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2009/10/25

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  • 【本編-13】

    「嘉早音、それはいけないよ…私は本当なら関わるべき存在ではないんだ…最期は私なんかじゃなく良い人を見付けて」遮る様に嘉早音がこれだけは譲れないと付け加えた。「私の唯一の身内なんだもの、それくらいちゃんと覚えておいてね」にこにこと笑う嘉早音に対して緋早音は遺言を聞いた様な錯覚となり無言になる。一瞬何かを発しようと僅かに口が開くが言葉を発する事なく立ち上がる緋早音。障子の外に歩き出す。「暗者が嘉早音から私の気配を少しでも感付き動いたら私は動く。この村を平和で留まらせたいなら嘉早音もそのつもりで」緋早音の気配は跡形もなくなっていた。「緋早音…」緋早音の人間の感覚は薄れつつあるのを嘉早音もまた気付いていた。いつからだろう。緋早音は人間に執着を失っていた。人間である自分の存在が辛うじて緋早音を人間の世界へと繋げている。彼...【本編-13】

  • 【本編-12】

    布団から起き上がろうとする嘉早音を優雅な指が静止して白髪の赤目の物の怪は嘉早音の傍に座り込んだ。両足を折り曲げ体を丸くする様に座り込むその姿は人間染みた印象を受ける。「緋早音こそ、大丈夫?」「あの程度の力の人間に私が馬鹿を踏む事はない」自信に満ちたその声に偽りはない。嘉早音もまた気付いている。緋早音は物の怪の中でも別格の位置にいるであろう存在だと。彼女がこの村から離れた直後、いや、再び嘉早音の前に現れた直後のあたりまではそうは思わなかった。だが、今や会う度にますます嘉早音と緋早音の距離は大きく開くばかりである。彼女が物の怪で、自分が人間だという変わりようのない違いを思い知らされる。「神様みたいね、緋早音は」思ったままを口にした嘉早音はくすりと笑った。奇妙な人間と物の怪の繋がり。蜘蛛の糸の様に危ない綱渡りをし続け...【本編-12】

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