「ニ楽亭へようこそ」されどバナナなれどバナナ その9
第9話 「オオゼキはまだ?」 「まだ、連絡が取れません。 クボタたちを捜索に出してるんですが…」 糖度20オーバーするバナナ・雨林23号を入手したという連絡のあと、 熱海から、国道134号線沿いに増援を--と 言って寄越したきり、 予定時刻を過ぎても小田原に現れず、 消息が不明になっていた。 化野家の私兵・河童ガードのほとんどを、 海沿いの134号線に動員していたが、 今日、土曜日の12時を回ってもその行方は知れず、 会場のキッチンスタジアムでは、 道楽チェーン側スタッフのイライラが募っていた。 「こうなったら、 確保してある普通の品種でやるしか…」 焦れる桜花に音音は、 「まあ、待ちなさい。 桜花、あなたがそれでは、 みなが浮き足だちますわ」 と他には聞こえないように諭した。 「待てば海路の日和ありと いうではありませんか?」 音音が..
2016/10/30 04:42