、媽媽!」「死ね!」「助けて下さい!」「ヒョン!ヨンヒは?! ヨンヒを見たか?!」「!」「人を呼んで来てくれ!」「なぜヨンヒは落ちたのですか?! ヒョンは見ていたのでしょう?! 助けるべきでしょう!」「…」「...
大君 第1話(3) 少年時代<ふたりの少年時代>イ・ガンとイ・フィの兄弟は別々に育てられていました。フィの兄への気持ちが詩となっています。「できたぞ」…一つの月が二つの場所を照らす遠く離れていても二人は月影を頼りに歩む月は毎夜、毎夜 二人を照らす紙の上に飛んで来たコオロギ。侍従のキ゚ドゥクは潰そうとしますが、フィは東屋の上から逃がしてあげます。<二人の性格>兄のイ・ガン「後で後でと、いつになったらな...
チン・セヨンもユン・シユンも、KJSでは初めてです。首陽(スヤン)大君(世宗の次男)をモデルにした、イ・ガン役のチュ・サンウク(右)は『善徳女王』、『ジャイアント』以来です。大君 第1話(2) リターン~生還した大君ルシゲは宮中に入って、…とにかく真っ直ぐに進む…。「テビ…、媽~媽、マ~マ…」ジャヒョンは荷づくりをしています。(アヤメ)王を毎晩見舞う大妃「媽媽、お身体に良くありません。 今夜は戻ってお休...
새해 복 많이 받으세요(セ―ボン マー二 パドゥセヨ:新年のご多幸をお祈り申し上げます)六龍が飛んで世界が平和になりますように。ウクライナに愛を💙💛新年から紹介する『大君』「大君」は王の正室の男の子の意味です。『大君-愛を描く(대군 – 사랑을 그리다)』中央はソン・ジャヒョンを演じるチン・セヨン・(左)イ・ガン:第4代王・世宗の次男(後の第7代王・世祖がモデル)・(右)イ・フィ:同上3男の安平(アンピョ...
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『イ・サン』再考(3)即位の経緯1.第21代王・英祖の決断~サンの即位問題李祘(イ・サン:後の正祖・チョンジョ)の祖父・英祖が81歳の時(1775年11月30日)、高官たちを集めて言いました。気力が失せてきて政務が難しくなったからです。# 英祖(ヨンジョ)は<朝鮮王朝>第21代王。 ドラマ『トンイ』にあるように、淑嬪・崔氏(トンイのこと)の息子・ヨニングンです。「兵曹判書(ピョンジョバンソ:軍務の役...
(イ・サンが建設した“華城”の建設資料:国立故宮博物館で2015.04撮影)「王の涙~(原題:『逆鱗』)」(4)この世のためにお風呂からあがって久々にサンに会いに行こうと…。サンに向かって、「母親の恵慶宮が“毒”を盛ろうとした」「…」「しかも、10歳の女の子に指示した。 どう処分しましょうか?」「ご随意に…」貞純大妃(チョンスンテビ)は、恵慶宮(へギョングン)の処罰を考えているところなので、直接会って話をしてお...
(イ・サンが建設した京畿道水原の“華城”:2015.04撮影)映画『王の涙~逆鱗』(3)刺客たちhttps://www.youtube.com/watch?v=2mUfBSYsar0&list=RD45UAworljWk&index=4(Youtubeより)ウルスを待つ老論派ウォレの養父カプスは養父殺害の際に、足元に血痕を残していました。それを発見した内禁衛将に尋問を受けました拷問に耐えつつカプスは、「王に合わせてくれ」と。サンの前に引き出されたカプスサンはカプスとの過去のことを思...
ドラマ『逆賊』では、ホン・ギルドンの父親・アモゲが中国の皇室が好んだという“黒細麻布(フクセマポ)”に目を付けて生産・輸出のビジネスを展開しました。# 美しい黒い麻布でした。こちらは映画『逆鱗』でのイ・サンの衣装。(製作2013年、日本公開2014年)実際に映画でヒョンビンが来ていた王衣(夏服)です。素材は黒い麻。(2014年の日比谷の映画館にて)# さて、ドラマ『イ・サン』ではサンが奴婢制度の廃止とと...
(イ・サンが建設した京畿道水原の“華城の南の門”:八達門・2015年撮影)# ドラマ『イ・サン』で描かれていた第21代王・英祖は、晩年になっては老論派(守旧派)との対立を避けて政治の安定のみを図っていたことが脚本(セリフ)からも読み取れました。また、認知症の初期でもあったのでしょうか少々短気でもあり、感情の起伏もあり、老論派+貞純(チョンスン)大妃の策略にも気づかなかった点が強調されているようです。そんな...
『イ・サン』再考(2)~サンの仲間たち(テーマソング)https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=youtube+%e3%82%a4+%e3%82%b5%e3%83%b3+ost&&mid=81EE4A1CB6CEBA91D48E81EE4A1CB6CEBA91D48E&&FORM=VRDGAR1.孝懿(ヒョンイ)王后・金氏(ドラマでの王妃役はパク・ウネ)王妃は9歳(1762年)でサンと結婚しました。その後はサンだけでなく義母にあたる恵慶宮(ヘギョングン)・洪氏(ホンシ)にも精一杯仕えて...
『イ・サン』再考(1)~悪女列伝の最悪女帝1.貞純(チョンスン)王后 彼女は極めつけの“歴史的なワル”と言えましょう。まずは時代背景。儒教の教義を巡る論戦は表面上のことで、病巣だと言われ続けていた王朝内の官僚や両班たち。彼らの私利私欲が根底にあり、勢力・派閥争いの渦を巻き起こしていました。そんな王宮では南人(ナイン)派や小論(ソロン)派を退けて老論(ノロン)派が各部署を牛耳っており、中でも外戚・金家...
これまで冊封国になる前の韓半島(ハンバンド)の歴史を、<古代韓半島>として振り返りました。今回アップして来た『王は愛する』の時代背景が、大陸と半島の歴史的関係のちょうど分岐点だったと思います。(冊封制度は、大陸が明の時代に完成したとされ、日本の室町時代にも明に朝貢したとの記録があります)元からの安全保障を得るべく、高麗第24代王が世子をいわば“人質”として元に預け、その世子(後の第25代・忠烈王)が...
大陸の元と高麗王朝1.王氏高麗ソン・ジナ作家は高麗末期を描いた『信義(シンイ)』で、当時の高麗最大の貴族・“奇(キ)”一族の家長キ・チョル(実在)を登場させました。妹は「元」の皇后となった『奇皇后』です。『王は愛する』では、ワン一族とウン一族を登場させています。いずれも貴族ではあるものの、史実としてはワン一族が王家の外戚です。リンの父親の妹が第25代・忠烈王の最初の妻(実在)です。ただし、父親(ワン...
王は愛する 第40・最終話 王は愛した…一度人生を体験して、もう一度人生をやり直してみたい。そうすれば二度目はもっと良い人生で、反省することは少ないかもしれない。(ウォン)# 以下は3人と師匠で作り上げたストーリーだと思います。イ・スンヒュ師匠のナレーション…元からの使節団は重要な情報を得ました。それはワン・ジョンからでした。…「私が反元勢力の主導者のことを知っています」と、ワン・ジョンはその勢力のこと...
王は愛する 第40話(上) 1297年の夏タンとサンサンがすっかり元気になって挨拶に来たので大喜びのタン「大丈夫なのですか?」「ええ、元気です。 ちょっとだけ、胃が痛みますけどね」「良かった!」「胃が悪くてもですか?」「良かった…」「ピヨンによく似て泣き上戸ですね」「そうなんです。 いつもオラボニに笑われていました」ハンカチを渡すチン・グァンでした。サンはこっそりと料理のコツを教えて欲しいとタンに…。家を...
王は愛する 第39話(下) 王は愛した~元からの調査団ウォンが宮殿に戻ると、元からの使節・調査団が到着していました。回復した王が玉座に座っています。「いったい秘書官は何をしているのか?」「使節団の面々にはたくさんの説明が必要でしたから…」「何を知りたいのでしょうかな?」調査を行った使節団が見せたものは小動物の死骸「元成殿の礎石から発見されました」「呪詛だと?!」「ワンビ媽媽は呪詛により亡くなったとい...
王は愛する 第39話(中) 陰謀の果てに(昨日のシーンのつづき)「私を裏切る気なのか? お前を救ったのは私だぞ。 衣食住を与えて、育てて来た」「一度も裏切ったことはありません。 命令に従い、たくさんの人を殺して来ました」 「これからもそうだ」「あなたは高麗のためだと言った。 しかし…」「あの女を殺せと言ったからなのか?」「ナウリこそ、元の国に高麗を歯向かわせようとしています。 国賊です」「ムソク!...
王は愛する 第39話(上) 解毒剤と玉璽~ムソクの良心今は人がいないウン判府事の元の屋敷駆けつけたウォンとリン。まず、リンは縛られたピヨンを見つけます。「助けて下さい!」「何があったのか?」「世子嬪媽媽とサンアガシが…」「どこなのか?」「もとのアガシの部屋の中です」「!」「これを!」「?!」「彼がくれた解毒剤です」「解毒剤?」「ええ、陽が沈む前までに飲む解毒剤です。 日没と共に死ぬと聞きました」# ム...
王は愛する 第1話(下) 娘・サンへの伝言ゴロツキたちのアジト「お前たちよりも役に立つ連中がいるそうだぞ!」「ところでどうしてこんなに武器が必要なのか?」「ウン・ヨンベク商団の荷物を奪う計画だからだ」「ウン・ヨンベクだと? 奴らの私兵は官軍よりも強いと聞いているぞ。 3日に一度は軍事訓練をしているぞ。 正気なのか?」「俺たちも刺客を集めている。 絹の一反もあれば一年分の稼ぎになるのにな~」「奴らは...
高麗(コリョ)の建国は918年。それから1392年(朝鮮王朝建国)までの474年は、後の朝鮮王朝(518年間)と同様に長い歴史です。ドラマ『王は愛する』は、高麗中期の歴史の転換点を舞台背景としています。脚本はソン・ジナ作家。(同名の小説をソン・ジナ作家が脚本にしたもの)また、ドラマ『信義(シンウィ)』も同じくソン・ジナ作家の脚本・小説で、舞台は14世紀末の衰退する頃の高麗でした。『信義』は第31代...
新羅の首都・慶州の仏国寺(プルグクサ)ドラマ『善徳女王(ソンドクヨワン)』と新羅(シルラ)の興亡大帝国だった高句麗が、唐と新羅の連合により足元をすくわれ、北に追いやられて渤海へと転じました。三国時代が終わった7世紀末のことでした。その唐と新羅の同盟関係ができる少し前のこと。新羅初の女王・『善徳女王』が第27代王として即位しています。ドラマはほとんどがフィクションなのですが、当時の時代背景としては、...
歴史を駆け抜けた八咫烏(やたがらす)ドラマ『朱豪』では、初めて国家のシンボルマークに三本足の八咫烏(やたがらす)がデザインされました。新羅と唐の連合軍に滅ぼされても高句麗のヤタガラスは歴史を駆け抜けます。1.南北の二国の時代へ668年、第28代の宝臓(ポジャン)王が新羅と唐との連合軍に屈服し、高句麗が滅びます。そこで新羅は、滅ぼした百済と高句麗の民や軍を吸収して、半島での覇権を我が物にしました。さ...
関西に渡来した豪族1.広隆寺と秦氏半島から4世紀から5世紀にかけて渡来した有力な豪族に、漢(あや)氏と秦(はた)氏の一族がいました。それぞれが奈良と京都に一大勢力を築き、とくに京都の秦氏は養蚕・機織り、農業灌漑の技術を伝播し太秦から嵯峨野にかけての農業用地開発と産業を発展させました。京都・右京区太秦(うずまさ)の広隆寺は、603年に秦河勝(はたのかわかつ)が聖徳太子から賜った仏像を本尊として建立し...
半島の三国時代ドラマ『朱蒙』のラストの解説ではソソノの次男が百済の建国者ではないかとの余韻を残しました。また、『太王四神記』では高句麗の版図拡大が描かれました。以下は高句麗、百済、新羅の三国時代の話です。1.三国時代後の第19代王・広開土(クァンゲト)大王(テワン)こと、タムドクが16歳で高句麗王となったのが391年でした。 広開土王の高句麗(コクリョ:고구려)が版図を拡大して次の歴史地図のような...
六龍が飛ぶ 第5話(下) ブニ(焚伊)小屋の中には8人、外に7人、帯刀した高麗人が5人、合計20人倭冦が捕まえた人たちを買い取り、元に売り払う高麗の奴隷商人です。バンウォンは救出計画を説明します。開京での奴隷の値段をちらつかせ、まずは安値で引き取ろうとする奴隷商人を追い払わせること。次に山麓に対価の穀物を置いていると騙して、ヨンギュが5人連れて手伝わせること。そしてヨンギュが5人を捕まえた後、再度ヨン...
六龍が飛ぶ 第5話(中) 女将軍バンウォンは“カササギ(magpie)”と呼ばれる男を捜して、劇団を訪ねます。日本(倭国)の海賊が出没するところに現れるとの伝説の剣士のようだと答えたのは、“カササギ”ことタンセでした。# タンセのメイクの白と黒は、まさに“カササギ”の白と黒です。ウ・ハクジュの屋敷を訪れるホン・インバンインバンは過去のペク・ユンの土地には90%の税率を課して、国家の名の下に、最終的には高麗政府が召...
第5話の前に昨日に続き、Kstyle エンタメ News より「六龍が飛ぶ」に主人公のユ・アインとピョン・ヨハンが登場し、ストーリーの本格的な始まりを告げた。特にユ・アインは土地は確かに高麗だが、朝鮮と記されている地図を発見し、新しい時代の到来を予告した。「六龍が飛ぶ」第4話ではイ・バンウォン(ユ・アイン)が高麗の土地なのに朝鮮と記されている地図を見つける様子が描かれた。イ・バンウォンは腐敗した高麗に懐疑心を抱...
七夕の日の夜「もうあんたの顔を見たくないから帰りなさいよ!」「…」悲しくて怒るプニ「もしも俺が止めに入ったらユニも俺も殺されていた…。 タルバンおじさんは目の前で殺されたんだ」「オラビだって死んだらよかったのよ!」「…」「ヨニ姉さんがどれだけ好きだったか分かっているの?! 毎日、毎晩オラビのことを心配していたのよ! 毎晩帰りを祈っていたのよ! 家からこっそり布を持ち出してオラビの服だって作ってくれた...
六龍が飛ぶ第4話(中)烏鵲橋(オジャッキョ)「あんたが彦星になってくれないなら、 私は織姫にはならないわ」…。ヨニから告白されたタンセでした。ここはヤングァン道イス郡の村ヨニは村の人気者の織姫でした。約束どおりにヨニの家に毎日を水汲みをして届けるタンセ。他方、何かと近寄ってくる若者たちも大勢でした。(“彦星”の服を縫うヨニと若者たちを睨みつけるプニ)開京の都堂(高麗の議会)「たかがモンゴル語の通訳の...
六龍が飛ぶ第4話(上)彦星と織姫バンウォンは「正義とは悪を排除することです!」とホン・インバンに言いました。そのことからインバンは「もしやあの子がイ兄弟を…?」と疑います。「こんな遅くにご用ですか?」「まさかあの夜のことは…?」「あの夜、 ホ・ガンの服の紐を残したの師匠でしょうか?」「それでも師匠と呼ぶのか?」「善と悪を教えていただいたからです。 あの夜、師匠は悪い事を行い、 私は正義を果たしました...
六龍が飛ぶ第3話(下)正義とはイ・インギョムとキル・テミ「ペク・ユンとケンカするつもりなのか?!」「ホ・ジョの息子の味方をしているからです! 私の息子が罰を受けそうなのに、 何もできないではないですか?!」都堂3人衆に今回の成均館の事件で亀裂「何とか助けてください」というキル・テミに、インギョムは、「いい加減にしろ! 今度私を煩わせたらお前とて殺すぞ!」怒り狂ったキル・テミが帰宅するとホン・インバ...
六龍が飛ぶ 第3話(中) 禁じられた思想ヨンボンサ(龍鳳寺)「人間性と正義が大切にもかかわらず、 なぜ王は利益だけを主張するのでしょうか? そうなれば、学者も民も利益だけを追求します。 そして身分の上下間でも争いは絶えません。 そして、 私利私欲に走って逆に国を危うくします」「素晴らしい…」「…」「お前はいつの間にか発音も開京の人になってしまったな」「しかし、 国はどうやって豊かにできるのでしょうか?...
六龍飛天第3話(上)成均館で学ぶ民心を動かしたチョン・ドジョンでしたが、逮捕されて尋問にかけられます。「一人では何もできないはずだ。 お前の背後には誰がいるのか?」キル・テミは焼き鏝のような野蛮な拷問はチェ・ヨン将軍がやる手だと、濡れた布で呼吸を止める拷問を行います。イ・ソンゲとバンウォン、それにバンウ(長男)「ハンジュには帰らないとは、なぜだ?」「俺と一緒に開京に住みたいのか?」「成均館で学びた...
イノライフ・エンタメ・ニュースより『六龍が飛ぶ』でキム・ミョンミンの鳥肌の立つ名演技で彼だけの鄭道伝(チョン・ドジョン)を完成させた。SBSの月火ドラマ『六龍が飛ぶ』第2話では、李成桂(イ・ソンゲ、チョン・ホジン)は李仁謙(イ・インギョム、チェ・ジョンウォン)に弱みを握られて咸州(ハムジュ)に帰ることにした。このことを伝え聞いた士大夫は驚き慌てた。チョン・モンジュ(キム・ウィソン)は李成桂に会うと言い、他の士大...
チェ・ヨン将軍 『信義(シンイ)』より(photo cap. by nana)六龍が飛ぶ第2話(中)元の使節団ちょっと分かり辛い話の流れなので、推論を含めてまとめておきます。貴族3人組…イ・インギョムたちは、滅び行く「元」と台頭する「明」の国際情勢を把握していません。そして、過去からの既得権を守るために、「元」との縁を切ることはしません。さらに、イ・ソンゲには「明」との戦争準備をさせようとしていたようです。チョン・モ...
チェ・ヨン 『信義(シンイ)』より(photo by nana)六龍が飛ぶ 第2話(上) 辞退して咸州(ハムジュ)に帰る李成桂高麗武士の心情を突くイ・インギョムでした。イ・インギョムは架空の人物ですが、『信義』でのキ・チョル(実在の貴族)のような(王室を軽んじる)政界のトップだと思えば良いと思います。過去に信じる人を裏切ったこと、忠義に欠けたことを責められて、イ・ソンゲはイ・インギョムに一歩引き下がります。そし...
チェ・ヨン(『信義(シンイ』より)「秋の日のビオロン(バイオリン)のため息 ひたぶるにうら悲し」1944年6月6日の英米を中心とするノルマンディー上陸作戦(作戦コード:「ネプチューン」)に先立ってのラジオ放送でした。これに呼応してレジスタンスやパルチザンも一斉に立ち上がりました。そして、ナチスドイツによって占領されていたフランスの解放の第一歩となりました。ウクライナに愛を💙💛六龍が飛ぶ第1話(下)高...
高麗への帰国の際に空を見上げるチェ・ヨン(30歳の頃です)。ドラマ『信義(シンイ)』より(photo by nana)六龍が飛ぶ 第1話(中)子豚ちゃんの話開京町のはずれには地方からもやって来た乞食たち(# いわゆるストリートチュルドレンの孤児たち)「二手に分かれて稼ぐんだ。 ところでお前のオンマは赤ん坊を産んでから、 どこに逃げたのか?」「オンマは逃げてはいません!」「分かった、カプン。 今日は何とか食べ物をく...
# 『六龍が飛ぶ(六龍飛天)』は、高麗時代末期の1383年頃からだと推定できます。ドラマ『信義(シンイ)』は1351年の第31代・恭愍(コンミン)王の即位からスタートしましたので、あれから約30年後の話です。『信義』はタイムスリップのファンタジー+史劇でしたが、史実がしっかり押さえられていたので、コンミン王と王妃(魯国公主)やウダルチ(王室警護)のチェ・ヨン(崔瑩)将軍、また敵のキ・チョルも実在の人...
『大君』より「背徳のクーデター(2)」首陽大君の蜂起(癸酉靖難:ケユジョンナン)から、王位の奪取までのシナリオは配下の韓明澮(ハン・ミョンフェ)と権擥(クォン・ラム)などが作ったとされます。そして、王位に就くに当たっては、(ウィキペディアでは)この策士(友人同士)の他に、譲寧大君が後押し。「譲寧大君(世宗の実兄)や権擥、韓明澮らの後押し」とあります。ちなみに、権擥は官僚だったのですが、韓明澮は科挙...
<朝鮮王朝>は14世紀末から20世紀初に至る518年の長い歴史なのですが、18世紀末のアメリカ独立やフランス革命などの時代になると、海外からの影響がさざ波のようにひたひたと及んできていたと考えられます。逆に言えば、それまでの<朝鮮王朝>では絶対王政の中にあって王室内の権力争いや、王室と官僚たちの綱引きに明け暮れていたように思えます。王朝「クーデター」考(中)ドラマ『大君』より~背徳のクーデターもっ...
今の私たちは極東アジア唯一のG7国であることを誇りに思い、またアジアの朋友国と共に民主主義の輪を広げる一翼を担っていると考えています。そんな中で「武力」によって国際秩序を変えようとするロシア政府(および軍部)によりウクライナが侵攻を受けています。まるで時計の針を逆回転させるかのような時代錯誤の行為です。ウクライナに愛を💙💛さて、ドラマ『華政』に続き『御史とジョイ』を振り返りました。『華政』で描かれた...
# 今日はジョイが髪をアップにします。 さてどのように? 写真上・左はテスモリ (結婚式の王妃の髪型です) 写真上・右はトクジモリ 写真下・左はチョクチンモリ 写真下・右はオヨモリなお、離婚後のジョイの三つ編みの髪型はテンギモリです。(テンギはリボンのことで、モリとは“頭”とか“髪型”の意味です)御史とジョイ第16話(おわり)ジョイフルワールド~共同体の仲間たち漢陽の宮中では大騒ぎ「チョナ!」「御医を呼...
(漢江の下流の江華島)御史とジョイ第16話(最終:中)両班(ヤンバン)シェフからの贈り物~「脱賤」証明書「ははは、開店準備が出来たようだな」「ところで饅頭房の料理長はいつ来るのですか?」「あ~、ちょっと待ってくれ…。 呼んでくる」「俺たちの若旦那が満足できる料理長はいるのか?」しばらくして着換えたイアンが、「朝鮮王朝最高の料理長が出道!」「!」「料理長のパンドクと申します」「やい!パンドク! 腰が...