オリジナル学園伝奇小説連載中
高校生の少女那須野結繪と化野音音(あだしのねね)。狐の化精・葛葉と静葉の力を借りた少女ふたりと、唯一の神を信奉する第2契約者たちとの戦いをえがいた伝奇小説。
第9話 「オオゼキはまだ?」 「まだ、連絡が取れません。 クボタたちを捜索に出してるんですが…」 糖度20オーバーするバナナ・雨林23号を入手したという連絡のあと、 熱海から、国道134号線沿いに増援を--と 言って寄越したきり、 予定時刻を過ぎても小田原に現れず、 消息が不明になっていた。 化野家の私兵・河童ガードのほとんどを、 海沿いの134号線に動員していたが、 今日、土曜日の12時を回ってもその行方は知れず、 会場のキッチンスタジアムでは、 道楽チェーン側スタッフのイライラが募っていた。 「こうなったら、 確保してある普通の品種でやるしか…」 焦れる桜花に音音は、 「まあ、待ちなさい。 桜花、あなたがそれでは、 みなが浮き足だちますわ」 と他には聞こえないように諭した。 「待てば海路の日和ありと いうではありませんか?」 音音が..
第8話 電車のドアが開いた途端、 3人はそっと最後尾の車両から抜け出していく。 中ほどの車両に乗っていると報告をうけている敵が車両に乗り込むのと 入れ違いになるように飛び出したので、 少しは時間がかせげるはずと判断したが、 バレるのは時間の問題だ。 ホームから路線に飛び降り、 脱兎のごとく線路を横断すると、 フェンスを乗り越え、 街中の雑踏の中へ紛れ込んだ。 バナナを会場に届けるためには、 迂回するにしても最終的には東に向かう選択肢しか選べない。 そう言う意味で、 伊豆半島の根元にある熱海は、 東は海、 西が山になっており、 海岸線を南北に走る熱海海岸自動車道と その少し山側を走る国道135号線以外は、 港で船に乗るか険しい山道を行くしか手がない。 当然、港や山道にはすでに人を配してあり、 蟻のはい出る隙間もなかった。 だが、海岸へそそぐ初川..
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