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ユーモア東方見聞録 http://jikil-hide.seesaa.net/

サラリーマンの目から見た東南アジアの実情を脚色を交えてユーモラスに描いた抱腹絶倒の旅行記

自称サラリーマン四文作家である私、字切俳人が偉大なる偏見と色眼鏡をもって天衣無縫に書き連ねる。

字切俳人
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住所
四日市市
出身
土岐市
ブログ村参加

2009/11/18

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  • タイ編 その1-19

    時計はすでに十二時を回っていたが、日本との二時間の時差のためか、あまり空腹感はなかった。マリオの運転する我々の車は、先方を走るルイージの車を追うだけである。無線なぞもちろん無いため、行き先の変更は容易ではない。、また、先導車には、重役様御一行がご乗車されておられるため、どこへいくかは先導車まかせである。 車外を見回すと、かなりの田舎を走っている。水はけの悪い湿地帯が広がる。籐製の三角帽をかぶった農夫が家畜を御している。壊れかけた荷車を引っ張る婦人。あるいは、時折見える掘立小屋の中でじっとなにもせず佇む男たち。子どもたちは、上半身裸で戯れている。タイの田舎の風景が車窓を流れていった。当..

  • タイ編 その1-18

    その後、H氏は出てくる気配がなかった。たぶん事務所内でこっぴどく叱られ、調書でもとられているのだろう。 「確かにバカにつける薬はないが、今回の件でヤツも相当懲りるだろう。こういう輩は痛い目にあわんとわからん」 私は助けにいこうかと思ったが、本人のためと思い、しばらく様子を見ることにした。 皆は気を取り直し、残っている弾を撃っていた。 バキューン、バキューン、ドーン すると、私の上司である総務課長のシキシマ氏が、しゃがんでなにやらかき分けている。 「なにをしているんですか、課長?」 シキシマ氏は顔をもたげ、ニヤリと笑った。 「これはお土産。銃を撃った記念だよ」とい..

  • タイ編 その1-17

    とぼとぼと歩いていると、運転手のマリオが耳打ちをした。 「拳銃を撃ちたいか?」 「えっ」 「このワニ園の裏側に銃を撃つ場所がある。もし興味があるならいってみるか?」 「それは面白い。私は子供の頃から西部劇の大ファンだ。かねてよりスミス&ウェッソンは、ぜひ手にとってみたいと思っていたが、未だに水鉄砲しか撃ったことがない。是が非でもいってみよう」といった。私の好奇心は、高血圧者のように高ぶった。 バキューン、バキューン、バシッ、バシッ。 拳銃の爆音が聞こえる。二、三人の男がバッティングセンターのような緑色のネットの中で銃を撃っている。 「ものすごい迫力だ。はたして自分に撃て..

  • タイ編 その1-16

    後方では我がツアー御一行がヤンヤの歓声を上げている。 このショーは、二頭の象がダンスを踊りながら、三段跳びで横たわった人間をジャンプするという死と隣り合わせの余興である。私は目隠しをされ、三段跳びの最終ジャンプの場所に寝そべった。 「誰が考えたか知らぬが、恐ろしいショーだ。もし生きて生還することができたならば、必ずやヤツに報復しなければならない。決して這い上がることにできぬほどの底深い落とし穴に・・・。私はH氏への復讐を誓った。 ファンファーレが鳴り、ドコドコと象がダンスをしている地響きが聞こえる。冷や汗が出、心臓が高ぶり、全身に鳥肌が立った。 ドンドン、ドコドコドコ ..

  • タイ編 その1-15

    この日の私は、H氏の嵐のようなイビキに何度も目を覚ました。寝ても覚めても人に迷惑をかけるヤツである。すると突然、下腹に刺すような激痛が走った。トイレへと駆け込んだ。 明らかに下痢である。私は目を覚ます度にトイレへと駆け込み、朝を迎えた。私は夜のトイレの番人となっており、イビキと下痢の二重苦のため、寝不足状態となった。 翌朝、玄関を出ると、運転手のマリオとルイージが待っていた。彼らとは今日までの専属契約をしていた。工場の視察及び打ち合せは明日のため、本日はクロコダイルファーム(ワニ園)へいくことになった。 私は映画狂であったゆえ、子供の頃に見た映画、「戦場にかける橋」の舞台とな..

  • タイ編 その1-14

    灯りはだんだんと薄暗くなっていき、百メートル以上続いた出店は、やがて飲み屋街へとその顔を変えていった。 「非常に薄気味悪い・・・」 西洋人と思しき男二人が、店の入り口でなにやら現地人と交渉している。あちらこちらで奇声が上がり、酔っ払いが眼前を通り過ぎていく。私はさらに奥へと歩を進めることにした。 ここまでは、少々派手な日本の飲み屋街と似ている。しかし私が足を踏み入れたこの奥は、どう見ても怪しげな歓楽街であった。街灯はなく、店のネオンだけが薄暗く道路を照らす。だがそれは、今まで見た日本のどの歓楽街よりも気味が悪く、恐ろしい悪の雰囲気に満ちていた。 ここで私は自分一人で歩いてい..

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