◇ 日経平均、4月は1964円の大幅安 = ダウ平均は先週436ドルの値上がり。終り値は3万8600ドル台にまで戻している。FRBが金融政策の現状維持を決めたことは、完全に織り込み済み。市場では「一つの儀式が終了した」という感じ。また週末に発表された雇用統計は予想を下回り、インフレ抑制への期待が高まった。さらに1-3月期の企業業績も堅調で、中東情勢に落ち着きが見えれば、株価はまだ上げそうな気配をみせている。日経平...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 外国人だけが享受できる円安メリット = 主要国の通貨に対する日本円の相場が、大幅に低下している。米ドルに対しては140円台に下落、昨年11月以来6か月ぶりの安値となった。ことし1月の高値127円に比べると、13円も安い。企業の多くは125-130円を想定しているから、利益は増える。このため市場では輸出関連銘柄が買われ、日経平均も急激に上昇した。円安が急激に進んだ原因は、日米間の金利差が拡大したこ...
◇ 日本人は大幅な売り越しなのに = 東京市場の株価が高い。日経平均は先週3万1000円前後にまで上昇、実に33年ぶりの高さを回復した。先週まで7週間の連騰で、この間の上げ幅は3398円に達している。買っているのは、主として外国人投資家。その半面、国内の投資家はほとんどが売っている。なぜ、こんなことになったのか。いつまで、この状態が続くのか。とにかく外国人投資家は、よく買った。日本取引所グループの集計によると、...
◇ 政府債務問題は原則合意した = ダウ平均は先週333ドルの値下がり。終り値はかろうじて3万3000ドルを維持した。物価上昇の勢いはやや鈍化したが、インフレと景気の見通しはいぜんとして不透明。パウエルFRB議長の「利上げの必要性は、これまで想定していたほどではなくなった」という発言にもかかわらず、株価は上がらなかった。それ以上に政府債務上限引き上げ問題がこじれて、株価の重石となってきたからである。日経平均は...
◇ 東京は14%、北陸は42%の引き上げに = 経済産業省は先週19日、大手電力7社の家庭向け電気料金引き上げを認可した。最も小幅な値上げは東京電力の2078円(14%)、最大は沖縄電力の5323円(38%)。いずれも6月使用分から適用される。ただし政府の補助金によって、6-8月分は2800円程度、9月は1400円程度が割引となる。10月以降の補助金については、いまのところ未定。中部・関西・九州の3社は、値上げを申請しなかった。輸入...
◇ 上場企業の利益総額は最高水準を更新 = 上場企業の23年3月期決算発表が、ほぼ終了した。日経新聞の集計によると、1154社の純利益は前年比1.3%の増加。わずかではあるが、史上最高の利益水準を更新した。これが東京市場の株価を押し上げる要因の1つとなっている。ただ内容を見て行くと、今回の決算にはいろいろな形での明暗が存在した。まず製造業の純利益は、前年比7.8%の減少。世界経済の低迷や半導体の供給不足で、減益...
◇ 台湾、韓国から日本へ疎開する = いま世界の半導体メーカーは、大きな問題に直面している。半導体の供給を確実なものとするため、各国が競って自国での生産を強化しようとしていることへの対応。たとえばアメリカ政府は5年間で7兆円、EUは30年までに6兆3000億円の予算を使って半導体メーカーを囲い込む。これと関連して、もう1つの問題は台湾と韓国に集中し過ぎた生産体制の見直しだ。半導体の製造能力を国別にみると、韓国...
◇ 世界7社のトップが異例の集合 = G7(主要7か国)広島サミットが閉幕した。インドやブラジルなどの新興国首脳も参集、ウクライナのゼレンスキー大統領も登場して迫力満点。首脳宣言では「武力や強制力での一方的な試みに反対」や「核兵器のない世界を実現」がうたわれ、大成功だったと言っていい。ただ現実的には、これが戦争の終結や核兵器の不使用にどの程度まで有効なのか。残念ながら、大きな疑問符がついてしまう。サミ...
◇ なぜ大差がついた原因を究明しないのか = 日経平均株価は先週末3万0808円にまで上昇。バブル末期の1990年8月以来、実に33年ぶりの高値を回復した。コロナ規制の解除で経済の正常化が進み、円安の影響も加わったことが原因。アメリカやヨーロッパでは金融引き締めで景気の先行きが不安、中国の回復もはかどらない。こうしたなかで日本の状況に光が当たり、海外の投資家があり余る資金を東京市場に投入した。「よくぞ、ここまで...
◇ 日経平均が33年ぶりの高値に = ダウ平均は先週126ドルの値上がり。3週間ぶりの上昇だったが、内容は3万3000ドル台での一進一退。連邦政府の債務上限引き上げ問題に進展があったと言って上げ、小売りや生産の実態が予想以上に強いと言って下げた。FRBがさらに利上げすることは、ほぼ織り込んだ。景気後退は避けられないという見方も広まっているが、その程度は浅いという予測が株価を下支えしている。日経平均は先週1420円の...
◇ この6月中にも中国を抜いて = 国連の推計によると、インドの人口はこの6月にも14億2860万人に達し、中国を抜いて世界一の人口大国になる。10年前には中国が1億人以上も上回っていたが、急速に追い付いた。インドの医療水準が向上し乳幼児の死亡率が低下した一方、中国は一人っ子政策の影響で人口が減り始めた。インドの人口は60年代に17億人前後でピークを迎えると推定されている。インド経済はコロナ禍にもかかわらず、順調...
◇ 1-3月期の成長率がプラス1.6%に = 内閣府の発表によると、ことし1-3月期の実質GDP成長率は年率でプラス1.6%だった。3四半期ぶりにプラス成長に戻っている。内容をみると、いずれも年率換算で個人消費が2.4%の増加、企業の設備投資は3.8%の増加。コロナ規制が徐々に緩和されたことと、半導体などの供給が回復したことが主たる原因だ。ただし輸出が15.6%も減少したことが、大いに気がかりな点となっている。これで主要国...
◇ 昨年度は黒字額がガタ減り = 企業のなかには本業で大赤字を出しながら、海外の投資事業で大きく儲けているところもある。その合計額が黒字ならば、その企業は市場から認知され株価も上がりやすい。M&A(合併・買収)や債券・株式投資に成功している企業だ。だが仮にそんな企業の投資収入が増え続けても、本業の赤字がもっと増えて全体の黒字が減り始めたら、どうだろう。市場は先行きを心配し、株価は下がるに違いない。...
◇ 金融不安の残り火に油を注ぐ危険性も = バイデン政権は、政府の債務上限を1兆5000億ドル引き上げるよう要求している。これに対して共和党は、財政支出を4兆5000億ドル削減する独自の法案を下院で可決してしまった。この削減にはバイデン大統領が最重要としている気候変動対策も含まれる。だから双方ともに、引っ込みがつかない。来年の大統領選挙の前哨戦ともなりつつある。オバマ政権のときの対立とは、異なる要素が2つ。そ...
◇ 6月には政府活動が停止する危険性 = 企業でも個人でも、手元におカネがなくなる。すぐには調達できる見込みもないと、どうなるか。従業員の給料が支払えなくなったり、買ったものの代金が払えない。借金の返済も出来なくなる。こんな状態をデフォルト(債務不履行)と言う。いまアメリカ政府が、このデフォルト状態に陥ろうとしている。いったい、どうしてなのだろうか。アメリカでは放漫財政を抑止するため、政府に許される...
◇ 日経平均は1年半ぶりの高値に = ダウ平均は先週374ドルの値下がり。週5日間の続落だったが、その割に下げ幅は小さかった。4月の雇用統計が予想を上回る強さを示し、ニューヨーク連銀の総裁が「利上げを終了するとは言えない」と発言。FRBの引き締め政策はまだ続く、という予測が強まった。また連邦政府の債務限度引き上げ問題が決着しないことも、株価の重石となっている。日経平均は先週230円の値上がり。終り値は2万9388円...
◇ 補正予算は計141兆円、国債増発は128兆円 = コロナ感染症の扱いがインフルエンザ並みに格下げされ、コロナとの闘いには一応の終止符が打たれた。だが政府はこの3年間に、実に莫大な支出を余儀なくされている。20-22年度に編成された補正予算は6回に及び、その総額は140兆8094億円。1年分の本予算額をはるかに超えた。その財源を賄うために発行された国債は計127兆6097億円。先進国中で最悪だった日本の財政状態は、さらに大...
◇ 再び上昇気流に乗って = 金の国際価格が1トロイ・オンス=2000ドル台を推移、史上最高値の更新を狙っている。ニューヨーク市場の先物相場は11日時点で2037.1ドル、20年8月に記録した史上最高値の2089.2ドルにもう少しだ。最近の推移をみると、上昇が始まったきっかけは22年2月のロシアによるウクライナ侵攻。その年の3月には、2078ドルの高値を付けている。その後は反落したが、ことし3月からは再び上昇気流に乗った。金は‟最...
◇ 闇夜を手さぐりで歩くことに = 新型コロナ・ウイルス感染症の法律的な分類が、今週から「5類」に格下げされた。パンデミック(世界的大流行)に落ち着きの傾向が続いているためで、季節性インフルエンザと同じ扱いになった。すべての行動規制が解除され、療養や感染防止は基本的に個人の判断に任される。過去3年にわたった‟ウィズ・コロナ”の生活に終止符が打たれたわけで、非常に喜ばしい。ただ医療費の窓口支払い分は、原...
◇ あちら立てれば、こちらが立たず = インフレを抑えるためには、金融引き締めが必要。その副作用で景気には下押し圧力が加わるが、それは仕方がない。FRBは昨年3月からこうした考え方を貫き、金利を引き上げてきた。だが引き締めが手ぬるければインフレは抑制されないし、厳しすぎれば景気が大きく悪化してしまう。そのバランスを計るだけでも、実際の政策運営はきわめて難しい。そこへ、こんどは金融不安が加わった。金利の上...
◇ 預金の取り付けもSNSで一瞬に = 女子高校生2人が電車内で、信用金庫に就職が決まったもう1人の同級生に「信金は危ないよ」と冗談を言った。あとで判明したことだが、その意味は「強盗が入ることもあるから」ということだった。ところが言われた女子高生は、家に帰って「信金は危ないのか」と家人に質問。家人は知人に聞いたことから、噂が拡散。この信用金庫には預金を下ろす人が殺到してしまった。いわゆる‟取り付け騒ぎ”、1...
◇ 尾を引くアメリカの銀行経営不安 = ダウ平均は先週424ドルの値下がり。またまた3万4000ドル台から押し戻された。FRBが予想通り0.25%の利上げを決定、次回は利上げを停止する可能性を示唆。ところが株価は下落した。パウエル議長が年内利下げの可能性を否定したことも響いたが、それよりも中堅銀行の経営不安が意外と長引いている現実。利上げで苦しくなる銀行も出そうなことが、株価の足を引っ張った。ただ金曜日には中堅銀...
◇ インフレ収束のメドは立たず = アメリカの中央銀行であるFRBは3日、政策金利の0.25%引き上げを決定した。利上げは昨年3月以降、連続して10回。新しい政策金利は年5.25%、約16年ぶりの高さとなった。インフレの勢いが収まらないためで、FRBは「景気よりもインフレ退治を優先する」姿勢を貫いた。たとえば3月のPCE(個人消費支出物価)は、前年比4.6%の上昇となっている。ただ今回の利上げに際しては、FRBの姿勢に大きな変化...
◇ 失敗の責任は誰がとる? = 「ゴールデン・ウイークにはカジノへ行って遊ぼうか」--こんな日が間もなくやってくるかもしれない。大阪府・大阪市が推進するカジノを含むIR(統合型リゾート)計画を、政府が認定した。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)に建設するこの計画は、日本で初めてのカジノを中心に、国際会議場や大型ホテルを整備。29年の開業を目指す方針だ。しかし地元でも反対論が強く、これから事業がすんなりと進...
◇ 船長の説明はきわめて常識的だったが・・・ = 日銀は先週28日、新体制となって初めて開いた政策決定会合で、‟超金融緩和政策”の継続を決めた。会合後の記者会見で、植田総裁は「もう少し辛抱して、粘り強く金融緩和を続けたい」と発言している。関係者のなかには政策の修正あるいは変更を期待する人も少なくなかったが、サプライズはなし。きわめて無難な船出となった。このため、この日の円相場は一時136円台に下落、日経平...
◇ 日経平均は年初来高値を更新 = ダウ平均は先週289ドルの値上がり。終り値はまたまた3万4000ドル台に乗せた。ただ、このところ3万4000ドル台に乗せると、すぐに押し返される動きが続いている。週の前半にはファースト・リパブリック銀行の預金流出騒ぎで下げたが、後半は予想以上にいい決算発表の結果を好感して上げた。今週は決算発表がピークを迎えるから、当分は最大の関心事になるだろう。日経平均は先週292円の値上がり。...
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◇ 日経平均、4月は1964円の大幅安 = ダウ平均は先週436ドルの値上がり。終り値は3万8600ドル台にまで戻している。FRBが金融政策の現状維持を決めたことは、完全に織り込み済み。市場では「一つの儀式が終了した」という感じ。また週末に発表された雇用統計は予想を下回り、インフレ抑制への期待が高まった。さらに1-3月期の企業業績も堅調で、中東情勢に落ち着きが見えれば、株価はまだ上げそうな気配をみせている。日経平...
◇ 23年度は就業者が28万人増加した = 総務省が発表した23年度の労働力調査をみて、ちょっと驚いた。世の中は人手不足で騒がしいが、この調査をみる限り人手がひどく不足するような原因は見当たらない。たとえば完全失業率は2.6%、失業者数は平均178万人で、ともに前年度と変わりなかった。また就業者数は6756万人で、前年度より28万人増えている。増え方は大幅とは言えないが、それでも働く人はそこそこ増えている。それなの...
◇ 日銀がひと言つぶやけば円高になるのに = FRBは1日の政策決定会合で「現行の金融政策を据え置くこと」を決めた。声明のなかで、FRBは「ここ数か月間、2%の物価目標に向けた進展がみられなかった」と、その理由を説明している。パウエル議長も記者会見で「インフレ抑制への自信を得るまでには、まだ時間がかかりそうだ」と補足した。市場は完全に織り込んでいたため、株価は小幅に値上がりしただけだった。ところが為...
◇ 「この程度の円安なら全く心配なし」という非常識 = 円相場は29日、朝方に160円台まで下落したあと6円近くも反発。市場では政府・日銀が介入したとみている。今回の円安を加速させた直接の原因は、植田総裁の26日の発言。記者の方から‟助け舟”のような質問が出た。--「円安進行による物価への影響は、無視できる範囲なのか」--これに植田総裁が「はい」と答えたため、一同は唖然。為替市場では円の対ドル相場が一気に158...
◇ 市場は円安の悪影響を警戒 = ダウ平均は先週253ドルの値上がり。終り値は3万8000ドル台を回復した。しかし3月下旬に記録した史上最高値を、まだ1500ドル以上も下回っている。1-3月期の実質成長率は1.6%で予想に届かなかったが、景気の基調は強いと判断された。また1-3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げる材料となっている。日経平均は先週866円の値上がり。しかし終り値は3万8000円に届かなかった。3月下...
◇ 原因は成長政策の欠如とゼロ金利 = IMF(国際通貨基金)は「インドのGDPが25年中に日本を上回る」という推計を発表した。かつて日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国だったが、中国とドイツに抜かれて、現在は第4位。インドに抜かれれば、第5位に転落する。人口がバカ多い新興国だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、世界の多くの人たちに「日本は老衰した昔の経済大国」といったイメージを植え付けたり...
◇ ‟上場”の意味を考え直すチャンスかも = 上場廃止は、いまに始まった現象ではない。たとえばリーマン・ショック後にも増加したが、当時の原因はほとんどが経営不振。倒産したり、上場基準を維持できずに市場から撤退した。これに対して昨今の離脱は、経営者が意図して決定する、一種の”積極的な戦略”。ただし一般的に言うと、外部や一般株主による提案や要求から逃れるための‟消極的な目的”による場合が少なくない。たとえば東...
◇ 昨年は過去最多65社が消えた = 東芝、大正製薬、ベネッセ--だれでも、これらの社名は知っている。だが「この3社の共通点は何?」と聞かれて答えられるのは、株式投資家だけかもしれない。正解は「いずれも昨年、上場を止めた会社」である。調査会社レコフデータによると、上場廃止を目的としたTOB(株式公開買い付け)を実施した企業は、昨年65社にのぼった。買い付け金額は5兆3600億円で、前年の3.8倍に達している。...
◇ ひと声吠えれば物価が下がる = 日経平均は先週2455円の大幅安を演じた。半導体や輸出関連、内需株も売られている。特に注目されたのは、円安が進んだのに輸出関連銘柄が売られたこと。円相場が154円台にまで下落し、輸入原材料やエネルギーの高騰が企業収益を圧迫するという心配が強まったためである。また同じ理由から物価が上昇、消費が抑制されるという懸念から内需株も売られた。円安が進んだため、政府・日銀による為替...
◇ 下降局面に入った? 株価 = ダウ平均は先週わずか3ドルの値上がり。終り値は3万8000ドルに乗らなかった。前週も前々週も900ドル台の下落だったのに、反発は微々たるものに終わっている。3月の小売り売上高が予想を上回り、FRBによる利下げが遠のいた。年内3回の見通しが1回に縮小。このため買われ過ぎていた半導体を筆頭に、輸出関連、内需関連の銘柄が売られている。そこへ中東情勢の悪化が加わった。日経平均は先週2455...
◇ 日本メーカーに再浮上のチャンス = EV戦線のトップを走っていたアメリカのテスラが不調に陥った。業績の不振から、世界で従業員の10%以上を削減する方針を発表、大きな反響を呼んでいる。1-3月期の世界販売台数は38万6810台、前年より9%減少した。お膝元のアメリカでは充電網の整備が遅れているところへ、金利が上昇して需要が減退。中国ではBYD(比亜迪)などの値下げ戦略に対抗できなかった。BYDは中国のEVト...
◇ 人手不足はずうーっと続く = 生産年齢人口(15-64歳)は7395万2000人で、前年より25万6000人減った。ピークだった1995年に比べると15%も減少している。当然、人手は不足する。この人手不足を補う方策は大別すると4つ。①女性や高齢者を労働市場に引き出す②雇用の流動性を高める③外国人に来てもらう④機械化・ロボット化・AI化を進めて生産性を上げる--これらが効果を十分に上げなければ、人手不足は解消しないだろう。女...
◇ 15年間で静岡県に匹敵する人口が消えた = 総務省は先週12日、23年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2435万2000人で前年より59万5000人減少した。減少は13年連続。このうち日本人だけをみると、総人口は1億2119万3000人で前年比83万7000人の減少。外国人は315万9000人で24万3000人の増加だった。総人口のピークは08年の1億2808万人だったから、それから15年間で373万人も減ったことになる。都道府県...
◇ ドル高はG20会議でも主要な議題に = 円の対ドル相場は154円台にまで下落した。アメリカで3月の物価上昇率が拡大、FRBによる利下げが遠のいたという観測が強まって金利水準が上昇。日米間の金利差が拡大したためである。だが実に34年ぶりの安さになったのに、政府・日銀は介入しなかった。なぜ介入しなかったのか。相場がどこまで下落したら介入するのか。市場では疑問と思惑が渦巻いている。先週は日米首脳会談のため、岸田首...
◇ アメリカのインフレが再燃? = ダウ平均は先週921ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は3万8000ドルを割り込んだ。3万7000ドル台は1月24日以来のこと。原因は3月の物価が反転上昇したことにある。消費者物価は前年比3.5%の上昇で2月の3.2%を上回り、生産者物価も2.1%の上昇で2月の1.6%を上回った。これでFRBによる利下げは遠のいたという観測が強まり、金利が上昇、株価は下落した。中東情勢の悪化も、株価を下...
◇ とても単純な誤りとは思えない = 3月29日。こども家庭庁が少子化対策の財源にする支援金について、1人当たりの負担額を試算し公表した。それによると、大企業の社員は月額500円、中小企業の社員は月額450円、公務員は600円。また自営業者は400円、後期高齢者は350円、低所得者は50円となっている。国民1人当たりの負担額は月450円。さらに賃上げが進めば「国民の負担は実質的にゼロになる」と、岸田首相が得々として解説した...
◇ 日本は円安で値上がりがさらに増幅 = 金価格を押し上げる経済的な要因は数多いが、最も大きいのはインフレだろう。物価が上がれば、通貨の価値は下がる。その損失を避けるために、インフレで価値が上がる金を買う。歴史的にみても、インフレ時には金が買われた。また株価が下がると、金が上がることも多い。投資資金を一時的に安全資産に移すためである。さらに財政状態の悪化でも、金が買われる。国債価格の下落による損失を...
◇ 政治・経済の複合要因で最高値を更新中 = 金(きん)の価格が高騰している。ニューヨーク商品取引所の先物価格は9日、1トロイオンス=2384.5ドルに上昇。8日間連続で、史上最高値を更新した。ことしに入ってからの上げ幅は約15%に達している。ロンドン市場の現物取り引きでも最高値を更新。東京の小売り価格も、1グラム=1万2622円の最高値を記録した。当面の価格上昇について、市場では「FRBが利下げすれば、利子を産まない...
◇ 日本への影響も大きい原油価格の上昇 = 原油の国際価格が、また上昇している。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は先週87ドル台に上昇、北海ブレンドも90ドル台に乗せた。上昇のきっかけは、イスラエルがシリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺をミサイル攻撃したこと。中東情勢の緊迫感が強まり、原油供給への不安が高まった。この原油価格の上昇で、アメリカではインフレ再燃論が拡大。金利が上昇、株価...
◇ 「年内の利下げナシ」の発言も飛び出す = ダウ平均は先週903ドルの大幅な値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。景気が堅調なことを示す指標が続出、そこへ原油価格の急騰が加わった。このためインフレ再燃への警戒が強まって、長期金利が上昇。さらにパウエルFRB議長が「利下げを急ぐ必要はない」と発言。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「年内は利下げを見送る可能性がある」とまで言及した。株価は上がりようが...
◇ 尾を引くアメリカの銀行経営不安 = ダウ平均は先週424ドルの値下がり。またまた3万4000ドル台から押し戻された。FRBが予想通り0.25%の利上げを決定、次回は利上げを停止する可能性を示唆。ところが株価は下落した。パウエル議長が年内利下げの可能性を否定したことも響いたが、それよりも中堅銀行の経営不安が意外と長引いている現実。利上げで苦しくなる銀行も出そうなことが、株価の足を引っ張った。ただ金曜日には中堅銀...
◇ インフレ収束のメドは立たず = アメリカの中央銀行であるFRBは3日、政策金利の0.25%引き上げを決定した。利上げは昨年3月以降、連続して10回。新しい政策金利は年5.25%、約16年ぶりの高さとなった。インフレの勢いが収まらないためで、FRBは「景気よりもインフレ退治を優先する」姿勢を貫いた。たとえば3月のPCE(個人消費支出物価)は、前年比4.6%の上昇となっている。ただ今回の利上げに際しては、FRBの姿勢に大きな変化...
◇ 失敗の責任は誰がとる? = 「ゴールデン・ウイークにはカジノへ行って遊ぼうか」--こんな日が間もなくやってくるかもしれない。大阪府・大阪市が推進するカジノを含むIR(統合型リゾート)計画を、政府が認定した。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)に建設するこの計画は、日本で初めてのカジノを中心に、国際会議場や大型ホテルを整備。29年の開業を目指す方針だ。しかし地元でも反対論が強く、これから事業がすんなりと進...
◇ 船長の説明はきわめて常識的だったが・・・ = 日銀は先週28日、新体制となって初めて開いた政策決定会合で、‟超金融緩和政策”の継続を決めた。会合後の記者会見で、植田総裁は「もう少し辛抱して、粘り強く金融緩和を続けたい」と発言している。関係者のなかには政策の修正あるいは変更を期待する人も少なくなかったが、サプライズはなし。きわめて無難な船出となった。このため、この日の円相場は一時136円台に下落、日経平...
◇ 日経平均は年初来高値を更新 = ダウ平均は先週289ドルの値上がり。終り値はまたまた3万4000ドル台に乗せた。ただ、このところ3万4000ドル台に乗せると、すぐに押し返される動きが続いている。週の前半にはファースト・リパブリック銀行の預金流出騒ぎで下げたが、後半は予想以上にいい決算発表の結果を好感して上げた。今週は決算発表がピークを迎えるから、当分は最大の関心事になるだろう。日経平均は先週292円の値上がり。...
◇ 日本の人口は70年までに3割も減ってしまう = 「日本の人口は2070年に8700万人」「出生数は59年に50万人割れ」「生産年齢人口は3000万人も減る」--厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口推計である。新聞紙上にこんな大見出しが躍ったから、びっくりした読者も多かったろう。日本は大丈夫なのだろうか。心配しない方が、おかしいくらいだ。ただ一種の錯覚もないではない。こういう数字を突き付けられ...
◇ 「自民党が野党になった」ことが一因? = EIA(米エネルギー情報局)の発表によると、アメリカでは多くの州が補助金や免税措置をとって再生可能エネルギーの普及に努力している。この結果、たとえばテキサス州では風力、カリフォルニア州では太陽光による発電比率が急増した。全米でみると、再生エネルギー発電の比率が20%を超え、石炭火力を抜いて天然ガスに次ぐ2位となっている。EUでも22年中に、風力と太陽光を中核とする...
◇ 燃料輸入の急増が景気の足を引っ張る = 22年度の貿易収支は、驚くほどの大赤字だった。財務省の発表によると、輸出は前年度比15.5%増の99兆2265億円。輸入は32.2%増の120兆9550億円。輸出も健闘したが輸入が伸びすぎたために、記録的な大赤字となってしまった。これまでは13年度の13兆7500億円が最大の赤字額、それを一挙に飛び越したことになる。輸入が大幅に増加した最大の原因は、燃料輸入の激増。原油・粗油は13兆6932...
◇ カネ余り状態が解消しない = アメリカでは政策金利の急速な引き上げにもかかわらず、エネルギーや食品を除いた物価の上昇が続く。その一因は、人手不足で賃金が上がったことに求められる。また将来のインフレ期待が弱まらないためだという説も強い。さらに基本的には、カネ余り状態が少しも解消していないことが原因だと考えられる。FRBは昨年6月から、金融の量的引き締めも実施している。保有している国債や住宅ローン担保証...
◇ インフレ圧力が衰えない = FRBは来週5月2-3日に開くFOMC(公開市場委員会)で、政策金利をさらに0.25%引き上げる見込み。物価上昇の勢いが衰えないためで、市場も完全に織り込んでいる。年内には利下げに転じるという期待も、ほぼ消滅した。この結果、かつては5.1%程度と想定された年末の政策金利は、ついに6%に近付くという予想が一気に強まっている。アメリカのインフレ圧力は、一見すると鈍化したようにもみえる。たと...
◇ 来週は0.25%の利上げでほぼ確定 = ダウ平均は先週78ドルの値下がり。FRBは来週3日に金融政策を発表するが、0.25%の利上げになることはほぼ確定的。市場は完全に織り込んでおり、話題にもなっていない。代わりに関心は、1-3月期の企業業績に移っている。すでに発表された金融は増益と減益が交錯。ヘルスケアやテクノロジーは業績の悪化で売り込まれた。日経平均は先週71円の値上がり。20日には2万8658円で年初来高値を付け...
◇ ‟おもてなし”の質を維持できるか = 観光局は19日、3月の訪日外国人客数を発表した。それによると推計値は181万7500人で、コロナ前19年3月の65.8%にまで回復した。コロナ禍で21年には24万人に落ち込んだが、各種の規制解除で予想以上に回復は早い。デパートなどでも、免税売り上げが急速に増加。JTBでは、ことし通年の訪日客数は2110万人に達すると予測している。3月の訪日客数を国別にみると、トップは韓国で46万6800人。19...
◇ 原発にみる各国の基本的な考え方 = G7気候・エネルギー・環境相会合は、原発と再生可能エネルギーについてはきわめて現実的に対応した。閣僚声明では、ドイツとイタリアを除く5か国が「原発は安価で低炭素のエネルギーとなる可能性を認識する」と書き込んでいる。これはヨーロッパ各国が、原発に対する基本的な考え方を明確にしているからに他ならない。たとえばドイツは15日、最後に残った3基の原発を運転停止。17基あった...
◇ 議長国・日本がぶち壊し役に = 札幌市で開かれたG7(主要7か国)気候・エネルギー・環境相会合は16日、閣僚声明を発表して閉幕した。ところが、この声明の内容は迫力ゼロ。実質的には、ほとんど意味がないものになっている。出席した欧米の閣僚たちは、口々に「議長国の日本が多くの問題で水を差した」と恨み節。確固たるエネルギー計画を持たない日本の欠点が、思わぬところで露呈してしまった。最大の関心事である化石燃料...
◇ コロナが変えた働く意識 = いま「人手が足りなーい」と大騒ぎをしているのは、飲食や宿泊サービス業界だ。経済の正常化で外出や旅行が盛んになり、外国人旅行客も戻ってきた。ところがコロナ時に減らした従業員が、なかなか復帰してこない。若い人たちが接客業を敬遠する一方で、製造業や金融業からの転職も難しい。コロナによって、働く人の意識が変わった面も見逃せない。在宅勤務に慣れた人のなかには、通勤電車に乗ること...
◇ 生産年齢人口が12年連続で減少 = 総務省は先週12日、22年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2494万7000人で、前年より55万6000人減少した。東京都を除く46道府県のすべてで減少している。このうち日本人は1億2203万1000人で75万人の減少。外国人は291万6000人で19万4000人の増加だった。出生児数は79万9000人、死亡者数は153万人で、差し引き73万1000人が自然減少ということになる。また生産年齢人...
◇ 好材料が重なって活気づいた市場 = ダウ平均は先週401ドルの値上がり。4週連続の上昇で、一時は3万4000ドルを覗いた。好材料が重なったことで、買いに勢いが付いている。その好材料は、まず金融不安が遠のいたこと。また物価上昇が鈍化したこと。さらに雇用の状態が良くも悪くもなく、FRBの引き締め政策にも景気の見通しにも影響しなかったこと・・・。日経平均は先週975円の値上がり。先々週末から6連騰となった。終り値は2...
◇ コロナの即時データがなくなる = コロナのパンデミック(世界的大流行)状態を示す毎日の感染者数と死亡者数は、米メリーランド州のジョンズ・ホプキンズ大学が当初から集計して公表してきた。ところが、この作業は3月末で停止。理由は多くの国が毎日の集計を止めてしまったからである。WHO(世界保健機関)も最初に中国が公表を停止したときには批判したが、今回は沈黙。今後は即時データがないまま、手さぐりでコロナ・ウイ...
◇ 日本は魅力の少ない国になっている = 政府の有識者会議は10日、技能実習制度の廃止を提案する中間報告書をまとめた。途上国への技術移転という本来の目的と実態とが、乖離してしまったからだという。実態は労働者不足を補うための補完的労働者に。管理も十分でなく、給料の不払いや酷使、暴力行為もしばしば問題となっている。現在の人数は約34万人。21年には約7000人が失踪した。こうした問題は早くから指摘されていた。だか...
◇ 責任の所在を明確にせよ = 原子力規制委員会は5日、日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)について「安全審査を中断する」と発表した。理由は日本原電が提出した資料に「多数の記載ミスが発見されたため」だという。規制委員会は、提出された書類の一部を8月末までに修正するよう行政指導した。この結果、安全審査はさらに長引き、敦賀原発2号機の再稼働は遠のくことになった。敦賀原発2号機の安全審査は、原子炉建屋の直...